「……今回の旅行、楽しめただろうか?」

「ええ、勿論です。お料理も素晴らしかったし、温泉も良かったです。ただ……」

「うん?」


<注意>男同士の話、オトナ推奨。大丈夫だったら「続きを読む」へGo!

 

#2

「はぁ、楽しかったぁ~」

 黒坂の家に上がらせてもらった湊川は、そう言いながらお土産を床に下ろす。

久し振りの旅行ではしゃいでしまい、ついつい買ってしまったものだった。

誰かにあげる宛ては特にない。

「それでは、これは病院に持っていこうかな」

「いいですね。個包装だから、病院の皆さんに配りやすいですよ」

「きっと皆、驚くだろう」

 くすくす、と黒坂は笑いながら手にしたお土産をテーブルの上に置いた。

「私が旅先からお土産を買って帰ってくるなんてね」

「そうなんですか? でも、先生って意外と皆さんに気を遣ってケーキとか差し入れるじゃないですか」

「意外と、というのは失礼だな」

 黒坂はそう言うと湊川の隣に座り、腰を抱き寄せた。


「……今回の旅行、楽しめただろうか?」

「ええ、勿論です。お料理も素晴らしかったし、温泉も良かったです。ただ……」

「うん?」

 湊川が何を言いたいのか分かっているのだろう。

恥ずかしそうにもじもじし出した彼の目元にキスを落とし、腕の中に包み込んだ。

 湊川はそうしてもらいながら、胸の中で小さく溜息をつく。

「ただ? 何か不満でもあったのかな?」

「不満じゃないんですけど……いえ、不満かな……先生が旅行中ずっと俺の事を襲ってくるから、腰がちょっと……」

「私は堪能させて貰ったよ」

「う……」


 湊川は思い出す。

旅館に着いたと思ったら襲いかかられたこと。

誰も居ないから大丈夫、と言われて露天風呂で襲われたこと。

 外だというのに、ついつい交わり合ってしまったのは黒坂の所為ばかりではない。

自分だって、熱い行為に飢えていたのだ。


「……不満は、腰の調子がおかしいというだけです。えっと、その……えっちな事も一杯しちゃいましたけど、先生との温泉旅行は愛情が詰まってて嬉しかったです。幸せでした」

 目元を染め、黒坂を見上げる。

相手は優しい笑みを浮かべながら頷き、唇を重ねてくれた。

「愛してる……今すぐにでも襲いかかりたいくらいだよ」
 

<完>

こちらの話は、「夫は産婦人科医に犯されて・3」の後日談でした!
ご興味ありましたら、是非本編の方もよろしくお願いしますっ。 


 
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