静岡県磐田市見付(みつけ)の見付端城跡(みつけはじょうあと)は、室町時代前期(14世紀)に今川了俊(いまがわ りょうしゅん、今川貞世(いまがわ さだよ))が築いたと考えられる平城(城館)跡です。
別名は見付城で、築城時期・築城者は諸説あります。
遺構は、浄土宗 日照山 大見寺(だいけんじ)境内の西側と南側に土塁(どるい)の一部が残存。
見付端城跡 土塁
本丸跡は浄土宗 日照山 大見寺の境内で、北側の二の丸跡は磐田市立磐田北小学校になっています。
＜見付端城と今川氏の歴史＞
鎌倉時代の嘉暦元年(1326年)、 今川貞世(いまがわ さだよ)は初代駿河今川氏で守護大名 今川範国(いまがわ のりくに)の次男として誕生。
一般的には、法名の今川了俊(いまがわ りょうしゅん)として知られています。
南北朝時代の建徳元年・応安3年(1370年)頃、九州の南朝方勢力討伐のために、今川貞世は九州探題に任命されました。
応永2年(1395年)に九州探題を解任された貞世は、遠江・駿河半国守護を命じられ、遠江今川氏の初代当主となりました。
室町時代の応永27年(1420年)、貞世は96歳で死去したと伝えられています。
遠江今川氏 今川了俊(いまがわ りょうしゅん)の居城？
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今川貞世の子孫である遠江今川氏は、室町時代中期頃から堀越氏を名乗りました。
室町時代中期の長禄3年(1459年)8月、遠江守護 斯波氏の内乱に乗じて、遠江今川氏5代目当主 今川範将(いまがわ のりまさ)が中遠国人領主とともに「中遠一揆」と呼ばれる反乱を起こしました。
寛正5年(1464年)に今川範将が討死すると、所領は斯波氏配下の狩野七郎右衛門尉のものとなっています。
今川範将の息子の今川貞延(いまがわ さだのぶ)は、駿河今川氏6代当主 今川義忠のもとに逃れました。
文明6年(1474年)、今川義忠が狩野氏の支配する見付端城を攻略。
今川貞延は所領を取り戻しましたが、翌年の小夜中山(さよのなかやま)合戦で討死。
文明8年(1476年)、国人領主の横地氏15代当主 横地四郎兵衛秀国と勝間田修理亮が今川義忠に反旗を翻し、見付端城を改修して立て篭もりました。
義忠は2,000人の兵を率いて、見付端城を攻め落とします。
さらに義忠は、勝間田氏の勝間田城(牧之原市勝田)と横地氏の横地城(菊川市東横地)を攻略。
勝間田氏と横地氏を討ち取りました。
市指定史跡 勝間田氏の墓がある
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文明8年2月6日(1476年3月1日)、横地城を攻略した今川義忠は塩買坂(静岡県菊川市(旧小笠郡小笠町))で敵の残党による夜襲にあい、流れ矢に当たって深手を負い(翌日に？)死去。(塩買坂の戦い)
今川義忠の墓所 遠江三十三観音霊場
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当主を失った今川氏は、義忠の従弟である小鹿範満(おしか のりみつ)と6歳の龍王丸(たつおうまる)による、家督相続争いが勃発。
義忠の正室 北川殿の弟(兄？)である伊勢盛時(伊勢宗瑞、伊勢新九郎長氏、北条早雲)の仲介により、龍王丸が成人するまでの間は、小鹿範満が家督を代行する約束で一旦収まりました。
この時八幡山城(静岡市)には、小鹿範満を支持する鎌倉から派遣された太田道灌(おおた どうかん)が布陣。
龍王丸と北川殿が保護された
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今川氏、太田道灌、北条早雲、武田信玄、徳川家康ゆかりの
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しかし、龍王丸が成人後も小鹿範満が家督をにぎり続けます。
そのため、盛時は八幡山城を修築して、麓に居館を構えました。
文明19年・長享元年11月9日(1487年11月24日)、盛時が駿河今川館(静岡市)を襲撃して、小鹿範満を自害に追い込みます。
龍王丸は7代目当主 今川氏親(いまがわ うじちか)となり、盛時は功績によって長享2年(1491年)頃に興国寺城(沼津市)を与えられました。
北条早雲(伊勢盛時)、今川氏、武田氏、徳川家康の城
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戦国時代の天文6年(1537年)、駿河今川氏で守護・戦国大名の今川義元(いまがわ よしもと)が、敵対した堀越貞基(堀越用山)の見付端城を犬居城主 天野宮内右衛門虎景らに攻略させました。
永禄6年(1563年)、見付端城は焼失。
静岡県の城
静岡県の歴史
見付端城跡(浄土宗 日照山 大見寺)の地図
静岡県磐田市見付字古城2510-1-1
アクセス
・東名高速道路 磐田ICの南
本丸跡
浄土宗 日照山 大見寺(だいけんじ)の山門前に、案内板が設置されています。
案内板
大見寺絵図
江戸時代の元禄11年(1698年)に描かれた、大見寺所蔵の絵図。
南側の土塁で囲まれた本丸御殿跡が、大見寺の境内です。
本堂
浄土宗 日照山 大見寺(だいけんじ)は、鎌倉時代の創建と伝えられています。
本尊は、運慶(うんけい)作といわれる阿弥陀如来立像(あみだにょらいりゅうぞう)。
土塁(どるい)
境内の西側と南側に、土塁の一部が残存。
土塁
土塁断面
見付公民館
大見寺北側の公民館前に、「見付端城跡」の石碑が建てられています。
「見付端城跡」の石碑
二の丸跡
磐田北小学校があります。
＜見付端城(みつけはじょう)遺跡の出土品＞
出土品の一部は、磐田市埋蔵文化財センター 展示室で一般公開。
展示物が変更になる場合があります。
埴輪や銅鏡など遺跡・古墳の出土品展示
磐田市埋蔵文化財センター 展示室の記事はこちら
平安時代 灰釉陶器(かいゆうとうき)
室町時代 擂鉢(すりばち)、平皿、碗、皿、小壺
室町時代 擂鉢(すりばち)
中世の擂鉢の溝は数本だけで、全面に溝が刻まれるようになるのは江戸時代に入ってからです。
江戸時代
下段左から えさ入、香炉、灯明皿、灯明受皿
上段左から 油さし、徳利、花立、中碗、壺
江戸時代 硯(すずり)
硯の裏面に刻まれた絵
参考文献
・『静岡県文化財地図�� ―焼津市以西―』静岡県教育委員会 1989年3月1日
・『静岡県文化財地名表�� ―焼津市以西―』静岡県教育委員会 1989年3月1日
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