冨永ですよー。

ゆうべは劇作家、演出家の宮沢章夫さんと『転落人生』出演の笠木泉さんと僕の3人で、物語とその舞台として選ばれる「土地」の代替可能性/不可能性について(?)お話させていただきました。この問題は5年前に遡ります。笠木さんも出演した遊園地再生事業団公演『トーキョー/不在/ハムレット』の一環であるオムニバス映画『be found dead』に、僕が第4話の監督としてお誘いを受けたことにはじまり、そのさい考えたことがのちの『シャーリー・テンプル・ジャポンpart1&2』に大きく影響したと思っております。ありがとうございました。

17日は批評家の切通理作さんと僕と佐藤くんで、映画の登場人物はおおむね「痴漢」か「痴女」なのである、という仮説を実証してゆくことを試みました。まあ、痴漢とか痴女とまで言ってしまっては穏やかではありませんが、そういう欲望のスピード感をかつての撮影所時代の映画は持っていたわけで(2本立てを前提にジャンル映画が量産されていた時代)、撮影所の崩壊以降の現代映画はスピード感を喪失し、欲望それ自体よりも、むしろそれらを取り巻く状況と風景をとらえることに拘泥しすぎなのではないかと。僕らのシャーリーはごく小規模のインディペンデント映画ですし、作者である僕らは撮影所を当然まったく知らない世代ですけども、「2本立て」というシステムを借りることによって欲望のスピードアップを図ろうとしたことを、この日はお話したつもりです。。。つもりなんですけども。ね。ありがとうございました。

15日は桃まつりチームの4名の女性監督との座談会でした。ま、痴漢/痴女問題についてはこのとき浮上したんですけどもね。映画という2時間そこらの時間制限のなかで、男たち、女たちのあらゆる欲望が噴出して転がり回ってどうにかなってしまうというのは、それがたとえ数十年を語る年代記であろうと、社会という現実の空気を吸って生きてる僕らの目には、途轍もないスピードを感じるものです。それが映画だとすれば、それらの主人公というのはいかにも欲望に忠実で、凄まじい行動のエネルギーを有し、得体の知れない物語の枠の隅々にぶつかりつつ、そして2時間後にはキッチリすべての決着をつけてしまうわけですから、もう、痴漢と痴女以外の何者でもないじゃないですか(笑)。そういうことを、痴漢と痴女であるところの『シャーリー』の登場人物たち(とくにシャーリー)を検証することで、意見を交わしたつもりです。。。ですけども。。ありがとうございました。

とまあ、回を重ねるごとにようやくこの映画に描こうとしたテーマが形をともなってきたように思ってます。いずれも上映期間中の「イベント」として組まれたものではありますけども、何より僕と佐藤くんにとって大変ためになるお話を聞くことができて、本当にありがたいです。同時にご来場のお客さんたちが興味深く聞いてくださったならば、これ以上嬉しいことはありません。そういう機会がまだ何回か続きますので、重ね重ね、今後のイベントスケジュールを挙げておきます。多くのご来場をお待ちしております。

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4/21(火)監督、出演者による舞台挨拶
冨永、佐藤、福津屋兼蔵、杉山彦々、笠木泉、瀬戸夏実、宮田亜紀、小田豊、守屋文雄、戸田昌宏

4/23(木)トークショー
佐藤、濱口竜介(『PASSION』監督)

4/24(金)トークショー
冨永、佐藤、杉山彦々(出演者)、菊地成孔(ミュージシャン)
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21日の舞台挨拶では、各出演者のみんなに、撮影までに各人が考えた役柄同士の関係性(どの痴女が誰を痴漢にしたか、とか)を簡単に伺いたいと思います。そういうことは、僕も佐藤くんも当然はじめて聞くことなので楽しみです。お客さんにとっても、映画をご覧になった直後に細部を反芻して楽しんでいただけるのではないかと思ってます。

23日は佐藤くんと、ご友人の濱口監督がお互いの映画作法について『好色人生』を素材として語り合ってくれるそうです。ここで少し語り合ってますけども。僕は登壇しませんが、いや、話が「痴」に関するところに行き着けば、場合によっては上がるかもしれませんが、ともかく舞台袖で僕もじっくり聞いてみたいと思ってます。

24日は菊地成孔さんをお招きします。宮沢さんと同じく、菊地さんは僕が大変懇意にしていただいてる大先輩です。なおかつ菊地さんは僕の本編デビュー作『パビリオン山椒魚』(06)、本年10月公開の新作『パンドラの匣』(09)では音楽監督としてお世話になったり、いっぽう僕は菊地さんのバンド(ペペ・トルメント・アスカラール、ダブセクステット、旧クィンテット・ライブ・ダブ)のライブステージのプロモーション映像、Music on! TVでのDCPRGとダブセクステットの生中継、および名曲『京マチ子の夜』の特典PVのディレクターとして、何かとお手伝いをさせていただいてる関係もあって、僭越ながら近年もっとも影響を受けた恩師だと思ってます。僕は去年まで11年ほどジャズ喫茶で働いてたので敢えて「ジャズに呪われた映画監督」を自称しますけども、それすら「映画に呪われたジャズメン」と言って憚らない菊地さんの受け売りですからね。

この日は、これまで幾度にも渡って繰り広げられた「痴」問題に決着をつけたいと思っております。映画とジャズは同い年で、かつ同じ時代に同じ季節を迎えてきたことはよく知られてますし、ゴダールとオーネット・コールマンが同い年だというのはまさに象徴的ですけども、僕と菊地さんがひと回りちがいの卯年生まれで、南方熊楠の『十二支考』で「卯」がもっとも痴漢/痴女の資質を持つ(?)と紹介されている以上、もう、大変ながんばりどころなんですよ。菊地さん、宜しくお願いします。なお佐藤くんと杉山くんは、先日菊地さんのサイトで紹介されたペペ・トルメント・アスカラール@歌舞伎町クラブハイツのライブ映像の制作チームでもあります。俳優である杉山くんになぜかサブカメラを持たせ、佐藤くんに編集を頼んだというわけです。

ではでは!多くのご来場をお待ちしております!
池袋シネマ・ロサにて、20時30分〜、今月24日(金)までの上映です!