2005年04月

朝日オープン第二局と第一局


 朝日オープン第二局。羽生四冠の大逆転劇らしい。実際、小生のような弱いアマでも、山崎さん、何か他の寄せ方あったんじゃないの、って言いたくなるようなところもあったりする。でも、渡辺竜王が、朝日のサイトの解説で言っていた通り「(羽生さんの強さは)実際に指してみないと分からない」っていうことなんでしょうね。名人戦第一局もそうだったが、指し手一手一手の優秀性というよりは、常に最高レベルを維持する持続力とか、相手の心理のイヤミをつく生得の能力とか、チェンジペースとか、総合的な力がすごいんでしょう。本局など、例えばプロなら、どんな弱い人でも、山崎がこけただけで自分なら勝てた、とか思ったりするのかもしれないが、実際に盤をはさんでみないと分からない部分が間違いなくあるのだろう。もっとも、羽生さんも、今日の将棋に満足していたとは思えないけれども。

 第一局では、羽生さんの5六角が話題になってました。「研究手で、やってみたかった」そうである。でも、渡辺竜王も、森内名人も、あの手が本当に有効な手段なのかについて疑問を呈していた。序盤の感覚では、トップ中のトップのお二人がいうんだから間違いないだろうし、羽生さんもある程度その辺のことは分かっていたのでは。
 むしろ、あのようにいきなり動いて相手にペースを握らせないっていうのは、山崎六段の得意中の得意にするところである。相手が得意にする手段を、自分が逆にやってのけることで、相手の得意なタイプの将棋を許さないという側面もあったのでは?勿論、プロは心理作戦だけでは指し手を選んだりはしないだろう。しかし、羽生さんの場合、単に将棋が強いだけでなくて、相手の性格とか特性を即座に見抜いて、ほとんど無意識のレベルで弱点をつくような勝負師の嗅覚があると思う。実際、山崎六段は「ずっと苦しいと思っていた」とコメントしていた。あのように動かれたら、例えば森内名人あたりだったら、喜んで咎めに行こうとするんじゃないだろうか。羽生さんの場合、相手を見て指し方を選んでいるという面も間違いなくあるような気がする。

 最後に、最近話題に上らないが、谷川さんについて。やっと、谷川さん、大厄を抜けたはずである。まだ、調子が戻っていないようだが、今後間違いなく調子を上げていくことを、ここに堂々と予言しておきます。私的なことですが、同年齢で去年大厄だった小生も、去年は実にいろいろなことがあったからなぁ・・・。今年は、谷川先生と加藤先生の年になることをとにかく希望するわけです。

名人戦第一局


 戦前から対局者二人の発言を聞いていて、最高の将棋が見られる予感はしていました。二人とも、内容のいい将棋を指したいという気持ちが一致しているようだったので。
 これまでなら、この二人の戦いが、即将棋界の第一人者を決定する戦いという意味合いが強かったわけですが、渡辺、山崎の出現で、二人とも同世代の感覚の合う人間と戦える安心感のようなものが多分あるのでしょう。勿論、二人とも勝ちたいに決まっていますが、自分たちの世代の将棋の最高傑作を残したいという気持に自然になれるような状況といえます。お互いにタイトルをとったりとられたした後の戦いなので、今までと比べればただ勝負だけにこだわらないでも済みそうです。森内さんにしても、羽生さんの反撃に守勢になって押され気味でしたが、名人一冠になると、むしろ開き直りやすいし、渡辺さんと戦うのと、羽生さんと戦うのでは、「負けられない」精神的プレッシャーは全然違うはずです。羽生さんも同様。なんと言うか、渡辺、山崎の存在が、今回の名人戦を内容重視の良いシリーズにするかもしれない原因になっているといったら、うがちすぎでしょうか。
 というわけで、今回はいい将棋が出来る条件が最初から整っていたわけですが、第一局は予想にたがわず素晴らしいものでした。特に衛星放送二日目の、島、行方の解説は、本当に面白かった。全然個性の違うお二人ですが、とにかくもったいぶらずにどんどん変化を述べるという点ではピタリと息が合っていました。プロの読みの、深さ、幅広さの一端を披露してくれたお二人に感謝。プロ将棋を見る楽しさや興奮を存分に味あわせてもらいました。
 結果的に大差になったわけですが、そこにいたる過程の密度の濃さを考えれば、やはり名局といってよいのではないでしょうか。6七金が、受けの決め手になったそうですが、あの手単独の勝利というよりは、森内さんの6四角に対する、7七銀のかえし技!など、羽生さんの強靭な指し回しが、森内さんの攻め急ぎを誘発したということでしょう。島さんも少し言われていましたが、6七金を出現させるに至る、巧妙な仕掛けがだいぶ前から続いていたともいえ、その全体の指し回しを「羽生マジック」と呼ぶべきなのかもしれません。安易に使われる「羽生マジック」ですが、本局のような、すごいプロセスを経ての「6
七金」のようにな一手なら、素直に「羽生マジック」だと納得できます。
 第二局以降も、最高の将棋に酔わせてもらいましょう。多分、こういう「安心感」のある格調の高いタイトル戦は、今後ますます見られなくなっていく予感もするので。

 とりあえず、久々に更新してみました。朝日オープン、加藤先生の講座(NHKと囲碁将棋チャンネル)もチェックはしているので、おいおい書きたいと思っています。勿論私が書くのは、将棋の内容以外のことです。
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