意味の無い宝物

 今崩れ落ちて砕け散ったこの心臓(ココロ)は
 傷だらけの僕の手を求め 
 綺麗なままでは何も変えれないと
 握りしめた2人だけの蕾が
 今咲き始める


 ー燐舞曲 神蕾(シン·ライ)ー

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 傷だらけになっても、苦しくても、それでも欲しい物が有るのならば戦わなくてはいけない。
 それはこの世界で生きているうえでは当たり前のことだ。
 この世界は残酷で、薄情で、ただ求めているだけでは本当に欲しいモノは手に入らない。
 新しいモノを欲しがるならば「イマ」を捨てなければならないし、だからといって何を望まなくても「イマ」は溶けて消えていく。
 いくつものモノを切り捨てて、圧し殺して、目を逸らしてそうやって積み重ねた「想い」の屍の上に「イマ」は成り立つような世界だ。

 実際にそうやって「世界」を作ることは出来ても、それはひどく歪で、脆くて、儚い。
 けれどとても尊くて美しい。
 桜や雪の花びらのように。

 もし、そうして創り上げた「世界」を壊してでも何かを手に入れようするならばそれはきっと「罪」なのだろう。

 そして、それに「罰」を与えるのは他の誰でもない本人達だ。
 
 だから、これはラブコメであって、美しい罪悪の物語。

 ということで今回は「友達の後ろで君とこっそり手を繋ぐ。そして誰にも言えない恋をする。2」の感想記事です。続きを読む

この世界を壊していけばいいんだろう?
ーーー汚れて醜い裏切り者として

9784040742540

あらすじ
「この世界を壊していけばいいんだろう? ――汚れて醜い裏切り者として」 モニカの背反により半壊した『灯』は、真相を求めてフェンド連邦を駆ける。 これは窮地に追いやられた少女が、世界を敵に回す物語――。

版元ドットコムから引用

感想
シリーズものの7巻目の感想から読む新規とか居ないでしょ・・・と言う感じなのでネタバレ全開で感想を書いていきます。

いや、スパイ教室ってこんなに面白かったんですか???(失礼)

という風に錯乱するくらいに面白かったです。

なんと言っても今回のメインヒロインである氷刃のモニカがあまりにも好きすぎなんですよね。

心が凍っていて情熱が無いーーからこその【氷】の【刃】

冷めているような態度にシニカルな感じの少女って言うのがまず好きです。

そんな彼女が灯で過ごす中で皮肉屋でそれでいて仲間思いって言う典型的なツンデレに変わっていくのも好きですね。

元々、スペックは高いんだけどやる気が無い、みたいなキャラ好きなんですけどね・・・。
中途半端に才能が有るからこそより強い存在と出会って心が折れてしまって、上には上が居ることを散々刻みつけられて、心が冷めてしまったのはまぁそうなっちゃうよね・・・とはなります。

そしてそんな彼女の心を溶かしたのは馬鹿みたいに明るくて、前向きで、無鉄砲で、だからこそ輝いていて、挫折と軽蔑に晒されてきた彼女を肯定する【花園】の【リリィ】だったんですよ。

けれど同性愛がタブーとされる世界ではその想いは殺すしかなかった。実際に同性愛がバレて全てを失って切り捨てられる現実を見てしまったから。
そしてその好きな人そのものを人質に取られ、最後の希望も[自身が成長しすぎたゆえに信じきれなかった]というのが皮肉だよな、とは思います。

リリィと灯を守るために強くなり、強くなったからこそクラウスを欺け、だからこそ無条件で信頼することが出来なくなってしまった。

それでもクラウスを見限ったってわけではなく・・・というのが胸熱でした。
あくまでも、モニカはクラウスの生徒であったわけで、という感じで教会での戦いが港での闘いの伏線だったわけで、それを理解してるクラウスってのが良かったですね。

どうしようもない世界で、どうしようもない感情を持ちつつ、それでも諦めないで抗い続けたモニカの姿がかっこよすぎました。

絶望的な状態でそれでも、と足掻き続ける少女達のスパイ物語。
続きが楽しみです。

背徳的な「恋」ってクッッソ雑に分けてしまえば2つに分類出来ると思うんですよ。

ーー社会に蔑まれる「恋」

  自分で赦せない「恋」ーー

この二つに。

前者はこの世界で生きていく上では避けられない価値観であり、後者はその人がその人で在るためには避けられない価値観でもあるわけですよ。

例えば一時期アホみたいに流行ってた社会人×JKなんてもろに前者だよな〜と思いますし、最近ちょくちょく見かける不倫系のラノベもですよね。

逆に後者の恋愛って客観的に見たら別にそこまで気にしなくても良いのに・・・と思うことでも本人からしたらとても大事で重い縛りになる事だって沢山有るわけです。
でも、そこに共感出来る理由を付けて、そのキャラに魅力が溢れればそれは人の心を抉るナイフになるわけです。

なんで、この小説を好きになれるかどうかってのはキャラの思想に共感できるかどうかなんだろうな〜と思います。

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あらすじ

青春は恋愛だけではない。けど――。この恋だけは気づかれてはいけない。

「青春=彼女を作ること? 青春ってなにも、それがすべてじゃないだろ」
 恋にトラウマを持つ高校生、古賀純也は恋愛よりも友達とわいわい騒いで友情を育むことこそが、青春だと思っていた。
 男女の親友五人組で綺麗な星空を見たり、ファミレスで朝まで駄弁っている今この時こそが、自分達の青春だと。
 ――なのに、どうして俺達は相手が友達でも、恋をしてしまうんだろう。今までどおりの関係じゃいられなくなるかもしれないのに。
 グループ内の一人、成嶋夜瑠が隠していた本音を知ったことで、純也と彼女の間に共犯関係が生まれ、意図せずお互いの傷に触れていく。
 友情と恋心が交差する、まっすぐな気持ちと歪んだ想いをつづった青春恋愛劇。


電撃文庫公式サイト
から引用です。

感想
私は好きでした。
過去のトラウマから恋愛より友達を優先している古賀と恋愛至上主義な成嶋の二人が今回ではメインだったなぁと思います。

男女の関係ってどこからが友情でどこからが恋愛なのか?っていうのは色々な物語でテーマになってる問題だよなってのは有ります。

けれどそれってある意味では二人の問題なわけで、強いて言うなら周りのクラスメイト(モブ)にからかわれてそのままではいられなくなるみたいなパターンが多いじゃないですか。

けれど、この作品では純粋に「彼ら5人」の存在こそが主人公、というか語り部の古賀を縛る鎖になっています。

友情で出来ているグループに恋愛が絡みだした時、どうしてもそのままでは居られないことを古河は知っているからです。

「5人」でいることが楽しくて、ずっと一緒に居たくて、それでもそんな事はありえないと分かっていて、だからこそ出来るだけ5人で居たいわけです。

そういう想いが有るからこそ成嶋の邪魔もするし、古賀が密かに抱えてる恋心だって圧し殺してます。

でもまぁ、成嶋からしたらそんな主義とか知らないわけですよ。なんなら恋の良さを知らないからそう言ってるんでしょ?とまで言ってて恋の良さを教えてあげるって言いながら古賀へちょっかいをかけてきます。

それで二人がイチャイチャし始めるわけですよ。そこには実は好きなのを演じてってのはなくて成嶋はあくまで計算でしかないわけです。

けれどそんな日々を通じてお互いの傷をさらけ出していきます。

最初はムカつくとすら思ってたし、裏切られたとすら思っていた。そんな二人でも、お互いを込みで過ごしてた「5人組」は大好きなままで手放すことが出来なかったんですよね。

そうして過ごしているうちにお互いのキズを知ってどんどん惹かれ合っていきます。

その様子はラブコメだなぁって感じはします。

ずっと友達でいよう、恋人は作らないようにしよう、そんな子供じみた冗談みたいな約束を彼らは本気で守ろうとしていてだからこそ呪いになってるんです。

真摯であるがゆえに裏切りで、不純だからこそ純粋で、そんな矛盾だらけの関係性こそがこの二人の関係です。

そしてそんな二人を含んだ5人組がこれからどうなるかっていうのがこの物語のキモなわけで、そんな彼らのおぼろげに見えている終わりに満足と共に辿り着けたら良いなぁ~と思います。

素敵な物語をありがとうございます。


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