2004年11月

将棋の日

 昨日録画しておいた「将棋の日」を、ゆっくり観戦。羽生、佐藤の十秒将棋には、興味津々だった。思ったんですけど、羽生さんって、本当に根っから勝負師なんですねえ。「力で来いと」定跡が開発途上の相振りを選択して、なおかつ、最初から、全然秒読みを待たず超速度で指して、気合でも圧倒していた。
 「羽生さん、本気だよ」と思ってしまった。席上の余興対局であっても、どのように指せば、自分が勝ちやすいのかを、しっかり考えている気がする。ああいうところでも、決して隙を見せないシビアな対局姿勢。そして、あの残酷極まりない投了図・・。
  誰か言っていたような気がするが、本当の激カラ流は、丸山さんでなく、羽生さんなのかもしれません。とはいえ、あのさわやかな外観のうちに潜む、強烈な勝負師魂が、自分はたまらなく好きだったりする。将棋指しは、ただの「良い人」じゃつまらない。
 それにしても、谷川さんも、負けた本人目の前にして、「安用寺さんも、羽生さんに完膚なきまでに叩きのめされましたから」って。あんなこと言われたら、実際負けたこと以上にコタエルぞ。谷川さんも、ものすごくデリケートなようでいて、グサッと来る一言をポロッともらすところがあるような。
 解説していた森内さんは、本当に明るくて人のよいキャラクターだ。ああいう性格が、勝負師としてマイナスなんじゃないかと思った時期もある。しかし、次の一手名人戦では、完全に度胸の据わった自信にあふれる対局ぶりで、対局と普段を、完全に使い分けるすべを心得ているようなので、今は必ずしもそうとも思わなくなった。
 ところで、森内vs谷川戦の終盤って、正確に指すと本当はどっちが勝っていたのでしょう。ものすごく面白かったのだけど、真相が藪の中のまま放送終了してしまった感じで、気持ち悪く思ったのは、たぶん自分だけではないだろう。
 倉敷藤花は、清水さん奪取。個人的には、中井ファンなので残念。動画中継していたようですが、メジャータイトル戦でも、できないものでしょうかね。アクセス数考えると、無料では無理なのかもしれませんが。

JT杯日本シリーズ決勝

 有楽町まで出向いて、JT杯決勝見てきました! 本来出不精なのだが、解説に「加藤一二三」の名前を見つけてしまった以上は、これは行かねばと即決心した。加藤先生は、なんと言っても個人的には、永遠のアイドルなのだ。
 とにかく楽しいイベントでした。JT杯の前に、小学生の大会の決勝が行われたのだが、これが大変な拾い物。特に、高学年の部の将棋がすごかった。片方の子が(名前を失念してしまった)「ここまできたら、絶対に勝ちたいです」と、かわいらしくも強い口調で宣言すると、対戦相手の佐々木君は「ぼくは、負けないように戦います。」と冷静に切り返す。あの年齢にして、勝負師としての受け答えがすでにできている。末恐るべし。
 将棋は相穴熊の熱戦で、どちらも容易に崩れず、一進一退の攻防を繰り広げた。加藤先生も感心することしきりで、「ホォーホォー」とか「イャー」とかいう独特の加藤擬音語を連発して、会場を沸かす。
 最後は、佐々木君が、相手玉を詰ますむしかないという局面に。加藤先生も、一瞬詰みを読みきれなかったのだが、さすがにすぐ、「この手が有力ですね」といって、指差し棒で、持ち駒の金を74に打つ手を指摘。その瞬間、佐々木君がその通りの着手。会場からは、どよめきと感嘆の声が。本当に強い。結局、きれいに詰まして、佐々木君の勝ち。会場も、大満足の熱戦でした。小学生たちも、和服姿で対局したのだが、凛々しくもかわいらしくてよかった。
  JT杯のほうは、久保がゴキゲン採用に、佐藤が「丸山ワクチン」で対抗する形に。久保が攻め込むが、佐藤の角打ちからの鋭い切り返しが決まり、一気に佐藤優勢に。ただ、そのあと、千日手含みの場面が出現。加藤先生が、すかさず、「これは、我々は大慌ての場面になりましたねえ」と、ツッコミ、時計を見つめるしぐさ。本当に、楽しくて憎めないキャラクターである。結局、佐藤が、打開し、その後久保に疑問手も出て、最後は、佐藤が一方的に攻めつけて、勝利をものにした。加藤先生の解説は、楽しい上に、具体的に手をどんどん言ってくれる「親切」な解説である。絶対に、安易に「どうするんでしょうね」とか言わず、必ず、自分なりに手の候補を示そうとする姿勢に、誠実さとプライドを感じた。
  二人の対局姿も、テレビ上で見るのとは、違う迫力があった。もともと、二人ともルックスはよいので、和服姿も引き立つ。久保さんは、長髪で、したたかでクールな刺客といった趣でかっこいい。一方、佐藤さんの、小刻みに体を揺らしながら、顔に青筋を立てて、読みを確認していく姿は、迫力満点。全身から、強烈なオーラが出ていて、あれは実際に生で見ないと絶対よく分からないと思う。
 時間をかけて出かけた価値は十分すぎるくらいあった。ぜひ、また、東京で実施してもらいたいものだ。大満足して、帰路についた。 

竜王戦第四局第二日

 イヤー、渡辺さん、かっこいい勝ち方しましたねー。終盤の切れ味を見せつけました。第一局といい、本局といい、良くなると、相手に付け入るすきなく、バッサリ切る芸がある。ましてや、相手があの森内さんなのに、まったく粘る余地を与えてないのはすごい。そういえば、王座戦で、羽生さんと戦った時にも、85飛車型で、あっという間に寄せきって羽生さんを圧倒した対局のことを思い出しました。どうも、押したり引いたりする終盤戦というより、良くしたら一気に踏み込むタイプの終盤だという気がするのだけれど、どうなんだろう。とにかく、森内さんにとっても、ちょっと隙を見せると、たたき切られてしまう恐れがあるというのは、心理的にプレッシャーになるだろう。
 37歩は、「研究」でなく、対局中にひねり出した手だそうだ。その点でも力のあるところを見せましたね。あの手は、ヨワーイ素人の自分にもいかにもよさそうに見えた。具体的読みの根拠が大してなくても、いかにもよさそうな手というのが、将棋には確かにある。
 ただ、森内さんも、画面から見ているかぎり、そんなに動揺したり、参ったりしている様子はない。本当に、第五局以降の展開が楽しみだし、予想もしにくい。一局一局、どちらが勝つのか、すごくスリリングなタイトル戦になった。延々と続く中終盤のねじりあいも見たいのだが、どちらも、よくなると、きちんと勝ちきるのがうまいようなので、なかなかそういう展開にはならないのかもしれません。
 渡辺さんが、間違って森内さんの草履を履いてしまった事件があったのだが、渡辺さんは森内さんに、特に謝ったりはしてないそうだ。森内さんは、「一言もないんですよねぇ」と言ってるそうである。勝負している相手に意識的に謝らないようにしているのか、あるいは、深く考えずに、単にそんなこといちいち言う必要はないと思っているのか。前者だとしたら、勝負師としての基本的資質があるということになるのかもしれないが、なんとなく、後者じゃないかという気もする。意外にアッケラカンとした彼のキャラクターからして。

竜王戦第四局初日

 あいかわらず、ものすごく早い進行ぶり。渡辺さんの、度胸のよさと意志の強さを感じる。あまりに早く指すと、外野からとやかく言われそうだし、また連敗中なのに、自分のスタイルを貫き通している。やはり、大物だ。
 BSで、渡辺さんが、朝食をバイキングで食べたいがために、自室に取り寄せずに食堂に出向き、なおかつ、お代わりして二皿ペロリと平らげたエピソードが紹介されていた。なんといっても、まだ、若いからねえ。そういえば、日記で「あいのり」を見た話を書いていたし、外見や物腰や将棋の老成ぶり(失礼)とは異なり、中身は、二十歳の若者なのだ。そういう、なんというか、二面性のようなものも、今の彼の魅力ではある。
 解説の久保さんが、自分たちの世代は、若い時は、序盤研究より終盤の腕力が重要だったといっていた。言外に、渡辺さん(世代)の、ギリギリの終盤力本当はどの程度のものか、まだ半信半疑だというニュアンスが感じられる。しかし、本局でも、いわゆる「終盤力」の勝負には、なりそうもない。そういう将棋の展開にもっていくのも、現代的な将棋のスタイルということなのかなあ。
 竜王戦倶楽部の「よみなお日記」を読んだら、前局で、渡辺さんは「87桂成らずしかないようでは、自分は受けきれる」と判断していたらしい。別に「見落とし」という、ネガティブな受け止め方ではなかったようだ。やはり、大局観に、人とは異なる非凡なものを持っているのかもしれない。
 あるいは、超楽観派で有名な中原先生と通じるものがあるのやも知れません。基本的に楽天的なのが、超大物の条件だという気もするし。

銀河戦伊藤能vs瀬川アマ

 銀河戦で注目を集めている瀬川アマ登場。しかし、伊藤能さんの気合がすごかった。序盤早々から、羽生さんを思わせるグリグリの手つきで、闘志を前面に現していた。プロのプライドを、正面から出していて、見ていて心地よい。
 伊藤能さんは、三段リーグを年齢制限ギリギリで抜けたことで有名。それだけに、プロとして指せる誇りとありがたさを、他の棋士以上に強く感じているのだろう。だから、瀬川さんも三段リーグにいたとはいえ、あるいは、それだからこそ負けられないという気持ちで対局に臨んだのではないだろうか。
 瀬川さんも、いまや強いのは有名で、プロが負けても、もはや「事件」とはいえなくなっている。しかし、あえて、必勝の気構えで対局している伊藤能さんの姿は、とてもすがすがしくて気持ちよかった。結局、瀬川さんの軍門に下ってしまったのだが、対局終了後の、無念さを全く隠さない心底ガッカリした姿にも、ある種の美しささえ感じた。
 ただ、将棋の内容は、瀬川さんの完勝。本当に強い。鬼の三段リーグを抜けられなかったのだが、一度プロになっていたら、多分どんどん勝ちだしていたんだろうなあというのが、率直な感想である。確か、木村さんも、プロになるのはかなり遅かったが、その後は勝ちまくっているのを想起してしまう。しかし、勿論そういうことを、結果論的に外野がどうこう言っても仕方ないのは事実。それが、人生だといってしまえばそれまでだが、しかし、これだけ勝ちまくると、何とかならないのかなあと思うのも、人情でしょう。 

竜王戦渡辺さるさる日記

 竜王戦第三局について、渡辺さんが「さるさる日記」で書いているのを読む。具体的な読みの内容も紹介されていて、すごく貴重で、ファンにとって、ありがたいものだと思う。特に、87桂成らずの強襲を、「全く考えてなかった」と素直に認めているのには、ちょっと感動してしまった。普通なら、「それも一応考えていたんですけどね」、ぐらいに誤魔化すところなのに。
 しかし、一方的に森内さんが攻めているように見えたが、渡辺さんの読みの紹介を見ると、結構難しい変化も潜んでいたんですね。プロ将棋のすごさの一端を痛感する。負けても、悪びれずに、ちゃんと報告してくれる渡辺さん、えらいぞ!次局以降、是非頑張って欲しいという気持ちになった。
 作家の坂口安吾が、かなり昔の大山VS塚田のタイトル戦について書いていた。当時の大山は、日の出の勢いで、自分がタイトルとって当然という雰囲気を<イヤミなくらいに明らかに回りに示していたそうだ。それを塚田が阻んで、意地を見せたのだが、大山はそれを苦い教訓として、謙虚に対局に臨むようになり、その後、大名人になった由。今の渡辺さんには、傲慢さは全然ないが、なんとなく、普通にやれば今回タイトル取れそうだと思っている様子も無きにしもあらずだという気がする。
 渡辺さんが、将棋界の次代を担うのは、まず間違いないと思うが、万が一今回苦杯を喫するようなことがあっても、成長の糧にしっかりするだろう。順風満帆がよく似合う羽生さんと違って、色々苦労を重ねた上で、大成していくタイプのようにも思う。無責任な言い方ではあるが。
 

竜王戦二日目

 どうも、森内さんの良さばかり目立っている感じ。渡辺さんは、先手番なのに、それを生かせない展開に持ち込まれ、なおかつ、鋭い攻めをくらって防戦一方。こういう場合、「負け方」も重要なのだろうが、本局に関しては渡辺さんのいいところを、何か見つけるのもむつかしい。
 島解説によれば、渡辺将棋の長所は、大局観の明るさということなのだろうが、作戦面でうまくいかないと、難しいということなのか。
 一方、森内さんが本当に強いということなのかもしれません。緻密きわまりない序盤戦と、深くて正確な読みに裏づけされた強靭な中終盤の指し回し。二日制で、羽生さんを圧倒していたのが、ダテやスイキョじゃないじゃなかったと証明しているのかもしれない。
 二局目の事前インタビューで、渡辺さんの印象を聞かれて、「ものすごく大人だという感じがします」、といって、独特のイタズラっぽい様子でカラカラと笑っていたのが印象的だった。あの時、なんとなく、森内さんは、心の底ではかなり自信があるのではないかと感じた。一局完敗した後なのだが、羽生さんなどと比べたら、そんなに恐れずに足らないという気持ちをくみとってしまったのは、自分の深読みかもしれないが。
 まあ、とにかく最後まであきらめずに戦ったのが唯一の救いというのでは、渡辺さん悲しいぞ。次局以降に期待したい。「森内強し」だけでシリーズが終わったら、チョットつまらない。しかし、そうなりそうな予感もしてしまう、森内さんの充実ぶりではあるが。

竜王戦初日

 竜王戦第三局初日。BSの解説は島さん。渡辺さんは、感覚とか反射神経に優れていて、森内さんたち羽生世代の、深く読みきるタイプとは全然違うと話していた。なるほど、島さんらしい明晰な分析だ。渡辺さんは、先日のNHKの解説を聞いても、さるさる日記を読んでも、全てのことに「あかるい」バランスの取れた感覚の持ち主だという気はする。
 同時に島さんは、「地力では森内さんが上」と、さりげなく言っていた。島研で、羽生世代の読みの深さを思い知らされているであろう彼の実感に裏打ちされた発言だ。但し、渡辺さんの「読む」能力が、実際に、どのくらいのものかは、この竜王戦で明らかになってくるはず。島さんが、評価を覆すようなことになると面白いんだけど。そういう意味でも、本局は是非中終盤のねじりあいの展開になって欲しいものだ。

王将リーグ羽生vs久保戦

 土曜日に録画した銀河戦を見ながら、王将リーグの羽生・久保戦のネット中継を横目で眺めてました。ところが、王将リーグのほうの終盤がムチャクチャ面白くて、そちらに途中から目が釘付けになってしまった。将棋というゲームの終盤って、本当にスリリングでたまらないものがあります。存分に堪能させてもらいました。それにしても、羽生さんの72銀成タダ捨てはカッコよすぎたー。いつまでたっても、ああいう手が出ると「マジック」といってもらえる羽生さんはシアワセだ。
 自分はアマ低段程度で、ただ見てるだけではよく分からないので、将棋倶楽部24のチャット中継を、同時に開いて見ています。24のアマも相当強いので、基本的な手の予想や意味は、しっかりしてくれる上に、プロの終盤を見切るほどの力はない(失礼)ので、ある意味、丁度良い程度の解説だともいえる。プロが解説すると、あまりに勝ち負けがハッキリ分かって味気ない場合もあるからね。ハラハラしながら、自分でも手を読む「努力」は一応しながら観戦できます。
 毎日さんも、王将リーグ全戦ネット中継とは、頑張ってますね。ついでに甘えて言ってしまうと、名人戦の本戦七番勝負だけでよいから、無料中継して欲しいなあ。竜王戦も、現にそうしてるし、何しろ将棋名人戦といえば、野球の日本シリーズみたいなものですからねえ。将棋がマイナーでないことを立証するためにも、名人戦だけは、広く将棋ファンに公開して欲しいといったら虫がいいのかな。
 ちなみに、銀河戦の神吉・佐々木戦は、神吉さんの居飛穴崩しが見事でした。いかにも、プロらしい振り飛車に感心させられた。もう少し勝ち続けて、決勝トーナメントで、トップ棋士と対戦するのを見てみたい気がする。解説の植山さんも、いかにも人柄のよさがにじみ出ていて、落ちついたグッドな解説ぶり。

「旬の」渡辺明

 ヘボのアマチュアが、プロの棋戦をテレビやネットなどを通じてみた感想を、無責任にブログしていくつもりです。
 昨日は、近将道場での近将カップの決勝を生で観戦。渡辺明対杉本昌隆。ほぼ三時間に近い熱戦の末、渡辺六段が二連覇を達成しました。ライブで短時間の将棋を見れるのはこれだけ。ファンにはたまらない企画である。ネットでの感想戦を見ても、渡辺六段は、自分の将棋にかなり自信を持って指しているのではないかという印象を受けた。
 今日のNHK杯の解説にも渡辺登場。今週は竜王戦もあるし、渡辺さんの顔ばかり見ることになる。(別にイヤだという意味ではありません。)要は今、旬の棋士ということだろう。解説は非常にこなれた明晰な話しぶり。多くの棋士が千葉さんの鋭いツッコミにタジタジとなるのに。何を言われても、即座にはっきり答えが返ってくる。たぶん将棋指しになってなくても、何でもできる人なのでしょう。将棋指し以前に、人間として聡明といったら褒めすぎか。
 その点では羽生さんに共通するものを感じる。人間的には二人は全然タイプは違うのだが、二人とも人をひきつける華みたいなものが確かにあるように感じる。一度王座戦で戦ったわけだが、近い将来大きい舞台で雌雄を決する時が来る予感が。
 まあ、それより何より竜王をまずとらないとね。森内さんも、簡単にタイトルを譲ってくれるようなヤワな相手じゃないし。渡辺竜王の新時代を期待する気持ちが半分、森内さんに意地を見せて欲しい気持ちも半分といった感じです。
 しかし、森内さんもやりにくいだろうね。ニューヒーロー誕生を期待する空気とも戦わなきゃいけないから。どうも、森内さんには不利な役割ばかり回ってくる気がするのだが。
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