昨日、テレビ朝日で「ザ・スクープスペシャル」で「消えた東京ローズを追え! 〜戦後65年目の真実〜」という番組を放映していたが、これが実におもしろかった。東京ローズについては、太平洋戦争中、日本がアメリカ軍に向けて行っていたプロパガンダ放送に起用された女性アナウンサーで、終戦後、米国で国家反逆罪で逮捕、収監されたぐらいの知識しかなかったが、この番組を観ていろいろなことを知った。
先ず、東京ローズは逮捕された一人かと思っていたら複数居たということ。これをどうやって確認したかというのが、この番組の一つの柱。取材班は、アメリカ国立公文書館で「東京ローズ」の声を記録した録音盤が残っていることを発見、このコピーを日本に持ち帰り、日本音響研究所に声紋の分析を委嘱した。その結果、逮捕されたアイバト戸栗さん以外に5人の異なる声紋の声が録音されていることがわかった。この音声録音は妨害電波のためほとんど聞き取れないくらい雑音が入っていたが、同研究所は雑音を綺麗に除去している。圧巻は、元ラジオ東京(NHK海外局)の同僚が彼女こそが「東京ローズ」だと思っていたジューン須山さんの写真をこの研究所に持ち込み5人の声紋のうち、どの声紋が須山さんのものか解析させるところだ。須山さんの写真から頭蓋骨のスケルトンを算定、口腔の大きさから声紋を解析するのだが、研究所が特定した音声と元同僚が6人の音声を聞き、彼女のものと特定した音声がピッタリ一致。日本の声紋分析のレベルが高いことは聞いていたが、これ程とは思わなかった。
もう一つの柱は、東京ローズの逮捕、収監がトルーマン大統領の陰謀だったと言う点。大統領選を控え、人気がいまいちだったトルーマンが盟友トム・C・クラーク司法長官に命じて、東京ローズを逮捕し、国家反逆罪で有罪にするよう工作した。そうすることによって、国民に強いアメリカを示し、人気の挽回を計ろうと考えた。東京ローズは戦後、日本でGHQに同罪で逮捕されているが、証拠不十分で釈放されている。これを、再度米国で逮捕、起訴しようというわけだから、尋常な手段ではいかない。検察は、元ラジオ東京の上司二人を脅し或いは買収して、東京ローズが宣伝放送に積極的に関わっていたと証言させた。反逆罪は、自らの意思で反逆行為に関わってなければ、罪は問えない。東京ローズは弁護士の自らの意思で関わったのかという反対尋問に対し、"Never"と否定したが、元上司の証言が決めてとなり、陪審員全員が有罪と判断した。さて、この大統領陰謀説の真偽だが、放送の中で、検察が司法長官に起訴、不起訴の判断を求める書簡に何が何でも起訴しろとコメントをつけていることやウォーターゲート事件、イラクの大量破壊兵器の件などを考えると極めてありそうな気がする。
追記:東京ローズがなぜ米国で逮捕、起訴されたかは、彼女が米国籍だったからだ。日本滞在中、特高から日本籍に変えるように執拗に迫られたが、拒否続けた。残りの5人は元々日本籍或いは日本籍に変更している。