DSC00907『長いリエゾンが始まる』

朝食も、そそくさっと終え、まだ寒い、朝8時ラリーのレーススタートです。

今日の走行距離は西へ692km。タイムを争うSS(スペシャルステージ)は、大雨で流されたかなんかで、キャンセルなので、今日走るすべての距離は、リエゾンとなります。リエゾンは決められた時間以内に移動すれば良いという区間。もちろんコマ図を見落として、コースを外れて迷ってしまえば時間以内に帰って来れず、ペナルティーを受けます.またCP(チェックポイント)を通らないとこれまたペナルティーを受けるので、コマ図通りに走る事が重要となります。

ウランバートルの町を抜けひたすら西に走り続けます.とにかくアスファルトを走ってもボコボコと穴があって、バイクなら簡単に飛び越えられますが、4輪は避けないと壊れてしまうので、みんな急ハンドル。そして急に対向車線にはみ出てきます.日本と逆の右側通行ですが、まったくもって地元の車の運転に秩序という物を感じさせませんね・・・まあ、道が悪いからしょうがないとは思いますが・・・。そこらじゅうで車が壊れて(パンクとか)で止まっています。町を離れて、丘の間を走る飛ばし放題の場所では、潰れた自動車を数台見ました。酷いのでは正面衝突したのか、転がったのか。パトカーもいて、人が群がっていたが目に入りましたが、走っているこちらも引きました。こっちの人シートベルトを市内で乗っているし、めちゃくちゃな運転の人いるし・・・。自分が気をつけていても、巻き込まれる危険が高いということが一番怖い。とにかく昼間もライト点灯して、ヘルメットも一番目立つ黄色にしたのもそういう意味があります。
 とにかくリエゾンのアスファルト区間が長過ぎ。最初の方はいい風景だなぁーなんて思って走っていたけれど、ずっと同じ風景。草原、山、ゲル、馬、オボー(地元の目印)、パンクした車の繰り返し。さすがに200kmぐらい走ったら飽きてきた。ラリーに来たのになんでアスファルト走ってんだオレは。早くダート走りたいなぁーって。しかも一般道路は80km~100km/hぐらいで僕は走っていたんだけど、タイヤの中にはムースチューブが入っていて、あまり高速で高温にさせると良くないという話を聞いていたので、飛ばせなかったし、折角の新品のオフロードタイヤの角も減るのが嫌だったので、とにかくゆっくり、座ったままボケーーーっと運転。

結局アスファルトはチェックポイント439kmまで続いた。流石に疲れた。けど、この後、アスファルトを40km走ったら、その先ダートがスタートする。座りっぱなしで痛くなったお尻から逃げれるチャンス。そしてダートは120km続く予定。

DSCN2287休憩がてら、朝に貰ったランチパックを食べた。(写真は毎朝貰うランチパック)。このランチパックが、かさばるので、基本上着のポケットに全部しまうのだけど、特にパンがかさばるので多くの人は封を開けて潰してポケットにしまう。このソーセージは、ほぼ毎日もらう逸品だったんだけど、人によっては開けるのが面倒で、時間を使うのが勿体ないなんて言っている人がいて、ちょっと性格が出ていて面白かった。ちなみに僕はこのソーセージは毎日人に貰って3本ぐらいポケットに入っていました。疲れた時に塩気が欲しくなって丁度いい。

480099_4038685939867_1303224264_n『初めての川渡りから』

さてさて、やっと始まったばかりのダートコース、しばらく走ると、突然川が!!
完全に道が塞がれています。前にいた数台が立ち往生。ジャンプ台があれば全然届く距離なんですが・・・そんな物も無いですから。泥水なので川底も見えないし、はっきり言って怖いです。何故か僕の直感が働いて、もっといい場所があるかも!と、川沿いに下流の方に走って行くと、違うグループが渡り始めていました。上流より幅はあるけど、どうやら流れがそんなにきつくなく、深さも膝上ぐらいと深くないようです。はっきりいってドライだったブーツを泥水で中まで汚すのに抵抗がありましたが、もう渡らないと何も始まらないし、北海道のラリーに出た時の知り合い、原さん・篠原さんグループが渡るのを手伝ってくれて、無事、渡り切りました。心からありがとう。後ろから来ていた同チームのバトン大塚さんもすぐに来て一緒に渡れて、第1関門突破な感じ。(写真提供:Team Hara)
突然の川が出てきて、お!ラリーっぽくなってきたなんて思ってワクワクし始めてきました。


DSCN2253 その後は、バトン大塚さんとコンボイ走行(一緒に連なって走る事)。だんだん凄い山奥に入ってきました。タイヤの跡もあるし、オンコースだと思ったいたんですけどね、なんかどんどんタイヤの跡が無くなって、終いには頭よりデカイ石、岩がゴロゴロしているトライアル的な場所に到達。

ちょっとお腹がすいたので、まったり3時のおやつなんて思っていたら、何処からかジムニーの全開の音が山の中から聞こえるんです。ふと山の上の方を見たら赤いジムニーが岩がゴロゴロの所を登っています.「げげ!」、そこ登るの〜?(爺ヶ岳の急坂よりは全然ゆるいけど・・・)ジムニーってスゲェーって思えた瞬間でした。やっぱ僕らはオンコースなのかも!

etap1_gareさっさとおやつタイムを終了し、いざ出陣。僕の経験上、確かに谷にいる限りは道も何も見えないけど、山の頂上に向かえば、道は開かれるって思ってその岩がゴロゴロの所をとりあえず登りました。 バトンさん大丈夫か〜?って思いながら見ていたのですが、全く転倒する感じも無く、優秀な2名といった感じ(笑。 一回でも転倒しよう物ならタンクか別の所が割れたりクラックが入るのまちがい無しな所。上に行こうとすると岩がゴロゴロな妙な地形な場所です。

二つ山を越えると、遠くの方に道っぽいのを発見しました。
やっぱりさっきのはミスコースだったっぽい。と今更気付く。さすがにあんな所、初心者じゃ登れないよね・・・って。4輪も普通はこれは無理でしょ。バハに出ている様なバギーなら簡単かもしれないけどね・・・。実際コマ図の何処で道を間違えたのかわからない。まあいいや。

一応、GPSの機械(あらかじめ次の目標地点の座標を登録している機械)では、次のポイントに向いている矢印の方向は合っている様なので、そのまま進みます。きっちりしたライダーなら、一度間違ったポイントまで戻って距離を修正して、オンコースを走るんですけど、僕は絶対戻りたくない派なんでひたすら進みます。

 走る事数時間、天気が悪くなってきました。というか、ポツポツと。次第に周りは黒い雲に覆われ、スモークのゴーグルのレンズでは見えなくなってきました。天気は回復すると読んで、途中止まってゴーグルだけクリアレンズに変更。再スタート。けど、いっこうに雨はやまず寒くなってきた。 

ダートはグチャグチャ。水溜まりの深さもわからなくなってきた。 途中で左側から合流してくるラリー参戦中の車とバイクが合流。ほっとした部分とこれから先の雨をどうするか考える。土砂降りになってきた。パンツにも染みてきた。バトンさんと一緒に走っていたので極力止まらないで走っていたんだけど、流石にストップ。カバンの中からレインコートの上着だけ取り出し、着た。
「あれ?バトンさんレインコートは?」
「持ってきてない・・・ははは」
この気温でやばいかも〜。

その後、強烈な雨と寒さの中、ダートを走り続け120km過ぎた辺りで、アスファルトが始まるって来ていたんだけど、、、全然始まらない。整備されている道路が横にあるんだけど、まだ工事中で入れない様になっている。うむむ。もう雨のダートは飽きた。というか手が冷たくなって行く。

アスファルト区間に入れたのはだいぶ後。今度はゆっくり座れるのが嬉しくなっていた。けど、僕のマシンはスクリーンが無く、立っていても座っていても思いっきり顔に雨水が当たる。ヘルメットとゴーグルの間のかすかの隙間の僕の肌を狙って?容赦なく雨水が当たって痛い。通常ラリーバイクなど、ライダーに風など当たらない様に上の方までスクリーン(カウル)があって快適だとか。僕のバハ仕様は男の仕様!素敵って言われた。褒められても嬉しくない。
 
『極寒と空腹のビバーク』

結局、雨が降り続く中、ビバーク(キャンプ地)に到着。そして到着した時には雨が止んでいた!

DSCN2263もう寒いので、早速、チームでレンタルしているゲルへ移動しようと思ったら・・・なんとゲルが足りないとかで、チームのゲルは無い。そしてライダーのゲルの振り分けも決まっていないとの事で、さてみんな困った。もう寒いから一時的にみんなで入ろうって事で、適当に荷物を持ってい移動。濡れた服、そして体は完全に冷えきっていて、外は風が吹いていて寒く、ゲルの中は風がしのげるので、幾分暖かい。他のライダー達もブルブルしている。



しかし、ここからが予想もしていない出来事が起きた!!

DSCN2262到着して数時間しても僕らの着替えや寝袋やマット、食器、靴などが入った必要最低限の荷物が届かない。

通常絶対必要な物を詰め込んだ10kgバッグという物をヘリコプターに載せ、それ以外のバイクのパーツやら生活用品などすぐに必要がない物20kgバッグはトラックに積んでいる。
つまり濡れた服を脱ぐにも着替えが無いし、濡れた靴を脱いでも履く物が無い。気温は一番寒い時で10℃前後と思われるので、このままだと凍えてしまう。
実は主催者も到着出来ない状況。天気が悪くヘリコプターが到達出来ない、そして道が悪くてトラックが到達出来ない。
4輪の人達は、自分たちで荷物を運べるし、雨にも濡れない。ライダー達は、10kgバッグが届かない事には、何も出来ないのだ。

バトンさんはギャグ無しで 低体温症な状況。来ている服がすべて濡れていたので、裸になって非常用のアルミブランケットを巻いて、地べたに座っていた。ブーツは脱ぐ方が足が冷えるので、濡れていても履いている方がマシだと、ゲル内にいた皆が履いていた。下に引くシートは人によっては携帯していて、僕も原さんから切って分けてもらった。人によってはコマ図の紙をすべて引っ張り出して、敷いて上で座っていた人もいた。
さすがに周りのライダーと比較してもバトンさんの寒がり方は異常だったので、メディカルスタッフを呼びに行ってくれた人がいて、見に来てくれました。
僕ら:「死んだらヤバいよ、なんとかしてあげて」
スタッフ:「これは良くないですね、寝袋用意します」って。
バトンさん、寝袋に入れてなんとか難を逃れた感じ。
超ぐっすり寝ているバトンさんがうらやましい。バトンさんほどではないと思うけど、僕も、みんなも寒いんですけどーーー。助けて!

体を温める方法が一つもない・・・

DSCN2266夕方7時には、ライダー・ドライバー達がだいぶキャンプ地に到着していたけど、夜の10時になっても夕食が出来上がらない。ライダー同士、空腹と不安が大きくなっていた。僕はダカールの時、ラリーの唯一の楽しみは食事だった覚えがあったので、キャンプ地に来て、ひもじい思いをするとは思わなかった。他のライダーはどうだったのだろうか。これはラリーの洗礼なのだろうかと自問自答。僕らは非常用に携帯している、非常食に手を出すしか無かった。みんなが限界を超え、笑いながら非常事態宣言発令。非常食を食べた。。。

夕食を待つ事数時間、最終的に食べれたのは夜中の12時すぎ。半端無く初日からキツい。
 

DSCN2269ペットボトルをナイフで切って、食器にするのは人生の中で始めてだ。フォークは他の人に借りた。人によってはそのペットボトルを切ってスプーン的な使い方をしている人もいた。4輪組の食器とかうらやましい〜。

この赤いスープ、トマトスープだったけど体が温まって最高でした。ご飯や焼きそばは、外気温ですぐに冷えてしまうので、もう一つの容器に全部混ぜて食べている人もいた。もう自分も含めみんなガツガツでした。

メカニック・のびさんに貰った軍手が暖かかった。

体の中が温まり、そそくさっと明日の為にゲルに戻り寝る。明日の情報は・・・未定。そりゃそうだ。まだ荷物は届かないどころか、主催者も到着していないのだから。明日の予定は通常なら朝8時からレーススタート。明日は時間がずれ込むのではないか?という噂話も出ていたけど不確定の場合は、基本時間通りに進むと思って行動した方がいいと教えられた。無いと思ってある方がキツいから・・・
 
 
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とにかく寝て待つしか無い。あるだけの装備を上からかけ、ブーツは履いたまま就寝。とてつもなく寒い・・・。



夜中の2時過ぎだったか、メカニックのび太さんが「荷物が来たぞーーー」って。
荷物を持ってきてくれた。

みんな速攻、着替えをして、シートやら寝袋やら引っ張り出し、「温かいー!!」って急にみんなの笑いが。普段ならなんでもない事の幸せを大きく感じながら、再度就寝。



gelけどまだラリーの洗礼が続く・・・

ピカッ!「ゴロゴロゴロゴロ、ドーーーン」「ザザザザザザ・・・」

辺りがまだ暗い朝方、今度はなんと雷と豪雨。もう音が近い近い。もう強烈で、ゲルの屋根を通り抜けて、ゲルの中にいるにもかかわらず、霧状の小雨が降っていました。しかも僕が寝ていた所に雨漏りが。意識モウロウとしながら必死に荷物を移してレインコートをかぶせました。本当、みんなパニックでゆっくり休むことが出来ません。(写真:雨で皆顔まで覆って寝ている。写真に4人は写っている)

 この時点で、今回の天候が60年振りの大雨なんて誰も知る由もないし、モンゴル・ラリー常連の人で、「これは普通ですよ。前、出た時なんてもっと酷かったですよ。荷物が届かないのはよくありますよ」って言うもんだから、これがモンゴルラリーの常識かと。

 けど僕から見ると、天気は、まあしょうがないとしても、主催者も帰って来ない、到着しても夕食が無い、最優先の荷物が届いていない、段取りめちゃめちゃ、やっぱ普通じゃない。しかも他の別のラリーに出ている人の話を聞いても、夕食、荷物が無いとかあり得ない、と。
 他の海外ラリーで普通の事でも、ここのラリーでは通用しないって事を、前もって情報を得て認識していれば、気分も変わったんだけどなぁ、って。

疲労のピークになるといろんな意見が飛び交った・・・
「こんなのが毎日続くなら、これならもう帰りたいなぁ。キャンプ地に帰って来ても、ライダーの安全が確保されないレースに出る為に、お金を出したわけじゃない!」
「青い空と緑の台地、地平線を見ながら走るモンゴルをイメージして来たんだけど、こんな雨で走るんだったら日本で十分。乾燥した中を走りたい!」
「初日でこの疲労だよ。この先7日間のラリー、走れる気がしない」
「昨日まで泊まっていた怪しいホテルの方が相当環境が良かった。お湯が恋しい」

こんないろんな怒りを越えて、呆れて疲れている状況で、本当に朝から走る事があるのだろうか・・・
そんな不安のまま、ゲルの中で小雨(霧状)が降るまま、とりあえず疲れ切った皆は再度爆睡。

そして、寝ている最中に耳に入ったのが、「明日の朝8時スタートは11時ずれました〜」との事。
良かったぁー(ホッ)

この後は気持ち良く朝まで就寝・・・ZZZZZzzzzzz

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