DSCN2279『晴れた二日目の朝』

バヤンホンゴル ETAP2(2日目)朝方
 
「バババババババ!!キュンキュンキュン・・・」
強烈な爆音で目が覚めた!ヘリコプターが来た音だ。

どうやら昨日は悪天候でヘリが飛べなくて、やっと到着出来た様です。僕らの10kgの荷物は途中で着陸してトラックに積み替えて、ヘリコプターに乗るメカニックもトラックでの移動だったとか。

さて、朝のトイレは・・・そこらへん。少し離れた場所でするのだけれど、基本この草原には木がほとんどない。隠れる場所がほとんどないのだ。
男性陣は、まだしも女性陣にはとても大変な事だと思うのと同時に、割り切りが出来ない人は参加出来ないのだろうと思えた。
最近じゃ飛行機の中にもウォッシュレットがあるぐらいな日本。やっぱたまには不便を感じる事で、便利のありがたみを感じれる事って大事だなぁーって。

DSCN2286オフィシャルの情報は掲示板にこんな感じで貼られます.
モンゴル語と日本語で説明がされています。

今日のETAP2は先行隊が道の下見に行っている様なんですが、コース変更が確実なようで、ルート変更とかの案内が、ブリーフィングで行なわれます。

SS(競技区間)は511kmから370kmに短縮。そりゃこの時間にスタートして500kmだったら速い人でも夕方になっちゃうでしょうね・・・。


DSCN2285悪魔の日から一夜。なんとまだ寒いけど晴れ!そんなわけでゲルが物干し台に。

うちのゲルだけこんな状態(笑
ようこそ〜 どうぞ上がって下さーい。

晴れると空気が乾燥するのであっという間に乾きますね.(臭いは消えませんが)

とりあえず、僕は元気です。バトンさんも超元気になっていて、朝からヘリを撮りにいっていたようです。



DSCN2282食器があると、やっと食事って感じがします。
昨日は仲間に:「佐野さん、ペットボトルで食べている様が犬っぽかった、他の人もそうだったけど」って言われたぐらいですから(笑) 凄い光景だった事でしょう。

日本人とモンゴル人のスタッフが食事を用意してくれます.イワシの缶詰、ご飯、コーンポタージュ+パン。僕はこれだけ食べればお昼まで十分持ちます。肉類は消化にエネルギーを使いそうなんで、あえて避ける感じ。

ご飯を作ってくれる人に感謝。

DSC00959今日から本格的に、SS(スペシャルステージ)がスタート。リエゾンとは移動区間ですが、SSは競技区間で1名ずつ30秒ごとにスタートして、区間タイムが速い人が順位が上になります.それを毎日行ない、積算したタイムが少ければ少ないほど上位に上がります.もちろんリエゾンやその他でペナルティーを受けたりすると、何十分、何時間のペナルティーの積算、もしくは最悪の場合は失格になります。よくありがちなのはリエゾンの指定のスタートに遅れる、ゴールの時間が遅れるとか、チェックポイントに寄らなかった、チェックカードを無くすとか。

DSC00965『川渡りオンパレード』

午前11時スタート開始!!とりあえず、まだゼッケン順にスタートです。明日からは順位が速い順にスタートして行きます。
2003年のダカール参戦時、菅原さん(チーム菅原)に教えてもらったラリーの走り方の基本として、とにかく最初のSSは飛ばさないでゆっくり走る事!周りを見て確実に安全に走る。
それを言われていたので、とにかく周りの状況がすべて把握出来る速度でゆっくり走りました。周りのみんなが130km/h以上出す所も80km/h〜100km/h付近で、モンゴルの地形に慣れるまで、ゆっくり。後ろに付かれたら抜かせる。とにかくそういう走法が大事だと。
最初から自信満々に行く人は、大体怪我をする。そういう風に教わっていました。それから前に新聞で読んだ増岡さんの記事で「ラリーは臆病者の方が合っている」という言葉、よく理解しております.4輪が前に行って、砂煙で前が見えなくなった時はすぐに横に逃げて一時止まる方が良いと。

DSCN2290スタートしてしばらくすると、またコマ図上の道が、川で塞がれている・・・。そして、今回は昨日のリエゾンの時とは、わけが違う。タイムトライアル中なので、自分の仲間かチーム以外は手伝っていない。モンゴル人ライダーも自分で道を開拓し、ささっと行ってしまった。昨日より川の幅がある。(写真:先に車を行かせて深さを見ている)

DSC00977(写真:メカニックのびさんのヘリから)
バイクを一度でも水没させてしまうと、4ストエンジンは特に水を抜くのが大変な作業。
だからこそ慎重になってしまう川渡り。

みんなで、まごまご立ち往生していると、地元のモンゴル人が普通の125ccのバイクに二人乗りノーヘルで、「こうやって渡るんだよーーー」ってこの川を簡単に渡ってしまった。しかも普通のロードタイヤ。
僕ら:「ありゃ!?こりゃまずいでしょ。こんないいオフロードバイクで良い装備しているのに渡れないのって恥ずかしいーーー」

DSCN2294その簡単に渡る様を見た日本人ライダーはみんな速攻渡り始めた。さっさと僕も渡って、仲間の写真を。(写真:小栗さん)








DSCN2291(写真:バトン大塚さん)
いい感じで渡っています.大体の川で共通する事ですが、渡り切る瞬間の所が凹んでいて深くなっている事が多いですね。一瞬焦ります。








実は僕のICO(距離計)の2つとも中が曇ってしまって、数字が見れないまま走り続けていて、とにかく適当に走っています。昼間になれば曇りも取れて、見れる様になると思っていたのですが、未だに全く見えません。それもあって、ICOが見える様になるまでバトンさんに先導してもらって、一緒に走っていましたが、なんと先行していたバトンさんが、曲がるポイントをそのまま真っすぐ行ってしまい、追いかけるにも遠すぎて・・・はぐれてしまいました。ICOも立ち止まってよく見ると見えるので、重要な分岐のたびに止まってICOの数字を確認していました。

DSCN2301その後、無事271km走った所で、RCP(休憩チェックポイント)になりました。ここでは1時間の休憩が出来ます.もちろんその1時間は積算時間には追加されません。例えば13:35に到着したならば、そのRCPのスタートラインを14:35に出発しなければなりません。

休憩する前にタンクローリーからガソリンを頂きます.僕のマシンは33リッター入るのですが、燃費が15km~最高20km/Lなので、271km走っただけでは半分ぐらいしか減っていません。今のペースならば最低でも500kmぐらいは走れる計算です。
この給油で待ちの人がたくさんいたりすると、給油に時間が掛かるので単純に休憩の時間が減ります.意外と時間が無いんですよね。急いでランチパックを食べます。先に小栗さんが出発。30分以上早く着いていたらしいです。全く飛ばして走っていないって行っているけど確実に速いです。少し経って、バトンさん到着。ミスコースしたけど途中でGPS走行していたらオンコースに戻れたとの事。今のところチーム員皆無事です。
 そういえば、ダカールラリーなどではCPごとに水をくれたりしますが、モンゴルラリーではキャンプ地以外では貰えないので、水の節約に結構気を使います。背中のキャメルバッグには、たった2Lしか積めないので、少しずつしか飲めません。ちなみに僕のキャメルバッグには水2Lに対して、ポカリスエットを1L用の袋一つ。そして塩を小さじ半分入れています。熱中症対策です。

 ローリーの所にいたモンゴル人スタッフに「このRCPの後に沼が出てきたら、避けて走って下さい」と言われた。この時点ではあんまりピンと来ない話だった。

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『運命の分かれ道』

DSCN2306
時間が来てRCPを再スタートして、早速罠があった。スタートして数十キロ走ったら、どうしてもコマ図に出ている分岐点の看板を見つけられず、さまよった。コマ図の通りの道がないとなれば、もうしょうがない。枯れた川をひたすら下った。タイヤの跡が全く無くなり、いよいよ自分だけのオリジナルの道の開拓が始まった。実はコマ図で道を見失ってもある程度はオンコースに戻る事が出来る。それは、前もって皆に配られているGPSポイントという緯度経度が記された物を持っているGPSの機械に打ち込んである為、次の目的地の方向はわかる。ただ通常はオンコース以外の所は、何かしらかの危険が潜んでいたり、とてつもない大きい山があったり、普通のペースでの走行が出来ない場合がある。また、もし怪我でもしてそこで助けを呼んでも、主催者が救助するのが困難な場合がある。あまりGPSポイント走行は普通の人は行なわないらしいんだけど、僕はコマ図が苦手なんで、すぐにGPSポイント走行(通称:カップ走行)に切り替わってしまう。よっぽどの所じゃない限りは、この重いラリーマシンでも僕は走れるのは昨日体験済み。エンデューロとモトクロスの練習をしてよかったと痛感。

 それにしても「沼を避けて下さい」という簡単な説明は、後から考えるとそんな簡単な説明で済む内容ではなかった様だ。
 僕はその沼が太陽の光で表面が輝いて右手の遠くの方によく見えた。たぶんあれが噂の沼だろうと。コマ図の流れでは、オンコースは沼の右から回って行くのだろうという感じだったけど、沼の左側を見るとを太陽の光が当たる緑色の丘が見え、そこには動物(馬?牛?)が点々と見えた。動物がいると言う事はバイクで走れる場所に違いないと確信して、左側から回る事にした。

DSCN2308 とにかく最初は乾いた川を下って行けば沼の方に行くだろうと思いそのまま川なりに走る。本当にそのまま走り続けたら沼に行ってしまうので、いいところで川を出て、GPSの矢印の方向を見ながら草原のど真ん中を走って行った。途中、普通に地元民がいたのでもしかして道があるかもと思ったらビンゴ!発見!。沼を右手にしながら、その道を走る事、数時間。目標のGPSポイントのオボーに到着。

この写真の背景に写る所が沼である。そして砂煙か水蒸気なのか、数キロ先で上がっているのがわかる。なんだったんだろう。
 僕が通って来た道は何も難しい部分は無かったけど、距離計とコマ図の距離を比べたら10kmも遠回りをしていたようで、なんか損をした気分。少しだけその場で休憩していても誰も来ない・・・オンコースのはずなんだけど、僕が遠回りしている間に皆が行ってしまったのだろうか?と不安になってしまった。

この後、道沿いに走り371km地点でSS終了のゴール。そこにはモンゴル人ライダーが数名いた他、前田さん(まえだっち)、原さん、小栗さんがいて、話をしたらとんでもない所を走らされたーって言っていました。「新世君速ーい、沼走って来た?あれ?マシン汚れていないよね?」って。僕はたらーーっと走って来ただけなので、皆が言う沼がどういう状況だったかはその時は全く知らなかった。一つ言える事は、モトクロス国際ライダーの小栗さんが「マシンが埋まる、怖い!」「沼を脱出して、大喜びした!」って聞いたんで、相当の物だったと想像はできた。しかし、後で写真を見たら、想像を超えていた・・・。

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『心温まる仲間達』

DSCN2317この後はこの日本人4人でキャンプ地までコンボイ移動(一緒に移動)。
ちょっと途中みんなでミスコースしたけど、無事に夕方前にはボグド(BOGD)のビバークに到着出来ました。

僕は最後までICOがまともに見えませんでしたが、まあ結果オーライな日でした。けど、周りはそうじゃないみたいですが。

メカニックのびさんがお出迎え!「お疲れ〜 速ーい!」
のびさんが先にいるってことは、ヘリが飛んだんですね。




DSCN2320それにしてもみんな汚れ方が半端じゃないですね。頭の上から下まで泥まみれ。

 バトン大塚さんも暗くなる寸前に帰還。チーム員総出で祝福です。というのもこんなにバトンさんが確実に帰ってくるとは、失礼ながらうちのチームで誰も予想をしていなかった為です。嬉しい裏切り!どうやら僕と同じルート、沼の左側を走って来たらしく、マシンが綺麗なまま。本当すばらしい!!TEAM O.M.G 順調な滑り出しです。


DSCN2323今日のビバークは到着と同時に夕食がありました!笑 
久々のカレーライス!スタッフに感謝です。キャンプとカレーは切っても切れない関係ですね。












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しかし・・・また荷物が届いていないので、2度目のペットボトルでご飯タイム。もう荷物が届かないのは常識化しつつある。
小栗さんも夕食にありつけてニッコリ風。ペットボトルを見る限りは、カレーを食べているとは思えない写真ですが(笑

ちなみに前日の物が届かない教訓は得ていたので、すぐにキャンプ地で必要な、コップ、次の日のコマ図、レジャーシートは持って移動しました。だから荷物がいつもパンパンです。ちなみに僕はバイクをある程度ばらせるぐらいの工具も持って走っていたので大量の荷物でした。ツーリングライダーより荷物があったかも。


 
DSCN2318少し南西におりたせいか、日が長い。
夜になったぐらいに、なんと荷物が到着。「おお〜〜来た!速い!」ってみんなで喜ぶ姿は、もう普通の事が普通じゃなくなっていて、小さな喜びが大きな喜びになっている。僕も含め、幸せな人達。


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それにしても、夜中になっても帰って来ない人がたくさん。 2輪4輪合わせて何十台も帰っていない様子・・・



394408_191148181017384_1915042855_n沼の写真を見たら・・・絶句。(写真:チームアピオ)

実はオンコースの沼の右側を通って来た人達は、こんな状況の場所を走り続けたらしい。深さが半端じゃない。ベテランドライバーでもこんな状況。完全に動けません。これを走って来た小栗さん、やっぱ凄いなと再認識。僕は無理です!

このジムニーなんだけど、ここでスタックして、這い出れたのは次の日の朝だったとか。前も後ろも沼なので、レスキューも手伝えない状況だったらしく、車の先200m以上をスコップで道を作ったそうです・・・。

このETAP2で最大の難関はこの沼。かなりのライダー、ドライバーがその日のうちに帰って来れなかったとの事。主催者スタッフも総出で選手達を助けに行ったとかで、ビバーク地はガランとしていました。 

小栗さん、ゲル内でも何かの話をする度に、「沼と川 嫌だよーーー」ってぼやいていました(笑 相当嫌だったみたい。まあ僕も嫌ですが。

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DSCN2328さすがに次の日のETAP3はキャンセルになるだろうとの噂が飛び交っているけど、寝る時間になっても特に情報無し。帰って来れない人がいる限りは次のステージを開催出来ないだろうし、たぶん情報がわかったらメカニックのびさんが教えてくれるだろうと、すべてをまかせてチームライダーはそのまま就寝。すべてのメンテナンスと情報収集をしてくれる、のびさんの感謝。

ETAP3に続く