2008年01月25日

文部科学省を廃止せよ!

 教員にはホワイトカラー・エグゼンプションが四〇年近く前から導入されていることをご存知だろうか。
 一九七一年、自民党は教育現場の反対を押し切り「給特法案」を強行採決し、翌七二年より施行された。給特法は給料月額の四%の「教職調整額」と引きかえに、教員に労働基準法三七条の時間外労働手当規定を適用除外した法律である。
 四%は月八時間程度の時間外手当に相当する。四%の根拠は六六年の文部省(当時)の教職員勤務実態調査で、時間外労働が月平均八時間であるとされたことにもとづいている。 
 給特法は時間外労働に対し二重の歯止めをかけた。第一に、時間外労働を命じることができる業務を四項目(職員会議・学校行事・生徒の実習・非常災害)に限定した。第二に、四項目であっても「臨時または緊急」時に限定した。したがって給特法では、四項目でかつ臨時・緊急以外の時間外労働はすべて違法である。
 しかし、学校は四項目以外にも時間外労働をしなければ、日常の教育活動がまわっていかないのが現実だ。 
 法案成立当時、教員は四%で半永久的に無定量労働をやらされることになると危惧された。案の定、給特法成立後教育現場では無定量・無報酬の違法な時間外労働が蔓延し、無法地帯と化している。
 ところが文科省は、四項目以外の時間外労働はすべて教員の自発的労働だとしている。しかも、四%は教員の職務を勤務時間の内外にわたって包括的に評価したものだから、四項以外の時間外労働を命じても時間外手当を支給しなくてよいと、手前勝手に法解釈している。だから、どんな仕事を何時間させようが、時間外手当を支払わないですませてきた。  
 〇六年の文科省の勤務実態調査では、教職員の一ヵ月平均の時間外労働は三四時間で、四〇年前の調査に比べて四・三倍に増えている。時間外労働が野放しにされた結果、教育現場は苛酷な労働実態となっている。
 文科省の調査によれば〇六年度の教職員の病気休職者は七六五五人。そのうち精神性疾患が四六七五人で六割を超えている。一〇年前に比べて、病気休職者は約二倍、精神性疾患は約三・四倍である。
 これがどんなに大変な数値か、「企業なら大問題であり、総点検を行う」(野田正彰氏)だろう。ただ文科省調査も、実態からほど遠いだろう。おそらく潜在的な病気休職者・精神性疾患は、調査数の数倍はいると推測される。
 労働者の命と健康を守るのは、使用者に課せられた責務である。長時間労働解消やメンタルヘルス対策、教職員定数増や産業医の配置などは、文科省に第一責任がある。しかし文科省は自らの調査で判明した違法な長時間労働さえ、何の対策も講じていない。教職員の過酷に労働実態を放置している文科省の存在価値などまったくない。ただちに廃止せよ!(週刊金曜日「論争欄」掲載 1月25日号)
(注) 週刊金曜日には労働基準法「37条」が「36条」と誤植で掲載された。


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Posted by sho923utg at 22:23│Comments(0)TrackBack(0) 政治・社会 

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