この小説『恋愛栽培 ―A Perfect Sky―』は、元々アメブロで初めて書いた連載小説をいくつかのブログに何度か転載・加筆修正したものです。この話は、私が以前見た夢が元になっています。
 この話は、どことなく姫野カオルコ氏の小説『受難』を連想させるシチュエーションですが、おそらく無意識下で影響を受けたのでしょう。ちなみに、当小説に性的マイノリティの登場人物が何人かいるのは、森奈津子氏の小説『耽美なわしら』の影響です。そして、登場人物の何人かの苗字は、私が育った北海道石狩市(一部、札幌市)の地名に由来します。こちらは榎本俊二氏の漫画『えの素』の登場人物の何人か(菖蒲沢、打戻、葛原の「三女傑」)の苗字が、榎本さんの出身地である神奈川県藤沢市の地名に由来する設定からヒントを得ました。

 ちなみに秀虎が戦死した合戦は、どうやら「河越夜戦」のようです。私が見た夢並びに小説の描写に一番近いのは、おそらくこれです。もし私が小田原北条氏やその周辺についての資料を入手したら、当小説の前日談を書くかもしれませんが、おそらくその辺で、秀虎と果心と北条氏康公の出会いが描かれるでしょう。

(余談ですが、鎌倉北条氏と戦国北条氏は、それぞれ別の意味で斉の田氏一族に似ているような気がします)

 今練っている小説のアイディアはいくつかありますが、まずは資料を集めて時代考証をする必要があります。これでますます趣味のドールカスタマイズをする余裕がなくなってしまいますが、そもそも私のオリジナルキャラクタードールは、小説の挿し絵並びにデザイン画みたいなものです。ちなみに私自身も加奈子と同じく漫画家志望でした。

  花川 はなかわ (蓮華院) (れんげいん) 加奈子 かなこ …愛称は加奈。作家志望の平凡な女性。後にプロデビューする。

  蓮華院秀虎 れんげいん ひでとら …蘇った戦国武将。愛称はヒデさん。加奈子の夫となる。書店員。実は「最後の斉王」 田横 でん おう の遠い子孫(田横の息子が 徐福 じょ ふく に連れられて日本に渡った)。

  蓮華院虎之介 れんげいん とらのすけ …加奈子と秀虎の長男。

  蓮華院奈々 れんげいん なな …加奈子と秀虎の長女。

  蓮華院ジョン太郎 れんげいん じょんたろう …蓮華院家の愛犬。白いオスの雑種犬。名前の由来は秀虎の戦国時代での通称「 舜太郎 しゅんたろう 」。

  蓮華院トム次郎 れんげいん とむじろう …蓮華院家の愛猫。黒いオスの雑種猫。名前は兄貴分ジョン太郎に合わせて付けられた。

  花川倫 はなかわ りん …加奈子の従弟。

  花川美佐子 はなかわ みさこ …倫の母。加奈子の叔母。歯科医。ホラー映画が大の苦手。当人曰く「ホラーは性悪説に基づいているから嫌い」。

  桐野小百合 きりの さゆり …倫の恋人、後に妻。愛称はサユ。ケータイ小説を書いている。

  不動涼子 ふどう りょうこ …加奈子の幼なじみで親友。愛称は涼ちゃん。長身のクールビューティ。

  厚田恭介 あつた きょうすけ …涼子の婚約者。愛称は恭さん。

  樽川若菜 たるかわ わかな …加奈子の幼なじみで親友。愛称はワカ。ロリータファッションブランドの店員。レズビアン。

  樽川るい子 たるかわ るいこ …大物作家。バイセクシュアルの未婚の母。若菜の母。

  志美順子 しび じゅんこ …加奈子の高校時代の担任教師。るい子の親友。

  茨戸 ばらと さやか…漫画家。若菜の恋人。レズビアン。愛称はバラちゃん。

  親船正章 おやふね まさあき …美容師。いわゆるオネエ系のゲイ男性。さやかや果心の飲み仲間。愛称はマーちゃん。

  呂尚 りょ しょう …謎の老紳士。太公望。字は 子牙 しが 。「人類の進化を司る神々」の一人。春秋時代の斉公室の始祖だが、子孫たちを見捨てて、田氏一族に国を奪わせた。

 ブライトムーン(ブライティ)…呂尚の弟子。アガルタの精霊。本名はブリジット・スミス。

  果心居士 かしんこじ 淮陰 わいいん 韓信 かん しん の息子。本名は 韓毅 かん き (もしくは 井桁毅 いげた つよし )。普段はスタジオミュージシャンの仕事をしている仙人(?)。アガルタの精霊の一人で、呂尚のチームの一員。

  松永緋奈 まつなが ひな …果心の恋人。アガルタの精霊。蓮華院家のベビーシッター(後に家庭教師)。可憐かつ蠱惑的な美女。

  浜凛華 はま りんか …加奈子を憎んでいた女。留置所で自殺を図り、悪霊になって加奈子を呪い殺そうとしたが、秀虎に成敗される。

  浜凛子 はま りんこ …凛華の母。孫娘への虐待で、同居人の男と共に逮捕される。

  浜凛蘭 はま りんらん …凛華の娘。凛子の孫娘。養護施設に保護される。

  花川真一 はなかわ しんいち …加奈子の伯父。元雑誌編集者。余市の脱サラリンゴ農家。

 マティアス・ 博之 ひろゆき ・ホフマン…加奈子の母方の従兄。ドイツ在住の日独ハーフ。翻訳家。愛称はマッツ、マッさん、マッちゃん。寒いのが大嫌いで、冬はイタリアに逃げている。

  紅葉山健 もみじやま けん …紅葉山不動産の社長。ハゲたら潔く坊主頭にした人。

  紅葉山佳代 もみじやま かよ …健の妻。紅葉山不動産の副社長。

  伍子胥 ご ししょ いみな うん 。春秋時代のダークヒーロー。祟り神であり続ける必然性がなくなったのに気づいて、呂尚の仲間になった。アルマーニのスーツを愛用するダンディ。

  孫武 そん ぶ …字は 長卿 ちょうけい 。子胥のマブダチ。甘党。とても「兵法の神様」とは思えないオトボケキャラ。

百合の女王
「いい天気だ。安産日和だな」
「早く赤ちゃん見たいなぁ~」
 呂尚はブライトムーンと一緒に、産婦人科のロビーにいた。もうすぐ、秀虎と加奈子の息子が生まれるのだ。
 秀虎は、分娩室で加奈子の出産に立ち会っている。これは、かつての秀虎の時代では考えられなかった事だ。倫と小百合は、分娩室の前のベンチで待っている。
「呂先生、まだですか?」
 果心が来た。英国の有名パンクロックバンドのTシャツに、黒のジーンズという姿だ。
 普段の彼は、スタジオミュージシャンの仕事をしている。そして、ギターケースにしまっているギターも単なる楽器ではなく、何らかの魔力を秘めたものである。
「赤ん坊の魔除けはどうしましょうかね?」
「とりあえず、産着だな。すでに用意している」
《…オギャー! オギャー! オギャー! オギャー!…》
 産まれた!
「やったー!」
 加奈子と息子・虎之介の病室には、秀虎、倫、小百合、果心、ブライトムーン、そして呂尚がいた。
「おめでとう!」
「みんな、ありがとう」

 呂尚は、果心とブライトムーンを連れて、病院の屋上に出た。
「秀虎は泣いて喜んでいた。何百年ぶりの嬉し泣きか」
「それより先に、加奈子と…」
「何だって?」
「…いや、何でもありません」
 アスタルテの百合は、まだ咲いている。花が芳香と共に発する女神の霊力は、蓮華院家だけでなく、この街全体を護っている。花が咲き終わっても、球根は護符の役割を保つ。
 加奈子が入院中、涼子や若菜やさやかが来た。紅葉山夫妻も来た。そして、加奈子がエッセイの連載を休んでいる雑誌の担当編集者らも来た。
 数日後、母子は退院した。二人とも、いたって健康だ。

 加奈子は、それまでの人生を振り返る。
「学校でいじめられていた頃には、こんな幸せなんて考えられなかった」
 何しろ、義務教育時代の彼女が漫画家志望だったのは、男子クラスメイトにいじめられて男性不信になっていたからである。つまりは、生涯独身でいる覚悟があったから、手に職をつけようと思ったのだ。しかし、今は、誰よりも信頼出来る人がそばにいる。
 小さな球根が芽を出し、みるみる成長して大輪の花々を咲かす。花々は優美な芳香を放ち、南風が香りを運ぶ。
 二人は手をつなぎ、雲一つない「完璧な空」を見上げる。希望の糸を導く光と風、女神の祝福は天に昇る。
 赤ん坊は幸せいっぱいの寝顔で眠っている。生まれたばかりの子供にとって、世界は実に大きく豊かだ。
「ありがとう、ヒデさん。あなたに会えて本当に良かった」
「わしもだ、加奈。お前には本当に感謝している」
 秀虎と加奈子は、抱き合って口づけをした。

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