2008年11月

竜王戦第四局番外編―深浦vs山崎の掛け合い解説@BS中継

最初にお断りしておきます。お二人の将棋の指し手についての解説内容を紹介する気は金輪際ございません。タイトルは「掛け合い」と遠慮した表現にしましたが「漫才」としてとても秀逸だったので、ここに記録に残しておこうと決意した所存にございます。なおかつ、お二人の役割周りも実に明確でございまして、山崎=ツッコミ、深浦=-ボケに自然に成り、というよりは、深浦氏がどんどん追い込まれていきました。それでは、論より証拠、ハイライトをお目にかけましょう。

深浦 ズバリ、どちらを持ちたいでしょう?
山崎 いきなり?いきなりですか?でも、これ逆じゃないですか?やっぱり深浦先生の・。おかしいな、解説者というのは。解説をする人だと思ったんですけど。
深浦先生、いきなりジャブを入れようと試みましたが、黙っているような山崎氏ではありませんでした。まだまだ、この辺は深浦先生も余裕だったのですが。
深浦=羽生、山崎=渡辺をもって、ある手順を検討し、深浦が劣勢を認めてアッサリ撤回すると。
山崎 ご自分がタイトル戦を戦っていたら、絶対こんな簡単にあきらめないですよね。深浦先生は将棋界の中でも、諦めの悪さでは結構かなり有名なような。
早速、山崎のストレートパンチ炸裂しました。柔らかい口調で笑顔で言うので嫌味はないのですが、言ってることは超辛口です。
ある検討手順で深浦の手が止まると。
山崎 決して、このままで終わる深浦先生じゃないですよね。
はい、この辺りからはツッコミどころを山崎氏は寸分たりとも見逃さなくなっていきます。
深浦が山崎に対して渡辺戦の対戦成績を問う。
山崎 ここ数年勝っていないです。もう数えてないです。ちなみに深浦先生は?
深浦 私ですか。まあ私が10回やって7,8局勝ちですかね。
山崎 えー。(手をパチパチやるしぐさ、そして絶妙の間を空けてやおら言い放つ)それが言いたくて私に聞いたんですかー。(場内爆笑)そうですかー。
この切り返しセンス、深浦、言い返せず。
次は羽生の話題になり。
山崎 羽生さんと互角に戦っているのは地球生命体では深浦先生だけですよね。
「地球生命体」って。
そして、山崎が深浦に羽生と戦うコツをきく。深浦も、悪い気はししない様子で、羽生と谷川は神の領域で戦っている、しかし私がやるとたまに気の抜けたような手を指してしまう、一生懸命なのだけれど変な手を指してしまう、それで羽生さんの調子が狂うんじゃないですか、などと謙遜しながら誠実に説明する。
山崎 じゃあ勝つコツは変な手を指すということですか?
真面目に深浦先生が説明してくれたのに、台無しです。この絶妙な返しのセンスは是非見習いたい。(なんでだよ)
そして、さらに検討を再開し、深浦がある手を指すと。
山崎 確かに変な手ですねー。(場内爆笑)
今度は検討して山崎側の手番。深浦が、さあどうししますかと山崎に問う。山崎困った様子だが、その瞬間に絶妙のタスイミングでモニターから「パチッ」と指す音が。山崎もモニターをチラッと見ると。
山崎 じゃあボクは玉をあがりますねー。(場内爆笑)
深浦先生の攻撃不発どころか、笑いを取るのに利用されてしまいました。
山崎の深浦に対する口撃はとどまるところを知りません。
山崎 いやっ、今後の将棋界を生きてゆくために、先ほどは深浦先生にゴマをすっておこうと思ったんです。
山崎 もう二枚取ろうということですか。欲張りですねー。もう一冠で十分なんじゃないですか。
深浦先生、言われっぱなし。サンドバック状態。それでも人のよい笑顔で耐えられている深浦先生のお姿が尊いです。
無理やり深浦に詰まされる順を選ばせたり、もう詰みがわかっているのに最後まで指させようとしたりして。
山崎 で?
深浦 もうカンベンしてください。
でも、たまには山崎も深浦先生の手をほめます。
山崎 ▲1七桂というのは、いい手ですねー。
深浦 すごくウソくさい・・。
山崎 いやいや、ボクは人をほめるのが苦手なんですよ。
しかし、これもネタ振りに過ぎませんでした。さらに他の検討手順を調べていて。
深浦 じゃあ得意の▲1七桂で。
山崎 一度味をしめたから。でも、先ほどのような感動はちょっと二度目はないですねー。
深浦 なんか、きびしいですねー。
山崎 いい手なんですけど、あまり心には響かなかったですね。
深浦 なんかケンカを売られている気が・・。
こうして文章にするときつく感じられるかもしれませんが、お二人の表情もやわらかで、場内も笑いに包まれっぱなしなのでした。

総じて深浦さんの純朴さ、人の良さが感じられました。山崎さんの猛口撃を、いやな顔一つせずに、完全に受け止めてあげていました。
一方の山崎さん、大盤解説においては、もはや竜王・名人クラスにまで達していると感じられました。本気で頑張れば、現役七冠、あるいは永世七冠も決して夢ではないでしょう。
山崎さんばかり目立ちましたが、冷静に考えると深浦さんが黙ってパンチを受け続けたからこそのことで、MVPは深浦さんでしょう。
って、何の分析だよ。

歴史は繰り返す ー竜王戦第四局第二日 渡辺竜王vs羽生名人

竜王戦中継サイト

プロ棋士たちは、普通の人間よりはるかに濃い密度の時間を生きている。あるいは、生きざるをえない。勝ちと負けがあからさまな結果の世界で、言い訳は一切きかない。基本的には運の要素が限りなく少ない実力の世界である。しかし、ぎりぎりのところでその運がとてつもない意味をもってくる。ちょっとした一つの着手、指運としか言えないほとんど賭けといってもよい指し手が、勝負に直結してしまう。そして、今回の竜王戦の舞台のように、そのプロ棋士の人生を決めかねないような舞台で、そのように勝負が決まる瞬間がある。各人間のもつ運命や宿命を、プロ棋士は必要以上にはっきりした形で顕在化して背負っている存在である。まるでギリシャ神話のように。我々一般人は、その多少残酷ながらも魅力の尽きぬ神話ドラマに、陶然として見入るしかないのだ。
本局の終盤は、本当にそのようなン運命のサイコロの一擲がどちらにころぶのかよく分からない極限の戦いだった。冷静に見れば、恐らく羽生に勝ちきる方法はあったのだろう。しかし、そういうのは全て結果論である。感想戦から伝わってくるごく一端を読んでいても、両対局者が水面下で恐ろしく深く広い読みをしていたのが分かる。様々な無限の筋が頭の中を駆け巡っている中から、分単位の短時間で決断して着手している。
例えば、本譜よりは宮田五段の指摘した▲4七飛の順のほうがよかったと結果論ではいえるかもしれない。だが、いくら残酷な性質の一般ファンでも、「そう指せばよかったのに」とあっけらかんと言い放つのはためらうはずだ。
それにしても、宮田五段の指摘とそれとは別の感想戦での検討手順を巡ってプロが言っていることは凄まじい。私は我慢して全て理解しようとしたが、ついにギブアップした。関連リンクを全部はっておくので腕に自慢の方は答えを出してください(笑)。

宮田五段が発見した寄せ(竜王戦中継plus)
山崎七段の見た第4局(竜王戦中継plus)
「宮田五段の寄せ」への羽生見解(竜王戦中継plus)
竜王戦第4局のこと(お仕事ブログ)
片上五段のtwitterより 1 2

今回の終盤は、善悪を通り越した名勝負だったのだと思う。渡辺にしても、寄せがありそうで負けを覚悟しなければいけない局面で、まさしく度胸をすえてぎりぎりの勝負手を攻撃的に放ち続けた。現時点では、厳密に良い手なのかは素人には分からないが、例えば強気に△4三玉とあがった手もその一つ。さらに、夜中のBSダイジェストで深浦王位が勝因としてあげた△8九飛。
竜王戦第四局bbbbbb081126126手

今書いた通り、それに対して▲4七飛とする変化が難解きわまりないし、深浦も多分収録時点ではそれを知らないで言ったのだと思う。従って本当は△8九飛を勝着とはいえないわけだが、しかしある意味この手はとても印象的だった。
というのは、渡辺玉が奇跡的に打ち歩詰めで詰まないと分かっていても、他に△7九角と守りにもきかして保険をかけたくなるところを、堂々と飛車を打ちきった。あのぎりぎりの場面で、あの手を放てた渡辺の決断力と肝っ玉の据わり方を、やはり賞賛するべきだろう。その結果羽生が▲4七飛の勝負手を逃して、結果的には勝ちにつながったわけだから。
一方羽生の指し手で言うと、▲5二銀。
竜王戦第四局aaaaa081126103手

玉を上がらせて竜の横効きを遮断した手だが、あそこは堂々▲7八歩と竜を取ってしまっても詰まなかったそうである。つまり、渡辺とは対照的に保険をかけたのが裏目に出た。私の書いていることこそ結果論もいいところなのは承知だが、「勝利の女神は勇者に微笑む」といえなくもなさそうである。(ちょっと強引過ぎますが。)、
そもそも、本局で渡辺の駒はこれ以上ないというくらい前に出た。「バルタン星人」とも称された超攻撃的シフトである。羽生が銀を大遠征して銀矢倉に使うという、これまた羽生らしい柔軟な構想のため、とにかく攻めるしかなくなったのも、幸いしたのかもしれない。しかし、追い込まれた場面でこのような積極的な指し方が出来たことも、やはり渡辺の勝因の一つに上げられるのではないか。
ただ、ああいう戦い方も実は渡辺の得意とするところだそうだ。最近ブログをはじめた戸辺四段がこのように指摘している。
穴熊をはじめ、堅い玉を好む渡辺竜王ですが このような薄い玉を指しこなすのも、ホントに上手いんですよね。本局の玉型はバランス重視。

さて、最近の記事で書いたことを再掲させていただく。
NHK系列で放送された「100年インタビュー」で、羽生が竜王を初獲得した後に、谷川の挑戦を受け、1-4で奪取されたシリーズのことを取り上げていた。羽生が0―3に追い込まれた第四局は、203手の激闘になり、しかも入玉や持将棋模様でなく、延々と通常の攻防が続き形勢も二転三転した。最終は羽生が名手を見つけて勝ちきった。その将棋についての羽生の発言要旨。
それまでは、前を見た戦いばかりしてきたが、初めて後ろ向きの対局をした。そういう時の心境や状態が、とても印象に残っている。何とか一局いれたいと思っているが、どうにも駒が前に進まない。形勢が何度も入れ替わり、勝ち負けの揺れがすごくて、奪取されたとも勝ったとも何度も思った。最後に懸命に手を見つけて勝った。勝負のけわしさ、厳しさを知ることが出来た。
羽生は、負けたシリーズの一局をその後の自分にとって大切な将棋として位置づけているのである。
今回の第四局は、まさしくその再現になった。羽生が谷川と戦った勝負も、純粋な名勝負というよりは二転三転する激闘だった、今回もやはり厳密にはお互い間違いが多いのかもしれないが、それを上回る終盤の迫力がきわだっていた。
羽生が谷川に対してした事を、今度は渡辺が羽生に対してやってのけたわけである。歴史は繰り返す。ある種の神話の主人公が、勝利を得るまでの過程で、艱難辛苦の旅路を辿るように、超一流の棋士も通過儀礼としてこのような困難を一度は体験する必要があるのだろうか。まるで、将棋の神様が、そういう棋士に必ず義務として与える試練のように。渡辺も羽生同様、その試練をひとまずは乗り越えた。厳密には負けのはずの本局で、目に見えない運も見方にして。
ただ、ここまで言うと、恐らく渡辺から抗議が来るだろう。

ということは、羽生さんが谷川さんにやられたように次で負けてしまうの?、だいたい一つ羽生さんに勝っただけでそんなに騒がないでよ、ボクの実力を皆さん一体どの程度だと思っているの?、まだ一つ返しただけでは全然満足なんかしていませんよ、と。

ということで、このあとのドラマの続きにもまだまだ注目しよう。

ところで、寄せられるかもしれないあの局面で粘り強く折れないで戦い続けた渡辺の胸中に、果たしてこの言葉が浮かんでいたのかどうか、残念ながら私には知る術がないのである。

やはり羽生の銀はよく動く―竜王戦第四局第一日 渡辺竜王vs羽生名人

羽生が事前に想定した順では多分ないのだろうが、それでも実戦の展開に柔軟に対応して、右銀を大旅行させて銀矢倉を作り上げたのは、やはりらしいところである。衛星放送でも紹介していたが、羽生愛用の研究用の駒では銀の裏だけがすりへっていたそうである。名人戦の相がかりでも、やはりこういう銀の大旅行があった。
しかし、とにかく渡辺が攻撃できる態勢で封じ手を迎えた。さすがに、羽生の大局観がすごくてこの時点で受けの先手が良いと言うことはないだろう。渡辺が、どう攻めを組み立てていくのか、二日目が楽しみである。
それにしても、渡辺の陣形が面白い。ネット中継では「中住まいカニカニ銀」と言われていた。ある人は「バルタン星人」と呼んでいた。私はそちらに一票(笑)。
ところで、なぜ羽生は相掛かりを採用したのか。余裕があるので矢倉ではない戦形にしたという見方もあるかもしれないが、私はズバリ決めに行くための相掛かりではないかと思う。羽生は相掛かりで先手を持ってとてつもない高勝率を記録しているのである。
名人戦でも三局も相掛かりが出て話題になったが、先手が大きい作戦勝ちをするか、あるいは難しい将棋になるかで、後手の決定的な対策はでてこなかった。もしかしたら、プロ全体でも相掛かりが流行するのかと思ったが、そのようなことはなかったようである。指す棋士が限定されているが、やはり独特の感覚感性が必要で、一歩でも間違えると一挙に転落する危険のある厳しい将棋だからなのだろうか。
前局の時にも書いたが、羽生はこの機を逃さずに永世竜王になろうとしていると思うので、三連勝でも今回は緩めようとはしないだろうと、私は勝手に考えている。この相掛かりは、ストレートで決めに行くための選択ではないかと。
衛星放送で桐山先生が指摘されていたが、今回の渡辺は封じ手直前の場面になると、袴が盤に触れそうになるくらい近づいて考えていたそうである。さすがに鋭い観察眼で、今日の夕方の中継でも封じ手直前の渡辺が、やはり盤ギリギリに袴を近づけてすごい迫力で読みふけっていた。今回は、たまたま初日の展開がはやいからなのかもしれないが。
渡辺竜王への事前インタビューも、なかなか良かった。

――(第三局までの)手ごたえは?
渡辺 (明るく笑って)いや、ないですけど、全然。

聞くほうも聞くほうだけど、明るくケロっと答えるのがらしいところである。

――第四局への抱負は?
渡辺 ここまでいい将棋になってないのは、自分のせいなので、将棋ファンの方々をガッカリさせちゃってるところがあると思うので、明日明後日と、何とかいい将棋に出来るよう頑張ります。

とても明るい調子で渡辺は語っていた。「将棋ファン」という言葉が、この追い込まれた状況でも出てきるのだ。泣かせるではないか。やはり、明日は渡辺に一ついれて欲しいと思う。
それにしても、衛星放送聞き手の中倉宏美さん、結構若い頃から衛星聞き手をやっていて、なんだか面白い子だなあと思っていたけど、聞き手ぶりも板について、すっかり立派になったなあ。←オジサンの感慨が、そのまま口からもれて出た。もうこうなったら、人間オワリである。

「出雲のイナズマ」記念すべき初戴冠―倉敷藤花第二局 清水倉敷藤花vs里見女流二段

先週の囲碁将棋ジャーナルで、倉敷藤花の第一局を行方八段が解説していた。清水さんが作戦勝ちしたが、里見さんが粘り強く受けながら、相手の飛車を召し取って攻めを間に合わせ、最後は逆に大差をつけて堂々と勝ちきった将棋だった。
行方さんは、里見さんの将棋を「相手との間合いをはかるのが非常にうまい、実戦的な嗅覚がすぐれている、男性で言うと鈴木八段のような感じ、今までの女流にはいなかったタイプ」と評していた。鈴木八段は天才型の棋士で、なかなか真似しようと思ってもああいう将棋は指せないのではなかろうかと思うのだが、里見さんも、やはり持って生まれた才能を感じさせる将棋を指すと思う。
第二局は、里見先手で中飛車に。私自身、プロの流行の影響を露骨に受け、四間飛車党から中飛車党に転向したので(汗)、個人的にも興味のある戦形である。
先手中飛車の常套手段で、居飛車が飛車先を交換しても、素直に歩を受けないで▲7七桂としたのに対し、清水さんが△8九角と踏み込んできたところ。
里見清水第二曲aaaaaa16-240手

実は、この局面について、少し形は違うが最近出版された「鈴木大介の将棋 中飛車編」(マイコミ)も取り上げている。鈴木八段のおすすめも実は里見さんの指した▲6八金と逃げて、敢えて飛車に成りこませる順である。
以下、鈴木本に解説してあるのとほぼ同手順に▲6八金△8八飛成▲6五桂△4二銀▲7七角△7八角成▲8八角△6八馬とすすんだ。
先手中飛車の場合、左金をどう使うかで常に苦労するのだが、こうしてその金が飛車と交換できれば、振り飛車側としてはうれしいのではないだろうか。里見さんも中飛車中心だから、当然鈴木本も読んでこの順を知っていたものと思われる。清水さんも同様だろうが、敢えてこの順に踏み込んできたのだろうか。振り飛車としては不満がないとしても、形勢自体は難解な分かれということのようである。
ただ、序盤にまだ課題があるといわれる里見さんとしては、こうして互角かそれ以上の分かれに持ち込めたのは、やはり大きかったのではないだろうか。
以下難しい形勢の将棋が続いたそうだが、清水さんが端の急所に手をつけたものの、いったん持ち駒の貴重な金を打ちつけさらに△7一歩とかたく打って守りに回った場面。
里見清水第二曲bbbbb16-274手

金を手放してくれたので、先手としても少し安心だが、しかし後手も鉄壁の守備陣を築き上げて、「さあ、どうするのだろう」という局面。なんと、ここで里見さんは▲9五馬から▲6八馬と、自陣にひきつける順を選んだ。私はこのあたりをネットで生観戦できたのだが、twitterで、興奮してこのようにつぶやいている。
うわー、この里見さんの馬の二段引きは高校生ではない(笑)。でも、これ先手、負けようがなくなったんじゃないですか。
指されてみると後手玉も金銀がたくさん張りついているが何しろ攻撃力不足で、先手がものすごくよく見える。ああいう実戦の生きた局面でスッと手が伸びるのがすごいと思う。行方八段の言うように、実践的な将棋、局面のどこがポイントかを柔軟に把握する嗅覚が優れているのだろう。私は、鈴木八段以外に、相手玉との距離感の計測が絶妙な広瀬五段の将棋を連想してしまった。
あとは、里見さんの一方的な将棋になったそうである。ただ、その後も本当に全然あせらなかった。落ち着き払ってさらに差を大きく広げていき、間違いなく寄せきれるというところで踏み込んで勝ちきった。
男女プロの将棋を見比べていると、その実力差以外に、将棋の性質の違いを誰しも感じることがあるだろう。違いが性差によるものなのか、常に別の集団で指しているからなのかは分からないが、とにかく異質なところがあるのは間違いない。
しかし、里見さんの将棋を見ていると、ほとんど男性プロとの感覚の違いを感じない。それは、恐らく彼女が主にネットで実戦経験をつんできて、目に見えない男性の強豪と日常的に戦ってきたとのが、やはり大きいのではないかと思う。そういう意味でも、ネットの存在価値は大きい。目に見えない相手と指すネット将棋は、男女の性差を消失させるのだ。
里見さんには、もっともっと強くなってもらいたいというのがファンの願いだろう。現在は、女流のプロは男性棋戦に参加する機会が多く与えられている。そういう機会に単なる「ゲスト」でなく、本当に男性棋士の脅威になってもらいたいものである。
一方、負けた清水さんはこのようなコメントを残したそうである。
「今回は里見さんのいいところが出た。終盤の強さはもちろん、対局態度もしっかりしている。頼もしい後輩です」
負けたら一番つらいであろう相手に対してこのようなことが言えるのは、やはりすごいことなのではないだろうか。

将棋の勝ち方教室by Dr.Habu 竜王戦第三局 渡辺竜王vs羽生名人

竜王戦中継サイト

初日から終盤に突入し、羽生勝ち筋と言われていたわけだが、そうは言ってもそう簡単に勝てるものなのだろうかと普通は思う。しかし、二日目の羽生は本当に危なげなく完璧に勝ちきってしまった。
初日の流れがとても激しいものだっただけに、きっとその勢いで一気に切りあいの寄せ合いに持ち込んで勝つのだろうとつい思い込んでしまっていた。ところが、羽生は一切勝ちをあせることなく、確実にジワジワと差を広げて、最後は負けようがない態勢を築き上げてしまったのである。
封じ手は、本譜の△2九飛成以外に△4五桂もあげられていた。
竜王戦第三局aaaaa08111346手

こちらの方が一気に寄せにいく順であり、それまでの流れから言えばこちらを選びたくなっても不思議ではない。それはそれで難解で、やはり後手が良いような変化手順が紹介されていた。しかし、いきなり踏み込むと当然間違って負けになる可能性も当然秘められている。
羽生は底歩を打たせても、急がずに行って勝てると冷静に判断した。羽生の二日目の指し方は、終始一貫あせらずにいくということで徹底していた。初日の激しい踏み込みの後だけに、考え方の切り替えが柔軟である。ある程度戦果をあげたので、後はあせらずにやるという羽生らしい考え方の転換。
さらに、印象的だったのが、▲5二歩に対して△4一玉と逃げたところ。
竜王戦第三局bbbbb08111354手

控え室では、△同金ととって一手勝ちを目指す順ばかり検討していたようである。この場合も、難解そうだが▲6四金という好手があってむしろ先手が有望だそうである。恐らく気分としては早くきりあって勝ちたいところを羽生はじっと玉を逃げた。一見馬筋や重ねて▲7五角と打つ筋があって危なく見えるが、どうやって来ても△4二銀で受けきれるという判断である。ここでも、冷静そのもので全くあせらない羽生の判断が光った。
さらに、きわめつけは▲2二歩に対して△3一金と受けたところ。
竜王戦第三局ccccc08111360手

この辺は他にも勝ち方があったようだが「最高に堅くいくなら△3一金ですね」(森下九段。)という手を指した。さらに駄目押し的に△5三銀打ち。全く隙を見せずに完全に受けきってしまった。この後はほとんど感想戦もなかったそうである。
森下さんが「からい」と評していた。私は「激辛」とか「からい」という表現が個人的には嫌いで、きちんと勝ちに結びつけることが出来るのならばそれは正当な指し方だと考えている。しかしこの羽生の指し方を見て、私でも「いやあ、からいよなあ」という言葉が口から漏れそうになってしまった。
非情なまでの勝負術だが、二日目を通じて羽生はどうやれば将棋を確実に勝ちきれるのかを実地でレッスンしているかのようだった。将棋は逆転のゲームであって、このようにスマートにすっきり勝ちきるのが、実は一番難しいことなのである。
結局、さかのぼって▲3八同金とせずに▲5三歩成といったほうが良かったそうである。
竜王戦第三局ddddd08111343手

それについいても当初は後手が難解ながらも指せているといわれていたが、行方八段が好手を後になって発見したそうである。竜王戦中継plusにある通り、それを翌日羽生に伝えると、やはり先手勝ちの変化があったという。その時に、聞かれた羽生の様子がすごい。
羽生名人は「ん、ん?うーん」と言ったきり目を閉じ黙考。十数分後にカッと目を開き
だそうである。この真理探究意欲。
なお、今回新設された棋譜plusの企画は素晴らしい。当初は初心者向けと説明されていたが、結局あらゆるレベルのファンの要望にこたえるものになった。序盤では、それこそ初心者用の作戦解説を変化手順で示しているが、感想戦の結果も詳しく変化手順として加えている。上記記事も、ほとんどそれを参考にして書かせてもらったものである。符号で変化手順を書いてあってもちゃんと分かるよ、と見栄を張りたいところだが、一応自称アマ中段者の私でも余りにも手順が長いと脳内盤面がかなりおぼろげになってしまうのだ(笑)。このように変化棋譜を入力してくれれば、誰にでも手順がしっかり理解できる。大変な手間が必要な作業だと思うが、まことにありがたい試みである。お仕事ブログでおなじみの鳥記者に感謝しよう。そして、今後もこのやり方が定着しますように。

さて、結果は渡辺竜王には、とても厳しいものになった。渡辺にとっては試練の時である。しかし、実は羽生も似たような経験を通過してきているのだ。NHK系列で放送された「100年インタビュー」で、羽生が竜王を初獲得した後に、谷川の挑戦を受け、1-4で奪取されたシリーズのことを取り上げていた。羽生が0―3に追い込まれた第四局は、203手の激闘になり、しかも入玉や持将棋模様でなく、延々と通常の攻防が続き形勢も二転三転した。最終は羽生が名手を見つけて勝ちきった。その将棋についての羽生の発言要旨。
それまでは、前を見た戦いばかりしてきたが、初めて後ろ向きの対局をした。そういう時の心境や状態が、とても印象に残っている。何とか一局いれたいと思っているが、どうにも駒が前に進まない。形勢が何度も入れ替わり、勝ち負けの揺れがすごくて、奪取されたとも勝ったとも何度も思った。最後に懸命に手を見つけて勝った。勝負のけわしさ、厳しさを知ることが出来た。
羽生は、負けたシリーズの一局をその後の自分にとって大切な将棋として位置づけているのである。現在の渡辺はまさしくそういう状況にある。勿論、まだ結果が決まってしまったわけでは全然ないが、次の第四局で、勝負以外にも何かをつかむような将棋を期待しようではないか。

ところで、第三局を受けて、将棋系ブログをしている人間の中では恐らくもっとも性格の良いnanaponさんが、こんな記事を書かれていました。nanaponさん、変な形容で紹介してしまってごめんなさい。でも、記事を読んで、本当に渡辺竜王に肩入れして応援していて、なおかつ本当にガッカリしているのが、濃紺の画面全体からにじみ出てくるかのように感じてしまう程、あまりによく伝わってきたので。人が落ちこんでいるところを申し訳ありませんが、気持ちがストレートに伝わってきて、なんかいいなーと思って、こちらはちょっとなごんでしまいました(笑)。
こんなに一生懸命応援しているかわいそうなファンもいるのだから、渡辺竜王もここは一つ頑張ってあげてください(笑)。

死刑執行台のエレベーター、じゃなくて封じ手―竜王戦第三局第一日 渡辺竜王vs羽生名人

竜王戦中継サイト

というようなベタなダジャレを思いついてしまったくらい、封じ手が即決め手になっていても全然おかしくないところまで進んでいる。と思ったら、しかも「死刑台のエレベーター」(マイルスが音楽をつけた)と「死刑執行人もまた死す」(F・ラング)が、ごっちゃになっていたし。
類似局では、竜王戦挑決第二局よりも、王位戦最終局が印象に残っている。本局の△3七歩成でなく、△3七角成と深浦が踏み込んだ将棋で、駒得の羽生が残していそうにも思えたが、と金が予想以上に大きくて、そのプレッシャーが実に嫌味だった。
羽生はその展開を当然意識してこの変化にしたのかと思いきや、もっと過激な順を準備していた。いや、準備していたのかどうかは分からない。王位戦の時は、▲7七銀だったが、今回は▲7九玉の新手。渡辺竜王だけでなく、解説の行方八段もある手だと思っていたそうである。王位戦と同じ変化になれば、玉がと金から遠いので当然得である。
しかし、▲8八銀の壁銀の欠陥をついて、△3七歩成から、銀損の強襲を選んだ。
この歩成の変化というのは、羽生は王位戦のときにも考えていたのだろうか。同じことを▲7七銀型でやると、どういうことになるのかな。いや、やはり壁銀を見て、この場で発見して決行することにしたのかな。
渡辺竜王が、▲7九玉を事前に準備していたか、この場で考えて思いついたか、どちらなのかは不明だが、とにかく工夫の一手であることは間違いない。しかし、羽生がその壁銀の弱点を的確に突いて過激に踏み込む手順で返してきた。まだ、どうなるかは分からないが、検討陣の言うように、羽生勝ちになったとしたら、渡辺にはまたしてもショックな負け方になってしまうだろう。第一局で、卓抜した大局観を見せつけられ、今度は読みの具体的深さ的確さでもしてやられたとしたら。あるいは、銀損になっても△3八のと金捨てでいけるという「羽生の大局観」が、やはりすごいという言い方も出来るだろう。
また、羽生は封じ手の後の展開を徹底して考えることが出来る。いくら寝不足になっても、完全に読みきりしてしまえば、それで終わりだし、実際読みきることだって十分可能な場面だろう。一方、渡辺にすれば、まさしく眠れない一夜になりそうだ。形勢が、少なくともはっきりいいとはいえなさそうだし、封じ手も△4五桂と△2九飛成の二通りがあり、なおかつしのがなければいけない変化だらけだ。
と、羽生に有利な条件ばかり揃ってしまっているが、ほとんど全ての変化が負けだらけでも、ただ一筋でも勝ちの変化があれば将棋はそれでいいのだ。個人的には、今回はどちらが勝ってもよく、ただ第七局まで見たいとだけ願っている。だから、明日何か起こるのを期待しよう。
ところで、本局で、羽生は矢倉を選ぶのではないかと思っていた。前局、先手番で快勝だったので、後手で「矢倉はこう指すものですよ」と往復ビンタをくらわそうとするのも、羽生流としては十分ありえそうだ。また、大事な対局でも、同じ戦形ばかり指さずに常に意欲的な羽生なので、後手番では一手損角換わりを一度指しているので、今回は別の作戦にするのかとも思っていた。
しかし、一手損角換わりの連投。今のところ、後手番で一番有力とされて多く指されているのがこの戦形。ある意味、一切「遊び」なしに勝ちにいっているという見方もできるのかもしれない。
また、羽生は渡辺のポテンシャルを十分高く評価しているのかもしれない。佐藤相手の一年目の防衛戦の際に、連敗後に劇的な勝ち方をして勢いに乗ったように、うまく流れをつかむのにも長けている。したがって、一切隙を見せないでいくぞと。
さらに、永世竜王がかかっている。名人戦でも、あと一歩というところで森内に阻まれ、名人挑戦すら出来ない間に森内に先を越されてしまった。艱難辛苦を乗り越えて、やっとの思いで今期獲得したわけである。その苦労を一番よく知る羽生だけに、周りが想像する以上に今回何が何でも永世竜王になっておこうと考えている可能性もあると思う。
第一局のパリ対局で、羽生は初日の観光を単独行動したという。周りに気配りを怠らない羽生としては、本当に珍しいことだったそうである。
今回、恐らく羽生は、いつもにもまして本気で勝ちに来ているのではないだろうか。

NHK杯 郷田と糸谷の感想戦より

先手郷田で、後手糸谷の一手損角換わりになり、郷田の攻めを完全に切らした糸谷が快勝。早見えで定評のある郷田を圧倒した糸谷の大物ぶりが際立った一局だった。勝ちになってからも、ほとんどノータイム指しに近く、郷田を押しきってしまった。
糸谷の奨励会時代に幹事をしていた畠山鎮七段が、色々エピソードを紹介していた。とにかく、元気いっぱいで落ち着きのない子だったそうである。
有名な話だが、糸谷が相手の駒をとって、それを相手の駒台にエイッと叩きつけてしまったことがあるという。対局をとめて手をあげて幹事に裁定を頼み、井上幹事が糸谷の反則負けにしたそうである。
かわいいと思うのは、ちゃんと手をあげて裁定を依頼するところである。別に、相手の駒台から黙って自分の駒台に移してしまえば、マナーは相当悪いにしても厳密には反則ともいえない気もするのだが。元気はいいが素直な子供だったということなのだろう。
ところで、対局以上に面白かったのが感想戦。
郷田 全然考えてくれないからねえ。

図は、郷田が本譜とは別の手順で攻めていたらどうなるかという局面だが、ここで糸谷が即座に示したのが△4二桂。
糸谷郷田58手

郷田 桂ですか。しかし、桂はどうかなあ、こっちがいいような気がするけど。これは、いいんじゃないかなー。桂ならさすがにいいと思う、ちょっと・・。
畠山 △4二桂がすぐ出るというのが、将棋観の世代の違いですね。
具体的説明は詳しくはなかったが、桂をアッサリ手放して、ただ受けるというのが、郷田の世代には感覚的には抵抗があるということなのだろうか。一方、糸谷にしてみれば、▲4四歩と垂らされてから▲4一銀を狙われると困るので、とにかく黙って桂を受けておくしかないということのようである。
プロの場合は、やりたくても感覚的には指せない手、指しにくい手というのがあるようなのだが、感想戦全体を通して聞いていると、糸谷の場合は感覚にとらわれずに、仕方ない場合は指すべき手をアッサリ指すという違いなのかなとも感じた。
他にも、玉が△5五に出て来る「いかにも糸谷流ですね」(畠山)という手が飛び出したりした。
郷田 ちょっと感覚が破壊されるな。

とまで言っていた。
渡辺竜王よりさらに若い糸谷五段。将棋も人間もとても個性的で要注目である。

渡辺終盤の錯覚―竜王戦第二局第二日 渡辺竜王vs羽生名人

竜王戦中継サイト

大長考の末の封じ手は△9八歩だった。
竜王戦第二局11111108103068手

穴熊に組み替える可能性も少しはあるのではないかとも言われたが、棋譜コメントに追加された渡辺本人の感想にあるように▲2五歩△1三銀となっていないで、いきなりもぐろうとしてもうまくかためられない。羽生も、渡辺の意見に同調していた。
実は、私もそう思っていたむのだよね。って昨日書け。思ったことを書かないでいて、後で当たっていると後悔する。あっ、思ったことを書いていたら大ハズレというのが実はそれより断然多いのを今すっかり忘れていました・・。
とにかく、細そうに見える攻めをつなげていこうという渡辺竜王らしい一手だった。
王座戦第二局は、後手の羽生がかなり細いのではないかという攻めをつなぎ、自玉のかたさをいかして勝った将棋だったが、その際渡辺はブログで冗談めかしてこう書いている。
ちなみに、仕掛けから70手目あたりまで現地は先手優勢の見解だったようですが、僕とボナンザの検討では後手もやれる、でしたよ。僕とボナンザは棋風(玉の堅さ>駒の損得)がそっくりで、大体同じような評価を出すんですよね。今日も僕が「囲いがしっかりしている後手を持ちたいな」と思っていたらボナンザも「−10」とやや後手持ちの評価。さすが相棒(笑)

その後、控え室の検討陣は、かなり先手の羽生がよいという判断を下していたが、実際は難しかったようである。棋譜解説に追加された感想戦のコメントは、とても興味深いので一読の価値がある。(スクロールしないと下に隠れて見えない場合が多いのでご注意を。)
例えば、ごく自然に見えた▲6三と金が疑問で、じっくり▲7四と金と、ひきつけておくべきだったそうである。なかなか指せませんよね。実際羽生さんでも指せていないのである。本当に将棋というのは間違えるように間違えるように出来ているゲームだと思う。
とにかく、両対局者の感想を読んでいると、いつも思うが将棋というのは深く読めば読むほど、そう簡単に均衡が崩れないし、勝負もつかないゲームだと感じる。前局の羽生の△6四角周辺の大局観が代表例で、パッと見ではどう見てもどちらかがよいように見えても、深く掘り下げるとそうではないということが、あまりにも多いのだ。
さらに進んで、この場面で渡辺は△6九銀と直接相手玉に迫っていったが、△2七銀ともたれて指すのが有力だったそうである。
竜王戦第二局22222081030104手

勿論渡辺も考えてはいて、その後の△5五歩が見えていなかったので見送ったそうである。気になるのは、羽生はこの場面ではどう考えていたかということである。羽生はこういう玉や主戦場とは遠いところへ金銀打ちが得意中の得意なので。(正確には疑問手だったらしいが)名人戦第三局の土壇場での△6九銀は印象的だったし、今回の立会いの藤井さんも、この種類の手でとてつもない逆転負けを喰らったことがあるのだ。
羽生ならば、△2七銀だったのではないだろうか。

本局で渡辺が一番悔やんでいたのがこの△8三桂。
竜王戦第二局33333081030122手

この手については、渡辺明ブログできわめて率直に記述されている。竜王戦中継plusに「▲同飛成としたらどうか?」という素朴な質問が届いていたが、渡辺は▲4二角成の順の変化を読んで、この当然の一手がエアポケットになってしっまたそうである。プロならではの錯覚とも言える。桂を渡すと、△1二玉の時に▲2四桂、△2三玉には▲3五桂の筋が生じて詰んでしまい。本人の表現を借りると「プレゼント」してしまったわけである。この渡辺の表情しぐさに、その気持ちがよく表れていると思う。
対局を落としただけでもつらいはずなのに、それを改めて記事にして一般に公開するというのは、かなり精神力の要る作業のはずである。つい、我々は最近では当たり前のように渡辺明ブログを読んでいるが、改めに彼に感謝しなければいけないだろう。

控え室では、藤井さんが相変わらず、サービス精神たっぷりだった。藤井は、かなり思ったことをそのまま口に出してコメントするタイプなので、一般イメージ的には損だとは思うが、慎重を期してほとんど当然のことしか言わない棋士よりは、我々アマチュアとしてはありがたい。これからも、その場で一瞬間違えることなど恐れずに、どんどんサービスしていただきたいものである。

この出だしは渡辺にとって、当然ながら苦しい。しかし、佐藤との一年目の竜王戦でも、二連敗後第三局を終盤の絶妙手で勝って流れを変えたことがある。
本局もギリギリの高度な戦いで羽生と渡り合いながらも、ごくわずかな歯車の狂いで負けているという印象である。とにかく第三局に期待しよう。
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