都成竜馬新四段の方は、前回既に昇段を決めていた。残念ながら最終節は連敗。師匠の谷川浩司が、「そういう勝負に甘いところは師匠を見習わなくてもいいですから、フフッ」と言ったかどうかは定かではない。
新人王戦でも優勝した実力者だが、三段リーグでは散々苦労した末のプロ入りである。同じ26歳には糸谷哲郎がいる。豊島将之に至っては一つ下の25歳。こういう苦労人の昇段は、将棋ファンならだれしも嬉しい。谷川会長もさぞホッとされている事だろう。
と同時に、私自身が初めてイケメン度で負けるかもしれないと思うプロ棋士が誕生したことにもなる。
(おあとがよろしいようで….)

もう一人の昇段者は井出隼平。なんと、昇段確率が0.6%だったそうである。上位がバタバタ負けて昇段がころがりこんできた。しかも、今回の三段リーグは三連敗スタートだった。本人のインタビューを見ても、昇段をあまり意識せず、無欲の勝利だったようである。
田丸昇門下で、兄弟子には櫛田陽一がいる。モバイルのインタビューで井出は次のように述べている。
「できれば、穴熊に組ませて勝つ四間飛車党になりたいです。」
まず、今時四間飛車党自体珍しい。若手の振り飛車党もどんどん居飛車に転向したり主力戦法にしてしまっている。
しかも、「穴熊に組ませて」勝ちたいそうである。居飛車穴熊に対して、四間飛車側の対策としては藤井システムが有名だ。しかし、あれは振り飛車側も居玉のまま穴熊に十分囲わせないで攻めてしまおうという発想である。
それだけ居飛車穴熊というのは脅威なのだ。「居飛穴の暴力」などともよく言われる。玉のかたさにまかせて暴れて勝ってしまう。
しかし、そうした風潮にプロ棋士でほとんど唯一反発していた四間飛車党が櫛田陽一である。居飛車に自由に穴熊に囲わせても指せるという信念の持ち主だった。
実際、櫛田が居飛穴を何度も退治するのを目撃している。芸術的だった。残念ながら既に引退してしまったが。
振り飛車党にとっては、自由に居飛穴に囲わせてしまった上で退治するのが夢なのである。
そして、櫛田の後継者として弟弟子の井出が登場する。将棋も大変楽しみなのである。