憲法２０条「信教の自由」は次のように規定している。
「信教の自由は、何人に対してもこれを保障する。
いかなる宗教団体も、国から特権を受け、又は政治上の権力を行使してはならない。
��何人も、宗教上の行為、祝典、儀式又は行事に参加することを強制されない。
�９餤擇咾修竜ヾ悗蓮⊇ゞ偽軌蕕修梁召い�なる宗教的な活動もしてはならない」
かつて、国会で創価学会を支持母体とする公明党の政権参加は憲法２０条に違反するかーという論争が繰り返された。
憲法２０条には「いかなる宗教団体も…政治上の権力を行使してはならない」とある。
それでは、公明党の政界進出自体が違憲ではないか、という論争である。
公明党は１９６４年の結党以来、この批判にさらされてきた。
紆余曲折を経て、歴代内閣法制局長官から以下の答弁を引き出している。
「(２０条１項は)信教の自由を保障するため、国その他の公の機関が宗教に介入し、関与することを排除する趣旨であり、宗教団体の政治活動を排除する趣旨ではない」
(９月５日付毎日新聞山田孝男「風知草」より)。
政治家と旧統一教会の関係が取りざたされている。
また、旧統一教会の反社会的行為はいまだに続いているという。
こうした点について、どのように考えるべきか。
９月５日付毎日新聞に、憲法学者の南野森・九大教授が次のように話している。
「信教の自由」は無制限ではない。
宗教の儀式で人を殺せば逮捕されるし、詐欺をやったら逮捕され損害賠償を請求される。
違法な行為や反社会的行為をすれば、取り締りや制裁を受けるのは当然だ。
「信教の自由」を隠れみのにした反社会的活動は許されない。
最高裁判例が示しているように、「信教の自由」は絶対無制限のものではない。
一方、われわれは旧統一教会の教えが間違っているということは言えない。
信仰の違いであり、立ち入ることはできない。
政府や裁判所が、特定の信仰や教義を正しいとか間違っているとか言うことはできない。
また、政治家が宗教団体と付き合うこと自体は問題ない。
信者から献金をもらう。
選挙を手伝ってもらう。
票をもらう。
公選法や政治資金規正法に違反しないかぎり、それは悪いことではない。
しかし、旧統一教会は他の宗教団体とは異なる。
宗教であることを隠して近づく手法や、家族や知人との接触を断ち切っての洗脳や、霊感商法や法外な金額の献金強要など、多くの違法行為・不法行為が裁判で認定されている。
旧統一教会の問題は「政治と宗教」の問題ではない。
「政治と反社会的な団体」との問題である。
政治家が旧統一教会とかかわるということは、「反社会的な団体」の活動に加担していることになるし、その宣伝に利用されていることになる。
旧統一教会の宗教法人格を奪うことに対し、「信教の自由」の侵害だとする意見もあるが、誤解である。
オウム真理教は宗教法人法に基づく解散命令を受けたが、最高裁は、宗教法人格を奪うことは「信教の自由」の直接的に侵害にあたらないとした。
税の免除などの特典を得られる「宗教法人」として存在できなくても、「宗教団体」としては存続でき、信者たちはそれぞれの「信教の自由」を行使できるからだ。
法人格のない団体が宗教活動をすることは何ら支障がないのだ。「信教の自由」も公共の福祉による制約がある、と南野教授は話している。
旧統一教会は宗教法人としての認定を取り消し、その犯罪を徹底的に裁く必要がある。
