2009年09月

お久しぶりです

ちょっとさぼっているだけのつもりが、随分間があいてしまいました。
現在、ちょっと将棋以外のことに熱中しておりまして、なかなかブログまで手が回らない状態です。そもそも、私は気が多いものですから・・。
ということで、しばらく更新しなかったり、きまぐれ更新になりますので、よろしくお願いいたします。

将棋メモ 9/12(土)

竜王戦は森内が挑戦者に。通常角換わりの先後同型腰掛銀で色々な筋の歩をつき捨てる形になったが、その途中で深浦が△6三金と早めに指す変化をした。従来、ほとんど絶対的とされてきた部分に対する異議申し立てであり、単なる新手ではなく定跡の根幹部に関わる挑戦を深浦が大事な将棋でおこなったわけである。棋譜解説によると、「定跡伝道師」の所司七段が「最近は▲4五歩△同歩にいろいろ突き捨ててから▲3五歩とする。それが指し過ぎではないか、というのが△6三金の主張でしょうか」と分析していた。
深浦は、やはり通常角換わりの先手で▲8八玉と入場する新手も採用しており、それも定跡のそもそも基本の部分を疑ってみるというコンセプトの手だった。従来の角換わりの新手は、むしろ延々と定跡部分を辿っていった後に、こうしたらどうかという種類の新手が多かったような気がするが、それが、こうしてかなり早い段階での新手が試されている。それは、現代将棋において、従来常識とされていた考え方が次々に崩壊していることとも当然大きく関係しているのだろう。「ここまではいくらなんでも定跡、常識でしょう」という部分まで、「いや、本当にそうなのだろうか」と疑問を呈する考え方。
例えば、居飛車角換わりとは全くジャンルの違う角換わり振り飛車にしても、ふつう▲6五角と打たれて馬を作られてはダメだという「常識」を疑ってみたのが発端だった。さらにちょっと種類は違うが、今回の竜王戦で森内が羽生を葬り去った後手一手損角換わりに対して棒銀で最速で襲いかかるやり方も、まさかそんな単純なやり方が成立するのだろうかという盲点を突くものだったともいえる。もしかすると、今後のプロの新手は、かなり早い段階での発想が問われるようになるのかもしれない。
将棋自体は、森内流のじっとためる▲6二角成が滅法評判が良く、ほとんど深浦はノーチャンスだったようである。渡辺vs森内という組み合わせは、そもそも渡辺竜王ストーリーの発端であり、その再現はとても興味深い。森内からすれば、自分が竜王を奪われめことで羽生世代ダイナスティにかすかなゆらぎが生じた責任も感じているだろう。梅田望夫氏のtwitterより。
竜王戦は渡辺森内戦か。このあいだ誰かが言ってたな、『渡辺永世竜王を誕生させた責任は自分にある、と森内さんは思っているんですよ』と。
一方、渡辺も羽生を倒したことで、一応対羽生世代抗争に決着はつけたが、さらに森内を返り討ちに出来れば、渡辺竜王史の完璧な仕上げになるだろう。森内にすれば、あの時は渡辺の若さと勢いにしてやられて、じっくり自分の実力を出しきれなかったという思いもあるだろうし、渡辺にしてみれば、あの時は勢いで勝った部分もあるが歳月を経て成長を遂げて本当の実力勝負が今ならできるという思いもあるだろう。
渡辺vs羽生の再戦こそ実現しなかったが、今年の竜王戦も実に楽しみな組み合わせになった。

将棋世界10月号。私の勝手な予定では、今月の表紙は木村になっていたはずなのだが、王位戦がああいう大変なことになっており、山崎が大役をつとめている。おじさん将棋ファンは山崎表紙だからといって買うようなことはありえないが、最近ジワジワと増えつつあるという女性将棋ファンをひきつけて、かすかながらも売り上げ向上に貢献していることだろう。きっと、いや多分、いやもしかすると、いやひょっとしてないことはないかと・・。
そんなことより、待望の勝又教授による現代将棋観戦ガイドが再会されたのが、なんと言っても今回の目玉だ。タイトルは「つき抜ける!現代将棋」。初回とあって、現在の流れを概説している。これだけでも、現在進行形ののプロの将棋を理解するためには十分価値がある。
それだけでなく、さらに升田の▲8五桂ポンの紹介。ゴキゲン等で現在頻出の手筋を、実は升田が指していた将棋を紹介している。升田の先見の明は本当にすごい。羽生が言うように、当時は相手に全く理解されていなかった指し方を既にしていた証拠の一つである。棋譜全体が紹介されていて、盤に並べてみたが、▲8五桂の部分だけでなく、最後の勝ち方までメチャクチャかっこいい。
さらに、今回の本題は△3三角戦法。相手の出方によって柔軟に様々な対応するこの戦法を、畑違いの森下システムとも共通するものだ分析している。勝又教授の分析は、単なる最新形の整理紹介にとどまらず、そこにどういう歴史的意義があるか、将棋の考え方の本質や構造においてどういう思想的意義があるかについてまで考察しようとしているところが面白いのである。勝又講義は難しいという人もいるが、むしろその逆であって、細かい将棋の知識がはなくても、将棋の最先端で他の世界にも通じるどのようなことが行われているかを知るキッカケになりうると思う。そういう意味では、将棋ファン以外にも読んでもらいたいものである。(とはいっても、さすがにこの講座は将棋マニアじゃないと苦しいかなあ?)

それと、注目すべきは、東西対抗戦で里見が村山を破った将棋。村山と言えば「序盤は村山に聞け」で、序盤は完璧、なおかつしっかりした中終盤力の持ち主。スマートな現代若手棋士の典型的存在であって、格下の人間からすれば、一番負かしにくい相手のはずである。しかも、村山は今回の企画に並々ならぬ意欲で臨んでおり、初戦では下馬評を覆して関西若手のエース豊島を葬り去っている。それを里見が千日手指し直しで負かしてしまったのだ。これはとんでもない快挙である。このあとのメンバーを見ても、この東西対抗は結構面白いかもしれない。


将棋メモ 9/10(木)

私は本来非政治的な人間である。細かい政治のアレコレには全く興味が無い。別に自慢で言っているわけでも卑下して言っているわけでもない。事実としてそうだというだけのことである。それが、この前の選挙が終わってから、急に政治に興味がわいて、ここの所ずっと寸暇を惜しんで本を乱読したりネットサーフィンしていた。しかし、10日ほど経ってあっという間に飽きた。熱しやすくさめやすいもいいところだ。そんな私が、いつまでも飽きない将棋は本当に偉大だ。
とはいえ、その間ちょっとサボっている間に、多くのネット対局やテレビ将棋があった。それらを消化して棋譜や解説を事後に見て回るだけで大仕事になる。。現代将棋でプロは毎日棋譜を確認していないとあっという間に取り残されるが、観る側のアマもプロ将棋に本気で付き合おうと思うと、それはそれでなかなか大変なのである。もっとも、そんなのは贅沢な悩みだし、そもそもプロの人たちと違って誰に頼まれてしているわげてもなく勝手にしているだけなのだが。

王位戦第六局。ついに深浦が追いついた。やはり、去年の竜王戦で渡辺が3連敗4連勝したのが、とてつもなく大きい。そういうことが一度あっただけで。3連勝しても、木村には心のどこかでプレッシャーになり、逆に深浦には一筋の希望になる。竜王戦のメンタル効果は計り知れない。
深浦が端から攻め込む筋が思い切りのよう決断だった。こういう大きな勝負で、結果を恐れずに切り込む深浦式は、対羽生戦でも何度も目にしたところである。
木村は二局続けて勝ちがありそうな惜しい将棋を落としたという印象である。だが、前局でも後で解説を聞くと実は水面下ではしっかりした読みの裏づけがあり、超難解な将棋であったことが判明した。本局も、多分そういうことで、結果ほど木村の状態は悪くないのはないかと思う。と、確か前局の後にも書いた記憶があるが、そういう細かいことは気にしないことにしよう。最終局は、開き直って木村らしい将棋を指してくれる筈である。

王座戦第一局。山崎が、事前の週刊将棋インタビューで、対羽生についてこんな自己分析をしていた。
ーーどうも、序盤でリードを奪われて自分がミスをしてさらに差を広げられて押切られるパターンが多い。羽生と伍して戦っている、渡辺、深浦、森内は、皆序盤でリードする先行逃げ切り型。とにかく、序盤で悪くしないようにしたい。
まさしくそういう印象である。特に山崎の場合、ちょっと悪くなってからの指し方が絶品である。「よくぞこんな将棋をもちこたえて勝つものだ」と、感動させられることも多い。ただ、それが羽生が相手だと通用しない。残念ながら、本局も基本的にはそういうパターンになってしまった。
しかし、将棋の内容自体では、二人の柔軟な発想が光った。羽生の「これが成立するのか」という端攻めに対して。山崎も普通に応じるのではなく、一度でた棒銀をパックさせて飛車を浮いて受けに使い、さらに8四に持っていって相手が歩を突きにくくする構想。善悪は素人には分からないが、いかにも山崎らしい常識にとらわれない指し方だった。控え室のプロの形勢判断もかなり割れていたようである。やはり、相掛かりのような局面のつかみ所のない将棋では、プロでも一律的な判断が難しいのだろう。
むしろ、その後山崎がいくつかミスを犯して、結局自分が良い場面にすることが出来ず、難しいながらずっと羽生に押され気味という印象が残った。最初に紹介した山崎の自己分析の通り、羽生が全然間違えないので、根気負けして自分が先にミスしてしまうパターンだったのかもしれない。間違えない羽生が強いと言ってしまえばそれで終わりだが、山崎のほうも羽生のプレッシャーに負けずに辛抱して間違えなようにする自分との戦いなのかもしれないと思った。

順位戦A級、藤井vs高橋。藤井が先手中飛車を採用したが、作戦がうまくいかず高橋完勝。高橋の強さも光ったが、やはり藤井には、力戦調になりがちな中飛車は合わないのでないだろうか。藤井自身、先手藤井システムは健在と言っているのに、なぜ指さないのだろう。
女流王将戦は、上田が岩根を破って挑戦者に。振り飛車居飛車問わずに穴熊にするスペシャリストだが、手馴れたものである。堅く囲って捌いてお互い金銀をはがしあってスピード勝負というのは、素人にはとても分かりやすくて面白い。ただ、清水相手だと、相当緻密にやらないと、力を発揮できずに終わってしまう。女流王位戦いの挑戦者決定戦も、そういうパターンだった。タイトル戦本番で、どう修正してくるか楽しみである。

銀河戦、深浦vs佐藤。後手深浦が趣向の立石流風の四間飛車。お互い組み合って、佐藤が玉を固めて玉頭に厚みを築いて十分に思えたが、その後の深浦の指し回しが絶品だった。金銀を自然に玉に寄せて広々とした態勢を築き、さらに戦いながら金を自玉に寄せたり、相手の攻めを先受けするそれは渋い渋い歩打ちと、まるで大山が生き返ったような指し方だった。猛烈な攻め将棋よりも、むしろこういう受けの芸にマニアなファンは感動するのだ。深浦の将棋は、ひたすら厳しかったり、あるいは粘りまくったりという印象もままあるが、その大局観や将棋の懐の深さが発揮された名局だったと思う。
銀河戦、森内vs阿久津。矢倉の将棋で先手の森内が攻めかかったが、阿久津の反撃が厳しかった。森内は阿久津と相性が悪く、大きく負け越している。森内の重厚な将棋に対して、阿久津は切れ味鋭い一気に決める将棋。そのスピード感にしてやられているようである。最近の森内の充実は著しいが、久々にひどい目にあっているのを見た。相性というのは面白いものである。
NHK杯、森内vs豊島。後手豊島のゴキゲンに対して、森内は▲7八金型から馬を作る定跡形に。無条件に馬を作って、それで先手がいいというわけではないのが不思議な形である。馬の使い方が意外に難しいということである。銀河戦の北島vs阿部でもこの形が出ていたが、先手を持った北島が、馬の苦心のルートを開拓していたのが印象的だった。将棋世界で再開された勝又教授の講座でも「『中盤での馬は大きい』という常識も、ここでは破られています」と述べていた。このゴキゲンの指し方というのは、現代将棋ならではである。
さて、将棋は森内の構想が巧みで、豊島も柔軟な発想で対抗したが、結局押切られてしまった。関西の若手が強いのは間違いないが、テレビ棋戦で羽生世代と戦っているあたるところを観ると、どうもまだ差があるというのが率直な感想である。かつて、羽生世代が、上の世代をなぎ倒していったようなわけには行っていない。

将棋メモ 9/2(水)

竜王戦挑戦者決定戦第二局。森内が普通の四間飛車から穴熊に組ませて、金銀の厚みで穴熊退治に成功。この将棋については、各地で森内を絶賛する声が相続いていたようだ。気持ちはよく分かる。最近、ブロの対振り飛車は居飛車穴熊が中心である。穴熊の将棋ばっかりと言ってもよい。しかも、玉の堅さにもの言わせて、穴熊の暴力でくいついて勝ってしまう。それが現代将棋だとは思いながらも、アマチュアは心の底ではなんだかつまらないなぁと思っているのだ。そこへ、森内先生が、負ければ挑戦消滅の将棋で、堂々と穴熊退治をやってのけたのだ。快哉を叫ばずにはいられない。かつて、大山先生も相手に自由に穴熊に組ませて、薄い玉で延々と受けまくって長手数の将棋で勝っていたという。現代の棋士が見ても、とても真似することのできない芸と感じるそうである。そういうプロならではの芸に対して、アマチュアは(多分プロも)素直に感嘆するものなのである。とにかく穴熊に囲ってしまえば勝ちやすいという風潮に変化が出ないだろうか。穴熊に囲わせて堂々と勝とうとする振り飛車党でてこいや(高田延彦)、というところである。もっとも、櫛田さんなど一部の棋士は常にしていることだが、こういう大一番で最近はそういう指し方をほとんどしていなかった森内が鮮やかな勝ち方をしたので特にインパクトがあった。
C級1組順位戦、戸辺と小林裕が全勝を守った。対戦表を見ると、現在の全勝者同士で広瀬vs小林裕、宮田敦vs戸辺、小林裕vs戸辺と直接大切がぎょうさん残っているので、一敗者にもまだまだチャンスがありそうである。
女流王将戦。上田が勝ちあがって、岩根と清水への挑戦を争うことになった。上田は対抗系の穴熊のスペシャリストで、女広瀬だ。パワフルでヤンチャでど根性を感じさせる将棋で(好きなこといってすみません)、素人が見ていても十分面白い将棋である。どちらが挑戦になっても楽しみだ。
銀河戦、郷田vs橋本。解説は佐藤康光だったのだが、誰もがハッシーについて定跡のように言うのが「見かけは派手ですが、将棋の方は渋くて玄人好みで本筋を追求する将棋」ということである。後手の橋本が2手目△3二金を採用して郷田が挑発に乗って飛車を振ったが、橋本がうまく指して優位に。この将棋が郷田が順位戦で谷川相手に逆に△3二金をした伏線になったのだろうか。終盤郷田が猛追したのを橋本が振り切って勝ち。
銀河戦、橋本vs北島。後手北島が最近多用しているゴキゲンに対して橋本派流行の▲3七銀型。北島が、まるでゴキゲンのスペシャリストのような冴えた指しまわしで快勝。銀河クラブで遠山が「まるで久保さんのような捌き」と絶賛していた。羽生を破ったのに続いて連勝。最後の局後インタビューで北島は「滅多にない、イヤ、最後のチャンスかもしれないので頑張ります」と言っていた。
NHK杯久保vs佐藤天。後手久保で佐藤が三手目▲6八玉のゴキゲン封じ。順位戦でもやはりゴキゲン党の鈴木や遠山がされていた。ひそかに流行しているのだろうか。ゴキゲンを堂々と受けないのはどうかという考え方もあるかもしれないが、しかしこう指されるとゴキゲンにできない欠陥を理論的についているともいえる。微妙なところである。
将棋は、「将棋の神様」さんが詳説されているように久保流三間飛車亜藤井システム?とでもいうべき画期的な作戦を採用。記事にも書かれているように、特に後手番藤井システムの場合▲5五角急戦、右銀急戦に来られた場合に一手の遅れが致命的になりやすいし、堂々と穴熊に囲われたってやはり一手が響く。この将棋は佐藤が警戒したが、順位戦の深浦戦ではついに△7二銀も省略して、桂だけで攻める態勢をつくるアヴァンギャルドな出だしだった。深浦が桂頭から反発したくなったのも当然だろう。
ところで、本局では佐藤が矢内得意の端玉のような形になりかけたのだが、解説の山崎がそれを見逃すはずがない。「端玉は、端を詰められると気持ち悪くないですか」と突っ込むと、矢内も「気持ち悪いですよ。」とこたえていた。多分端玉はプロ筋では余り評判は良くなく、矢内も言われ慣れているのかもしれない。それでも頑固に採用するのが矢内流である。
将棋は久保の攻めが無理気味だったのを、佐藤が堂々と受けて良さそうになったのを、久保が持ち前の終盤力でナントカしてしまったという印象だった。最後、佐藤は相手に詰めろをかけて詰まされてしまった。それについて、佐藤は飛車を抜く順は相手に入玉されて自分は入玉が難しいのを読めてしまったので、とっさに詰めろをかけたら自玉が詰んでしまったとのこと。30秒将棋ならではだが、それをきちんと説明している辺り、なかなかしっかりしていると思った。「単純に詰みを読み逃したわけではありませんよ」と。主張がはっきりしている渡辺世代らしいと思った。
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