2010年07月11日

ブルカに揺れるフランス―今日の新聞批評(7月10日)

日経新聞「ブルカに揺れるフランス」より。
フランスの国会で先週「ブルカ禁止法案」審議された。ブルカはイスラム教徒の女性の全身を覆い、目の部分だけ網目状になっている民族衣装だ。このブルカを公共の場で着ることを禁止する法案である。法案は9月に成立し、来年春に施行される見通しだ。
法案は違反者に150ユーロ(17000円)の罰金を科す。着用を強制すると禁固1年、罰金3万ユーロである。フランスでブルカを着ているのは数百人からせいぜい2000人程度。その存在がフランスを揺るがしている。
サルコジ大統領は、「ブルカはフランスでは歓迎されない。女性の尊厳を尊重するという国家理念に反するからだ」と演説している。
ブルカ禁止賛成論者は、顔が識別できない、衣装内に武器を隠せる、無宗教の国家理念に反する、などをあげている。だが、最大の理由は「隷属からの女性の解放」「男女平等」である。
いっぽう、ブルカ禁止には根強い批判もある。女性は必ずしも強いられてブルカを着ているわけではない。禁止法は憲法が保障する個人の思想・信条の自由を侵害する。フランスの国務院(日本の内閣法制局に相当)も「ブルカ禁止には法的根拠がなく、憲法上強い疑念がある」との見解をだした。
ブルカ禁止の根源にあるのは「移民」問題である。
人口6000万人のフランスでは、イスラム圏などから移民が流入し、国内のイスラム教徒は500万人にのぼる。「移民は国に溶け込もうとしない」といった不満が、特に経済状態が悪くなると表に出てくる。
今年3月の地方選挙では、反移民・反イスラムをあおる極右勢力が議席を増やした。そのことがブルカ禁止勢力を勢いづける結果となった。政権も極右の主張を取り込むことで支持基盤を広げようとしている。
ブルカ着用禁止はフランスだけではない。
W杯決勝を戦うスペインとオランダでもブルカ禁止の動きがある。スペインでは公共の場でのブルカ着用禁止を決める自治体が相次ぎ、国政の課題にもなりつつある。 
オランダでもかつて法制化を目指したことがあり、禁止を求める声が根強い。また、ベルギーではフランスに先んじて法制化の動きが進む。ブルカ禁止は欧州全体の流れでもある。
昨年11月、スイスの国民投票でイスラム寺院に付属する尖塔の新たな建設を禁止する憲法改正案が可決された。主導したのは反イスラムの右派政党である。法案に抗議する集会で掲げられた旗には、「これは私のスイスではない」とあった。
ブルカを禁止するフランスは、果たして「フランス」なのだろうか。
以上が日経新聞の記事の内容である。
近年、ヨーロッパでは移民排斥を掲げる極右政党が民衆の支持を広げている。ブルカ禁止はその象徴的できごとだ。その背景にあるのは失業問題である。
多文化共生も口でいうほど簡単ではないのだ。










Posted by sho923utg at 13:56│Comments(0)TrackBack(0)政治・社会 | 時代のアゴラ

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