2006年03月14日

無理矢理更新曲〜『ホテル・ルワンダ』〜

『ホテル・ルワンダ』を観てきました。
当初日本での公開予定が無く、ネットでの署名活動で話題にもなったこの映画、月曜の昼の回に観に行ったのですが、観客のシニア率がやたら高かったのが印象に残りました。
さて、映画の話です。
2004年、南アフリカ=イギリス=イタリアの共同製作。1994年、ルワンダで100万人が犠牲となったフツ族によるツチ族の虐殺事件が起こりました。その中で、フツ族でありながら1200人以上のツチ族を匿い、命を救ったポール・ルセサバギナという人をモデルとした映画です。
すでに様々なメディアで紹介されているのであえて詳しい内容は述べませんが、とにかく重い。
 ドン・チードル演じるポール氏は、ホテルの支配人という特権は持っているものの、臆病で、時に卑屈にすらなる、ごく普通の人間として描かれています。実際のポール氏は、時に民兵や将軍と渡り合うことも辞さない、押しの強い人だったそうですが、そうしたヒーロー性、超人性は、この映画からは微塵も感じられません。この改変により、観客は「あの人は特別だから」という逃げを打てなくなりました。「あなたは、同じ立場にいるとき、彼のような行動がとれるか」という問いに真剣に答えなくてはならない。傍観者として観る事が許されなくなったのです。
 監督のテリー・ジョージはまた、他者への無関心と無理解、そこから生じる暴力的な差異化と画一化が悲劇を招くことを執拗に観客に突きつけてきます。
劇中、ホアキン・フェニックス扮する外国人ジャーナリストがポール氏に漏らします。
「我々がこの(虐殺の)映像を流しても、(先進国の人間は)『怖いわね』といって食事に戻るだけだ。」
他者(ルワンダ)への無関心に対する非難。また国連軍大佐がポール氏に語る言葉。
「君の信じる西側の超大国は、君らはゴミで、救う価値もないと思っている…『ニガー』ですらない。だから軍は撤退する。虐殺を止めもしない。」
ルワンダから外国人だけが撤退していくくだりで、不覚にもボロ泣きしてしまいました。世界がルワンダを見捨てた瞬間を、象徴的に切り取った名シーンになってます。
 映画はルワンダ虐殺事件の全体というより、ポール氏個人に焦点を当てたつくりになっているので、ポール氏周辺以外の人物の描写についてはどうしても『差異化と画一化』から逃れられません。パンフレットは、映画としてやむを得ず切り捨てられた部分を良く回収しています。例えば劇中では個々人が掘り下げられることのなかったフツ族民兵。彼らのなかには知り合いのツチ族をホテルに預けていた人間もいたそうです。画一的な加害者としての顔の裏で、さまざまな事情が存在することを匂わせるエピソードだと思います。
 ポール氏の脱出をもって映画は一応の幕を降ろしますが、語られるべき物語はまだ沢山あるようです。



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この記事へのコメント
ぬぅ、ショボさんが涙するとはよっぽどですね・・・(ショボさんを何だと

昔見たドキュメンタリーで、ラジオ放送が虐殺に深く関わっていたこととか、フツ族とツチ族の夫婦の話とか、凄いお話が沢山あって驚いたのが記憶にあります。

近くで上映されるようになったら是非とも見てみたい作品ですね〜。
Posted by つぶあん at 2006年03月15日 23:20
どもー。レス遅れて申し訳ありません。
僕は自分で言うのもなんですが相当涙もろいので、僕の涙は信用しないほうがいいです。
史実に必ずしも忠実なわけではないですが、エッセンスを感じ取ってほしい、という性格の映画でした。
是非ともご覧下さい! 
Posted by しょぼ at 2006年03月22日 19:04