2016年11月17日

鳥羽歳時記 十一月 「冬の海」

十一月も半ば、そろそろ寒さが本格的になってきました。

 

鳥羽、伊勢志摩の風物について、文筆家の千種清美先生のお話を元にご紹介する
「鳥羽歳時記」第八回目です。

 
 

「冬の海」

 
 

暦の上では、「立冬」を過ぎ、冬に入りました。

凩が吹き、寒さが増すこの時期ですが、鳥羽では比較的天候は安定し、穏やかな日が続いています。

この時期の、そのような日を「小春日」といいます。

先日、気温は約20度、風も凪ぎ、晴天がまぶしく海に反射していました。

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突堤(とってい)のあをぞら冬に入りにけり 中岡毅雄

海の音一日遠き小春かな  暁台

 

 

この時期、伊勢湾では、(ぼら)の大群が外洋へ出ていきます。

かつて、鳥羽市石鏡町の鍋釜落(なべかまおとし)には、(あら)()小屋(ごや)置かれ、魚群を見つけると魚見番が村へ知らせました。

鯔はオボコ、イナ、ボラ、トドと、成長するにつれ呼び名が変わる出世魚でもあります。

また、江戸時代には鳥羽藩の財源でもあり、当時の鳥羽城は、光に敏感な鯔が逃げないように、外側を黒、内側を白に塗っていたそうです。(そのため、二色城「錦城」といわれていたそうです。)

 

伊勢平野では、大根が旨みを増し、寒風にさらす、はさ掛け作業が間もなく行われます。

そして特産の、伊勢たくあんが作られます。

 

鯔の飛ぶ夕潮の真ッ平かな  河東碧梧桐

伊勢湾の風をまともに大根干し  宮田枝葉




 
伊勢神宮では、23日に新嘗祭が行われます。

収穫された新穀を神に奉り、その恵みに感謝し、国家安泰、国民の繁栄をお祈りします。

皇居では、天皇陛下がお育てになった新穀を天神地(てんしんちぎ)供え、「神人共食(しんじんきょうしょく)」の習わしのもと、御自らもお召し上がりになります。

「食」とは生きるための栄養と捉えがちですが、お供えしたものを皆で食す「直会(なおらい)」にもみられるように、共同飲食の重要性を、日本のお祭りは大事にしています。

 
 

 

凪いだ海と色づいた山々。

実りに感謝し、新穀をいただく新嘗祭。

この時期ならではの風物に触れてみてはいかがでしょうか。



 


 

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2016年10月18日

鳥羽歳時記 十月 「伊勢海老漁」

十月に入り、秋の気配が深まってきました。


 

鳥羽、伊勢志摩の風物について、文筆家の千種清美先生のお話を元にご紹介する
「鳥羽歳時記」第七回目です。

 

 

「伊勢海老漁」

 

 

秋分を過ぎ、昼より夜の時間が長くなってきました。

「夜長」という言葉通り、夏の短夜(みじかよ)の後だけに、夜の長さを感じます。

夜が一番長いのは冬至の頃ですが、「夜長」は俳句の季語としては秋に属します。


 

旧暦九月十三日(現在の十月十三日)は、「(のち)の月」といい、名月とされます。中秋の名月とは
異なり、月は高く小さく見えます。春の、朧なる月とは異なり、煌々とした、さやけき月を愛でる
季節です。

 

天候が安定し、空が澄み、凪いだ海は穏やかで爽やかです。

 
 

 

秋の潮真珠筏に波を消す  八木沢高原

霧しぐれ富士を見ぬ日ぞ面白き  松尾芭蕉

 




また、秋に対岸の伊良湖岬から伊勢湾を渡ってくるのが、サシバと呼ばれる鷹の仲間です。

この時期の風物詩として、詠まれています。
 

 

伊勢湾に鷹渡る日の近きかな  安藤星河

 

 



そして十月、海では伊勢海老漁が解禁となります。
鳥羽の離島周辺の解禁日は、水温の関係で三重県内の解禁より半月早く、漁港が活気にあふれます。
産卵期を過ぎた伊勢海老は身がしっかりとしてきて、まさにおいしい時期となります。
お造りをはじめ、旨煮、蒸し焼きなど、レストランではさまざまな調理法で伊勢海老をご堪能
いただけます。
シーホースクラブ秋表紙イメージ
































また、新米をはじめ、伊勢の特産品、蓮台寺柿、伊勢芋などが収穫されるのもこの時期。

鳥羽国際ホテルのメインダイニング シーホースでは、蓮台寺柿をソースに使ったオードヴルを
ご用意しています。

 

海の恵みと秋野菜のアレンジメント 蓮台寺柿のヴィネグレット(写真中央右)
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爽やかな酸味と蓮台寺柿の甘みが、魚介の味を引き立てます。

 
 

 

海山の実り豊かなこの季節。

深まる秋を味わってみてはいかがでしょうか。



 

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2016年09月22日

『中秋の名月を愉しむ夕べ』を開催しました

916日に、『中秋の名月を愉しむ夕べ』と題し、鳥羽国際ホテル・カフェラウンジにて観月会を行いました。

 

今回は、文筆家の千種清美先生と、ハープ奏者でソプラノ歌手の速海ちひろさんをお招きして、お月見に関するお話と生演奏を、お月見膳とともにお楽しみいただきました。

 
 

 

まずは千種先生による講義『日本人と月見』。

八百万の神々に月を名乗る、月読(つきよみの)(みこと)という神様がいらっしゃいます。万葉集巻十三には、

 

  (あま)(はし)も 長くもがも 高山も 高くもがも 月読の

  持てる()若水(ちみず) い取り来て 君に奉りて ()()()てかも

 


月読の神が持てる若返りの水。月が神様の力によって永遠の再生を繰り返すと信じられていたのでしょう・・・というお話に始まり、竹取物語、松尾芭蕉にみられる観月にまつわるお話をしていただきました。
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お話の途中、速海さんにハープの効果音を入れていただき、先生のお話の世界に皆様も引き込まれているご様子でした。

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続いて、和食料理長・大石清孝よりお料理のご説明をさせていただきました。

今回は「お月見膳」と銘打ち、菊菜、松茸、銀杏、萩真薯など、秋の食材を揃えました。

このイベントだけの特別メニューです。
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・牛肉の治部煮 野菜煮物

・鰆の利久焼き 満月玉子 銀杏丸十 イクラ 

・海老の黄金煮 蛸柔ら揚げ ギンナン はじかみ

・鱧の茸包み揚げ

・鯛の南蛮漬け

・松茸と菊菜の和え物

・にぎり寿司

 

鮮魚と貝の盛り合わせ

萩真薯の清汁仕立て

月見のデザート

 

お越しいただいた皆様からは、松茸の香りが良かった、味付けが上品で美味しかったというお褒めのお言葉をいただきました。

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そして、速海さんによる「お月見コンサート」では、「十五夜お月さん」、「荒城の月」をはじめとするお月さまにちなんだ曲をご披露いただきました。

美しい歌声とハープの音色、「月を愛でる」という趣きが相まって、一層風情が感じられたひとときでした。

 

 

肝心の月は、あいにくの曇り空で、観月会が始まっても月は見ることができていませんでした。

が、千種先生がお話をはじめると、雲が次第に切れ、ゆっくりと月が姿を現しました。

絶妙なタイミングに、皆様もお喜びでした。

その後はまた見えなくなっていたのですが、コンサート後、ふたたび千種先生にお話しを始めたところ、またしても月がゆっくりと現れました。あまりのタイミングの良さに会場は大変盛り上がり、写真を撮られる方も多数いらっしゃいました。
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普段見慣れた月もこうしたタイミングで見ることができると、格別なものだと、お月見の醍醐味を感じるようでした。

 

ご参加いただいた皆様、誠にありがとうございました。

そして、素敵なご講義をしていただいた千種先生、素晴らしい音色を聴かせていただいた速海さんに感謝申し上げます。
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