2022年11月26日

コロナ予算検証=77兆円はどう使われたか

次の文章は、月刊誌『むすぶ』11月号に、
「時代を駆ける 360回 コロナ予算検証=七七兆円はどう使われたか」
のタイトルで掲載した全文である。

二〇二〇年度からコロナ対策として巨額の予算が使われてきた。
それではどれだけの金を使ったのか。
■二〇二〇年度=七七兆円
二〇二〇年度単年度で七七兆円のコロナ対策費が計上された。
国民一人当たり六〇万円。
東日本大震災の一〇年間の復興予算の合計が三二兆円だから、たった一年間でその二倍以上の予算となる。
二〇二〇年度の国家予算の一般会計は一〇三兆円、コロナ補正予算七七兆円と合わせると一八〇兆円で、ほぼ二年分の予算が組まれたのだ。
コロナ対策費がこれほどの巨額な予算となった理由は二つある。
一つ目はコロナ以前からの事業(七一二事業)がコロナ対策の名目で予算計上されたことである。
二つ目は何でもかんでもこの際だからとぶち込んだためである。
七七兆円の予算の内訳は以下の通りである。
国民一人一〇万円の給付金一三兆円。
医療費一二兆円(ワクチン・PCR検査・医療費補助等)。
融資一三兆円。所得補償一七兆円(持続化給付金、雇用調整助成金、地方創生臨時交付金 )。
GoToトラベル三兆円。
その他、これがコロナ対策費かと思われる予算で、強靭な経済構造構築・国土強靭化・デジタルイノベーションによる生産性向上等が九・四兆円である。
七七兆円のうち、二〇二〇年度に使いきれずに二〇二一年度に回した繰越金が三一兆円に上る。
したがって、二〇二〇年度の実質的なコロナ対策費は四六兆円である。
具体的には、|羮企業二六兆円、∪験茵Ω柩儖豸淬円、0緡邸Υ鏡予防五兆円、っ亙創生臨時交付金四・五兆円、などである。
コロナ予算の執行を具体的にみていこう
(以下、二〇二二年一月に放映されたNHKスペシャル「検証コロナ予算77兆円」等を参照にしている)。
■ワクチン
二〇二二年三月までに、ファイザー・モデルナ・アストラゼネカ等のワクチンを約二・三兆円、八・八億回分購入している。
国民一人八回接種する回数である。
ワクチンは二〇二二年八月までに約三億回分を接種しているが、これからどんなに接種回数を増やしても四億回分以上余るとされている。
ワクチンには有効期間がある(ファイザー一二か月、モデルナ九か月)。
ワクチンの値段は一本二七〇〇円とされているので、仮に四億回分が廃棄されたとすると、約一・一兆円の税金が無駄となる。
厚労省の発表では、すでにアストラゼネカのワクチン一三五〇万回分が廃棄されている。
最近の新聞報道でも、二〇指定都市でワクチンの在庫二二〇万回分が廃棄された。
こんごもオミクロン株対応ワクチン接種で、さらなる期限切れワクチンの廃棄が行われるだろう。
■アベノマスク
安倍首相が国民一人に二枚配布するとして、二・九億枚を総額二六〇億円で購入した。
しかし、八三〇〇万枚が在庫となった。
マスクの単価は発表されていないが、仮に一枚一〇〇円だとすると在庫の金額は八三億円である。
しかも、その保管費用が二〇二〇年八月から二〇二一年三月まで六億円。
さらに在庫八三〇〇万枚のうち、一一〇〇万枚が不良品とわかり、その検査費用が二一億円。
その後在庫は処分されたが、処分費用が〇・六億円。総額で一一〇億円ほどのムダ金が支出されたことになるだろう。
■医療関係
コロナ病床補助金は、感染症病床一床九〇〇万円、三〇床で二・七億円になる。
重症患者病床は一床一九五〇万円、一〇床で約二億円である。
空床確保料(空きベットでも補助金支給一日一床四〇万円)もある。
集中治療室一日三〇万円で月九〇〇万円。 
普通病床一日五・二万円で月一六〇万円になる。
その他の補助金も各種あり、公立・私立問わずコロナ専用病床にするだけで数億円が転がりこむ。
尾身茂が理事長を務める地域医療機能推進機構(JCHO)の五病院では、一〇〇億円以上の補助金が転がりこんだとされている。
コロナ村は笑いが止まらない状態だ。
■地方創生臨時交付金(コロナ交付金)
コロナ交付金は二〇年度、全国の自治体に四・五兆円配られた。
横浜市三二五億円、大阪市三一六億円、札幌市二四三億円が交付されている。
しかし、コロナ感染者ゼロの徳島県牟岐町三・六億円、感染者一人の静岡県松崎町四・三億円とコロナ感染と関係なく全国の自治体に配布されている。
使い道は感染予防対策とポストコロナ対策だが、多くの自治体では予算を使い切れず、コロナ対策以外に使用している。
グランド整備のトラクター購入、町の幹部の公用車購入、ごみ袋を全世帯に配布、着ぐるみの制作など、全国の自治体のずさんな予算の使い方が報道されている。
コロナ交付金は二〇二一年度までに総額一五兆円が計上された。
会計検査院の抽出調査では、不適切な支出が七・三億円以上あることが判明している。
しかも、事業効果の検証が行われていない自治体が半数以上もあり、検証を行った自治体でも結果を公表していないところもあるという(二〇二二年一一月一八日付読売新聞)。
■持続化給付金
持続化給付金は二〇年度、売り上げが減少した中小企業に四・二兆円、四〇〇万件以上が配布された。
配布事業は経産省→サービスデザイン推進協議会(サ推進)→電通→電通グループ→各配布事業者と行われた。
経産省は六六九億円でサ推進に委託し、サ推進は六四二億円で電通に再委託し、電通は電通グループ会社に外注した。
そこから、九次下請けまで五四五事業者が関係し、巨額のピンハネがされたという。
■詐欺・不正受給
最近の新聞報道でも、コロナ予算の詐欺や不正受給が報道されている。
GoToトラベル中止で、国の旅行予約キャンセルへの事業者補填のうち、一万件二億円が不正請求だったことが会計検査院の検査で判明した。
また、企業が従業員に払った休業手当を国が補助する雇用調整助成金は、延べ約七〇〇万社が計六兆円を受給したとされるが、多額の不正受給が発覚している。
■巨額な使途不明金と国家財政のモラルハザード
政府が国会に使い道を報告したコロナ予算一二兆円のうち、用途が特定できたのは六・五%八〇〇〇億円強で、残り一一・二兆円は何に使われか不明であった(四月二三日付日経新聞)。
政府はコロナ予算が投じられた一〇〇〇事業で、予算がどのように使われたかまともな検証をしていない。
二〇二一年度の国家予算の一般会計は一〇七兆円、補正予算三六兆円で総額一四三兆円。
補正予算三六兆円のうち、コロナ予算は一九兆円である(ただし、前年度の残り三一兆円と合わせて五〇兆円となる)。
二〇二二年度の国家予算の一般会計は一〇七兆円で、補正予算は三〇兆円規模になるとされている。補正予算額はコロナ前までは年数兆円規模であった。
それがこの三年間、コロナを奇貨として年数十兆円規模の補正予算が組まれ、国家財政のモラルハザードが続いている。
「日銀は紙幣印刷所」(藤巻健史)となっている。
■「コロナ戦争」という有事演出し、戦時財政へ
アジア太平洋戦争中、一般会計と臨時会計の合計に対する軍事費の割合は、満州事変前は二七〜二八%台であったが、満州事変が始まった一九三一年以降には三一%となり、その後次第に増加して日中戦争前年の一九三六年には四八%に達した。
ところが日中戦争が始まった一九三七年には六九%となり、一九四四年には八五%にまでなっている(木坂順一郎『昭和の歴史7 太平洋戦争』)。
二〇二〇年度の総額予算一八〇兆円のうち、税収は六三・五兆円で三五%、一一六・五兆円六五%が国債=借金である。
総額一八〇兆円に対するコロナ予算七七兆円の比率は四三%。
これはすでに戦時財政である。
政府は「コロナ戦争」という有事を演出し、戦時財政へと移行して歯止めのない財政支出へと踏み出した。
「過去を総括しない日本」(酒井啓子)である。
政府はコロナ予算を検証することなく、財政破綻へと突き進むだろう。


Posted by sho923utg at 18:23│Comments(0)