2007年12月

2007年の過ぎゆくも我が身何ら進歩の跡もなく・・・

将棋世界2月号、雑事の合間にちょっと手にとったら、止まらなくなって困りました。
真部一男追悼特集では、青野先生の記事で、酒場で真部さんと交わしたという「将棋における才能と努力」の話が一番印象的でした。全くタイプの異なるお二人が、こんな会話を交わしていたのかと・・。


来年こそは


ちゃんと将棋の勉強するどーー



誰しもが かく決意する 年の暮れ

by shogitygoo居士

それでは皆さま、良いお年を!

銀河戦 中座七段vs櫛田六段他、リンク集の体裁変更について

銀河戦の棋譜は囲碁将棋チャンネルの銀河戦Aブロックで

なんと櫛田さんは、この収録時点で、前棋士中勝率トップだそうです。四十過ぎていてフリークラスで、です。すごい、すごい。
何度でも書きますが、櫛田六段は、今時珍しく別に居飛車穴熊に組ませても平気で、なおかつ、実際ちゃんと戦えている棋士です。この戦いでは、先手の中座さんが居飛車穴熊、後手の櫛田さんが、得意とする△4四銀戦法という、クッシーファンには見逃せない形になりました。
中座さんは、角を5九から2六に転換し、櫛田さんは銀を5三にバックし、居飛車が飛車を2筋から他の筋に転じた瞬間に、△4四角とぶつけるという定石跡形に。私は、この手順を何年か前の櫛田さんの銀河戦で知って、特に△5三銀には、ちょっと感動してしまったものです。
中座さんが、▲7五歩と打って位をとり▲7六金と支えましたが、解説の小林宏六段によると珍しいそうです。確かに、形自体は決してよいとはいえないのですが、具体的に振り飛車側から動く順も難しそうでした。
▲7六金まで
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その後、中座さんが▲7八金と組み替えようとした瞬間を狙って、櫛田さんが△3五歩と開戦。その後も、一度△4三飛と、ちょっとつらそうな辛抱をしたり、かと思えば、思い切って△8八角成と切り込んだりして、絶妙のタイミングで指し手を選んでいる感じがしました。何しろ、居飛車穴熊相手なので、一歩でも間違うと暴れられてオワリなのですが、ちゃんと勝負勝負になる形にもっていきます。この辺が、居飛車穴熊と戦うコツなのでしょうが、やっぱり経験豊富な上に手が抜群に見える櫛田さんじゃないと、できないんだろうなあという気がします。
その後、櫛田さんが▲7六の金を、飛車でポロッと取る形になり、先手の悪形をとがめることに成功しました。後手が大きい駒得で優勢なのですが、ポイントとなったのは先手が▲6七銀と受けた場面。
▲6七銀まで
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聞き手の高群さんが即座に指摘したのですが、ここで△6九銀と一気に攻めれば、櫛田勝ちだったそうです。感想戦でも、例によって、櫛田流でどんどん手を具体的に調べていましたが、この場面でも全ての手順を研究した結果、どれでもはっきり先手玉が寄りだと判明。クッシー、悔しそうでした。
本譜では、大事を取って飛車をひいたために形勢がもつれました。最後は、やっぱり居飛車穴熊の遠さが生きる形になってしまいました。中座さんは、終始一貫粘り強い指し回しが見事でした。これで、櫛田さんは三連勝でストップ。決勝進出は、ちょっと微妙です。この後のブロックのメンバーを見ると、広瀬五段という、勝ちだしたら止まらなそうな人も控えているので、どうなるのでしょうか。
でも、とにかく居飛車穴熊に囲わせて、はっきり勝ちの場面にまでは持っていってくれていたので良かったのだとしておきます。

棋王戦の挑戦者は羽生二冠に。後手の羽生さんが採用したのが、なんと佐藤さんが得意とする、端歩突きこし型一手損角換わりダイレクト向い飛車(長いよ)でした。棋王戦の挑戦者決定戦で、しかも同時に佐藤さんが順位戦を戦っている日に(笑)。無論、作戦として有効だから選択しただけに違いありませんが、羽生さんは、なんとなく心理的な挑発のような戦形を選ぶことが多いように思えてしまいます。佐藤さんも、休憩中にこの将棋を見て、うなってしたようですし。他にも、久保さん相手に、三連続で、ゴキゲン相手の▲5八金右型の超急戦を誘ったり(笑)。
将棋は、阿部さんが馬をほぼ無条件につくって自陣にひきつける展開になったのですが、棋譜解説を見ていると、別に後手が悪いというわけではないようなので、もう、私のような弱いシロウトは、何を基準に形勢判断すればいいものやら、すっかりお手上げです。

A級順位戦、注目の谷川vs佐藤戦は、谷川先生が勝ち。終盤、シロウトが見ている分には、わけ分からないきわどい戦いに見えるのですが、棋譜解説を見ると、正確に指せば谷川先生がはっきり残しているようになっていたようです。まあ、そういうところで、谷川先生が間違えるわけがありませんからねえ。
普通だったら、佐藤さんはもう赤信号が点灯してもおかしくないところのはずですが、この後、行方、久保戦と残していて、まだ自力残留とのことで、運は残っている感じがします。佐藤ファンの方は、さぞヤキモキされているのでしょうが(笑)、はたから見ていると個人的にはさすがに本当に落ちることはないような気がするのですが、どうなるのでしょう。一番、佐藤さんに陥落して欲しくないと思っているのは、B1の棋士の面々ではないでしょうか(笑)。

将棋聖戦最終予選で、渡辺竜王が勝利して、久々の対羽生戦が決まりました。楽しみです。大事な戦いであることに間違いありませんが、仮に負けても、決勝トーナメントに残る可能性はあるという状況での対戦ではあります。是非見てみたいものですが、急遽ライブ実況というわけにはいかないんでしょうねえ。
今週の週刊将棋に、渡辺さんの竜王戦を振り返ってのインタビューがのっていました。今年は、いつになく負けがこんだわけですが、それを通じて将棋に対する考え方がだいぶ変わったそうです。「将棋は簡単に勝てるゲームではないことが分かりました。」とまで言っています。なんか、来年以降、さらに期待できそうな感じがします。

右の欄のリンク集なのですが、最近全く使っていませんでした。また、最近は、RSSフィードとか、アンテナという便利なものが出来ています。更新状況も分かって便利なので、将棋サイト用の個人RSSリーダーとアンテナを作成しましたので、これをリンク集の変わりにさせていただきます。これだと、登録変更なども、きわめて容易ですし。RSSフィードが可能なものは、RSSリーダーのほうに、RSS取得不能のものについては、アンテナのほうにのせてあります。また、将棋以外の記事が多いブログ等は、アンテナに掲載してあります。(区分が難しいので、適当に二重登録しているものもあります。)
よろしかったらご利用ください、っていうか、熱心な方なら、個人のリーダー類を既にお持ちなのに違いありませんが。なお、急いで作成したので、忘れているものもあるかもしれませんが、随時追加していく予定です。

NHK杯 藤井vs郷田、クリスマス・アルバム紹介等

Merry Christmas!!!(すみません、こんな出だしで。しかも、もう終わりかけているし・・。)

NHK杯は、藤井さんが面白い趣向を見せてくれました。
△3三桂まで
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その後の展開を見ると、これはこれで、十分立派に構想として成立しているのですね。将棋は深いです。最近藤井さんは、今いち結果が出ていないようですが、こういう作戦を用いるのを、苦し紛れだというのは、きわめて浅薄な見方でしょう。(別に誰もそんなことは言っていないわけですが。)
勝又清和さんの「最新戦法の話」で、いわゆる居飛穴を一直線に攻める狭義の「藤井システム」以外に、▲3六歩を居飛車が早く突くのに対しては、サッと玉を囲って三間飛車に転じて急戦に転じる指し方を紹介しています。(初期の話。)当時は、プロ棋士も「今回は藤井システムじゃないね」などと言っていたが、実はそれも藤井システムの一部だったのだと。勝又氏の表現を借りると「藤井は四間飛車の全てをシステマティックに再構築していたのです。」ということになります。
今回の藤井作戦も、そのシステム再構築の一環なのに違いありません。一時期穴熊を多用したりしていたのも、別に藤井システムが行き詰ったというようなちっちゃい話ではない筈です。藤井さんは、あれだけ厳しい勝負環境で戦い続けながら、四間飛車を含めた振り飛車の可能性の全てを模索している棋士だという気がします。
将棋世界12月号の、先崎学氏の「千駄ヶ谷市場」でも、王将戦の藤井vs石川の将棋が取り上げられていました。
△1三桂まで
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狙いは△4四角から△2六歩と垂らして2筋に飛車を転換して飛車先を逆襲ということだそうです。先崎さんが、自分ではこんな筋派百万年経っても思いつかないだろうと藤井さんに言ったら「新手一回。思いつかないほうが幸せ」といってニヤリと笑ったそうです。
そう、藤井さんは、狭義の藤井システムなどでは飽き足らず、常に新たな可能性を追求しているのでしょう。将棋世界の1月号では、例の佐藤流の二手目△3二金から△4一玉と寄った場面かがテーマ図になっていたのですが、藤井さんはこのように言っています。
△4一玉まで
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長い将棋の歴史の中でこれまで同じような手がほとんど指されていなかったのがビックリする。ありそうで、なかった形でしょう。居飛車党の人ももっと見たことのない手を指して欲しい。佐藤さんは偉いですよ。

居飛車の佐藤、振り飛車の藤井が、現代の升田幸三なのです。ただ、佐藤さんのシステムは個人限定の傾向があるのに対し、藤井さんの場合は振り飛車党にとっては、もはやそれなしでは考えられないシステムの域にまで高めてしまったのが、やはりとんでもなく凄いことだと思います。私は将棋に対する向学心が薄く、将棋の技術書をあんまり買わないのですが、藤井さんの出す本だけは。ほとんど無条件で買っています。無論、自分が振り飛車党だというのもあるのですが、どの本からも藤井流の強烈な「建築への意志」のようなものを感じ取って、自分レベルには消化しきれないところもあっても、読んでいて興奮させてくれるからです。
NHK杯でも、A級順位戦でも、郷田さんに苦杯を喫してしまいましたが、順位戦の方は、郷田さんの入玉を防ぐ寄せが最後にあったという惜しい将棋で、ものすごい激戦でした。同じA級順位戦での、対久保の相振り飛車も、実にスリリングな名局でした。
現代の将棋ファンにとって、羽生さんの将棋を見ることが出来るのも、藤井さんの将棋を見ることも出来るのも、優曇華の花が開くのを見ることが出来るくらい、稀有な喜びなのだと言っておきます。今更誰も言いませんが、現在の将棋界は、間違いなく第何期かの黄金期の真っ最中なのだと思います。

大和証券杯女流ネット最強戦では、ネット将棋の申し子といわれる里見さんが登場。私は、当日はライブでは見られなかったのですが、棋譜を見ると、実力者の斎田さんをふっ飛ばしてしまっていました。こういうのを見ると、この棋戦に関してだけは、どうも里見さんが、正々堂々の大本命優勝候補だという気がします。二回戦以降も楽しみです。


さてと、最後にクリスマスなんで、定番アルバムの紹介でもしておきますか。もう遅いような気がしないでもありませんが。

ナット・キング・コール メリー・クリスマス

ナット・キング・コールは、代表的な男性ジャズ・ヴォーカルです。暖かみのある声と穏やかで伸びやかな歌い方が、クリスマス・ソングにはピッタリです。特に「クリスマス・ソング」がマイ・フェイバリット。しっとりしたクリスマスを演出したい貴方にオススメ。

YULE STRUTTIN’  ブルーノート・クリスマス

タイトルは、ソニー・クラークの名盤「COOL STRUTTIN’」のパクリ、とかいってもジャズファンにしか分からないでしょうが。ジャズの名門レーベルのブルーノートのクリスマス曲集です。内容自体も聴き応えがあるのですが、ジャケットのハイヒールを履いた(今気づいたが、これも「COOL STRUTTIN’」のパクリだ)小悪魔風の超ミニスカサンタにフラフラ釣られて購入したことを、今ここに告白しておきます。興味のある方は、リンク先の画像でご確認ください(笑)。
大人のジャジーな夜を演出したい貴方にオススメ。

ザ・クラシカル・クリスマス ドイツ・グラモフォン

三大テノール他、名歌手名演奏家による名曲集。曲名を知らなくても、耳にすれば、聴いたことがあるという曲ばかりです。しかし「主よ、人の望みの喜びよ(イエスは変わらざる私の喜び)を作曲したバッハは天才(以上)としか言いようがありません。謹かで格調高い夜を演出したい貴方にオススメ。

ザ・シンガーズ・アンリミッティド  クリスマス

はっきり言って、今までのは前振りに過ぎませんでした。私が文句なく最高のクリスマス・アルバムだと思うのがこれ。アカペラ四人組の透明で洗練されたハーモニーによる小宇宙。とにかく一度聴いてみてください。にぎやかなパーティの場にも、二人だけの夜にも、一人夜更けにクリスマスをしみじみと味わうのにも、あらゆるシチュエーションにフィットするはずです。最終曲が終わって、次のようなナレーションが入るのがたまりません。

From the Singers Unlimited
Bonnie Herman, Don Shelton, Gene Puerling and Len Dresslar

Peace

藤井猛・鈴木宏彦「現代に生きる大山振り飛車」(日本将棋連盟)

結構前に購入したのですが、やっと読みました。真部一男さんの「升田将棋の世界」を読んで、升田、大山戦の棋譜がすごく新鮮でした。その勢いで河口俊彦さんの「大山康晴の晩節」にも手を出すことに。私のような一般ファンは、知らないことばかり、興味深いエピソードだらけでした。
たとえば、大山に戦争の赤紙が来たとき、あと何勝かで昇段できる状態で、寄贈も勧められたのですが、大山は戦うことを選択したそうです。普通、そういう場合は相手もさすがに配慮するものらしいのですが、なんと大山は一敗して昇段できなかったとのこと。大山は自分が嫌われていることを肝に銘じて、以降の将棋生活に活かした、というのが河口流の分析です。
大山以外でも、山田道美の若き日の姿も印象的でした。仲間の棋士とは異質な理想主義者で、赤線にいこうとする仲間を軽蔑し、加藤一二三とバッハのロ短調ミサのレコードを貸し借りしたなど。かつての文学の白樺派的な清潔感のある生き方だったようで、非常に鮮烈でした。
ただ、坂口安吾が若き日の大山に強い印象を受けなかった、と書かれていることだけには、安吾マニアとしては異議ありです。安吾は、風采の上がらない若き大山に、ほとんど冷徹といってもいいような勝負師としての線の太さや逞しさを、すかさず感じ取り見抜いていたので。例えば「勝負師」から。

大山にはハッタリめいたものがないのである。非常に平静で、それを若年からの修練で身につけたミガキがかかっているのである。兄弟子に升田のようなガラッ八がいて、頭ごなしにどやされつづけて育ったのだから、平静な心を習得するのも自然で、温室育ちという生易しいものがないのである。勝負師の逞しさ、粘り強さは、升田の比ではないが、大山がここまで育った功の一半は升田という柄の悪い兄弟子が存在したタマモノであったかもしれない。

私たちは毎日新聞の寮へ行って、酒を飲んだ。私はまだ二十七の風采のあがらぬこの小男の平静な勝負師が、なんともミズミズしく澄んで見えて、ちょっと一日つきあいたい気持ちがしたからであった。

さて、「現代に生きる大山振り飛車」。構成は、まず、中原、藤井、中川による大山座談会。第一章は、藤井九段による、大山振り飛車の戦形別分析(これがメイン)。第二章が、鈴木宏彦氏による大山エピソード。第三章が、実戦譜10局の解説です。
藤井九段による分析は、例によって体系的かつシャープです。現在の定跡形にもつながる指し方を、いかに大山が既に用いていたかを説明してくれます。例えば、棒銀対策の△4二金型の待機策など。しかし、大山の場合は、ある作戦を用いてうまくいっても、繰り返し使わなかったというのが、何よりもの特徴らしいです。定跡は当然研究されるので、それを嫌って、常にじっくりした力比べに持ち込もうとしたのだと。しかし、それでもそれほど深く研究したようでもないにもかかわらず、藤井九段の現代の眼から見ても通用する指し方を多くその場で見つけだしていたらしいのです。
河口氏の著作でも、一般に山田道美vs大山戦では、山田の徹底した序盤研究を、大山が中終盤の力でねじ伏せたというイメージがあるが、それは実は違うと指摘していました。それどころか、山田の研究に対して、大山は十分に序盤で対応して、良くすることも多く、それが大山の懐の深さ、したたかさだと。逆に、中終盤で山田が盛り返す将棋も多く、実は中終盤の力では両者にそれほど差はなかったのだという、きわめてプロ的な鋭い分析をされています。
居飛車穴熊に対しても、はじめて升田が現在の松尾流の原型とも言うべき▲7八金型の構えを見せたの対し、△5四銀型の、きわめて現代的な対応をその場でひねりだして見せたりしています。しかし、藤井九段に言わすと、居飛穴に対しては、何の工夫もせずに囲わせるのが本来の大山流で、超手数をいとわず延々と薄い玉形のまま受けまくって、力で勝ちきってしまっていたそうです。大山にしか出来ない指し方で、藤井九段も真似しようと思っても出来ないと感嘆しています。
最後の棋譜10局は、私も珍しくちゃんと盤に並べながら読んでみましたが、それだけでも大山将棋の逞しさ、得体の知れなさが、ほんの少しは理解できました。金が玉から離れていって、居飛車の仕掛けを手厚く受け止めながら、いつの間にか、離れた金銀が玉のほうに近寄ってきてしまう様子は感動的です。
それと、加藤一二三先生が珍しく居飛車穴熊を採用した一局も紹介されています。この戦いの直前に、加藤先生は生まれてはじめて居飛車穴熊を採用して、大山相手の王将戦で勝ったそうです。しかし、この二局目では、最後は、大山が金銀の分厚い体勢を築きあげて、穴熊を押しつぶすように完勝。多分、これで加藤先生は、居飛穴をやめる決意をされたのではないでしょうか。
この本を読むと、大山将棋の一端をなんとなく理解できたような気にはなりますが、各プロの証言を踏まえると、大山将棋のすごさというのは、本当には簡単には出来ないということのようです。藤井九段には、さらに多くの大山将棋を解説した実戦集を期待したいところです。
言うまでもなく「大山康晴全集」という化け物みたいな本があるわけですが、さすがに自分レベルには手を出す気にはならないし、この本を読んでしまうと、単にサラサラ並べるだけではとても理解できないだろうなあ、という思いを強くしてしまいました。

羽生1000勝といっても多分御本人には単なる通過点だよな、とか思っていたらやっぱり手が震えたらしい(長すぎるタイトル)

小生、名人戦棋譜速報には、実はカード支払いでなくても可能になってから、すぐこっそり(なんでだよ)入っておりました。ただ、有料コンテンツなので、取り扱いが今ひとつ分からず、本ブログでは意図的に取り上げるのを避けていました。まあ、これからは将棋の具体的内容には、あまり立ち入り過ぎない程度に雑談ぐらいはしようかなどと思っております。
で、加入した感想ですが、現在提供している内容は確かに月500円で十分満足できるものです。特に、中継担当者の献身的な努力と働きぶりは特筆すべきだと思います。順位戦全対局の実況と全棋譜に解説付き、さらに対局者の写真や対局情報満載の応援掲示板、過去の順位戦の棋譜と、本当に見るだけでも大変なくらいです。
但し、一応わがままな一ファンとして言っておくと、名人戦はいいとして、これが他棋戦にまで波及して、あらゆるタイトル戦が有料になったらイヤだなあなどと、余計な心配はしてしまいます。今回竜王戦第六局で、サーバーが対応しきれない事態になったのですが、それを理由に有料化というのだけは勘弁していただきたいものだと思います。無料で中継してくださっている新聞各社には、本当に感謝しておりますんで(ヨイショ)。
さらに、わがままついでに言うと、名人戦の七番勝負が有料でしか見られないというのはなんとかならないでしょうか。将棋の名人戦といえば、野球で言えば日本シリーズで、それが有料でしか見られないというのは、将棋のマイナー性を証明しているという見方も出来ますし。(ハイっ、実際マイナーじゃんとか言わないように。 笑)
例えば、有料中継と全く同一内容でなくて、本当に棋譜の中継だけでもやっていただくわけにはいかないでしょうか。有料の方には、棋譜解説や控え室情報や安定したサーバーという差別化を行っても構わないので、とにかく名人戦七番勝負くらいは誰にでも見られるようにしていただきたいものだと思います。
無論、ファンとしては全部ただでやってよ、といいたいところなのですが、一応スポンサーの立場も無理して考えると、タイトル戦だけは無料中継、それ以外の予選部分については付加価値部分を加えた有料というのが、将来的には、ひとつの形としてはあるのかもしれません。ただ、あくまで個人的には、現状維持でやってもらうことを切望していますが・・・。

前置きが長くなりました。名人戦中継に加入しているといっても、私は夜11時を過ぎるとオネムが入ってくる情けないオジサンなので、大抵結末は翌日ゆっくり見るという方式が多いです。しかし、昨日は頑張ってちゃんと最後まで見ましたよ(笑)。羽生vs久保戦については、私などよりもよっぽど熱心な将棋ファンの(笑)、梅田望夫さんが書かれています。そうなんです、最終盤で、何度も羽生さんの手が震えたというのを読んで、私もえらく興奮したのですが、きっとみんなそうだったんでしょうねえ(笑)。「アッ、渡辺さんとの王座戦以来かも」って(笑)。
最初に書きましたが、下手すると2000勝だってしかねない羽生さんにとっては、1000勝は単なる通過点で、そんなに御本人は緊張しないのだろうとか思っていましたが、やはり実際には大変なことなのでしょう。羽生さんも、そういう本当にギリギリの感じで勝負をしているところが好きです。吉増剛造氏との対談で、将棋にあまりに集中しすぎると、一瞬狂気の世界を垣間見る思いがすると「告白」していましたが、本当に将棋の限界を究めようとする羽生さんの将棋に対する態度はすごいと思います。単に目の前にいる相手に勝つためだけでなく、将棋の神様に認められるような将棋を指そうとしているようなところがあって。
それにしても、久保さん相手に三局連続で後手ゴキゲン中飛車に対する▲5八金で超急戦を誘うとは・・。久保さんもNHK杯では回避しましたが、今回は真っ向から超急戦を受けてたって負けていません。久保さんの△2四角は、実は最近の銀河戦で、豊島四段が指した手です。(囲碁将棋チャンネルの銀河戦Hブロックで閲覧可能)その時は打った角がどちらかというと守りによくきいて、特に▲1一龍が1三にひけないのが大きくて、豊島さんが勝ちきりました。これも結構有力なんじゃないだろうかと思ってみていたのですが。
王将戦でも、このお二人はぶつかるわけですが、絶対一回はこの戦形が見られるに違いありません。強い方は、よく予習されておいてください(笑)。

LPSA 1dayカップ ファンクラブカップ予選、佐藤康光@情熱大陸

LPSA 1dayカップ ファミリーカップ、やはり決勝に進んだのは、中井、石橋でした。しかし、準決勝は、どちらも結構苦戦したようです。
中井vs中倉彰子より ▲7二飛まで
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石橋vs北尾より △5六飛まで
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前者はともかく、後者はなんとここから石橋さんが逆転してしまいました。今日は、ほとんど生で見ることが出来たのですが、石橋さんの腕力というか悪力?というのは、本当に大したものです。最後は、両局とも大差での勝ち。やっぱり将棋は終盤力なのかなあ、と思ってしまいます。しかし、このLPSAの予選ひとつとっても、全体的に女流のレベルが底上げされて、トップが楽勝できなくなっていることだけは確かです。他の棋戦でも、トップがバタバタ負けていますし。
本トーナメントは、TAISENでライブ中継されています。ちょっとめんどくさいのですが、まずゲスト登録をして、バージョンアップされたソフトをダウンロードする必要があります。でも、無料で、いわゆる完全生のライブで、誰でも女子プロが解説しているチャットにも参加できるので、興味のある方は、23日(日)に決勝があるので登録されておくとよいでしょう。

情熱大陸をやっと見ました。まあ、当然将棋ファンとしては物足りないわけですが、逆に私のような(やや)将棋マニアが心底凄いと思うようでは一般向けとしては失格なのでしょうから、しょうがないところではあります。
それでも、印象に残る絵は結構ありました。佐藤さんは、緊迫した場面になると猛烈に咳き込むわけですが、トイレに駆け込んで胃液を吐く生々しい場面も、音だけですが映っていました。さらに、将棋に没頭するあまりに、何度も手前側にある女子トイレに入りかけるシーンも。ちょっとしたコントでした。プロの将棋指しの人たちは、対局中は皆一種の異常心理なのでしょうが、特に佐藤さんの場合は集中度が高いのだろうなあ、という感じがします。
佐藤新手の代表例としては、羽生さんとのタイトル戦でのあの何度見ても衝撃的な「ニート飛車」が紹介されていました。
棋士が具体的にどう手を読んで考えているかの科学テストでは、佐藤さんが圧倒的に多い量を読んでいました。プロの場合は、直感や大局観で読みを早く打ち切るのも能力のひとつではありますが、佐藤さんの場合は、いわばコンピューターの「全幅探索」に近い形でとにかく色々な手を読む方式のようです。だから、終盤でも、いわゆる「筋ではないが実は良い手」が飛び出るのでしょう。
一番生々しかったのは、竜王戦第六局の、既に佐藤さんに勝ちがなくなっているらしきところでの、控え室に設置された対局場カメラの映像。うなだれて眼鏡を取り、タオルでまるで涙を拭くかのように顔をこするようにゴシゴシ拭く、眼鏡をかけなおし、天を仰いで、口にタオルを当てる。駒台に手を置き、また大きくうなだれ、気を取り直したように着手、そして、額に手を当てて、再び大きくうなだれる・・・。
見てはいけないものを見てしまったような気がしました。控え室でもれた「あっ、まだ指すんだ。」という呟きが残酷すぎます。
最後に番組中に出てきた佐藤語録を。

あんまり社会にどちらかって言うと適応できていないタイプの人間だと思うので(将棋は)天職っていうか命に近いものだと思っています

この程度でいいかなという思想は持ちたくない

何でこういうものがこの世に存在しちゃったんだろうかという感じですよね(と爽やかに笑う・・)

竜王戦第六局(ジャーナルを見てやっとすごい名局だったと理解した私)

囲碁将棋ジャーナルの解説は中原十六世永世名人でした。竜王戦第六局を解説したのですが、実にポイントを的確に捉えていて、短時間の限定があるにもかかわらず、将棋全体がとても良く理解できました。
△3二金から、それ以上に驚いた相中飛車の発想。さらに△3三金からの金の華麗な舞を描いた構想力と、やはり佐藤さんの創造性が序盤では目につきました。
しかし、佐藤さんが△4五銀と反攻に出た以降の中終盤、と言うか、延々と続いた終盤が、実はちょっと見ただけでは分からないギリギリの名攻防だったようです。
△4五銀で、△6三銀とどちらかで守るのは、やはり一方的に攻められるのがうるさいとのこと。攻めに出たのはやはり好判断だったようです。
ただ△8五銀ときめに出たのがやはり問題だったようで、△5七桂成のほうがベターだったとのこと。但し、それでもまだまだ難しいようで、要するに本来バランスが取れた局面だったということです。
▲4七歩に対して、△4八成桂ととらずに、いちど冷静に△2四角と引いておいたとしても、▲6一銀として、以下△7一金▲8四歩△同歩▲同飛△8三歩▲7三歩成△同銀▲3四飛としておいて、▲7四歩が残って厳しい。
▲4七歩まで
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BS解説では△3六桂の評判が悪かったのですが、あそこで△2八金を先に入れても、やはりなかなか寄らないとのこと。寄せそこなったように見えましたが、佐藤さんもあの局面では一番難解な手順をひねり出してベストを尽くしていたということのようです。実際、△5二飛と△7七馬の詰めろをかけながら▲7五角から逃げておいて、▲8七銀と打った場面では、先手も相当対応が難しい局面。
本局で一番素晴らしい手だったのは▲9八飛だったようです。竜王ブログで具体的に詳しく解説されていますが、飛車あたりになるのを承知の上で香を敢えて取らす発想が柔軟でした。竜王は、ここで少ない残り時間の全てをさいたのですが、一番大切なところでちゃんと時間を使ったことになるわけです。この延々と続く難しい攻防で最重要ポイントを逃さなかった冷静な判断が素晴らしいなあと思います。
▲9八飛まで
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佐藤さんの本当の敗着は△7七馬だったそうです。
△7七馬まで
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銀ではじかれて先手玉が鉄壁になった上に、直後の▲7五桂が厳しくて、この後は竜王がやっとはっきり有利になったようです。一度△7一玉と催促して▲4三角成△7四飛としておけば、まだまだ難しい戦いが続いていたとのこと。BSや、ネットを見ていると、素人の私は勿論、プロ棋士もつい早目早目に判断してしまっていたようですが、開戦したあたりから、小さいミスはあっても、ここまで延々と二人がバランスを取り合って戦い続けていたわけで、渡辺、佐藤とも、とてつもなく強いということなのでしょう。
その後も、落ち着いた▲3七桂があったり、香や銀が拾える形になっていたのが竜王に幸いして順当に押し切りましたが、やはり勝つようにうまく出来ていたという印象も強く受けます。
本局については、将棋世界や新聞の観戦記をじっくり読んでみたいと、珍しく殊勝なことを思いました(笑)。
今シリーズを通じて、控え室の解説や形勢判断が、全くといいほど当たっていませんでした。見ているファンとしては「しっかりしてくださいよ」と思ってしまいましたが、本局をこうして振り返ると、やはり対局者二人の読みが、並外れて深く正確だったということなのではないでしょうか。お互い終盤の大きなミスが目立って、つい戦前の不調のイメージで見てしまいましたが、内容自体はとても高度なシリーズだったということなのかもしれません。
渡辺竜王が、初めて竜王を獲得した頃にこのブログを書き出したのですが、当時渡辺さんは8五飛戦法のスペシャリストの研究将棋とか無類のない勝負強さという印象はありましたが、本当の地力という面では、森内さんたちには、かすかにまだ届いてないかもという印象もありましたし、本人もある程度は認めていたと思います。しかし、こうして三年経過した本シリーズを見ると、完全に佐藤さん相手に互角かそれ以上に渡り合っていたという感じがします。読みの正確さと腕力の強さでは棋界随一の佐藤さんを、正々堂々と打ち負かしたといってもいいのではないでしょうか。
特にこの第六局は名局で、もし第七局までもつれ込んで、さらに佐藤さんが本格的に復調し、渡辺さんもベストの状態でぶつかり合ったら、どんなすごい将棋になっていたか、ちょっと見てみたかった気さえします。
↑勝ったから、こんなことを余裕で言っていられるイヤな渡辺ファンです(笑)。
最近は、不思議と羽生、渡辺のタイトル戦がなかったわけですが、そろそろ将棋の神様も二人の対戦を許すのではないか、そんなことを感じさせるシリーズでした。とりあえず、棋聖戦で大事なところでぶつかる可能性があるので楽しみです。
最後に、これだけの名局を見せてくれた佐藤さんに敬意を表して、情熱大陸の告知をしておきます。三年前に竜王戦の最中に渡辺さんももこの番組で取り上げていたのが、なんとも因縁を感じるところですが・・。

情熱大陸 佐藤康光 明日夜11時よりTBS系列で

竜王戦第六局第二日 渡辺竜王防衛、初の四連覇

竜王戦中継サイト

えっと、まず最初にイヤな話をすませます。私は、基本的には無料でやっているネット中継には文句を言わないことにしているのですが、今回はさすがにね・・。竜王防衛の一番いいところを全く見ることが出来ませんでした。どういう原因なのかは知りませんが、対策出来る理由のものなら改善をお願いします。
ハイっ、文句オワリ。

いやーーー、竜王、よく勝ちきりました。実は私は本質的に超悲観主義者で、一番悪いことから考える人間なんです。今回、佐藤さんは一番悪い状態で竜王戦に入ってきたわけですが、竜王戦は三ヶ月の長丁場ですよね。だから、絶対途中から調子を上げてくるものだと考えていました。したがって、第五局で決めてしまわないとまずいんじゃないかと思っていました。それが、あの最後のミスでの逆転負け。正直、やばいなあ、と思いました。しかも、他の棋戦でも、佐藤さんがポツポツいい勝ち方をしだしていたし。竜王ファンとしては怒られるかもしれませんが、今回の第六局は、流れ的にまずいかもと。始まる前は第七局の覚悟をひそかに勝手に固めていました(笑)。最終局での、竜王の勝負強さにかけようなんてほとんど妄想の類をいだいていたのですが、余計な心配に終わって本当に良かったです(笑)。
今回の両者は決して万全の調子ではなかったわけです。実際、お互いのポカで決まった将棋が四局はありましたし。それでも、やはり不調なときの戦い方という点では、やはり竜王のほうに分があるんじゃないかと。佐藤さんの場合は、調子の良いときは誰が来ても吹っ飛ばしてしまう迫力がありますが、不調な時は正直にそれが将棋に反映されてしまうタイプだという気がします。竜王の方は、仮に本調子ではなくても、それなりに将棋をまとめていく人間力があるのではないでしょうか。(まあ、渡辺ファンのひいきの引き倒しなんで、読み流してください。)将棋の内容自体については、恐らくシリーズを通じて双方不満だらけだったのでしょうが(あくまで、トッププロとしての話ですが)、ファンとしてはそういう勝手な楽しみ方をさせてもらいました。

本局は、二転三転した将棋だったようです。夕方のBS中継を録画で見ると、丁度佐藤さんが△4五銀と出て、攻め合いに転じたあたりから始まっていました。
△4五銀まで
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実際それが好判断だったようで、厳しいはずの▲7五歩が、後手の攻めと比べるとぬるいように見えてしまいます。佐藤さんは、おなじみの迫力満点の体を軽く前後にゆすって読みふけるポーズ。や、やばい・・・(といっても結果を知ってから見たので実は余裕でしたが 笑)。
でも、△3六桂が、まさかのミスだったようです。
△3六桂まで
b

BSの解説を聞いていると、普通に▲同歩ととられてしまうのを、どうもプロはウッカリしやすいようです。気のせいかもしれませんが、テレビに映る佐藤さんの迫力が、ちょっと薄らいだようで、一方竜王の方は、落ち着き払って「もう、逃がさないぞ」という表情にも見えました。(その後の展開を考えると、そう見えただけで余裕などなかったのかもしれませんが。)この辺、結果が分かっていても、両者の表情などを見ているだけで、十分面白かったです。ちなみに、私は衛星放送終了直前あたりから生で見だして、渡辺勝勢のように言われているのを聞いて喜んだのですが・・・。
△5二飛から△8七銀がいい手で、むしろ後手持ちとネットの棋譜解説に書かれているのを見て愕然。あんまり言いたくありませんが、今回の竜王戦を通じて、控え室情報というのは、決して信じてはいけないものだという根深い偏見が、私の中に植えつけられてしまいました(笑)。
そのあたりから、全くリアルタイムでは棋譜が見られなくなったので、終了後に棋譜を見ただけですが、最後は竜王玉が全然寄りつかない状態で、ただ攻めさえ続けば言いという状態で終わっていたのには驚きました。よく分かりませんが、佐藤さんの方からも寄せがなかったということであれば、やっぱり竜王の方が、逆転してよいままの状態が続いていたのでしょうか。まあ、この辺は、ゆっくりジャーナル、週刊将棋等で、確認するのを楽しみに取っておくことにします。
ちなみに、△3二金が有効なのかどうかということについては、結論は持ち越しということでしょうか。

とりあえず、渡辺ファンの皆様、竜王防衛と四連覇、おめでとうございます。

竜王戦第六局第一日 渡辺竜王vs佐藤二冠

竜王戦中継サイト
BS解説の久保さんが、王将戦の挑戦者に。深浦さん相手に勝って挑戦を決めた将棋は、プロでも形勢判断が難しかったようです。(王将戦中継サイト参照)ゴチャゴチャした戦いを、ああいう将棋ではめっぽう正確で強いという印象のある深浦さん相手に勝ちきりました。王位戦では羽生さん相手に競り合いを制した深浦さん。その深浦さんを接戦で破った久保さん。その久保さんを王座戦で痛い目に合わせた羽生さん。一応三すくみの構図が出来ましたが、要はトップの実力は本当に僅差ということなのでしょう。王座戦も、羽生さんのとてつもない終盤力だけが印象に残りましたが、冷静に考えると久保三連勝の内容だったわけで、王将戦も大変なシリーズになりそうです。しかし、なんとなく羽生さんは同じ相手とタイトル戦が続くことが多いですね。
さて、竜王戦。佐藤さんの△3二金で幕開け。
△3二金まで
a

将棋世界1月号で、この局面が取り上げられていて、渡辺竜王は次のように言っています。
本当は2手目△3二金には△5六歩から中飛車にして、ちゃんとやれば先手がよくなると思う。去年の竜王戦のときはちゃんとやれなかったけれど、もう一回やったら何とかしてみせます。

こういうことを言い切る竜王もすごい。しかし佐藤さんも当然将棋世界を読んだ上で、本局に臨んでいるはずです。その上でこの手を敢えて?選択。佐藤さんによれば、この手は決して「挑発」などではなく、きちんとした理論的根拠あってのことだそうです。でも、この辺の経緯を考えると、どう考えても香ばしい匂い?がします(笑)。間違いなく心理戦の側面もあるのでしょう。また、そういうのがあったほうが断然面白いと、無責任な外野としては煽っておきます(笑)。
竜王は穴熊に組みそうなものですが、棋譜解説によると後手が飛車を7筋に振りなおして反発してくる筋があるそうです。その結果、封じ手図では竜王らしくなく居玉のまま。成り行き上そうなったのでしょうが、普通に考えると竜王好みとはいえなさそうです。このあたりで、振り返って竜王がどう局面を考えていたかが興味があるところです。
封じ手図まで
b

ただ、久保、鈴木の解説を聞いていると、局面自体は、まだまだ難しそうです。すぐに、佐藤さんからドンパチ出来るわけではなく、竜王も玉を2八まではなんとか囲えそうな感じの話でした。明日は、本当に両者の構想力や地力が問われる展開になりそうで楽しみです。
ちなみに相中飛車は、ワタクシが24で深夜に酔っ払ってフリーで指す時に愛用しがちな戦法です。プロ最高峰の竜王戦で見られるとは思いませんでした・・・。もっとも最近全く24で指してないなあ。

今週の週刊将棋では、小林宏六段による師匠の真部さんについての感動的な記事があるかと思えば、バトルロイヤル風間さんのとんでもない四コマが載っていました。私は読んで思わず、ニヤリとしてしまったのですが、本当に笑っていいのだろうかと反省してしまうような壮絶な(笑)内容でした。多分、森内さんも、風間さんだから仕方ない、と諦めるのでしょう(笑)。

JT杯決勝 森下vs森内、NHK杯 長沼vs松尾、女流ネット最強戦 石橋vs岩根

囲碁将棋ジャーナルは、中井さんが今月の聞き手で、解説に先崎さんが登場。周知の通り、お二人は少年少女時代からの知り合いで気心も知れているのでしょう。でも、今回は中井さんがまさかの降級の後だったんで、さすがに先崎さんも相当気を使うんだろうなあと思っていました。そういうシロウト考えは、まったく甘かったです(笑)。
なるほどねえ、あのように妙に気を使ったりせずに、思いっきり突き放すというやり方もあるんですねえ(笑)。勉強になりました。

先崎「これで、一から出直しというか、B級からの出直しで・・・」
中井(苦笑して)「先崎さん、キビシイ・・・。」

中井ファン、LPSAファンファンとしては、本来抗議電話の一本も入れないといけないところなのでしょうが(笑)、こっちも思わず笑ってしまったので、どうしようもありません。それと、里見さんは、実は中井さんの長女と同い年だそうで。里見さん、対局姿は結構厳しい感じで凛々しいのですが、将棋の日の番組ではじめてしゃべるのを聴いたら、まだまだあどけない少女、というのは言い過ぎかもしれませんが、かなりかわいらしい感じでした。そりゃあ、ああいうのを見たらおじさんたちは、対局姿とのギャップもあって、たまらないでしょうって。まあ、かくいう私もおじさんなんですけどね。中井さんも、相手があんな感じじゃあ、敗戦しても対局後の感想戦では、なかなか本当に悔しいとは思えないんじゃないでしょうか(笑)。
ジャーナルで、JT杯の決勝を解説していました。棋譜はすでにチェックして、最終盤のポイントだけは確認していたのですが、改めてお二人の掛け合い解説?を聞いていて、いかに凄い将棋だったのかが、よく分かりました。やっぱり、私レベルだと、こうしてきっちり解説してもらわないと、棋譜だけではなかなかよく分からないものです。
ものすごい突っ張りあいの将棋だったんですね。森内名人が、早めに動いたのに対して、森下さんが、全然受けに回ったりせずに、攻め返す方針で対応したようです。△4四銀とあがったり、△3三桂から、守りの桂を自ら交換にでたり、そりゃ凄まじい指し回しでした。森下さん言われるところの「当たって砕けろ作戦?」なのでしょう。
△2五桂まで
a

その後終盤も猛烈な叩き合いになって、△3七歩成とした局面。
△3七歩成まで
b

これが会心の手だったそうです。当初△4七角の詰めろ飛車取りを考えたそうです。しかし、それに対しては▲4六角と打って、金合いをするのは詰めろがほどけてしまい、△2四歩だと、一筋に銀を次々に捨てるという変わった手筋でトン死!それを一瞬のうちに察知されたということだそうです。
森下さんは、羽生さんと名人戦を戦っていた頃は、本当に着実な将棋という印象でしたが、最近棋風を意識的にか改良されているのでしょうか。何年か前の銀河戦でしたか、強気の受けで早々に入玉態勢を確定してしてしまってから、とても普通の将棋とは思えない指し回しで悠々と攻めて勝ちきってしまったのがすごく印象に残っています。独特の力強いニュー森下将棋に期待です。
JT杯の棋譜はこちら。

NHK杯は、先手長沼居飛車、後手松尾中飛車で、相穴熊の将棋に。松尾さんが△2六角のただ捨ての鬼手からペースを握って、一方的に攻めて終わるのかと思いましたが、長沼さんの粘りがすごかった。
△2六角まで
c

だいぶ局面が進んで▲8六歩と、桂取りにしながら玉の逃げ道を広げる手。その後、松尾さんが一回△6五歩を入れたために、▲2二角打ちの粘りが生じて、以下粘りまくって受けて逆転。但し、この辺は大熱戦で感想戦ナシだったので、どこが本当のポイントだったのかはよく分かりません。8六に突き出した歩が8四まで進んで攻めに役立つ展開に持ち込んでしまいました。
▲8六歩まで
d

とにかく、長沼さんは粘り強くてよく手が見えるという印象があります。一回戦でも、終盤で好手を放って勝たれていましたよね。これだけ強い人がNHK杯初出場だというのだから、プロ将棋というのは本当に恐ろしい世界だと思います。

ここからは、女流ネット最強戦を生観戦中。石橋さんは勿論、岩根さんの将棋をちゃんと見たことがないので楽しみです。先手石橋が居飛穴、後手岩根が三間飛車に。プロフェッサー勝又さんの解説は、やっぱり分かりやすい。岩根さんが端歩や端香になぜ手をかけたのかが、確かによく分からないところではあります。
例によって石橋さんが気合よく仕掛けましたが、岩根さんが△5一角と引いて△8四角と出るのを狙ったのが、なかなかの手だそうです。確かにセンスを感じます。
△5一角まで
a

と思ったら、いきなり▲5七角のぶつけ。石橋流の思い切りのいい意外な手が早くも出ました。しかし、どうもこれがまずかったようで、馬を作って桂得の岩根さんが相当よさそうになりました。
とはいっても、さすがに石橋さんも黙っていなくて、なんだかんだと暴れて逆転模様に持ち込みました。▲6五香と打ったあたりでは、少し良いそうなのですが、▲6三馬から▲2二飛が、より厳しいとのプロフェッサーの指摘。
▲6五香まで
b

しかし、感想戦で岩根さんが、それには△7二角から△3三飛成の粘りを用意していたと言っていました。それでも苦しそうですが、こういう手が見えるというのは強いなあと感じました。
本譜でも、△7二銀から△6一香が印象的。石橋さんの腕力の強さは女流王位戦で証明済みですが、岩根さんも瞬発的な力では負けていないと感じました。
△6一香まで
c

正直、女流の将棋を見ていると、自分の方が全然弱いにもかかわらず、どうなのかなあ、と思うこともあります。しかし、この二人については、文句なく鍛えがはいっていて腕力が強いなあと素直に感じました。但し、細かいところでは双方ミスがあったようで、当然二人としては完全には満足できなかった内容なのだろうとは思います。
まあ、はたで見ていると、自分より大駒一枚位強くても、同じくらいの実力かなと思うものですから。24で自分と同程度の人の将棋を観戦していると、なんて弱いんだろう、って思うものね(笑)。
最後は石橋さんにクリックミスのハプニングがありましたが、既に大勢には影響がなかったようです。石橋さんの初戦敗退はまことに残念でしたが、岩根さんも、奨励会で苦労した一人だし、やはり華もあるので活躍して欲しい一人だと思います。
棋譜はこちら(登録が必要)

星野ジャパンのドキュメンタリー番組

たまには将棋以外の話題を。別にNHKの回し者じゃないのですが、明日放送のこの番組、面白そうなので告知しておきます。

12/8(土)22時より総合テレビ 監督星野仙一 知られざる戦略〜北京五輪への道〜

いや、面白かったです、五輪アジア予選。韓国戦と台湾戦を見たのですが、どちらも本当にいい試合でした。特に星野采配、私自身が全く決断というものができない男なもので、やっぱり憧れてしまいます。
まず、涌井、成瀬、ダルビッシュという、若手の実力派を先発に持ってきたのがえらい。新井を四番に抜擢したのも、人間的な迫力という点で、ああいう大舞台では正解だった気がします。
台湾戦では、あのノーアウト満塁でサブローにスクイズさせた場面。よくサイン出したよなあ。相当勇気あるよ。なかなか出来るもんじゃないです。
それより、韓国戦で岩瀬を引っぱったところに一番感心しました。見ていて、なぜ藤川を出さないんだよ、って当然思いました。でも、終了後のインタビューで、藤川はもし延長戦になった時のことを考えたと、星野さんが言っていたのには唸ってしまいました。単に熱い采配じゃなくて、冷静にそんなところまで考えていたのかあ。当然、あのまま一点差で勝ちきりたいわけで、藤川を投入したいところなのだろうが、そこをじっとこらえた。無論岩瀬が抑えたから良かったのだけれども、もし打たれていたとしてもそれは結果論であって、とにかく確固たる考えやプランがあっての継投策だったのだと知ると納得できます。
星野さんは監督に適任だとは思ったが、コーチが山本、田淵だと聞いてちょっと心配したのも事実です。戦友だけれども、基本的にはみんな親分でしょ。本当に勝たないといけない場面でちゃんと機能するのだろうかとか、全員年配なのでコーチ業をこなしきれるのだろうかなどと思っていました。しかし、そういう部分は宮本慎也が、コーチ五人分くらいの働きをして補っていたらしい。
ということで、明日の番組が楽しみです。

ついでにサッカー。オシムのことは本当に残念でした。実に私好みの人物で、あのちょっとひねくれたところ、サッカーも頭脳勝負だと捉えているところ、独特のチーム掌握術、欧州型とも南米型とも違う日本的なサッカーのコンセプトを頭の中に描いていたらしいことなど、本当にいい人を監督にしたものだなあと。
私はサッカーにはあんまり興味がなくて代表の試合くらいしか見ません。でも、客観的に日本の実力を考えると、やっぱり世界レベルでは相当厳しくて、ワールドカップに出られたとしても、決勝トーナメントに進むのも相当大変なんじゃないかと思います。でも、オシムだったら、何とかしてくれるんじゃないか、決勝トーナメントまでチームを進めて、強豪国に一泡吹かせることも出来るんじゃないかと、ひそかに期待していたので。
岡田さんも決して嫌いじゃありません。毎回ピンチの時のリリーフで大変でしょうが、日本人監督でどれだけ世界と戦ってくれるかに期待です。

ついでのついでに、バレーボール。女子バレーは興行的になかなか盛り上がっているようで、各局も数字が取れるようでよく大会を放映しています。実際、今回復帰した栗原選手はなかなか魅力があって、ワールドカップも何試合か見ました。でも、正直言ってトップクラスとは試合になっていませんでしたよね。柳本体制になって長いのですが、相変わらず高さとパワーのバレーに対応できていないといわざるをえないんじゃないでしょうか。
少し前までパイオニアの監督をしていたセリンジャーが、以前、柳本バレーでは世界には通用しないと週刊誌で批判していました。セリンジャーもなかなか頑固な人で、その時はそんなことはないでしょうと思っていたのですが、どうも彼の言っていたことが正しいんじゃないかという気がしてきました。
いくら興行的に盛り上がっていても、今のままだとメダルなどとても期待できないんじゃないでしょうか。こういう場合は人気とかには関係なく、真剣に監督の更迭を考えるべきだと私は思うのですが、多分そういう空気じゃないんでしょうね。

ということで、なんでもかんでも評論したがるのは、我ながら悪い癖だとは思います。将棋のそのひとつなわけですが、まあ一般ファンの特権ってやつなんで・・・。

中井広恵「鏡花水月」(アップフロントブックス)

都内大型書店で将棋本を物色中に発見。
「おぉ、中井さんの本か。」
手にとってみたら、全く将棋本らしからぬ美しい書物であった。女性のライターが取材構成していて、装丁、デザイン、使っている写真等も実に繊細な気配りがなされている。ついフラフラ購入。私の場合、こうして純粋な将棋技術書を後回しにしてしまうのだ・・。
メインは、中井のロングインタビュー、生い立ちから現在(三年前)にいたるまでを語っており、ちょっとした自伝である。他に羽生善治、尾本惠市、三國清三との対談も収められている。特にフランス料理の三國は面白い人で、さすがの中井も少し押され気味か?
しかし、なんと言っても中井本人のインタビューが、興味深いし面白い。稚内での少女時代、内弟子時代、完全に女一人の奨励会時代、植山とのなれそめ、出産・子育てのこと、林葉とのライバル時代、将棋観、男性棋士との「差」など、全てを語りつくしている。
当たり前だけれども、人の人生というのは、それぞれよく知れば大変なものである。特に中井さんのような場合は、普通にどういう道をたどってきたかだけを知るだけでも、十分すごいと思う。私のような男性のオヤジよりも、女性が読んだら感動すること請け合いである。現役バリバリ張りのトップとしてタイトル戦を戦いながら、出産したり子育てすることが、どれだけ大変なのかひとつとっても。
一番印象的なのは、当時の奨励会の雰囲気が生々しく語られていることである。完全に孤立無援、男性奨励会員は、「女なんかに負けられない」という態度も露骨にあたってきたそうである。「負けたら坊主」という雰囲気だったとのこと。本当に大変だったのだろうなあ、と思う。時代もあるのだろうが、特に若い奨励会員は、いくら将棋が強くてもまだまだガキどもである。女性に対する気配りを、といっても無理というものだ。やはり、女性の絶対数が増えないことには、根本的には解決しない問題だろう。そんな時にも中井を支え続けたのが、先輩の大野、そして植山であった(ハイ、ここ泣くとこ。)
私は無学で知らなかったのだが、タイトルの「鏡花水月」は、鏡に映った花も水に映った月も、目には見えるが実際には手に取れないということで、将棋の大局観なども、そういう不安定なものを感性で敏感に察知するしかないものだといった意味が込められているとのこと。
羽生善治との対談で、なぜ女性棋士が誕生しないかの話題になり、羽生は、なれるわけがないという先入観を持つのがいけない、チェスの世界でも世界トップの女性はおり、将棋だって必ず可能なはずだ、と心強いお言葉。ただ、その後中井に対してこんなことを言っている。
羽生 そこをこれから先・・・まあ次を育ててください(笑)。
中井 私が育てていくんですか(笑)。

思うのだが、ここで中井は「ワタシがなっちゃいけないんですか?」と言いたかったのではなかろうか。いや、勇気はいるだろうが、そういうべきだったと思う。

とにかく背表紙といい、内表紙といい、中井の写真は、まるで女優のようである(笑)。
↑コラコラ、ここは 笑 とか入れるところじゃないっ!
フォローするわけじゃないが、かつて中井が美貌の誉れ高い林葉とライバル関係だった頃、タイトル戦の前夜祭で、スピーチにたったあるえらいオヤジが「明日の将棋は綺麗な方が勝ちますよ。」などと、平気でぬかしたりして、中井はムッとした由。でも、私は林葉よりも中井のほうが断然美人だと思いますけどね。とか、すぐどっちが美人とか言ってしまうこと自体がオトコの無神経なところだと女性陣にはお叱りを受けること必須なわけだが。

中井の波乱の人生は、無論これで終わらない。むしろ、この後のLPSAの設立が、どれだけとんでもない大変なことだったかは周知の通りである。二冊目の自伝も待たれるところだろう。しかし、そのためには、将棋の方でも、もう一踏ん張りしていただかなくっちゃね。今が一番大変な時期なのだろうが、小松政夫じゃないけれども「長ーーーい目」で(若い人には分かるまい)、みんな応援していますから。

真部一男「升田将棋の世界」(日本将棋連盟)

ちょっと困っている。軽い気持ちで真部さんの追悼めいたことを好き放題書いてしまったのだが、カウンターを見ると、このブログはじめて以来の多くの人に読まれてしまったらしい。しかも、いまだに検索で見に来る人が跡を絶たない。懺悔の気持ちをこめて、真部さんの残した本について、少しはまともなことを書いて紹介しておこうと思う。ただ、読み返して色々なことを感じてしまったので、やっぱり少しは余計なことを書いてしまうかもしれないが・・。

「将棋論考」で扱った升田将棋が、30局掲載されている。冒頭のエッセイも、升田に関係ないものもそのまま収録されていて読んでいて楽しい。また、書き下ろしの「升田幸三論」も冒頭に収められている。貴重な写真も満載である。
もともと「将棋論考」からの転載なので、升田の名局もあれば凡局もあり、勝ち将棋負け将棋もある。真部は客観的に冷静に升田将棋を分析していて、棋譜に升田を語らせようというスタイルだと思う。
やはり、中でも何局か収められている対大山戦が白眉だろう。完全な将棋ばかりというわけではないが、双方のとてつもない腕力を感じて、現代的な将棋とは全く感触の異なる、押したり引いたりの重量感のある将棋である。現代将棋の序盤戦術の洗練や終盤の正確な技術は別として、ねじりあう力のようなものでは、現代でもこれだけ指せる棋士はなかなかいないんじゃないだろうかとシロウトながら感じてしまった。
他にも、対加藤一二三、対内藤などの超乱戦の将棋も面白い。特に対有吉戦の、青天の霹靂といってもいい序盤作戦は、いくら佐藤康光でも真似できないだろうという凄まじさである。
豪快なイメージが強い升田だが、実は強靭な受けが持ち味だったとか、緻密な序盤の組み立てとか、遠見の角に代表される角使いの名手だったとか、升田将棋の具体的特質が、自然に分かるようになっている。
また、真部自身も若いころ升田の将棋の記録を多くとったそうで、そのエピソードも貴重である。
各章の冒頭のエッセイも、例のディーププルーとカスパロフの対決のテレビ特番についての詳細な解説や、木村義雄が具体的などういう読み方をしていたかの紹介なども、興味が尽きない。
その中でも、やはり「芹沢」の名前が何度も出てきて、こんなくだりがある。

それがなぜ、急に失速し、無頼とも言える生き方に傾いていったのだろう。
曰く酒、曰く博打、その他うんぬん、様々な憶測があった。
しかし、これらは意味がない。
なぜ、酒、博打に溺れていったかが問題だからだ。
これはもちろん憶測に過ぎないが、升田、大山と戦いこの両者が持つ特別な何か、それは芹沢にはどうしても身につけることが出来ない差異、頭脳明晰な芹沢は明敏なるがために、それを察知しコンプレックスを抱いてしまった、とは考えられないだろうか。
やるせない気持ちが酒と博打に救いを求めたのではなかろうか。


どうも、真部自身のことを芹沢にたくして語っているような気がして仕方ないのは、私の悪い深読み癖なのだろう。

それと、坂口安吾の話がよく出てくる。安吾に言わすと、囲碁(安吾は将棋は観戦するだけで指さなかった)くらい文士の性格の隠せないものはないそうだ。
この本では紹介されていないが、例えば小林秀雄。ああいう煮ても焼いても食えないような、鋭利で攻撃的で独断的な文章を書く人だったが、実は囲碁ではまったく定石通りの一切ケンカをしないタイプだったそうである。安吾は、小林自身の本質がそうだったし、文章に騙されがちだが、実は常識派だったのだと断じている。
逆に、将棋指しの書く文章というのも、実はその人の人間性を隠せないものではないかと思う。真部は、ああいう派手な外見だったし、芹沢同様無頼派風なところがあったらしい。しかし、文章から受ける印象は、きわめて穏やかで一種の人のよささえ感じてしまう。升田を語っても、よくありがちな主観を押し付けるようなスタイルとは一線を画する、きわめて対象に即した客観的な態度で、人によってはそれが物足らないくらいだろう。
真部の透明感のある文章を読み進めながら、無頼派風の生活は彼の本意だったのだろうか、また単に芹沢風を装っていただけなのではないだろうか、などという相変わらずの根拠なき憶測をいだいてしまった。
とにかく、真部の文章を読んでいると、心が澄んでいく感じがした。

銀河戦 櫛田六段vs山本五段

棋譜は囲碁将棋チャンネルの銀河戦のページで。
竜王戦の日に放送があったものを録画しといたものを、クッシー党としては今日気合い入れてみました(笑)。結果は櫛田圧勝。
櫛田さんは、藤井システムを使わず穴熊に囲わせても十分に戦えるという信念の持ち主。藤井システムは実際に指しこなすのはとても難しい戦法なので、アマチュア振り飛車党としては勉強になります。
本局も、先手の山本さんが穴熊に。早めに▲6六銀と出る工夫をしましたが、櫛田さんはすかさず△6五銀とぶつけました。感想戦では、経験があるといっていました。さすが。
△6五銀まで
a

その後、交換した銀を敵陣に打ちこんで、金に変え、角に変えと、わらしべ長者流?の指し回しで優位をジワジワ拡大。
飛車交換になりましたが、金銀が浮いた居飛車と比べて、なんと振り飛車の高美濃が固く見えることよ(笑)。7九の金が、一連の折衝で銀に変わってしまっているのも、居飛車には痛すぎます。
△3三桂まで
b

山本さんは、全く攻める糸口が見つけられないまま局面が進んでいきました。でも、7四に桂を打つことだけが一縷の望みだったのですが、そこで出たのが△7四金!厳密にはいい手なのかは分かりませんが、「絶対負けないよ」という手で、こんなの打たれたら居飛車は泣きたくなるでしょう。
△7四金まで
c

自玉を全く寄らない状態にして、満を持しての飛車切りから寄りきり。強すぎます。
投了図
d

これで三連勝。しかも、どれも完勝。もう、こうなると並みの若手にはクッシーをとめられそうな気がまったくしません(笑)。どこまで連勝を伸ばすか楽しみです。

加藤一二三@まるごと90分、中井広恵@ジャーナル、ご主人様、PDG

きょうは(も)、全部雑談です。
録画し忘れて再放送をチェックした「囲碁将棋チャンネル」の「将棋まるごと90分」、ゲストは加藤一二三九段でした。(その時知ったのですが、金曜の深夜に大庭美夏さんの「It’s show time」も再放送されているようです。)
加藤独演会を堪能、満喫しました。全部アップしたいくらいですが、名言集を抄録で。

今でも将棋を夜十二時ごろに指していても、40代のころと疲労感はそれほど変わりませんね。


最近、うな重から上にぎりに宗旨変えされたようですが、スタミナは相変わらず健在のようです。

私が名人を獲得したのは、何年何月何日何時何分でして・・・。


加藤流の数に対するこだわりは並外れてますが、氏の創造性となんか関係あるんですかね。そういえば、ケン・ラッセルの映画で、ブルックナーの数字に対する強迫神経症をテーマにしているのがありました。

谷川さんが、私から名人を取ったのを、将棋界の大転換で、棋士を目指す若い人が増えたとか、昔から、イヤ今でも言われますが、私だってそれからもずっと頑張ってきているわけで、不満です。ちょっとムッとしています。


妙に大人の態度などとったりしないのが、多分若さの秘訣なのでしょう。

(毎日コミュニケーションから出た「一二三の玉手箱」について)将棋ファン必見です。


だそうです。まだの方は是非購入するように。

20連敗していた頃、モーツアルトのヴァイオリン協奏曲の第三番を聴きまして、「遊び心」を感じとりまして、気分を変えて連敗脱出できました。


モーツアルトと加藤一二三、文句なく二人とも天才です。

私が勝った将棋はだいたい完勝、負けた将棋は少なくとも200敗は逆転負けです。


実際そういう印象はあります。勝つときは、どんな超一流棋士でもふっ飛ばしてしまうのが、加藤先生のすごいところです。

(自戦解説で自分が勝たれた将棋について)素晴らしい妙手、好手をおりまぜた快勝です。


自分が勝たれた将棋を、これだけ楽しそうに解説される先生を他に知りません。やっぱりモーツアルトとも通ずる純真です。


囲碁将棋ジャーナルには、中井さんが万を持して?登場。本当に明るい人ですねえ。昔からタイトル戦常連だったこともあって、それほど聞き手は多くありませんが、実は隠れた聞き手の名手だと思っていました。私の中では、山田久美か中井広恵か、っていうくらい。今回見ていると、特にますます貫禄がついて、とか言ったら怒られそうですが。久々に、今月たっぷり聞き手ぶりが見られます。来週の解説は、先崎学氏だそうで、何か起こってくれるんじゃないかと、ちょっと期待してしまいます。

将棋ニュースプラスの、ご主人様王手です。
もぉーーー。冒頭の中川、遠山の上司と部下コント、毎回ふれているのも、もうどんなもんかと思っているのに、やっぱり釣られて書いちゃうじゃないですか。

「わっかりやすーーー」

また、私はこういう古典的なのに極端に弱いときています。平然とサンタ帽をかぶる中川先生の表情、そして遠山先生の分かりやすすぎる「驚き」の表情・・。もう、ほんとにカンベンしてください。お二人とも、役者は無理でも、お笑いの仕事くらい舞いこんでくるかもしれません。

PDG。
島井さんが引き続きゲストだったのですが、なぜかコスプレの話題で小盛り上がり。そうですか、島井さんも、中倉宏美さんも、乗せられやすい性格で、お嫌いじゃないんですか。私のようなもう40過ぎのオヤジには、きわめて論評するのがつらいテーマですが、お若い方々、そうなんだそうですよ。今すぐ、ファン倶楽部Minervaに入って、LPSAのクリスマスパーティに参加するように。
結構軽い感じで流されていましたが、中倉彰子さんが、プレゼント当選者に郵送する際「フットサル大好き様」とラジオネームで送ったというのは結構衝撃的でした。某SNSで、この姉妹は「ナチュラル&ピュア」と名乗っているようですが、実に己をよく知っているといわざるをえません。
宛名不明で戻って来た郵便物を見て、事務局の方が笑いながら

「これじゃ届かないと思います。」

と言われたというのは、実に的確なツッコミだと感服いたしました・・・。
コメントを承認制にさせていただいています。反映まで時間がかかりますが、お気軽にどうぞ。
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