静岡県富士市(旧庵原郡富士川町)岩淵(いわぶち)の谷津原古墳群(やつはらこふんぐん)は、富士川下流右岸(西岸)に位置する、丘陵頂上部平坦地・南側斜面・丘陵下平坦部にかけて分布。
3回の発掘調査で、古墳時代後期(6世紀)〜終末期(7世紀)の築造と考えられる横穴式石室を有する古墳14基を検出。
谷津原1号墳から、装飾大刀の金銅装単龍環頭大刀(こんどうそうたんりゅうかんとうたち)が出土し、単龍環頭柄頭(たんりゅうかんとうつかがしら)は富士川町指定文化財になりました。
谷津原1号墳 単龍環頭柄頭
史跡整備されていないので、探訪は自己責任で！！
民家の敷地や農地などには、絶対に立ち入らないで下さい。
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谷津原古墳群の地図
静岡県富士市(旧庵原郡富士川町)岩淵字谷津原
アクセス
・東名高速道路 富士川サービスエリア(SA)上り線の西
谷津原古墳群(やつはらこふんぐん) 空撮写真
「土砂災害防止法に基づく土砂災害警戒区域等を明示した現地表示板(富士川楽座)」の空撮写真に加筆。
3回の発掘調査で、古墳時代後期(6世紀)〜終末期(7世紀)の築造と考えられる横穴式石室を有する古墳14基を検出。
谷津原古墳群が分布する丘陵緩斜面
段々畑の蜜柑園に開墾されており、道路からは古墳を確認出来ません。
発掘調査が実施された14基以外にも、石室を破壊された古墳が一部残存している可能性があります。
昭和45年(1970年)、蜜柑園の改植中に古墳が発見され、富士川町教育委員会が谷津原1〜3号墳の発掘調査を実施。
1号墳から装飾大刀の金銅装単龍環頭大刀(こんどうそうたんりゅうかんとうたち)が出土し、単龍環頭柄頭(たんりゅうかんとうつかがしら)は富士川町指定文化財になりました。
平成元年(1989年)度、1号墳の北東約70mに位置する山稜斜面地(標高約73m)の宅地造成に伴う発掘調査で、4・5号墳を確認。
4・5号墳の石室は残存状況が悪く、出土遺物が無いため造営時期は不明。
平成9年(1997年)2月〜平成10年(1998年)12月、東名高速道路 富士川サービスエリア(SA)上り線・道の駅 富士川楽座の建設に伴う富士川SA関連遺跡の発掘調査を実施。
谷津原古墳群は、丘陵端部頂上平坦地(標高68m付近)で6〜11号墳・丘陵南斜面(標高58〜60m)で12〜14号墳を確認。
隣接する破魔射場(はまいば)遺跡では、丘陵下平坦地(標高約50m付近)に単独で破魔射場遺跡1号墳が築かれていました。
＜谷津原1号墳＞
昭和45年(1970年)、丘陵緩斜面に位置する蜜柑園の改植中に発見された古墳。
同年4月、富士川町教育委員会が発掘調査を実施。
古墳時代後期後半(6世紀後半)の築造と考えられる、南南東に開口する横穴式石室を有する円墳です。
出土遺物は、須恵器16点・大刀(たち)2本(内1本は金銅装単龍環頭大刀(こんどうそうたんりゅうかんとうたち))・鍔(つば)2点・刀子(とうす)・銅釧(どうくしろ)2点・砥石(といし)。
分布図によれば、1号墳は民家の南側(右側)の蜜柑園に所在。
古墳の現状は、「みかん園の中にあり、現状保存されている」「消滅」と文献によって異なっています。
道路からは確認できません。
谷津原1号墳近くの民家
道路からは、古墳を確認できません。
＜谷津原1号墳の出土品＞
谷津原1号墳 大刀(たち)類
富士川町指定文化財 谷津原1号墳 単龍環頭柄頭(たんりゅうかんとうつかがしら)
鍔(つば)
刀子(とうす)
銅釧(どうくしろ)
直径約7cmの腕輪です。
古墳時代後期 須恵器 𤭯(はそう)
古墳時代後期 須恵器 提瓶(ていへい、さげべ)
古墳時代後期 須恵器 提瓶(ていへい、さげべ)
＜谷津原1号墳または2号墳の出土品＞
古墳時代後期 須恵器 脚付長頸壺(きゃくつきちょうけいつぼ)
古墳時代後期 須恵器 𤭯(はそう)
古墳時代後期 須恵器 平瓶(ひらか)
＜谷津原2号墳＞
古墳時代後期末(7世紀初頭)の築造と考えられる、河原石積みの横穴式石室を有する円墳です。
石室の規模は、長さ約12m・幅約1.1m。
調査時には、天井石が石室内に落下していました。
出土遺物は、須恵器・土師器・刀子(とうす)・鉄鏃(てつぞく)・耳環(じかん)5点・勾玉(まがたま)5点・切子玉(きりこだま)6点・小玉(こだま)。
古墳の現状は、「みかん園の中にあり、現状保存されている」「消滅」と文献によって異なっており不明。
道路から確認出来ません。
谷津原2号墳付近
＜谷津原2号墳の出土品＞
古墳時代 須恵器 合子状杯身(ごうすじょうつきみ)
古墳時代 須恵器 短頸壺(たんけいつぼ、たんけいこ)
古墳時代後期 須恵器 合子状杯身(ごうすじょうつきみ)
古墳時代後期 須恵器 杯蓋(つきふた、つきぶた)
古墳時代後期 須恵器 合子状杯身(ごうすじょうつきみ)
古墳時代後期 土師器 杯身(つきみ)
古墳時代後期 土師器 杯身(つきみ)
谷津原2号墳 大刀(たち)
耳環(じかん)、勾玉(まがたま)、切子玉(きりこだま)
＜谷津原3号墳＞
古墳時代後期末(7世紀初頭)の築造と考えられる、河原石積みの横穴式石室を有する円墳です。
石室の規模は、長さ約12m・幅約1.1m。
調査時には、天井石が石室内に落下していました。
出土遺物は、須恵器 杯(つき)1点・ガラス小玉(こだま)約90点。
ガラス小玉は、奥壁から約1mと約5mの2ヶ所で約45点ずつ出土。
古墳の現状は、「みかん園の中にあり、現状保存されている」「消滅」と文献によって異なっており不明。
道路から確認出来ません。
＜谷津原3号墳の出土品＞
ガラス小玉(こだま)
ガラス小玉(こだま)
＜谷津原4・5号墳＞
平成元年(1989年)度、1号墳の北東約70mに位置する山稜斜面地(標高約73m)の宅地造成に伴う発掘調査で、4・5号墳を確認。
4・5号墳の石室は残存状況が悪く、出土遺物が無いため造営時期は不明。
住宅建設で消滅しました。
＜谷津原6〜14号墳＞
平成9年(1997年)2月〜平成10年(1998年)12月、東名高速道路 富士川サービスエリア(SA)上り線・道の駅 富士川楽座の建設に伴う富士川SA関連遺跡の発掘調査を実施。
谷津原古墳群は、丘陵端部頂上平坦地(標高68m付近)に6〜11号墳・丘陵南斜面(標高58〜60m)に12〜14号墳が分布。
隣接する破魔射場(はまいば)遺跡では、丘陵下平坦地(標高約50m付近)に単独で築かれた破魔射場遺跡1号墳を検出。
消滅した谷津原6〜14号墳・破魔射場遺跡1号墳は、現在の富士川楽座従業員用 A駐車場付近からSAまでの範囲に分布していました。
富士川楽座従業員用 A駐車場
東名高速道路 富士川サービスエリア(SA)上り線
参考文献
・富士川町郷土資料館 展示解説
・『静岡県史 資料編2 考古二』静岡県 1990年3月20日
・『静岡県文化財地図�� ―静岡市以東―』静岡県教育委員会 1988年3月1日
・『静岡県文化財地名表�機疾轍�市以東―』静岡県教育委員会 1988年3月1日
・『静岡県埋蔵文化財調査研究所調査報告 第123集 富士川SA関連遺跡
平成9・10年度 富士川SA改良工事に伴う埋蔵文化財調査研究所調査報告書
破魔射場遺跡 谷津原古墳群 北久保遺跡 遺構編』2001年3月31日
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