NHKの「将棋界の一番長い日」ドキュメンタリー番組なのだが、以下の再放送予定がある。

番組タイトル:ドキュメント 将棋界の一番長い日
放送日: 2010年4月4日(日) 放送時間:午後4:00〜午後5:00(60分)

(追記)再放送予定が変更になりました。
4月5日(月) BS2午前3:30〜4:29

http://cgi2.nhk.or.jp/goshogi/special/index.cgi

というわけで、未見で視聴可能な方は本記事を読まれないように。長い日のBS放送のダイジェスト版程度かと思っていたら、さにあらず、取材を事前にも事後にも十分に行った力作である。NHKさんになりかわると「将棋ファン必見」と言っても構わないと思う。できれば、NHK総合などでも放映していただきたいものである。
と必要な断りを済ました上ではじめます。もっとも、私がこれから書くことは、いつも通り「見りゃ、分かるじゃん」という内容に終始するであろう。あそこよかったね、そうそう、と番組を見た仮想のプログ読者とともに井戸端会議するといった程度の趣旨なのでご了承いただきたい。


取材シーンは三浦弘行の自宅取材から始まる。三浦といえば、最近は共同研究が主流な中、群馬の自宅で黙々と独自研究を行っていることで有名である。しかも、毎日十時間以上、将棋の勉強をしているとする通説がある。ということで、将棋ファンにとっては、秘密基地潜入のようなドキドキ感である(大袈裟だ)。
三浦が愛犬を連れて散歩をしている。毎日二時間の散歩を欠かさないとのこと。愛犬君がカメラをジロリと睨んで「なんだ、こいつら」と迷惑そうである。
スタッフ 散歩の時も将棋のことって、考えられます?
ナイス質問である。三浦も、鋭いところを突かれたという様子で、戸惑い笑いを浮かべながら、
うーむ、まぁ、実は詰将棋のこととか考えたりすることもありますね。
「こともある」というのは、必ずそうしているということではないだろうか。森下卓が証言していたが、三浦は米長研究会の草むしりの際に、右手に鎌、左手に詰将棋の本というスタイルだったそうである。伝説は本当だった(だから大袈裟だって)。
三浦が自宅で盤に駒を並べるシーンも映った。眼光鋭くかっこいい。野球選手がユニフォームを着ているときが一番かっこいいように、プロ将棋棋士も駒を持っているときが一番良い。最終局では△5五歩が、三浦流研究の一手だったということである。
棋士の皆に認められるような方でないと、なかなか名人にもなれないのかと思うんですよね。本当に尊敬してやまない方ばかりなので、そういう方に一歩でも近づきたいと、私自身も常日頃思っていることではあるので。
三浦の名人に対する思いである。三浦にとって、あるいは全ての棋士にとってなのだろうが、名人が単なる将棋が強い人以上のものであることが良く分かる。

他に谷川浩司vs高橋道雄、木村一基vs井上慶太の二局についても、具体的な内容を取り上げていた。対局者たちから事後のインタビューも十分に取っている。谷川と井上の兄弟弟子にとっては酷なことになったが、二人ともきちんと答えられていた。
特に、谷川については、▲2四角が痛恨の一手だったわけだが、谷川自身がその手を解説していた。「気持ちの整理がついていないで指した」のだが、その原因として早い段階で形勢を悪くして悲観していたことを自ら挙げていた。それはネット中継でも確かふれられていたところである。当たり前のように観ているが、現在のネット将棋中継のレベルはかなり高いと思う。
さらに、その後に投了前に、谷川がコップの水を二敗飲んでいるシーンをカメラが捉えていた。気持ちを整理していることまで、谷川自身が解説させられていた。谷川なので誠実に対応していたが、さすがにその辺は酷過ぎるので、誰か別のプロの解説者にコメントさせた方がいいのかもしれない。勿論、本人が話してくれれば一番良いわけだが。
ところが、それだけではない。対局直後に谷川は対局室の廊下で立ったままインタビューに応じている。
そうですね、いや、難しい将棋だったんですけれども、なんか一手バッタリをしてしまって、そうですね。こんなに早く終わってはいけなかったんですよね。えぇ。日付が変わる前に負けてはいけなかったんかですけれども。ハイ。
絞りだすように、ちょっと自嘲笑いを浮かべながら。断らずにインタビューに答えていたのが谷川らしい。
事後インタビューで、ちょっとだけ救われた感じだったのは
ーー奥様は何か言われたりするのでしょうか
谷川 ええーっ、まぁ、妻は、そうですね、勝った時も負けた時もお疲れ様・・ですね、えぇ。


その他にも、井上の子供教室、高橋の自宅、渡辺竜王、夕食出前、ネット中継などの控え室、大盤解説会など、将棋ファンにはこたえられない内容であった。

最後に流れていたのがNorah Jonesの名作Come away with meよりThe long day is over。

Feeling tired
By the fire
The long day is over

The wind is gone
Asleep at dawn
The embers burn on

With no reprise
The sun will rise
The long day is over


(オマケ)注意力テスト。twitterである方に教わったのだが、チラリと一瞬だけ映った、高橋先生が自宅で原稿用紙に執筆する際に下じきに使っていた雑誌は、さてなんでしょう?

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