政権変更にもかかわらず、今国会で成立を目指す郵政改革法案だが、よく考えてみると欺瞞があることに気づく。改革の目玉は、承知の通り、現在の預金限度額1000万円を2000万円まで引き上げることだ。政府は、限度額を引き上げてもペイオフは従来どおり1000万円までなので、民業圧迫にはならないと抗弁しているが、郵貯が実質的に国営会社である以上、暗黙の保証がついてくる。庶民は、銀行に預けていた預金のうち、1000万円を越える部分、つまりペイオフの対象とならない部分を郵貯へシフトするに相違ない。銀行がこぞって反対している所以である。では、何のために2000万円まで引き上げるのか。原口大臣はユニバーサル・サービスを維持するには郵貯は儲けなければならない。民間から集金して預金資産を増やし、これを運用して益を出そうと言うわけだ。金融のノウハウのない郵貯が国債以外に資金運用できるのかどうかは甚だ疑問だが、この問題は今論じないこととして、ユニバーサル・サービスの問題を取り上げる。ユニバーサル・サービスとは全国一律のサービス提供で、どんな過疎地にも郵便局を置いて、郵便と貯金のサービスが利用できるようにすることだが、この二つのサービスだけで、過疎地の人々が暮らしていけるのだろうか。限界集落など過疎地の住民は殆ど高齢者である。テレビでもよく放映しているが、お金があっても、バスなどの輸送手段がないので買い物に行けないのである。高齢者は運転免許を所持している人は少なく、所持してたとしても高齢者の運転は危険だ。お金があっても、食料が買えないのなら生活できない。さらに、病気にでもなったら、近くに病院は無いし悲惨なことになる。政府はこういうところには金をつけず、見て見ぬふりしているので、町のスーパーがトラックに食品や必需品を積んで出張サービスを行ったり、スーパーまでの送り迎えを代行している。これみんな民間の自助努力で、政府はなにもしてない。こういうところを解決しないで、郵便と貯金のサービスが利用できても意味が無い。だからと言って、しろちゃんは過疎地の高齢者の生活を国が税金を使って何とかしろと言っているのではない。しろちゃんの言いたいのは、ユニバーサル・サービスは必要条件であるかもしれないが十分条件ではないということだ。政府、特に亀井大臣は、法案を通すため、金科玉条のようにこのユニバーサル・サービスを持ち出すが、これが欺瞞であることは以上の通りです。