2016年09月22日

『中秋の名月を愉しむ夕べ』を開催しました

916日に、『中秋の名月を愉しむ夕べ』と題し、鳥羽国際ホテル・カフェラウンジにて観月会を行いました。

 

今回は、文筆家の千種清美先生と、ハープ奏者でソプラノ歌手の速海ちひろさんをお招きして、お月見に関するお話と生演奏を、お月見膳とともにお楽しみいただきました。

 
 

 

まずは千種先生による講義『日本人と月見』。

八百万の神々に月を名乗る、月読(つきよみの)(みこと)という神様がいらっしゃいます。万葉集巻十三には、

 

  (あま)(はし)も 長くもがも 高山も 高くもがも 月読の

  持てる()若水(ちみず) い取り来て 君に奉りて ()()()てかも

 


月読の神が持てる若返りの水。月が神様の力によって永遠の再生を繰り返すと信じられていたのでしょう・・・というお話に始まり、竹取物語、松尾芭蕉にみられる観月にまつわるお話をしていただきました。
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お話の途中、速海さんにハープの効果音を入れていただき、先生のお話の世界に皆様も引き込まれているご様子でした。

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続いて、和食料理長・大石清孝よりお料理のご説明をさせていただきました。

今回は「お月見膳」と銘打ち、菊菜、松茸、銀杏、萩真薯など、秋の食材を揃えました。

このイベントだけの特別メニューです。
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・牛肉の治部煮 野菜煮物

・鰆の利久焼き 満月玉子 銀杏丸十 イクラ 

・海老の黄金煮 蛸柔ら揚げ ギンナン はじかみ

・鱧の茸包み揚げ

・鯛の南蛮漬け

・松茸と菊菜の和え物

・にぎり寿司

 

鮮魚と貝の盛り合わせ

萩真薯の清汁仕立て

月見のデザート

 

お越しいただいた皆様からは、松茸の香りが良かった、味付けが上品で美味しかったというお褒めのお言葉をいただきました。

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そして、速海さんによる「お月見コンサート」では、「十五夜お月さん」、「荒城の月」をはじめとするお月さまにちなんだ曲をご披露いただきました。

美しい歌声とハープの音色、「月を愛でる」という趣きが相まって、一層風情が感じられたひとときでした。

 

 

肝心の月は、あいにくの曇り空で、観月会が始まっても月は見ることができていませんでした。

が、千種先生がお話をはじめると、雲が次第に切れ、ゆっくりと月が姿を現しました。

絶妙なタイミングに、皆様もお喜びでした。

その後はまた見えなくなっていたのですが、コンサート後、ふたたび千種先生にお話しを始めたところ、またしても月がゆっくりと現れました。あまりのタイミングの良さに会場は大変盛り上がり、写真を撮られる方も多数いらっしゃいました。
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普段見慣れた月もこうしたタイミングで見ることができると、格別なものだと、お月見の醍醐味を感じるようでした。

 

ご参加いただいた皆様、誠にありがとうございました。

そして、素敵なご講義をしていただいた千種先生、素晴らしい音色を聴かせていただいた速海さんに感謝申し上げます。
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2016年09月22日

鳥羽歳時記 九月 「月見」

日中にも涼しさを感じる季節になってきました。本格的な秋の到来ももう間近です。


 

鳥羽、伊勢志摩の風物について、文筆家の千種清美先生のお話を元にご紹介する
「鳥羽歳時記」第六回目です。

 


「月見」
 

 

九月、台風が日本に近づく時期です。

上旬は、大気が冷え露を結ぶ、「白露」。半ば過ぎには「秋分」を迎えます。

鳥羽歳時記四月でご紹介した、生命力に満ちた「春潮」とは異なり、
「秋潮」は静まった浜でしみじみとした気持ちになります。

 

また、「爽やか」という言葉は、実は秋の季語です。

大気が澄み、万物が晴れやかにすっきりと見え、心身がさっぱりするこの時期ならではの表現です。

 

 秋潮の強き面のはるかなり  飯田 龍太

 爽やかや風のことばを波が継ぎ  鷹羽 狩行

 

 

そしてお月見。俳句では「月」といえば秋の月を指します。

旧暦815日の月は、一年でもっとも澄んで美しい「名月」とされています。
今年は、
915日でした。



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(写真は昨年927日のものです。)

月見団子や新芋など、その年の初物を供え実りに感謝する「お月見」の風習は、江戸時代から
庶民に広がったといわれています。

中秋の名月は「芋名月」ともいわれ、稲作が伝わる前の主食であった里芋の収穫期にこの時期が
あたることが由来です。すすきは稲穂に見立てたものであり、月見は農耕儀礼の風習でもありました。

 

 名月や池をめぐりて夜もすがら  松尾 芭蕉

 十六夜(いざよい)といふ名を持ちて月昇る  星野 立子



そして、伊勢神宮では秋の神事が行われます。

稲刈りの時期に神宮神田の稲穂を抜き取り、束ね、麻の紐で結んで初穂を神に供える、抜穂祭。

十五夜の夜に、外宮まがたま池で催される観月会。

秋分の日前後に神楽祭が開催されます。

 

 

 

 

月を愛で、秋の稔りに感謝し、初物を神様にお供えする習わしが、現代にも続いています。



 

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