意味の無い宝物

 戦争はいけないことって分かっているし、実際に失くそうとはしているけれど完全になくなることはなくて、それは何故かと言えば戦争は「自分達の利益」を得るためにするからなんですよね。  
 誰だって幸せになりたいし、そのために苦労するのが自分でなければなお良し。
 とか言う大人ばっかりだから争いは消えないんだろうなぁと思うと憂鬱になりますね。
 みたいな感じで今回は斉藤すず先生の「バレットコード:ファイアウォール」の感想です。

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 あらすじ
 『プロジェクト・ファイアウォール』。それは戦争の悲劇を防ぐため、青少年に課されることになった『VRによる戦争体験学習』。単なる「ごっこ遊び」の域を出なかったはずのその訓練は、ある日唐突に混沌のプログラムと化した。
 人ですらない「謎の敵」の襲撃、そして迫り来る「現実での死」の危機……。巻き込まれた少年・古橋優馬は、世界4位の成績を持つ兵士で、『フロストバイター』もとい『シルフィ』異名を持つ少女・雨宮千歳に助けられるが……?
 公式サイトより参考

 感想
 面白かったです。
 VRモノ×戦争かと思いきや本当は命をかけた戦争だった、という物語。実際はVRでは有るんですけれど正体不明のバグによりVR空間内の死=現実の死ということで物語の中に漂っていた空気はかなりひりついていたように思えます。  
 現実の戦争では有り得ないような怪物が相手で有るのにクオリティが高すぎるVR技術によって現実の戦争そのもののような恐怖は文章を読むのが恐くなるほどでした。
   
 私は特に銃器に詳しいわけではないので作中に出て来る武器もなんかすごいんだな~で流せましたし、それで展開されるアクションは嫌いでは有りませんでした。特に強いというか堅く大きい相手を戦場にあるギミックを上手く活用してハメ殺すっていうバトル展開はモンハン世代の私にとって割と好きなので見ててワクワクしました。まあモンハンのそれとは少し違いますが

 とそれはさておき、この作品での一番の見所はシルフィ=千歳と優馬のラブコメだったのかな?と思います。  
 本当は優しくて怖がりなのに命がけの戦場で仲間を出来るだけ多く生かすために非情になるしかなかった千歳とどんな状況でも覆してくれる、と噂され実際に奇跡を起こしてみせた優馬はどっちもすごい魅力的なキャラでお互いに好きになるのも分かるなぁという気持ちで微笑ましく見れました。
 実際に強いって言うのはこんなバグってる状況だからこその説得力が有るような気がします。
 好きな人のために命を張れる人間っていうのはやっぱりカッコイイじゃないですか。だから皆が必死に生きている姿は眩しく見えました。

 個人的にびっくりだったのは「え、電撃文庫ってそこまでかけるんだ」みたいな描写も有ったことですね。最近は読んでないって言うのも有ったんですけどそこまでOKだったっけ?みたいな感じの——無粋な言い方ですけどCまで未遂とは言え行きかけてたのは地味に笑いました。
 いや、これくらいで騒ぐのはそれこそアレな気もしますが……個人的には結構ドキドキしちゃいました。

 後は少し気になるというかご都合主義じゃない?と思わなくも無い所が有るんですけど一応仕組みは説明されているし全然許容できる範囲だったかな?と思います。
 そこが引っかかる人も居るのかな?くらいな感じだったのであんま気にしなくても良いと思います。何よりキャラはすっごく魅力的なので。そう言う勢いでゴリ押ししちゃうのが大丈夫な人はイケると思います。

 みたいな感じで。
 今作はバトルも有って、命を張れるほどの深い愛も有る熱い素敵な作品だったと思います。

 斉藤先生、緜先生、編集者さん、そして関係者の皆様、素敵な一冊をありがとうございました。
 続きも有ったら読んでみたいし楽しみに待ってます。

 就職したら今みたいな毎日が夏休み!みたいな生活とはおさらばなんだろうなぁと思いますがそれもまた生きるため……しょうがないなって気持ちとそんなのは嫌だ!って感情が戦争を起こしています。
 とか働いても無い人間が言っててもしゃーないよなぁと思います。

 それでも、それでもやっぱり仕事(残業)は嫌だぁぁぁぁ!
 話を見たりするだけでうんざりです。
 というわけで本日は「ギルドの受付嬢ですが、残業は嫌なのでボスをソロ討伐しようと思います」の感想です。私も事務職に就職したので肝が冷えてます

 一応冒頭をともりるが朗読している動画も有るらしいのでよろしければぜひ。

 

 あらすじ

 残業が嫌なら自分で仕事を片付ければ良いじゃない!

 クソブラックな公務員(ギルドの受付嬢)に就職した主人公アリナが脳筋パワーでダンジョンを(残業を無くすために)攻略していくコメディ小説です。
 アリナが就職した「ギルドの受付嬢」という職は作中世界で、言ってしまえば公務員的な感じの立ち位置に有るのだと思われます。副業禁止で代わりに給料も安定しており、終身雇用が保証されているというThe公務員って感じの職業です。 
 そんでもってよくあるファンタジーのギルドって感じの受付嬢で大まかな仕事内容は「冒険者」と「ギルド」の中継役って感じです。
 ダンジョンが有って冒険者はそのダンジョンに入ってモンスターを倒したりスゴイ道具をとったりして生計を立てている感じの世界観なので良くも悪くも仕事量はダンジョンと冒険者の様子によって変わるわけですね。
 細かいことは省略するんですけど、近くのダンジョンでボスが居続けるとそれに寄せられてモンスターも集まって来るので依頼も増えて、受注する冒険者も増えて受付嬢の仕事量が増えるんですね。
 つまりボスがいつまでも攻略されないと仕事量は無限に増え続け、そしてそれは=で残業し続けなくちゃいけないってことです……。
 そしてそれは絶対に許されません。残業は悪。
 ならばどうするか?答えはただ一つ「自分の手でボスを攻略すれば良い」そうして彼女は攻略が行き詰ったダンジョンに唐突に現れてソロでボスを撃破する「処刑人」となりました。
 全ては残業を無くすために!定時で帰るために!
 そんな彼女がギルド最強のパーティーのメンバーに正体がバレてしまい……?
 と言う感じの物語です。

 感想
 面白かったです。ぶっ壊れみたいな力で敵をばっさばっさと倒していくのは見ていて爽快感が有って良かったです。 
 彼女は自身のスキルでウォーハンマーを魔方陣から取り出してそのハンマーをぶん回して敵を粉砕していくんですよね。まず、その魔方陣からハンマーを取り出すってスキルが良いですよね。中二心がくすぐられます。
 フードを被った小柄な人間が光る魔方陣から巨大ハンマーを産みだしてモンスターをぶん殴って叩き潰す。まさに心が躍るシチュエーションだと思いませんか?
 みたいな感じで読んでて画が浮かんでくるので読みやすかったです。

 アリナのなんと言うかブラック業務に追い詰められている感?みたいなのは見ていて面白いですね。
 次々とやって来る冒険者を捌いて、それが終わったと思ったら有るのは終わりの見えない書類の山。最強の処刑人がただの紙の山に絶望しているのはギャップで笑いました。
 まあ、何が苦痛なのかなんて人によって違うんですけど。
 ていうか彼女が「処刑人」になったスキルを手に入れたのが多分残業が辛すぎて何もかもを叩き潰す力を望んだ、みたいな感じだったのでどんだけ残業嫌なんだよ……軽く恐怖を覚えますよね。
 そう言う感じでキャラの価値観がはっきりとしているのは好きです。自分の力を隠す理由も分かりやすいしそこまでイキリっぽさは感じませんでした。

 職を失うって言うの中々な恐怖ですもんね。
 まあ「冒険者」より「受付嬢」が良いって考え方が安定性とか安全性って言うのは理解できるんですけど、ちょっと過剰かな?みたいなことは思うんですけれど、それ自体が伏線めいていたのは良かったと思います。

 あれだけ安定を求めていた彼女がクライマックスでああいう行動をとるって言うのはそれ自体が熱いなぁと思います。
 口では嫌々言っていて好意しか無いかって言われればまあ違うけれどそれでも大事な人になっているってのはなんか、こう、おめでとうって感じはします。
 時間を共有していればいつの間にかそれも「日常」の一つになっているんだなぁと。

 彼女が残業を嫌うのは「残業」が彼女の「平穏」を壊すからであって、だったらその「残業」のために何かを手放してしまったらそれはもう「残業」を嫌う理由そのものが無くなるみたいな所も有るんだろうなって思います。
 そしてそのレベルで「彼」がアリナの日常になれたのは彼がそれだけ頑張っていたのも有るし、彼なりの信念を持っていたからなんだろうなって思うとそれは良いなって思います。

 みたいな感じで「最強残業殴殺系ファンタジーコメディ」(そんなジャンルは無い)『ギルドの受付嬢ですが、残業は嫌なのでボスをソロ討伐しようと思います』の感想でした。


 幼馴染モノって大きく分けて二種類有ると思うんですよね。一つは「ずっと一緒のパターン」でもう一つが「一度(ほぼ)断絶の期間」が有るタイプの二種類です。
 個人的に前者は負けヒロインで後者はメインヒロインになるイメージが有ります。偏見だけど
 どっちが「良い」とかは無いと思いますけれどドラマの作りやすさ的には後者の方が作りやすいんだろうな~とは思います。
 「空いた時間」と「積み重ねた時間」の二つのギャップに感じる「切なさ」と「懐かしさ」って言う二大感情をぶつけられるので物語として強度は上がるよね、とは思います。

 みたいな感じで久々にラノベの感想記事です。
 今回は雲雀湯先生の「転校先の清楚可憐な美少女が、昔男子と思って一緒に遊んだ幼馴染だった件」の感想です。
 タイトルなっげぇですね。

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 あらすじ

 7年前、一番仲良しの男友達と、ずっと友達でいると約束した。高校生になって再会した親友は……まさかの学校一の清楚可憐な美少女!? なのに俺の前でだけ昔のノリだなんて……最高の「友達」ラブコメ!

 *表紙、あらすじ共に版元ドットコムから引用です

 感想
 面白かったですよ。
 いや、こう書くと微妙だった?みたいに思われそうでは有るんですけれど本当に面白かったと思います。
 なんと言うか作者の「好き」がこれでもかと詰めこまれてるなって感じです。
 幼馴染に秘密の関係性、昔みたいな雰囲気、美少女ルックスのメンタル男友達とやりたいことを贅沢にねじ込んでいるなって感じで読んでいて楽しかったです。
  
 さて、もう少し細かく解説を。主人公は「隼人」でヒロインは「春希」です。
 この「春希」が転校先の美少女であり、隼人の幼馴染である「はるき」であるわけですね。まあ、子供の頃だとギリ男女も分からないかもですね、みたいな感じです。漢字だとそら女子だわなって感じですけどひらがなで「はるき」は確かにどっちとも取れるわなって感じです。
 そんな感じで転校する寂しさを抱えて転校してきた隼人は再会したら美少女になっていた昔の男友達の「春希」と楽しくもちょっと痛い青春を送るって話ですね。

 いや、マジでタイトルのままなんだよなぁ。

 読んでて好きだなって思ったのがベースは「男友達」だったからこその良い意味での気安さ、みたいな会話の空気ですね。良くも悪くも相手を過度に意識していないからこその自然な行動みたいのは良かったと思います。
 それって隼人側からしたら友達だし普通にやるよね、ていうか昔もしてたしーみたいな感じでは有るんですけれど、美少女として過ごして来た「春希」からしたらそう言う優しさは新鮮でドキッとしたりしてるの良いですよね。
 変わったモノと変わらないモノ。同じ行動でも受け取る人間が違えばそのレベルから認識の差が出て来るし、そう言うギャップは私の大好物です。

 それはそれとして、まあ「春希」は美少女なわけで、頭の中では男友達の「はるき」だとは分かっていても不意に出て来る「春希」にドキドキしている隼人を見るのは初々しくて可愛かったなあと思います。
 言ってしまえば1巻では派手な事件とか胸糞悪いモブとかも居なくてあくまでラブコメが発展しないのは本人間の認識が障害になってるって所は良かった気がします。いや、別に「あの人」が良い人だとは言わないんですけども。

 7年って時間は長い訳でそのなかで変わったことも有れば、変わらないことも有るわけでその中で産まれた「過去」も有るわけで、それがそれぞれが共有していた「過去」と「現在」のギャップを産んでいる。
 そう言う関係性って言うのをエモイと言うのは簡単だけれど、それ以上に切ないなぁとも思います。
 
 けれど、まあ、そう言うのを全部ひっくるめてそれでも相手を大切に出来たならその関係性は素晴らしいモノなんだろうなって思います。
 「友達」ではない別の関係性へのきっかけみたいなもんも見えてきたわけで、これからの二人が楽しみだなあ、と感じました。

 続きも楽しみです。
 

 

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