「誰でもグングン卓球が上達する!」

などと、よくブラウザの隅に広告が表示されるのを見かけるのだが、ああいう広告には一切手を出さないようにしている。「誰でも」というのも怪しいし、「グングン」というのはもっと怪しい。何年も卓球に熱心に取り組んでいる私のような下手っぴが一向に上達しないのに、そんなうまい話などあるわけないと思うのだ。

「1ヶ月でみるみる痩せる!」

とか

「寝室に響きわたるオットセイの雄叫び」

などという広告と同断で、広告の説明文を読む前から「絶対だまされるまい」と身構えてしまう(別に私は肥満や精力減退に悩んでいるわけではない)

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 下山隆敬選手や松平賢二選手も飲んでいるのだろうか。

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効き目があるかどうかはともかく、思わず見入ってしまう…

「若いころはドライブなんて軽々と入ったし、力がみなぎっていた。ミスを恐れるなんて考えられなかった。しかし今の私ときたら…。もう一度あの頃の自信を取り戻したい!」(上の広告に影響され過ぎか)

こんな嘆きを解決する方法を見つけたのだ。それは私のブラウザの隅にしょっちゅう表示されていたバナー広告で紹介されているDVD「試合に勝つための”必須”スキル」にあった。

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講師の藤井貴文氏というのは、「シェークハンズ」内のブログで名前だけは知っていたが、「卓球三昧」という卓球教室の代表をつとめている、有名な指導者だという(先日、高田馬場に行った時に訪れてみればよかった…)。のみならず、全日本選手権シングルスベスト32という輝かしい戦績も残している。

藤井氏はフォアドライブを安定して入れるには以下の4つの条件があると主張する。

打球点
ラケットの角度
ラケットの振る方向
スイングスピード

下の図を見れば、一目瞭然である。何も説明はいらない。

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“打点が下がるほど、スイングスピードは遅くなります”

指導はできるだけシンプルなのがいい。ドライブの打ち方をこんなにシンプルに美しく法則化してくれると、安定性を高めるのに大いに役立つだろう。

おそらく私はCあたりの打球点と角度でドライブをかけることが多いと思う。ここでは約70%ほどのスイングスピードが要求されるが、私はときには50%、ときには90%のスイングスピードと、バラバラのスイングスピードで打ってしまったために不安定になったわけなのだ。もしCの打点でとっさに70%のスイングスピードで打てず――スイングにスピードが乗らず、ネットミスをしたのなら、次に同じような場面に遭った場合は、打点を遅らせるとともに、ブレードの角度を開けば――無理にCで打たず、BやAの打点と角度まで待って打てばスイングが間に合い安定するというわけだ。私の場合、このようなミスをフィードバックする際に、ネットにかかったのは、スイングスピードが足りなかったせいだと、むやみに力を入れて振り切ろうとすると同時に打球点も早めてしまったり、ブレードの角度も支離滅裂にいろいろいじくりまわしてしまうために安定感がなかったのだと思われる。

しかし、このようにストロークを4つの要素に分析し、それらのバランスが取れるよう一定の法則に従って自分の打法を調整していけば、ドライブの安定性は飛躍的に高まると思われる。

これまでバナー広告の商品は信用できないと敬遠していたけれど、これはちょっと観てみたくなる。

しかし、「試合に勝つための”必須”スキル」は3枚のDVDで構成されており、税・送料込で約15000円…。1枚約5000円…。
これは藤井氏の1時間の個人指導の料金5000円に基づいての価格設定なのだという。たしかに個人指導を何度か受けたと思えば15000円はそれほど高くない。

しかし、15000円あれば…

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インナーフォースZLC

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水谷隼

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ローズウッドNCT-V

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エバンホルツNCT-VII

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インテンシティカーボン

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アコースティック・カーボン

高級ラケット、よりどりみどりである。

「DVDなんて1枚の原価はわずか数10円なんだから、15000円なんて、暴利を貪りすぎだろう」という批判は当たらない。村上春樹氏の小説のように世界的に広い層に売れる商品なら、1冊1500円でも作者のふところにかなりの印税が入るだろうが、卓球DVDという限られた層をターゲットした商品では、利益は知れている。藤井氏には印税のようなものはほとんど支払われないと思われる。それどころか逆に藤井氏の方でいくらか支払ってDVDを出してもらった可能性さえ考えられる(あるいは作者に100セット=150万円分買わせて、教室でさばかせるとか)。つまり赤字である。卓球のメソッドは、指導者にとって商売道具であり、飲食店で言えば、秘伝のレシピである。1枚5000円のDVDで、その「秘伝のレシピ」を教えてもらえるのなら、決して高い買い物ではない。われわれは藤井氏の長年の経験と研鑽に敬意を表すべきだ。

…とはいうものの、指導者ではない私にとって1枚5000円はなかなか手が出ない。15000円の高級ラケットを所有し、触れて、打てて、眺められるという誘惑にも抗いがたい…。

とりあえず毎月2000円ずつ貯金してみようかな。

【追記】140511
「オルニチン」の新しい広告を見つけたので、貼っておく。
この広告のファンになってしまった。

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