2011年04月

モテる将棋女子力を磨くための4つの心得「王手飛車をかけられない女をアピールせよ」等

えー、自力で笑いを取る自信が全くといってないので、まずとりあえずリンクをはっておこう。

モテる女子力を磨くための4つの心得「オムライスを食べられない女をアピールせよ」等

さてと、以下本文


こんにちは、将棋恋愛マネジメントを専攻している鷺宮嬢せきです。私は学歴も知識もありませんしブスですが、将棋恋愛に関してはプロフェッショナル。今回は、モテる将棋女子力を磨くための4つの心得を皆さんにお教えしたいと思います。
 
1. あえて2〜3段(級)弱いフリをして道場やネットで指す
あえて2〜3段(級)弱いフリをして道場やネットで指しましょう。そして好みの男がいたら話しかけ、わざとらしくケータイを出していじってみましょう。そして「あ〜ん! このケータイ将棋本当にマジでチョームカつくんですけどぉぉお〜!」と言って、男に「どうしたの?」と言わせましょう。言わせたらもう大成功。「ケータイ将棋とか全然勝てなくてぇ〜! ずっと一生懸命指しているんですけれどぉ〜! 勝てないんですぅ〜!ぷんぷくり〜ん(怒)」と言いましょう。だいたいの将棋マニアの男は無駄に強くなりたがる習性があるので、弱かったとしても初段程度はあってそれを鼻にかけているはずです。

そこで男が「好きな戦法とかないの?」と言ってくるはず(言ってこない空気が読めない男はその時点でガン無視OK)。そう言われたらあなたは「なんかなんかぁ〜! 最近ゴキゲン藤井矢倉が人気なんでしょー!? あれってどうなんですかぁ? 私も指してみたいんですけどわかんなぁぁああい!! 私かわいそーなコ★」と返します。すると男は「それって、ゴキゲン中飛車と藤井矢倉のことでしょ? 二つがゴッチャになっているよ。本当に良くわからないみたいだね。どちらが指したいの?教えてあげるよ。」という話になって、次の休みの日にふたりで将棋デートに行けるというわけです。あなたの将棋女子力が高ければ、男が大山全集全三巻を買ってくれるかも!?
 
2. Twitterで><を使うとモテる
「キャー!」とか「悲しい!」などを表現する「><」をコメントに入れると、Twitterの将棋男性ユーザーは「なんかこの子カワイイなぁ」や「支えてあげたいかも」と思ってくれます。インターネット上では現実世界よりもイメージが増幅されて相手に伝わるので 「><」を多用することによって、男性はあなたを可憐で女の子らしいと勘違いしてくれるのです。そういうキャラクターにするとほぼ絶対に同性に嫌われますが気にしないようにしましょう。
特に将棋男子は、島朗先生が同業のプロへの敬愛とちょっとばかりの自虐をこめて「純粋なるもの」と呼んだように一般将棋男子も概して純情で素直です。松田聖子全盛の頃でもそこまでしねーよというくらいぶりっ子を徹底してやりきってください。
 
3. とりあえず男には「えー! なにそれ!?  知りたい知りたーい♪」と言っておく
飲み会などで男が女性に話すことといえば勝った将棋の自慢話や訳分からないプロの高度な将棋の話ばかり。よって、女性にとってどうでもいい話ばかりです。でもそこで適当に「へぇー最近は松尾流△5二玉がはやっているんですかぁ〜?」とか「羽生さんの手渡しってよくわかんないですけどすごいんですねぇ」と返してしまうと、さすがの男も「この女ダメだな」と気がついてしまいます。ダメ女だとバレたら終わりです。そこは無意味にテンションをあげて、「えー! なに角換わり腰掛け銀同型問題って何それ!? 知りたい知りたーい♪」と言っておくのが正解。たとえ角換わり定跡なんて全く興味もないし、内心「てめーも本当は定跡なんかロクにしらねーんだろ」と思っても間違ってもそんなことを億尾にも出してはいけません。興味がない話題でも、テンションと積極性でその場を乗り切りましょう。積極的に話を聞いてくれる女性に男は弱いのです。

いろいろと話を聞いたあと、「ゴキゲン中飛車では星野流超速▲3七銀が大流行中で、羽生さんが名人戦で指したのを藤井さんは藤井矢倉とは認めていないんですね! 覚えたぞぉ! メモメモ!」とコメントすればパーフェクト。続けて頭に指をさしてくるくる回しつつ「キュンキュンキュン! キュンキュンキュン!」と言って、「どうしたの?」と男に言わせるのもアリ。そこで「私のハードディスクに記録しているのでありますっ☆」と言えば女子力アップ! そこでまた男は「この子おもしろくてカワイイかも!?」と思ってくれます。私は学歴も知識もありませんしブスですが、こういうテクニックを使えば知識がない私のようなバカ女のほうがモテたりするのです。男は優越感に浸りたいですからね。
 
4.王手飛車をかけられない将棋女子をアピールせよ
男と将棋を指したら、自分より弱くても間違っても全駒にして負かしたり、「てめーと指していても退屈なだけだ」と本心をもらしてはいけません。そして、相手が弱すぎて自分から王手飛車にかかりに来て、相手が気づいて「しまった」といった時には、すかさずこう言わなければいけません。「あーん! 私、王手飛車かけられないんですよねぇ〜(悲)」。するとほぼ100パーセント「どうして? 難しくて分からないの?」と聞かれるので、「難しいけれど、一生懸命勉強したから自分で王手飛車をかけることはできるんです。でも、かけたくてもかけられないんですっ><」と返答しましょう。ここでまた100パーセント「分かっているのにどうして王手飛車をかけられないの?」と聞かれるので、うつむいて3〜5秒ほど間をおいてからボソッとこう言います。「…… だって、……だって、王様さんをとったらみんなが死んじゃうじゃないですかぁっ! 飛車さんだってかわいそうですぅ! まだタテにもヨコにもビュンビュン動きたいのにぃぃ〜(悲)。龍さんになることもできないんですよ……」と身を震わせて言うのです。

その瞬間、あなたの将棋女子力がアップします。きっと男は「なんて優しい天使のようなコなんだろう! 絶対にゲットしてやるぞ! コイツは俺の女だ!」と心のなかで誓い、あなたに惚れ込むはずです。意中の男と付き合うことになったら、そんなことは忘れて好きなだけ王手飛車をかけても大丈夫です。「かけられないんじゃなかったっけ?」と言われたら「大丈夫になった」とか「慣れた」、「そんなこと言ってない」と言っておけばOKです。

(文=将棋恋愛マネジメント・鷺宮嬢せき)

朝吹真理子さんの日経新聞王座戦郷田vs村山観戦記

朝吹真理子による、日本経済新聞夕刊に10回に分けて掲載された、王座戦二次予選決勝、郷田真隆九段対村山慈明五段戦の観戦記。
観戦記に一切将棋の符号は出てこない。小説を読んでいるようである。しかし、あくまできちんと具体的な事実に即して細部の事象を何も見逃さずに再現している。しかし、きちんと事実だけを述べているにもかかわらず、どことなく現実でありながら現実でない光景を読んでいるような錯覚に陥る。例えば、朝吹が前夜の夢の中で対局室でお茶をこぼしたら、実際に郷田がほうじ茶をこぼしてしまうシンクロニシティー。
朝吹が羽生善治と「新潮」で対談した際に述べていた、「将棋の対局においてあらわれる様々な時間軸の交差」について、これも具体的な対局の進展に即して描出している。終盤に近づくにつれて、どんどん盤面の世界に入り込んでいく二人を「深海魚」と表現したりしながら。
当日は、東日本大震災の日だった。その場にいた羽生など、棋士たちの様子も克明に描き出されている。郷田は記録係に「余震が大きかったらこちらを何にせず逃げてもいいから。」と言葉をかけ、「揺れが続くなか背筋を伸ばして森下九段は笑っていた。」
郷田九段は「将棋の研究をしているとあまりによく出来過ぎているので、今生は何回目かの文明ではないかと前はよく思っていた。と後に語った。その円環的時間のことがずっと印象に残っていた。
羽生がこういうことを言うのなら、もう驚かない。でも、郷田がこんなことを言うとは。朝吹VS郷田対談も必要そうだ。
朝吹は、結局深夜の終局後までつきあって会館で仮眠したようである。名人戦第一局も現地で取材されていて、その様子がBSやネット中継でも少し見られたが、対局者や盤面を本当に食い入るように観察していた。全然遊び半分でなく本気で、ちょっと作家の狂気のようなものを感じてしまうくらいだった。本当に将棋や棋士がお好きなのだろう。棋士と通ずるものを持たれているのかもしれない。
観戦記は、このように終わる。
駒をしまうと盤面はのっぺらぼうになる。存在していた規則も意味も失われる。一局のうちにとめどない変化を目にしていたはずだった。盤はいかなる痕跡も残さない。勝負が終われば全て消える。
ジャズのEric Dolphyの言葉を思い出した。
When you hear music, after it's over, it's gone in the air. You can never capture it again.

マイナビ女子オープン第二局 甲斐女王vs上田挑戦者、伊藤果@週刊将棋ステーション

マイナビ女子オープン中継サイト

第一局の最後のところでの甲斐頓死による上田の大逆転勝ちを受けての第二局。
先手甲斐の中飛車に、後手上田の居飛車穴熊。甲斐がうまくやっているという評判だったが、慎重にいきすぎて上田にチャンスが回り、居飛車穴熊の遠さをいかしてうまく食いついて勝ち。これで連勝。
中継サイトをみても、甲斐はじっくりためて指す棋風のせいか、激しく斬りこむチャンスを逃してしまったようである。上田の方も最後は鋭く決めたが、本来ならもっと激しく攻めこむところで慎重にっなているようにも見えた。やはりタイトル戦の重圧なのだろうか。これで、上田は女王に王手。
現在、里見の奨励会挑戦が話題になっているが、これを機会に女流棋士と奨励会の両立を全面的に認めるように制度変更してもらいたいものである。上田などは、若くて将来性もあるし、奨励会でも男性に負けずに指せそうだし、どれだけやれるのかを見てみたいような気もする。

囲碁将棋チャンネル

ゲストは伊藤果七段。関西の福崎文吾先生の面白トークなどは、かなり有名になったような気がするが、伊藤果先生も、独特なテンション高い巧みな語り口で相当面白い。
大山先生とテレビ東京の早指し棋戦で戦った際の思い出。当時は別格で神様のような大山との対局のために、初めて着物をつくり、しっかり着用してテレビ局に向かった。しかし、大山がいつまでたっても来ない。そこで、まだ若くて血気盛んだったので、周りの人に「もし、大山先生が洋服姿で来たら、ボクが絶対に勝ちます」と強気に宣言した。
そして、ものすごく遅れて大山が到着し、その姿をパッと見ると洋服姿。それで、伊藤はすっかり勝ったような気分に。すると、大山が、スタッフに「ゴザをちょうだい」といって、その場にパァーっとひろげるとスタジオでいきなり裸になり、風呂敷から着物を取りだし、1分間もかからないうちにサササッと着てしまった。
そして、一言「あぁ、お待ちどうさま」。その瞬間に、伊藤はもう勝てないと観念した。最初の勢いとは逆に、すっかり勝負の前から大山に圧倒されてしまったのだ。そして勝負でも粉々に負かされてしまった。
というキレイなオチつき。
他にも、高柳門下の若き日の弟子時代の話、風車戦法、夢の中でつくった詰将棋の話など、どれも話巧みで飽きさせなかった。

藤井矢倉名人戦の舞台へ、森内連勝 名人戦第二局 羽生名人vs森内九段

名人戦棋譜速報

藤井猛が振り飛車専門しか指さなかったのを、居飛車も指し始め、早囲い・片矢倉・脇システムを組み合わせ飛車先を早めに突いてゆく、いわゆる「藤井矢倉」を試し出した頃は、まだ誰もその革新性や優秀性に気づいていなかった。藤井ご本人も、と独特の自虐的ユーモアを交えてこのように謙遜して述べていた。
私は鰻屋なので、居飛車屋の超高級五つ星レストランが建ち並ぶ銀座の目抜き通りに、やっと屋台の居飛車屋を出店したばかりの状態です。鰻のことに関しては語れますが、居飛車のことに関しては語れません。
鰻屋本舗  藤井九段の居飛車党転向についてより
しかし、その後、藤井矢倉は本人だけでなく多くの棋士が採用するようになり、王座戦でも藤井本人が羽生相手に採用し、ついに名人戦でも現れることになった。本日の連盟の解説会を藤井が担当しているので、何を語っているのかとても知りたいところである。
藤井矢倉は、従来の矢倉とはかなり感覚が異なるらしい。藤井が王座戦で採用した際のust中継で森下卓が、率直に藤井矢倉への疑問、違和感を口にしていたのがとても印象的だった。どちらが正しいかということではなく、同じ矢倉の戦形でもまったく新しい作戦をつくりだしたということなのだろう。四間飛車の藤井システムに続いて、矢倉でも新藤井システムを独力で創造したわけで本当にすごいことである。
老舗鰻屋をうっちゃって屋台をひいてまで始めた味が、ついに超高級五つ星レストランに認められて正式メニューに採用された記念すべき一日だった。しかし、本家の藤井は試食してみて「これはオレのつくる料理の味とはちょっと違うなぁ」とつぶやいたというところだろうか。

と、延々と藤井について語ったのは、将棋が一方的であまり見所がなかったからである。
藤井矢倉は、先手も積極的に攻めようとするし、先手が早囲いを目指すので後手も黙って囲っているわけにはいかないので、激しい将棋になることが多い。その辺のかけひきは素人には理解しにくいところだが、棋譜中継でもある程度説明されていた。そして、駆け引きを重ねる結果、本局のように居玉で攻め込むようなことにもなる。
羽生が、前例で森内が先手を持った形に修正を加えて採用したのだが、どうも本譜について森内は感想戦でもある程度深く掘り下げていたようである。後手もちの声が多く、なおかつ△3六角成の場面で、羽生が疑問手を指してしまったために以下一方的になってしまった。
▲5七飛とすれば難解だったそうで、羽生もその手自体は読んでいたが、その後の展開に成算がもてずに見送ったそうである。しかし、控え室の指摘のその後の順に気づいていなかったようである。第一局の△8五飛といい、勝負ところのポイントで間違ったのが羽生らしくなく、精彩を欠いた。
その後の、森内の△5三金は、「ディス・イズ・森内」といわんばかりの強情、頑強な受けで、それで将棋は終わってしまったらしい。
森内の強さだけが目だった第一、二局になった。

と、プロ野球を見ながら書き終えて、今夕方のBSで放映された感想戦を見た。▲5七飛以下△7一飛▲5二飛成△3一玉で、羽生は▲6二龍に△4五歩で困ると思っていた。しかし、そこで▲3七歩△4七馬▲5八金△2九馬▲6二龍まで進めて、羽生も「こっちの方が良かった」と述べていた。「▲3七歩が見えていなかった」と。以下1、△5五桂▲6八金引△5六角▲7一龍△8九角成2、△4七銀▲7一龍△2二玉▲5七金寄など。
生の感想戦をじっくり観るのも珍しい体験だったが、意外に駒を動かさない感じで、言葉も少なめだった。対局直後で難しい局面だからかもしれない。
勝又六段も登場。やはり▲5七飛以下の変化を詳しく調べていた。

LPSA天河戦第三局 石橋vs中井、三浦弘行@週刊将棋ステーション、山崎隆之ちょいワルNHKテキスト

NTTル・パルク杯天河戦中継サイト

石橋天河に中井が挑戦して、一勝一敗の後を受けての決着局。先手中井の初手▲2六歩に石橋は△5二飛!第一局での二手目△7二飛に続いての趣向である。現代将棋では変わった指し方が多いが、それらには理論的根拠があるが、石橋の場合はあまり難しいことを考えずに自由に指すという感じで、坂田三吉の初手端歩のようなものだろう。青葉記者によると、「町の腕自慢のおじさんのような指し回し。」ということになる。
そんな出だしだが、将棋は200手越えの大熱戦になった。中井が終始手厚く冷静に押さえ込みにかかり、石橋が腕力にものをいわせて暴れようとして、両者の棋風は全く対照的なのにもかかわらず、なぜか噛み合ってバランスが取れてよい将棋になるのが不思議だ。最後は中井がようやく勝ちにこぎつけた。
石橋はLPSA発足後に女流王位を獲得したが、中井は新団体になってからはネットの女流最強戦以外では未戴冠。同世代の清水もまだまだ頑張っているので、タイトル戦にも登場してもらいたいものである。

囲碁将棋チャンネルHP

三浦がゲストで、個性的な西村門下の面々について語っていたのが興味深かった。以下は三浦の話の要旨。
藤井は、群馬出身で研究相手がいなくて、一人で研究するクセがついている。その方式で強くなり、藤井システムを開発できた独創性もそれに由来しているのではないか。
阿部は、奨励会時代から研究会のためだけに山形から東京にきていたそうである。そして道中もずっと将棋のことを考えていたそうである。三浦が対局を終えて、日付が変わった阿部が深夜に一人で黙々と研究していたのが印象的だった。
三浦自身については、一日16時間の研究という伝説について否定はしていたが、タイトル戦の前にはやることもある。とポロリと。それだけでも十分にすごいと思う。奨励会時代は詰将棋をひたすら解いた。江戸時代の詰将棋をほとんど、何百何千と解いた。また、羽生の七冠の一角を崩した際には、取材が殺到して研究時間が確保できなくて困ったそうである。そこで研究のことを気にするのが実に三浦らしい。
三人に共通して言えるのは、猛烈な研究を独自に行っているということ。全員地方出身者という事情があるのだが、彼らの強烈な個性の源は「一人」で将棋を考えているということなのかもしれない。共同研究が全盛の昨今、ちょっと考えさせられるものがある。
ちなみに、司会をされている恩田菜穂さんのブログ記事によると、三浦は「髪型を気にするちょっぴりお茶目な面も見せてくれました」そうである。と女性三浦ファンのために付け加えておこう。

NHK将棋講座HP

先週も山崎の講座について書いたが、今週も面白かった。あの終盤力を誇る郷田相手に、よくもまぁこんな逆転勝ちが出来るものである。
先週の時点ではNHKテキストを未購入だっのだが、このテキスト内での山崎の解説も相当面白い。そもそも、表紙の写真が「ちょいワル」を明らかに意識していて笑える。
ご本人の弁によると「私は、特に研究が好きでもなく、優等生とは思われたくない「ちょいワル棋士」です。」と宣言している。ちょいワルは局面のことだけでなく、本人もそうだということでよいようだ。どうでもいいことのような気もするが。
文章中にも。ヒッチコックの「北北東に進路を取れ」や「明日に向かって撃て!」が出てきたりする。そして、逆転の奥儀を山崎が語っている囲みパートが秀逸である。今回で言うと、「相手が剛直に来ている時には波長をあわせずに敢えてノーガードで」とか
、形勢が開いている時には「闘志の火を消し、死んだフリをしてチャンスを待つのがいい。」とか、なかなかのちょいワル・サイコロジストぶりなのである。
講座で興味を持った方は、テキストも手に取られてみるといいと思う。

名人戦開幕、森内先勝 名人戦2011第一局 羽生名人vs森内九段

名人戦棋譜速報

例年と変わることなく、椿山荘の満開の桜とともに名人戦開幕。勿論、今回は通常とは全く違う状況下だけれども、日本人誰しもが好きな桜の花と格調の高い名人戦の取り合わせには、心が落ち着いてなごむ。桜の花は日本人の心の深いところを揺り動かして現実が一種の夢のような感覚にいざなうが、今年は特に現実が薄いヴェールごしにみる非現実的なものに感じられるが、しかしそれは確かに現実で、とても美しくていとおしいものに思える。
そして、対局者は羽生と森内。羽生と渡辺の緊張感溢れる対局もよいけれども、今年に限っていうならば、同年代で円熟してお互いを認め合っているこの二人の対局でよかったような気もする。安心して将棋の内容に没入できる。
朝吹真理子さんも、このように言っている。
森内さんは海の潮だまりのような、どっしりした安定感がある。羽生さんとの対局は見ていてとても安堵(あんど)し、健やかな気持ちになります。
asahi com. 将棋 「ふたりの共鳴に触れたい」朝吹真理子さん 名人戦七番勝負 より

森内が将棋世界で小暮克洋記者の名人戦展望インタビューを受けている。もともと人柄の良さが滲みでるタイプだったが、掲載されている写真を観ると、厳しい勝負の世界をくぐりぬけて、その風雪に耐えてきた末のような晴れやかな実にいい顔をしていると思った。
今回の森内の順位戦は本当に死闘が多かった。木村との相入玉模様で森内が駒の数を指折って数えた将棋、藤井と長手数の二転三転する激闘の末、藤井が勝ちになつた瞬間に間違えて九死に一生を得た将棋、久保の執念の粘りを渾身の力で、しかし冷静に振り切った将棋。まさしく、今回の名人戦は、暗闇の中を長く苦しんで戦いぬいた末にトンネルを抜けた晴れ舞台という感じがする。だから、森内の表情も不思議に静謐なのだろう。
森内も羽生も、大局観について言及していて若いときとは一味違う深い将棋を指したいと言っている。お互い永世名人も獲得しているし、今回は二人の達人が本当に将棋の内容だけを思う存分追求できるシリーズなのである。
森内の発言では、羽生についてこんなことを言っているのが興味深かった。
羽生さんは長い間、頂上で高いパフォーマンスを保っていますが、最近は第一人者としての余裕というより、ひたむきに努力する姿勢のほうが目立っているように思えます。
さすがに現場のライバルなので、鋭いところを見ていると感じて、少しドキっとしてしまった。実は私もひそかに似たようなことを感じてい。そして、森内も、恐らく羽生がそこまでやらなければいけないのだから、自分もそうしないといけないと思っているのだろう。去年の名人戦での三浦の研究の深さや将棋に身を捧げる姿勢にも感銘を受けたとも言っている.森内の感受性は、恐ろしく素直である。四十を越えても。そういうのは多分一般人では難しいので、ちょっとうらやましいところもある。

さて、将棋は後手が羽生で、横歩取り△5二玉型という最新テーマに。この形のコンセプトは素人には理解するのが難しいのだけれども、勝又教授がきわめて分かりやすく説明してくれている。

突き抜けないブログ 名人戦第1局

森内の剛直に攻めを誘うようならしい▲3六歩に対して羽生が当然攻めかかった。しかし、その後の展開が円熟した二人らしい曲線的な変化だった。森内が取るのが当然と思えた▲7五歩ではなく▲4六歩と意表の手を指すと、羽生も△3五歩と意外なところから。「一番曲線的」(鈴木八段)な手。前例のないどう指せばいいのか分からない展開で、れこそ二人の言う年齢を経ないと磨けない大局観が存分に発揮されていたのだと思う。控え室の検討もいつも以上にあたらなかったようである。
控え室では、羽生が△8五飛といつたのが問題で△1二角と打っておけばどうかということだった。羽生は飛車を成らせても大丈夫と考えたようだが、森内の攻めが予想以上に厳しかったようである。BSで渡辺が、そのあたりを生放送でで解説していたが、その場の即座の判断では飛車が成られても大したことをないと判断していた。羽生も本譜のように馬と金を取られる素朴な順は「大局観」でいけそうと判断してしまったのだろうか。「大局観」とは読みを省略する技術でもあるので、その欠点が微妙に影響することなどもむあるのだろうか。
しかし、そうはいってもBS解説では、その後も僅差の難しい局面が続いているという判断だった。細そうに見える攻めを見事につないだ森内が見事だったということなのだろう。控え室の順とは微妙に違う、左右から交互に挟撃する寄せは、結果的には正確無比で、羽生に終盤の粘りの余地を全く与えなっかたように感じられた。ただ、感想戦で検討すると実は難しい変化が存在したということは、よくあるけれども。
それにしても先手の森内、特に時間が長い将棋では抜群に強い。この二人の戦いだと、サービスゲームをキープしあうことが非常に多い。先手の得が最大限に生かされるレベルの高い戦いで、やはり今回もどちらがサービスゲームをブレイクするかがポイントになるのだろう。



NHK将棋講座 山崎隆之のちょいワル逆転術

という講座タイトルである。山崎とアシスタントの鈴木真理さんが、二人で真面目な顔をして何度も何度も「ちょいワルちょいワル」と日曜昼の教育テレビで連呼していた。さぞ、元祖ちょいワル・オヤジのジローラマも満足なことだろう。
昨日の出場女流棋士決定戦の解説もこの二人で、いかにも真面目そうなNHKアナウンサーが「ちょいワルというのは、山崎さんがちょいワルな人ということではなくて、ちょっと悪い局面からの逆転術なのですね。」と説明していた。一体、何の話をしているのだろう。
さて、今回のちょいワル逆転術の題材はNHK杯決勝で羽生を破った将棋だった。山崎が自戦解説したわけだが、改めてみても惚れ惚れするような攻め手順である。
△6七歩と垂らされた局面では、パッと見ではちょいワルどころか(知らないうちに私までこの言葉をごく自然に使っているのが恐ろしいところだ)、かなり困っているように見える。
しかし、ここで▲5四歩から▲5三歩を入れる。これも、金を玉に近づけて得には見えない。ところが、そこでの▲7一銀が、ちょっと気がつきにく好手。歩で押さえた効果で△8四飛と逃げると▲5一角が飛車金両取りになる。
従って、△7二飛だが、そのタイミングで▲5二歩成の成り捨て。打ったばかりの歩なので、この時間差攻撃も盲点になりそうだ。そして、飛車を手に入れて攻めをつなぎ、後手が耐えて△4三角と打てばまだよかったが、△6三角が疑問で角と金の二枚を取れて後手玉に食いついてしまった。
というわけで、なかなかプロでも見られないような見事な攻めのつなぎ方だった。この対局はNHKの歴代名勝負十局でも六位に入っている。録画を見直したら、解説の中原先生も山崎の△3九銀(番組中では先後逆で▲7一銀)について、「へぇー、これはまたすごい手だね。ちょっと考えづらい手ですね。」と感心していた。羽生も「△3九銀は、居飛車振り飛車の将棋ではあまり見たことのない手筋、矢倉ならよくある手なんですけれど、非常に意外性のある一手で、しかも厳しかったんで、二重に驚きました。」と語っていた。
そして、オマケ?の「ちょいワル王子の逆転ホームラン」。山崎と鈴木さんが二人で、ホームランをかっとばすフリつきである。山崎は、堂々とやりきっていたものの、自分で苦笑してさすがに恥ずかしそうだった。これは、アックンの目ヂカラに続く企画である。阿久津の場合は、やり終わった後に怒ったように照れていた。人様々である。何の批評なのかよく分からないが。どうもNHKの将棋班はもイケメン棋士にこういうのをやらすのが好きなようである。
ちなみに、「ちょいワル王子」って、結局山崎がちょいワルなんじゃん、というヤボなツッコミはしないでおこう。



この度、本ブログを書籍化するつもりでしたが、全出版社に拒否されました。

(参考記事) 妻の小言 本
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