5月は少しノイローゼでした。

■集落の坊主の話
祖母の法事があり、帰省した。おなじみの適当な坊主が適当な経を唱えに来た。我が集落には寺がひとつしかなく、改宗しない限りこの男に頼まなくてはいけない。

「明日拝んでくれるんですよね」と事前に確認の電話を入れても姿を現さないことがよくある。来るか来ないか、その日になってみないとわからない。餌付けした狸よりうんと出没率が悪い。1時間待っても来ないので寺の呼び鈴を押したら灰色のスウェット姿の坊主が目をこすりながら出てきたとか、集落に1軒だけあるパチンコ屋に電話をかけたらすぐ身柄を確保できるとか、そんな話ばかりだ。どうしてこんな片田舎の、客のいないパチンコ屋が潰れないのだろうとずっと疑問に思っていたが、私たちのお布施で支えられている事実を大人になってから知った。集落の貨幣の流れは残酷だ。

この日の坊主は、いつになく咳き込みが激しかった。
「風邪なのかな」
そう母に訊いたら、よほど怒りが溜まっていたのか火炎放射のように吠えた。
「あいつは咳をして何行もいっぺんにお経を飛ばすのさ。最近そういうズルを覚えたんだよ。だからあいつのお経はやけに短いんだ。誰の足も痺れやしない。よその人にこんな恥ずかしいお経聞かせられないよ。地域の恥。仏教の恥。はよ死んでくれ」
最後のほうはインターネットの書き込みみたいだった。

私は当日の明け方まで原稿を書いていたので、かなり眠たく、腹の調子も悪かった。料理を残し、隣の部屋で横になっていると、親戚のおばさんの「おめでたじゃないのかね」という声が聞こえてきた。やめてほしい。5兆%ない。私は『夫のちんぽが入らない』という本を出したことをまだ家族に言えずにいる。


■食べ歩いた話
ネット大喜利の友達(みょくさん、アンシャン、ひつじさん、カーヴァーさん、ムナゲさん、恋愛バラエティー)とその地元の友達(中内さん、すもまん)という不思議な組み合わせで、すすきのの美味しい店を2日間食べ歩いた。ムナゲさんと中内さんは東京から来た。普通にふらっと来てしまう。狂っている。

古い人だともう10年以上の付き合いになる。人様の家に上がり込んで朝方に鮭チャーハンを作ってもらったり、手作りの面雀の札で遊んだり、病院までお見舞いに来てくれたり、去年は飲み会の最中アニサキスにやられたムナゲさんが救急車で運ばれたりとたくさんの思い出がある。私がネットや実生活で関わりのある多くは、そういうサイトに投稿していた人たち。友達のいない期間がとてつもなく長かったから、たまに遊んでもらうと小中高大をいっぺんに取り戻したような気持ちになる。

ちなみに「夫のちんぽ」というワードに初めて対面したのは、数年前みょくさんが私に向けて作ってくれた『チキンライス』の替え歌だ。「膣カンジダって何?って考える」に始まり、「夫のちんぽもってこい これが夫のちんぽか思ってたよりでかいな やっぱりあたし安いバイブでいいや」で終わる、最高に酷い歌詞だった。

当時、夫婦関係のことは誰にも話してなかったけれど、適当に作ったはずの歌詞に偶然にも真実が見え隠れしていた。多分そのフレーズが頭のどこかに残っていて、「夫」には「ちんぽ」、「夫のちんぽ」と当然のようにすんなり行き着いたのだと思う。みょくさんに著作権料を払わなければいけない。

不謹慎で良い人たちと美味しいものをたくさん食べた。また夏に会えると嬉しい。