静岡県庵原郡富士川町岩淵(いはらぐん ふじかわちょう いわぶち)の富士川町郷土資料館は、平成17年(2005年)10月29日(土)に開館しました。
旧清水銀行岩淵支店の建物を借りた小さな資料館に、富士川町の遺跡・古墳から出土した土器・石器などを展示。
平成20年(2008年)11月1日、静岡県庵原郡富士川町は静岡県富士市に編入合併。
富士川町郷土資料館は、いつの間にか休館または閉館したようです。
今回の記事(パート1)では、旧富士川町の遺跡で見つかった土偶(どぐう)・縄文土器・石器・弥生土器・須恵器・土師器などの出土品を紹介します。
北久保遺跡 縄文時代晩期 黥面土偶(げいめんどぐう)
平成20年(2008年)11月1日、静岡県庵原郡富士川町が静岡県富士市に編入合併したため、富士川町郷土資料館は休館または閉館？
富士市立民俗資料館とは別の施設です。
平成22年(2010年)3月8日、山梨県南巨摩郡増穂町(みなみこまぐん ますほちょう)・鰍沢町(かじかざわちょう)が合併して山梨県南巨摩郡富士川町(ふじかわちょう)が発足。
静岡県の富士川町が消滅後、山梨県の富士川町が誕生してややこしいことになりました。
静岡県の歴史
縄文時代晩期(約3,000年前)の黥面土偶が出土
北久保遺跡の記事はこちら
金銅装単龍環頭大刀が出土 古墳時代後期(6世紀)〜終末期(7世紀)
谷津原古墳群の記事はこちら
丘陵上に単独で築かれた古墳 ネット初公開
小山丸山古墳の記事はこちら
金銅装単龍環頭大刀,須恵器など古墳の出土品
富士川町郷土資料館(パート2)の記事はこちら
富士川町郷土資料館(旧清水銀行岩淵支店)の地図
静岡県富士市(旧庵原郡富士川町)岩淵986‐1
富士川町郷土資料館は、閉館したようで見学出来ません。
現在は、ヘアサロンがあります。
アクセス
・東名高速道路 富士ICの南西
富士川町郷土資料館(旧清水銀行岩淵支店)
出土品の写真は、郷土資料館のオープン当時に許可を得て撮影したものです。
今回の記事(パート1)では、旧富士川町の遺跡で見つかった出土品を紹介します。
＜丸崎遺跡 南松野字丸崎＞
昭和61年(1986年)に調査を実施した、縄文時代前期の遺跡です。
流木
＜？＞
どこの遺跡の出土品なのか、説明文(キャプション)が無かったため不明です。
土器
打製石斧(だせいせきふ)
蜂の巣石(はちのすいし)、石皿(いしざら)
蜂の巣石は、凹石(くぼみいし)の別名。
＜木島遺跡(きじまいせき) 木島字北谷戸＞
富士川下流右岸(西岸)の富士川河岸段丘上に営まれた、縄文時代早期末〜前期初期の集落遺跡です。
昭和6年(1931年)に発見されました。
「オセンべ土器」とも呼ばれる、細線文指痕薄手土器(さいせんもんしこんうすでどき)が出土。
後に全国で初めて見つかった形式の縄文土器と判明し、木島式土器と命名。
木島遺跡は、縄文時代早期末〜前期初期にかけての中部・東海地方の標識遺跡となりました。
縄文時代前期 縄文土器 深鉢(ふかばち)
縄文時代前期 縄文土器 深鉢(ふかばち)
縄文時代前期 縄文土器 深鉢(ふかばち)
縄文時代前期 縄文土器 深鉢(ふかばち)
縄文時代前期 石器
木島遺跡 第4次調査で見つかった石鏃(せきぞく)、石匙(いしさじ)。
縄文時代前期 石器
石鏃(せきぞく)、石匙(いしさじ)、石槍(いしやり)、垂飾(すいしょく)。
＜山王遺跡(さんのういせき) 岩淵字山王＞
富士川下流右岸(西岸)に位置する山王丘陵平端部の、縄文時代晩期を中心とする遺跡です。
昭和40年(1965年)、東名高速道路 富士川サービスエリア(SA)下り線の建設工事に伴う発掘調査を実施。
調査が行われた4つの遺跡(山王遺跡・山王古墳群・舟山(ふなやま)遺跡・北久保(きたくぼ)遺跡)は、駿河山王(するがさんのう)遺跡群と総称。
発掘調査では、縄文時代早期・前期・晩期・弥生時代後期の集落跡や、古墳時代終末期以降(7世紀中葉〜8世紀)の小規模な竪穴系石室を有する古墳を検出。
縄文時代晩期後半の浮線網縄文土器(ふせんあみじょうもんどき)や、最古の弥生土器とされる弥生時代初頭の遠賀川式土器(おんががわしきどき)などが多数出土。
昭和43年(1968年)の富士川SA建設で、北久保遺跡の一部を除き消滅しました。
縄文時代晩期 縄文土器 浅鉢(あさばち)
縄文時代晩期末葉 縄文土器 浅鉢(あさばち)
浮線網状文土器(ふせんあみじょうもんどき)です。
縄文時代晩期 縄文土器 深鉢(ふかばち)
縄文時代晩期 縄文土器 深鉢(ふかばち)
縄文時代晩期 縄文土器 精製土器(せいせいどき)
縄文時代晩期 縄文土器 水神平式土器(すいじんびらしきどき)
石器
左3点が打製石斧(だせいせきふ)、右1点が磨製石斧(ませいせきふ)。
＜浅間林遺跡(せんげんばやしいせき) 北松野字浅間林、沖田＞
昭和6年(1931年)に発見された、富士川下流右岸(南岸)に位置する遺跡です。
昭和55年(1980年)、県道富士川身延線バイパス建設工事に伴う発掘調査を実施。
検出された遺構は、縄文時代の溝・古代(奈良・平安時代)の竪穴式住居跡と掘立柱建物跡(ほったてばしらたてものあと)など。
出土遺物は、縄文時代後期〜晩期の縄文土器、奈良・平安時代の須恵器・土師器、墨書土器(ぼくしょどき)、刻書土器(こくしょどき)、鉄製品(刀子(とうす)、鉄鏃(てつぞく))などです。
平成3年(1991年)の調査では、縄文・弥生・古墳・奈良・平安時代の住居跡や製鉄に関する炉跡・工房跡などの遺構を検出。
出土遺物は、縄文時代後期・晩期の縄文土器、石器(石鏃(せきぞく)、石斧(せきふ)、石錘(せきすい)、石棒(せきぼう)、石刀(せきとう)、石剣(せっけん)など)、弥生土器、古墳時代の須恵器、奈良時代の灰釉陶器(かいゆうとうき)、平安時代の鉄製品、中世の古銭などが見つかりました。
縄文時代晩期 縄文土器 深鉢(ふかばち)
縄文時代晩期 縄文土器 鉢(はち)
縄文土器
縄文時代晩期 縄文土器 浅鉢(あさばち)
縄文土器
縄文時代前期 石鏃(せきぞく)、石匙(いしさじ)
縄文時代前期 石鏃(せきぞく)、石匙(いしさじ)
縄文時代晩期 石剣(せっけん)、石刀(せきとう)、石棒(せきぼう)
縄文時代中期 縄文土器 深鉢(ふかばち)
平安時代 灰釉土器(かいゆうどき) 埦(わん)
平安時代 灰釉土器(かいゆうどき) 杯蓋(つきふた、つきぶた)
平安時代 土師器 杯(つき) 刻書土器(こくしょどき)
平安時代 土師器 杯(つき) 墨書土器(ぼくしょどき)
平安時代 土師器 長胴甕(ちょうどうがめ)
竈(かまど)の穴に差し込んで使用した土器。
平安時代 土師器 長胴甕(ちょうどうがめ)
平安時代 土師器 長胴甕(ちょうどうがめ)
平安時代 土師器 長胴甕(ちょうどうがめ)
＜中野遺跡 南松野字中野＞
昭和56〜58年(1981〜1983年)、中野台団地建設工事に伴う発掘調査を実施。
縄文・弥生・古墳・平安時代などの遺構が検出されました。
弥生時代の遺構は、住居跡28軒・方形周溝墓(ほうけいしゅうこうぼ)3基を確認。
出土遺物は、縄文土器・弥生土器・土師器・須恵器・土偶(どぐう)・石器・玉類(たまるい)などです。
弥生時代後期 弥生土器 小型甕(こがたかめ)
弥生時代後期 弥生土器 甕(かめ)
耳飾り(左上1点)、土偶(左下1点)、土錘(4点)
弥生時代 有孔磨製石鏃(ゆうこうませいせきぞく)
中野遺跡出土の、祭祀(さいし)に使用されたものと考えられる石器。
ガラス製勾玉(まがたま)、ガラス製小玉(こだま)
昭和58年(1983年)9月29〜30日、寺畑D−1−5区 方形周溝墓(ほうけいしゅうこうぼ)南側溝下層から出土。
ガラス製小玉(こだま)
昭和58年(1983年)9月22日、寺畑D−1−5区 方形周溝墓(ほうけいしゅうこうぼ)東側溝下層から出土。
ガラス製装飾品の破片
昭和58年(1983年)12月2日、寺畑D−b−4区で出土。
ガラス製装飾品の破片
昭和58年(1983年)9月30日、寺畑D−b−5区 方形周溝墓(ほうけいしゅうこうぼ)南側溝下層から出土。
炭化米(たんかまい)？
昭和58年(1983年)3月15日、沖田B−b区から出土。
弥生時代後期 弥生土器 壺(つぼ)
弥生時代後期 弥生土器 台付甕(だいつきかめ)
弥生時代後期 弥生土器 台付甕(だいつきかめ)
＜清水岩ノ上遺跡 北松野字清水ヶ糸＞
中野台北西部の溶岩台地上に所在。
農作業中に、弥生時代後期の壺が出土しました。
弥生時代後期 弥生土器 壺(つぼ)
弥生時代後期 弥生土器 壺(つぼ)
弥生時代後期 弥生土器 壺(つぼ)
＜富士川SA関連遺跡 岩淵＞
破魔射場(はまいば)遺跡、北久保(きたくぼ)遺跡、谷津原(やつはら)古墳群の総称です。
平成9〜10年(1997〜1998年)、東名高速道路 富士川サービスエリア(SA)上り線・道の駅 富士川楽座の建設に伴う発掘調査を実施。
破魔射場遺跡(はまいばいせき)
現在の東名高速道路 富士川サービスエリア(SA)上り線 駐車場付近にあった遺跡です。
発掘調査で、縄文時代・弥生〜古墳時代・平安時代の遺構を検出しました。
縄文時代の遺構は、竪穴式住居跡29軒・配石遺構47基・集石土坑3基・集石群・屋外埋設土器10基・土坑を確認。
北久保遺跡(きたくぼいせき)
現在の富士川サービスエリア(SA)上り線と本線の間付近に所在していた遺跡です。
昭和40年(1965年)、東名高速道路 富士川サービスエリア(SA)下り線の建設工事に伴い北久保遺跡の一部を発掘調査を実施。
平成9〜10年(1997〜1998年)、東名高速道路 富士川サービスエリア(SA)上り線・道の駅 富士川楽座の建設に伴う発掘調査を実施。
明治時代に宮内大臣を務めた田中光顕が別邸として建てた、古谿荘(こけいそう)の離邸 芳野庵(よしのあん)をおもに調査。
建物基礎・レンガで組まれた便所・庭園施設(セメントで築かれた鑓水跡(やりみずあと)、苑路(えんろ)、排水用集水升(はいすいようしゅうすいます))・土管や石組みの導水施設などを検出。
芳野庵の出土遺物は、陶磁器・瓦・土管などです。
調査中、縄文時代晩期の黥面土偶(げいめんどぐう)も出土しました。
髷(まげ)のある土偶の顔には、刺青(いれずみ)を表現したと思われる線刻が施されています。
縄文時代晩期 黥面土偶(げいめんどぐう)
縄文時代 縄文土器 両耳壺(りょうじこ)
縄文時代中期 縄文土器 浅鉢(あさばち)
縄文時代中期 縄文土器 深鉢(ふかばち)
縄文時代中期 縄文土器 深鉢(ふかばち)
縄文時代中期 縄文土器 深鉢(ふかばち)
縄文時代後期 縄文土器 深鉢(ふかばち)
縄文時代中期 縄文土器 深鉢(ふかばち)
縄文時代中期 縄文土器 深鉢(ふかばち)
縄文時代中期 縄文土器 深鉢(ふかばち)
縄文時代中期 縄文土器 深鉢(ふかばち)
弥生時代 弥生土器 壺(つぼ)
弥生時代後期 弥生土器 甕(かめ)
古墳時代 土師器 台付甕(だいつきかめ)
古墳時代 土師器 小型丸底土器(こがたまるぞこどき)
古墳時代後期 土師器 杯身(つきみ)
古墳時代後期 須恵器 合子状杯身(ごうすじょうつきみ)
古墳時代後期 須恵器 埦(わん)
古墳時代後期 須恵器 蓋(ふた)
平安時代 須恵器 壺(つぼ)
平安時代 須恵器 コップ型須恵器
平安時代 土師器 埦(わん) 刻書土器(こくしょどき)
平安時代 灰釉陶器(かいゆうとうき) 墨書土器(ぼくしょどき)
平安時代 緑釉陶器(りょくゆうとうき) 埦(わん)
参考文献
・富士川町郷土資料館 展示解説
・『静岡県史 資料編1 考古一』静岡県 1990年3月20日
・『静岡県文化財地図�� ―静岡市以東―』静岡県教育委員会 1988年3月1日
・『静岡県文化財地名表�機疾轍�市以東―』静岡県教育委員会 1988年3月1日
・『静岡県埋蔵文化財調査研究所調査報告 第123集 富士川SA関連遺跡
平成9・10年度 富士川SA改良工事に伴う埋蔵文化財調査研究所調査報告書
破魔射場遺跡 谷津原古墳群 北久保遺跡 遺構編』2001年3月31日
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