久しぶりのブログである。毎年、夏休みは多く
の方が内観に来て下さり多忙になる。今年も
例外ではなく、多くの方に来ていただいた。あ
りがたいことである。ただ、年々私ども夫婦の
体力が低下して、だんだんお断りする数が増
えてきたのは申し訳ないことである。


現在では内観研修所の数も増えてきて、お
断りしても他の研修所で内観を体験できるの
で、それほど迷惑をかけていないだろう、と自
分自身に言い訳をしながら我が身の不徳を
慰めているが、吉本先生や長島先生のことを
想うと情けない限りである。お二人は我が身
を顧みず、内観に命をかけて生涯を終えら
れた。それに比べると、自分の命を優先して
いる私は、本当に情けない。


そうは言っても、内観研修所を開設するに当
たってご忠告くださった吉本先生の奥様・キヌ
子夫人の「決して、無理はなさらないように・・」
というお言葉に甘えて今年の夏も無事に乗り
切れたことは、私ども夫婦にとって本当にあり
がたいということも事実である。


年々暑くなる日本の夏であるが、それに加え
て今年はオリンピックや領土問題などがあり、
よけい日本列島は暑くなったような印象だっ
た。まだ、昨年の東日本大震災後の懸案が
全然解決していない日本国なのに、時間は
一瞬も待ってくれない。まさにこの世は無常
で、これからも次々に起きる事柄と過去の清
算との間でめまぐるしく世の中は動いていく
だろう。


そんな中、時間を止めて世間から離れて自
分自身を見つめる内観は、この慌ただしさ
に巻き込まれ、自分を見失いがちになる私
たちにとっては、自分の原点を取り戻す豊
かなアイテムに違いない。現実に対応して
いくことと自分らしさを確認すること、この二
つはこれからの厳しい社会を生き抜くため
には必須条件になるだろう。内観にはこの
二つのバランスを保つヒントが溢れている。


韓国では精神疾患の検診が実施されること
になったようだ。これは、18歳以上の14，4％
が精神疾患にかかったことがあるという調査
と自殺率がこの10年間で2，4倍になり、
OECD加盟国（34カ国）の中でワーストにな
ったことに対する対策として早期治療を目指
すためだそうである。

これは他国の話ではなく、日本の現状も似た
り寄ったりで、韓国に抜かれるまでは日本が
１位だったわけで、今でも毎年3万人を超える
自殺者が出ている。中国でも自殺者は毎年
30万人ぐらいだそうで、事情は同じようなも
のである。

資本主義、社会主義に拘わらず、今の国際
競争は厳しい格差を生み、世界は日に日に
厳しい社会になりつつある。内観が韓国や中
国に拡がっている背景には、そういう厳しい
現実があるのである。


ところで、この夏にスコット・マッケンジーが
73歳で亡くなった。また懐かしい人がいなくな
った。私が高校生の頃はママス&パパスの
「夢のカリフォルニア」や「花のサンフランスシ
スコ」がヒットしたせいで、アメリカと言えばカリ
フォルニア州のサンフランシスコやロサンゼル
スがある西海岸をイメージしたものである。今
回はスコットを偲び、久しぶりに「花のサンフ
ランシスコ」を聴くことにした。