2006年06月25日

超久しぶり更新曲〜最近読んだ本〜

最近なぜか気力不足で、ものすごい放置しっぱなしになってました。自分を律するために更新しますが、とりあえず最近読んだSFを二冊。

グリュフォンの卵(マイクル・スワンウィック、小川隆・他訳 ハヤカワ文庫SF)

スワンウィックは、日本ではあんまり露出度の高くない作家のような気がします。八十年代から活動をしており、長編も何本か出しているのですが、邦訳されたのは『大潮の道』一冊のみ。
というわけで、あまりよくスワンウィックの作風とかよくわかってないので、適当なコメントになります(今までが適当でなかったか、というと、全然そんなことはないのですが)が、ご了承を。
作者本人はディレイニーやウルフを尊敬していたそうですが、いわれてみればそんな雰囲気もします。管理人が感じた第一印象では(デビュー時期は前後しますが)ジョン・ヴァーリイのそれに似ているような気がします。
内容は、というと、ファースト・コンタクトもの(『スロー・ライフ』『死者の声』、『ギヌンガガップ』も一応)、タイム・トラベルもの(『ティラノサウルスのスケルツォ』『時の軍勢』) と割とオーソドックスなものや、『クロウ』『犬はワンワンと言った』『世界の縁にて』といったポスト・サイバーパンクっぽい作品、ちょっとヴァーリイっぽい『グリュフォンの卵』『ウォールデン・スリー』と、SF的オリジナリティというより、文才で魅せるタイプの作家だと感じました。
アメリカではポスト・サイバーパンク作家として位置づけられているスワンウィックですが、時にはっとするほどオーソドックスなSF臭を漂わせるところがなんかいいです。(以後ネタバレ)特に、『時の軍勢』の結びの一文ですが、(原文ではどうなっているのかわからないんですが)クラークの『この世のすべての時間』そのまんまだったりするのは、ちょっと作者本人に訊いてみたいところです。

レフト・アローン(藤崎慎吾 ハヤカワ文庫JA)

藤崎慎吾の第一短編集です。
この作者に関しては、一度お会いしたことがあった(のみならず、管理人の書いた作品も読んでいただいた)ということもあり、少し思い入れがあったりします。
作家としては少し遅咲きだったということや、一時海洋学の研究に携わったり、科学誌の編集をやっていたということもあって、管理人好みのかっちりした文体を書く作家です。
長編『クリスタル・サイレンス』『蛍女』もそうですが、ハードな世界観をベースにしながら、あくまでも人間に焦点をおいた作風は、ときにセンチメンタルにも感じられることもあります。それがまた作者のオリジナリティになっています。
各作品の寸感など。

・『レフト・アローン』…『クリスタル…』の数年後の火星を舞台にした、サイボーグ兵の話。「ヴァーディグ」という知覚インターフェイスの使い方が効果的。

・『猫の天使』…というと、神林長平の作品みたいですが、そこまでディックな感じではないです。世界を認識する方法の違い、というと、やっぱり神林っぽくなりますが、どちらかというとイーガンっぽいかも。

・『星に願いを ピノキオ二〇七六』…『レフト…』と同じく、『クリスタル…』の後日談的作品ですが、これもイーガンっぽい話。ただ、イーガンほど乾いた感じはせず、『濡れたイーガン』といった感が。

・『コスモノーティス』…ナノテクとバイオテックにより宇宙空間に特化した形態を獲得した人類の話。ちょっと『都市と星』を思い起こしました。ラストは科学的にちょっとおかしいのでは、とご本人にちょっと突っ込んでみました(申し訳ありませんでした)。

・『星窪』…ファースト・コンタクトもの。画家の手記、という視点が光ってます。ちょっと『2001年』と『地球防衛少女イコちゃん(マンガ)』の『宇宙の花火師アチャコ』の回を思い出しました。  


Posted by shoboyuski at 23:01Comments(0)TrackBack(0)