ものぐさ将棋観戦日記

2011B級1組 1回戦、NHK杯 佐藤康vs永瀬

名人戦棋譜速報

今年のB1は、結構脂っこいメンツである。A級から落ちてきたのが、藤井、木村という個性派業師の人気者。B2からあがってきたのが、阿久津、橋本の将来を嘱望されて久しいが将棋世界誌の辛口予想であがるのに苦労した?あっくん&ハッシー。これまた若手有望格の山崎、松尾。A級経験者の鈴木、行方、井上。実力派ベテラン寄り?中堅の中村、中田宏、畠山鎮。おつと、今回は抜け番だったけどこのお方を絶対に忘れちゃいけない、私の中では昇級の本命中の本命深浦。
こういった一癖も二癖もある連中が、一斉対局するのだからたまらない。ある意味A級よりも面白いのである。
藤井vs橋本。後手の藤井が、お得意の角交換四間飛車。早めに△3五歩と突きこした。そのタイミングが色々あって、藤井は毎回微修正して工夫しているようだ。八雲記者がそういうやり方を藤井システムのようだと評していた。藤井は流行のゴキゲンをあまり指さずにこれを主戦法にしているが、おそらく新藤井システムとしてコクのある深い独自の研究を重ねていて愛着があるのだろう。
しかし、それに対して橋本が▲5六角としたのが機敏だったようである。藤井はなんとか凌ごうとする守勢になってしまった。しかし、なんとか粘って△4七と△4九角成から△5八銀と打ち付けたところでは「ガジガジ」と音が聞こえるようで、藤井も十分やれそうに見えた。
が、その後の橋本の対応が冷静で、振り返るとやはりずっと橋本がよかったのだろうか。藤井は、終局後に、加藤一二三のようにすぐに駒を片付けてしまったそうなので、多分序盤の構想が相当不本意だったのではないだろうか。
木村vs行方のライバル&仲良し対決は、後手で横歩取り△5二玉を採用した木村が制した。他にも▲3六飛の瞬間に△5二玉とする将棋があったが、これが現在の流行なのだろうか。この二人の場合、対局後にどこかの酒場で第二局が延々と繰り広げられたのかどうかは知る由もない。
中田宏vs鈴木は、居飛車穴熊が▲8四角のただ捨ての鬼手を決めて穴熊の暴力で快勝。中田宏も玄人受けのする個性的な実力派でファンにとっては気になる存在だ。
中村vs阿久津は、終始中村がうまく指して、最後も阿久津の成香を冷静に抜いておけば勝ちだったようだが、詰ましにいってすっぽ抜けて大逆転。阿久津は九死に一生を得た。A級にあがっても全然おかしくない実力者なので、この一勝はメチャメチャ大きい気がする。

NHK杯HP

佐藤康光vs永瀬。
NHK史上初の二度千日手となった。第一局は永瀬先手で△8四飛に▲7七金と盛り上がる新趣向、第二局は後手永瀬のゴキゲンの▲3七銀超速の流行型。今は△5五歩と蓋をするのは少なくて▲6六銀から▲5五銀右が多いそうである。素人はちょっと見ていないとすぐ最新定跡についていけなくなる。永瀬があまく端から手をつくったが、佐藤がうまく粘って千日手。
どちらも、そんなに永瀬は悪くなさそうだったが、先手でも全然打開する気がなさそうで連続千日手。解説の鈴木が永瀬の「千日手思想」を分かりやすく解説してくれていたが、これがなかなか衝撃的だった。
(鈴木の発言要旨)永瀬は千日手名人である。先手でも多く千日手にする。千日手指し直しでまだ負けたことがないそうである。千日手は若い方が勝つという考え方。永瀬が冗談かもしれないが、よく言っているのは、後手の人がうまくやって来たら千日手でも仕方ない。もし後手がうまくやらない時は一撃でしとめる。千日手で二度序盤をすれば(先後に関係なく)自分がうまくやるチャンスがある。自分は徹底的に序盤を研究していて誰にも負けない自信がある。
ちょっと私は感動した。自分の研究努力に対する絶対的な自信と、勝負に対するシビアなプロフェッショルな姿勢。ちょっと若き日の丸山を思わせて、それ以上に過激で厳しい態度。
そして、第三局でも独自の研究で完全に作戦勝ちして快勝したのである。言うまでもなく、佐藤だって真面目に深く研究するタイプで石田流退治の達人で、なおかつ研究が終わったところからも抜群に力が強いにもかかわらず。
ネット将棋で、菅井が羽生に快勝したが、この辺の若手は単に強いだけでなく将棋に対する姿勢でも注目すべきところがあるような気がする。


王将戦第四局第一日、銀河戦 福崎vs稲葉、NHK杯「もう一度見たい!伝説の名勝負」

王将戦中継サイト

先手久保の▲7五歩に後手豊島は△6二銀。なんとなく納得。佐藤康光や渡辺明なら△8四歩から△8五歩といきたくなるところだが、豊島は彼らよりも老成して大人なのだ(笑)。概して将棋界では、年の若いほど大人びた将棋を指して、年齢が上になるほじ若々しい将棋を指すという一般法則がある。久保流の乱戦石田流をみたかったが、豊島はそれは相手の土俵なので損と冷静に合理的に考えるタイプのようがする。勿論、基本的には自由な作戦選択の問題に過ぎないけれども。
かつて、米長が南相手に「横歩を取れないような男に負けたらご先祖様に申し訳ない」と挑発して、南も横歩をとったことがあったが、久保も「久保流石田流を受けることが出来ない男に負けては(以下略)」と挑発してみたらどうだろう(笑)。
この将棋も久保が積極的に動いたが、豊島も「若者らしく」強気に応戦している。久保の▲7九金が印象的。意外な驚く手を必ずみせてくれる。最近、久保将棋のファンになりつつある。

囲碁将棋チャンネルHP(棋譜閲覧可能)


福崎先手で▲7六歩△8四歩▲6六歩△3二飛の出だし。3手目▲6六歩には相振りがトレンドとか聞いたが、稲葉もそうしているので本当にそうなのかもしれない。いきなり3筋を交換する形。私も相振りは(昔)指したが、単純にこうやられのは結構イヤだ。あっさり▲3七歩と受ければ特に問題ないが、それも悔しいので相手の出方次第で矢倉に盛り上がろうとして受け間違ったりしていた。私の場合はすごくレベルの低い話だけれども、若手の稲葉もそう指してくるというのは、結構プロレベルでも有効と考えられているのだろうか。
福崎が仕掛けて▲6四角と打ち、△6三金としてくれれば▲5五銀として攻めがつながったが、稲葉が△4四角と一度打ってから冷静に受けて、ひと段落してから逆に猛攻してそのまま一気に寄せきってしまった。稲葉は鋭い攻め将棋で、現代風にジワジワいくのでなく、どんどん思い切りよく攻め込む将棋なので、見ていて楽しい。
感想戦では福崎節が炸裂していた。△7四歩にいきなり▲6五歩と仕掛けても十分だし、△8三銀に▲8七飛と引いておいて△8四歩▲6五歩△7七角成▲同桂△6五歩▲7五歩△7二金▲7四歩△同銀▲8四飛△8三金▲7四飛△同金▲4一銀△4二飛▲5二銀成△同飛▲4一角で先手よし、と随分違う将棋を先まで検討していた。▲6四角では▲8五歩もあったらしい。その辺りの攻め方がポイントだった。「研究すれけばするほど、こちらがええやん」と福崎先生、ボヤくことしきりなのであった。

別冊NHK将棋講座 NHK杯将棋トーナメント60周年記念 もう一度見たい!伝説の名勝負

60周年の記念番組もあったが、NHK出版が記念して出版した本。
平成編と昭和編の二本立て。
平成編は、羽生のロングインタビュー、佐藤&森内の合同インタビュー、山崎、久保、鈴木各インタビュー、長沼のNHK杯予選等の自戦記、粟生野による女流棋士参戦記、それに2ページ見開きの17局特選記、NHK特番の際のベスト10の解説。
昭和編は加藤、谷川、米長インタビュー。中原特集。河口俊彦による大山記事、蛸島によるNHK杯エピソード、ラジオ時代記事、特選譜解説17局。

以上のように1500円だけれども大変内容が濃い。将棋マニアなら資料としても買う価値はあると思った。
羽生だけ、インタビューが長めで、羽生のNHK杯の歴史を全て振り返っている。
他にも色々懐かしい対局が出でくる。佐藤が中井にほとんど負けかけた将棋を振り返っているが、棋譜(部分図)を今改めてみると、本当に中井必勝なんで驚く。
鈴木が加藤に金四枚を並べて打たれて負かされた将棋の伝説の図面もででくる。
長沼の予選苦闘の歴史も微笑ましい。なぜか、ハイライトの羽生戦を語ってないのが長沼らしい。
棋譜解説は2ページのポイントの指しての解説。読み物というより、棋譜資料という感じ。また、特選譜は誰がどういう基準で選んだのか、今ひとつ分からないところはある。
私のようなオールドファンには昭和編が垂涎物。貴重な写真が満載である。135ページの加藤先生が時代劇役者のようでかっこいいかと思えば、142ページには前歯なしで満面の笑みの加藤写真があったりする。
特番の際に話題になった、大山の加藤戦の電光石火の手つきについては蛸島の貴重な証言もある。さらに、蛸島の加藤の秒読みについての証言もかなり笑える。
NHKがかなり気合を入れてつくった本だと思う。

将棋日記 マイナビ女子オープン挑決 上田vs石橋

マイナビ女子オープン中継サイト

上田の先手で振り飛車模様に対して、後手の石橋が飯島流引き角を採用して、上田は向かい飛車にして▲8六歩を突く形に。今週の週刊将棋によると、石橋は里見戦でも引き角を採用していたとのこと。上田がうまく捌いて振り飛車ペースに。さらに、桂馬まで龍銀両取りをかけさせたかわりにと金をつくり、石橋の馬を詰ましてしまった。さすがにその時点でジ・エンド。後は指しただけになってしまった。
二人ともパワフルな終盤に定評があり、ねじりあいがみたかったところだが、一方的な将棋になってしまった。
上田は、日曜のネット最強戦で里見にひどい目にあわされたが、その悔しさをぶつけるかのような将棋で完勝。これで、マイナビは甲斐女王に上田が挑戦することになった。甲斐の振り飛車に対して、上田が居飛車にして穴熊を目指す感じになるのだろうか。里見も清水もいないタイトル戦になった。
石橋は序盤の仕掛けのあたりがよくなく形勢を損ねて全く力を出せずに終わった。やはり、序盤作戦がうまくいくかいかないかがハッキリしすぎているのが、石橋の弱点だという気がする。

将棋日記 女流最強戦 里見vs上田、銀河戦 日浦vs菅井、高崎vs横山、NHK杯 郷田vs糸谷、久保芭蕉

大和ネット将棋中継サイト

今終わった、里見vs上田。里見の指し方にちょっと衝撃を受けた。先手の里見が角道を止めるノーマル中飛車から、▲4七銀▲4八金のオールドファッションな形。解説の伊藤が「大山先生のようだ。」と言っていたが、これが今日のキーワードになる。
上田が居飛車穴熊をいかして(里見の囲いは美濃などと比べて相当弱い)、暴れようとしたのか敢えて△5四歩を受けずに指していたが、里見に逆に▲5四歩を打たれて苦しくなり、必死に暴れに行ったが里見に丁寧に受けられて完全に切らされてしまった。どんどん上田の攻めが細くなって、里見も切らした後も次々に玉の周りに金銀を打ち、上田は本当に何も出来なくなってしまった。「大山先生のようだ」である。
解説の伊藤も指摘していたが、女流棋士は基本的に猛烈な攻め将棋が多いが、相手に無理に攻めさせてきっちり受け止めるという男性棋士感覚の指しまわしである。
平手なのだけれども、まるで駒落ちの上手のように指しているようにも見えてしまった。薄い玉で、自由に居飛車に穴熊に囲わせて、徹底的に受け潰してしまうというのは、まさしく大山ではないか。
里見は現代風の石田流やゴキゲンを中心にしているが、こういう昔風の振り飛車も裏芸として指せるのだ。一体どこでこういう指し方を覚えるのだろうか。
そして局後の感想では「玉が薄いので自信のある局面はありませんでしたが、楽しく将棋が指せたと思います」と。「楽しく」ですか。おそるべし。

囲碁将棋チャンネルHP(棋譜閲覧可能)

日浦vs菅井。
菅井先手で中飛車。お互いの角道が通ったまま菅井が▲5五歩と仕掛け、さらに日浦が玉を囲おうとしたところから再度機敏に動いて攻め込んで、そのまま攻めきってしまった。完勝。
ここの所数局連続して菅井の先手中飛車を見たが、シンプルに動いてそれが必ずちゃんと攻めになっている。アマチュアもこのように指せれば真似したい。一時期私も定跡書などよんで気持のいい順が多いので試してみたが、やはり独特の感覚が必要でかなり指しこまないと難しいと感じた。一見分かりやすい指し方だが、そこには膨大な研究の裏づけと、実戦で鍛えぬいた感覚があるのだと思う。見た目はアマチュアでもわかり易そうだが実は難しいという現代将棋なのだろう。
これで、5連勝。破竹の快進撃である。まだ続きそうな勢いだ。

高崎vs横山。
先手高崎で、石田流の出だしから、後手が角交換して▲7六銀型の変則的な向かい飛車に。その形を生かして▲7七桂から後手の8五の歩をパクリと食べてしまった。当然後手の横山は右辺方面から反発するが、先手も激しく切り込んでペースを握る。高崎が攻め続けるが横山もしぶとく凌いで容易には崩れず、終盤は優劣不明の大熱戦になった。最後本当にきわどく高崎が勝ちきったが、若手実力者の二人が終盤の強さを見せつけた将棋だった。この辺の若手のレベルも相当高い。時間がなくて感想戦がなくてポイントが分からなかったのが残念。
聞き手の藤田綾さんによると、高崎五段は「レコーディング・ダイエット」で痩せたそうである。レコーディング・ダイエット?何か歌ったり踊ったりしてレコーディングするの?と思った私はアホで、食べ物を記録(レコード)することで食生活を管理する方法とのこと。なるほど。

NHK杯HP(棋譜閲覧可能)

郷田先手で、後手糸谷のもはや御馴染みの一手損角換わり。郷田の早繰り銀に糸谷も早繰り銀で対抗する、ちょっと珍しい相早繰り銀に。これも糸谷のことだから相当研究しているんだろうなぁ。先手の攻めを警戒して後手が四間に振ったが7筋に振りなおして動き、郷田も3筋2筋から動く。糸谷にも誤算があったようで郷田が普通に駒を捌いて指しやすくなった。感想戦によると▲3八銀を打たずに単に▲8二飛と打っておけばはっきり先手良しあるいは勝ちだったそうである。
しかし、それを逃して糸谷が△4三金から△4四飛としっかり受けて郷田の攻めをあせらせたのがうまかったとのこと。解説の井上が対局前に、糸谷の特徴は受けで、受けなら棋界でも5本の指に入ると言っていた通りの展開になった。そして一度攻めだしたらいつもの完全ノータイム指しであっという間に郷田玉を寄せてしまった。
感想戦でも郷田は「どうも読みがあわない」とボヤいていた。この二人は2008年の対局の感想戦でも郷田は「ちょっと感覚が破壊されるな。」と嘆いていたのである。いまだに糸谷に慣れることの出来ない郷田という感じか。
糸谷も△2六馬と指しかけて、王手馬取りをくらうところを寸前で気づいて駒を離さずに難なきをえていた。こういうあぶなっかしいところも糸谷の面白いところである。

王将戦のスポニチさん、今度は久保さんを松尾芭蕉に仕立てあげてしまいました。でも、この帽子は芭蕉というよりは(以下各自ご自由に発言ください)。

スポニチannex第3局一夜明け…久保王将、芭蕉の宿を散策

久保芭蕉の写真

王将戦中継ブログ 芭蕉の愛した里で

将棋日記 C級1組 9回戦、将棋世界3月号

名人戦棋譜速報

△小林裕(7-1)−▲宮田敦(6-2)
先手宮田で相掛かり。小林がやや攻めさせられた感じになって宮田がうまく凌いで勝ち。小林は条件次第で今回昇級の目もあったが痛い後退。

△田村(7-1)−▲大平(5-3)
後手の田村の陽動振り飛車。大平が右辺を押さえ込んだが、田村が振り飛車らしく左辺から反撃して勝ち。田村は一敗堅持で昇級自力に。何よりこの二人で夕休までもったことを褒めてあげたい。

▲広瀬(7-1)−△中田功(4-4)
後手の中田のゴキゲン。乱戦模様だが前例があって先手が勝っている
形になった。後手が5七にと金をつくるが▲4二歩の反撃が激痛で後手があっさり勝ち。敢えて負けた経験がある形に飛び込んだ中田に何か誤算があったのか。広瀬は一敗堅持でトップキープ。

▲村山(7-1)−△千葉(4-4)
横歩取りで後手の千葉が△8四飛から△2四飛と転換する形。後手が工夫の手をみせたが村山勝ち。村山も一敗堅持で昇級争いの3番手に浮上。

▲佐々木(7-1)−△近藤(2-6)
先手佐々木で初手▲6六歩の変則的な相振り。お互い穴熊に囲いあい、棋譜コメントを見ると形勢が揺れ動いたようだが最後は佐々木勝ち。やはり一敗堅持。これで14連勝だそうである。

△真田(5-3)−▲高崎(5-3)
先手の高崎の中飛車に後手の真田の飯島流引き角。それに対して高崎がどんどん軽く動いていった対策が面白かった。高崎が快勝。若手がすごく深く研究しているのを感じさせる将棋。本家の飯島はどう見たのだろう。

▲片上(4-4)−△塚田(1ー7)
横歩取りで△8四飛。最近△8五飛より多いような気がする。終盤が難解な横歩取りらしい好局になったが、片上が勝ちきった。きっと棋譜コメだけでは全然分からない色々な難しい変化があるのだろう。

▲北島(3-5)−△森けい二(2-6)
後手の森のゴキゲン。途中まで隣の広瀬vs中田功と全く同じ手順に進んだのが珍しい。単なる偶然なのか、それとも誰かが真似していたのか。途中で森が変化したが、結果はこの形は両方先手が勝ち。

△加藤(4-4)−▲福崎(1-7)
先手の福崎の中飛車。▲8五桂ポンから動いていったが、加藤が力強く応接して駒得をはたし、端から重厚に攻めて押しきった。こういう展開になると加藤先生は強いです。相変らず、すごい手つきだった模様。>「加藤は腰を浮かせ、覆いかぶせるように全身を使いながら香車を成った。」そうである。これで5勝4敗。大豪健在。
食事は大阪レギュラーの「鍋焼きうどんプラスおにぎりセット」昼夜連投。おにぎりは1セットと今回は「小食」だった模様である。そして、昼食休憩中に盤の前で読書される加藤先生のお写真も素晴らしい。やっばり読まれているのは・・?

昇級争いは、広瀬と田村が自力で、それ以外にも次のメンバーに可能性が残されている。カッコ内は順位。
【8勝1敗】広瀬(5)、田村(12)、村山(19)、佐々木(29)
【7勝2敗】宮田敦(6)、小林裕(10)

将棋世界3月号

ざっと読んだ。
勝又六段の講座で横歩取りの将棋を取り上げている。横歩取りは難しい戦法で、また多岐にわたる形があって定跡だけ説明されても分かりにくいところがある。それを勝又六段は横歩取りの基本コンセプトや各形の基本的な狙いで分類するなど体系化して説明している。私は、初めて横歩取りの将棋が理解できたような気がした。気がしただけかもしれないけれど、ありがたいことである。
また、最近急増しつつある松尾流△5二玉についても一手損との関わりも指摘しつつ、そのコンセプトを分かりやすく解説している。横歩取りが分からないというアマチュアにとっては大変貴重な講座だと思う。ちなみに、この形を最初に指したのは松尾七段ではなく、内藤先生とのこと。さすが。

王将戦特集の豊島と久保のインタビュー。豊島の将棋には今のところ明確な個性があまり感じられないが、本人が意識的に形を決めずにバランスよく自分を伸ばそうとしているのがわかった。一方も久保は将棋も個性的そのものだが、主張も明確で、自身の振り飛車党としてのこだわりや自負をはっきり言葉にしている。人間も将棋も対照的な二人の対戦なので面白いと思う。

「感想戦後の感想」は中田功七段。師匠の大山との、ただ一度の師弟対局が紹介されていて興味深い。こーやん先生は師匠に勝っているんですね。



将棋日記 LPSA天河戦 中井vs松尾、ネット女流最強戦 清水vs矢内、銀河戦 中田功vs阿部健、NHK杯 渡辺vs深浦

NTTル・パルク杯天河戦中継サイト

石橋天河への挑戦者決定戦。後手松尾のゴキゲンに先手中井の超速▲3七銀。後手の松尾が最近のゴキゲンでは、もはやよく見る馬をつくらせる指し方から、力強いねじりあいが続き、松尾が押し気味で指しやすそうに。
しかし流石に中井も粘り強く指して難解な終盤に突入し、そこからも玉頭戦が繰り広げられる熱戦に。最後はやっと松尾が勝ちになったところで、寄せを誤ったり詰みを逃して中井が逆転勝ち。
挑戦者決定戦にふさわしい素晴らしい将棋だった。中井は準決勝の船戸戦に続いて九死に一生を得た感じである。松尾は地力を存分に発揮した将棋だっただけに、最後が悔やんでも悔やみきれないだろう。

大和証券杯ネット将棋公式ホームページ

先手の矢内で「当然」中飛車に。解説の近藤がすっかり「ゴキゲン」なおじさんになってしまった。矢内が近藤の指摘の通りにすまく指し続けていた。ゴキゲン師範の近藤が、若葉マークの弟子矢内を心配しながら見守るような心暖まる?妙な解説になっていた。
矢内は終盤ちょっとつまづいたが、打ち歩詰めで逃れるラッキーもあって、なんとか逃げ切り。矢内に近藤のゴキゲン免許皆伝は出たのだろうか。それにしても、清水は里見だけでなくゴキゲンビギナーの矢内にまで、こううまくやられてしまってはつらいところだろう。

囲碁将棋チャンネルHP(棋譜閲覧可能)

先手中田のコーヤン流三間飛車に、後手阿部の居飛車穴熊。コーヤン流の▲4六銀型というのは、将棋のもっとも美しい形の一つだと思う。この形で勝てるものなら指したいと思う。中田がうまく捌いて振り飛車優勢になったのだが、終盤に阿部がなんだかんだと勝負手を放って、中田も間違って逆転勝ち。阿部は、研究家として評価が高いようだが、終盤も相当強いように感じる。勿論、そうでなければあれだけの高勝率をあげられるわけがない。

NHK杯HP(棋譜閲覧可能)

深浦先手で相矢倉。深浦が早めに▲3五歩と動く現代では少しマイナーな形を採用。当然研究家深浦の工夫なのだろうが、渡辺が端桂から攻撃態勢を築いて攻めかかり、渡辺らしく攻めをうのくつないでほぼ完勝。深浦は珍しく作戦が冴えなかったが、渡辺の対応がうまかったのか。
とにかく、渡辺は迷いなく素早く決断して自信に満ち溢れている感じ。竜王を若くして獲得した際もこんな感じだったのだが、それが最近また戻ってきたようだ。
しかし、深浦は苦しくなっても折れない心(野月流の表現だと「諦めが悪い」ということになる)でくらいつく。最後は渡辺は詰みを読みきっていたが、解説の森下と聞き手の矢内はアタフタしていた。


将棋日記 B級1組 12回戦

名人戦棋譜速報

佐藤康光vs豊川
二人とも昇級、降級が決まっている。佐藤は石田流を試した。石田流を倒す立場で本を書いているが、自分でも持って指してみたかったのだろうか。持久戦になって穴熊の佐藤が勝ちやすそうにも見えたが、豊川が工夫の△7一歩など力を見せて最後は一手勝ち。豊川が力強い中終盤で佐藤に競り勝ち意地をみせた。

井上vs屋敷
横歩取り△8五飛。形勢が井上→屋敷→井上と入れ替わった熱戦。井上が粘り強く指して9筋からつくった遅そうなと金を活用して間に合わせたのが印象的だった。屋敷は痛い一敗だが最終局で松尾との直接対決で自力昇級の状況が残ったのはラッキーともいえるか。

松尾vs中村
相掛かりから、ものすごい将棋になった。棋譜コメントが面白い。松尾の▲6三銀の強襲に「なんという狼藉ぶり!」「これで寄ったら神業だ」さらに「その局面で先手玉を攻略するには秘孔を突く必要があります」「でた!受ける青春」等等。松尾の鋭さはもともと定評があるが、それに一歩もひかない激闘を繰り広げた中村も見事だった。今回随一の好局だったと思う。

深浦vs山崎
山崎先手で相掛かり。深浦ペースで、終盤も鋭く襲いかかり、以下順当に寄せきって快勝。深浦は後半では流石に地力をみせたが、前半のつまずきが響いて昇級には届かず。逆に山崎は後半に失速してしまった。

鈴木vs中田宏
先手鈴木の中飛車から角交換型で▲8五桂ポン。難しかったようだが、鈴木が次々に自陣に駒を投入して鉄壁にして、悠々とと金攻め。中田が戦意喪失で投了。鈴木らしい勝ち方だった。最近居飛車を指しているが、やはりこういう振り飛車らしい指し方がよく似合う。コメントの「鈴木は祈るような手つきで▲9五飛を指したという。」が面白い。心をこめて指したという感じだったのだろうか。

杉本vs畠山鎮
後手の杉本の△3二飛戦法。杉本が突き越された端から逆襲する意欲的な指し方。棋譜コメント>「この局面をモニターでみた奨励会員同士のやりとり。A「何これ?端取り込まれてるやん」B「いえ、振り飛車側から突いたんです」A「ぐえー、まじかー」」なんだか今回は控え室の面白コメントが多かった。本当はもっと面白いのだろう。特に関西は。残留争いで大切な将棋だったが、畠山勝ち。

C級1組の豊島vs金井は横歩取りの将棋で、豊島が快勝。

昇級争いは、松尾vs屋敷の勝者が昇級という分かりやすい形に。
残留争いは、既に陥落が決まっている豊川以外にもう一人で次の四人に可能性がある。
【5勝6敗】畠山鎮(11)、中村修(12)、中田宏(13)
【4勝7敗】杉本(10)

今やっていた囲碁将棋ジャーナルの解説はハッシーこと橋本七段。冒頭トークで「今日はちょっとヘアスタイルが決まってないっす」とか、まぁいつもの調子だったんですけど、それよりちょっとハッシー貫禄がつきました?バーやっているんで、酒太り?髪型ウンヌンよりも、少しばかりナントカ親方みたいでした。そういえば相撲界も大変ですね。いや関係ないです。失礼なこといったんで誤魔化そうとしただけです。
女流名人戦第二局の解説だったのだが、里見さんの中終盤のリードの拡大の仕方について、ハッシーも「全盛時の大山名人みたいです。」と絶賛しておりました。
自身の昇級争いについて
ラスト二局も強敵でして。先崎八段はA級経験者ですし、北浜七段は私に勝ってキャンセル待ちで、あわよくば昇級しようと思っているんですね。こういう相手をひいてしまったことに、なんていうんですかね、自分の不運を感じているんですが・・。
3番手が順位上位の阿久津クンなんですね。ちょっと阿久津クンを昇級させるわけにはいかないので。まぁ業界用語でいうイヤガラセをしてやろうかなと。そういう男同士のプライドをかけた部分があるので頑張ろうかなと。
まぁ、アックンとは仲いいんで何言っても大丈夫なんでしょうが、こういう場合は黙って何も言わないのがセオリーだと思うんですが、色々サービス精神で喋ってしまうのがハッシーなんですね。見ていてちょっとヒヤヒヤしするんで、頑張って欲しいと思いました。



将棋日記 銀河戦 小林健vs石川

囲碁将棋チャンネルHP(棋譜閲覧可能)

小林の先手で初手▲5六歩。この指し方は相振りにされた場合が課題とされていて、石川も三間に振った。それに対して小林の対策が独創的。銀を4七に持っていって、左金を5六に繰り出して中央をきっちり押さえ込む形。小林は公式戦でも三局指していて、研究会でも試しているそうである。玉も右でなく左に持っていくこともあるとのこと。後手もどう指すかが難しそうである。先手中飛車で相振りにされた場合の対策に苦心している方は、試してみたら面白いのではないだろうか。
将棋は、小林が端から激しく攻め込んだが、石川も強引に角交換して反撃してよくなったようにみえたが、その後誤算があったのか、小林が寄せきって勝ち。ベテランの自在な指し回しが印象に残った一局。

将棋日記 A級8回戦ラス前

名人戦棋譜速報

森内vs郷田

後手の森内がゴキゲン。先手の郷田の対策は超速▲3七銀。後手の森内の少し珍しい△3二銀型に郷田が▲3五歩から速攻したのだが、その後に出た▲3八金が好手で、森内は感想で将棋が終わってしまったと嘆いたそうである。奨励会員が指したことがある手だそうで、やはり定跡の最前線はトップではなく、奨励会や若手がつくっているのかもしれない。但し、郷田のことだから多分自分で考えたのだろう。
その後のコメントをみると、どのプロも早い時点でほとんど先手が相当いいか勝勢だというコメントをしていた。正直、私は並べながらそんなに離れているとは思えず、先手が勝ちだと分かったのは相当進んでからだったので悲しかった。さすがにプロは形勢判断にとても敏感なものだ。しかし、それにしても▲3八金で一本取ったにしても、本当に後手にも何か指し方はないのだろうか。

渡辺vs谷川
後手の谷川がゴキゲン。先手の渡辺の対策は超速▲3七銀。・・というところまでは、前局と同じだ。別に他の対策がダメになったわけではないので、まさしく流行だ。
大変力のこもった好局になった。難解な終盤だが、渡辺がじっと▲8六歩と突いたのが印象的。手の具体的な意味は理解できないでも、素人にもなんとなく良さそうだと分かる手がある。竜王戦第五局でもそうだったが、渡辺は終盤でもあわてずにピッタリした感じの手を指す。最近ますますそういう傾向が強くなってきたような気がする。こういう終盤での落ち着いた指し手は羽生の専売特許だったのだが。今更だが、竜王戦第五局は、お互いが忙しいところをあせらずに手段を尽くした名局だったと思う。
結果は渡辺が少し残していたようで勝ち。最近ますます、ギリギリの終盤をせりあって勝つようになってきた。

三浦vs高橋。
後手高橋で、横歩取りから△8四飛と引く形。高橋が単騎の△6五桂から△7七歩と攻め込んでのに対して三浦は▲7七玉と形にとらわれずに対応したのだが、結果的に高橋が玉形が不安定なのをうまくついて攻めをつないで完勝。高橋の作戦の巧妙さ、その後の完璧な指し回しを褒めるべきだろう。
これで、高橋は星が苦しいところから、前局の谷川戦に続いて完勝続きで連勝して残留を決めた。A級最年長の51歳。これだけの指し盛りのメンバーの中で本当にたいしたものだ。この高橋の集中力、ここ一番での勝負強さ、精神的な強さをほぼ同年代の谷川に見習ってもらいたいものだ。今期は本当に谷川の挑戦を楽しみにしていたので、つい余計なことが口をついて出てしまった・・。

久保vs木村
先手の久保の中飛車から持久戦に。特に木村は金銀四枚で玉をかためることが出来た。久保の方は、自身の感想の通りに左銀が使いづらくくなってしまった。結果的にそれが響いたようで、本当に単純な見方だけれども、遊び駒や働きの弱い駒が金銀一枚出来ると勝負に直結する。
とはいえ、大熱戦の将棋で、延々と粘り強い攻防が続いたのだが、木村がうまく脱けだした。木村は負けたら降級のケースもある厳しい状況での対局だったが、全然震えることなく力を存分に出しきっていたのが見事だった。
久保も、最後はボロボロになったが、刀折れ矢尽きるまで戦いぬいた。久保流である。
木村が対局後に、腕組みをして対戦表を見つめる後ろ姿をとらえた写真が何とも印象的。そう、次の三浦戦が鬼の大勝負だ。

丸山vs藤井
先手の藤井の角道オープン四間飛車。藤井矢倉にはしなかった。角交換系の将棋は常に手詰まりになりかねず、千日手模様にもなりやすいので、先手での採用は少し意外。
並べていても難しい将棋でポイントが分かりにくかったが、丸山が飛車で角を取って攻め込んだのは、いかにもやりたくなりそう順だが、それで藤井がよくなったらしい。以下、藤井がリードを広げて着実に勝ちきった。藤井も苦しい立場だが、震えなくしっかり指していた様に思える。
感想戦コメントの藤井の言葉が、例のボソボソ喋りが聞こえてくるようで人間味があって面白かった。文字だけなのに・・。

これで、とにもかくにも「将棋界の一番長い日」を、挑戦者も陥落者も決まらずに迎えることができた。NHKのBSの放送が楽しみである。NHKの将棋班さん、せいぜい張り切って頑張ってください(笑)。もっとも、NHKのBSはチャンネルが減るので、将棋放送が今後どうなるのか、大変気になるのだけれども・・。

挑戦権争いは、森内と渡辺が並んだ。流れからいうと、もう渡辺が完全に優位だろう。まして、森内は次の久保を現在苦手にしており、プレーオフになっても渡辺も最近は相当苦手にしている。逆に渡辺は竜王戦で羽生との頂上対決を制し、棋王戦にも挑戦、将棋の内容も安定感をましてきて、上り調子だ。ということで、逆にここで森内にはちょっと意地を見せてもらいたいところだ。

残留争いも木村と藤井が勝ち熾烈になった。半分の5人に陥落の可能性があり、全員がすっかりA級のイメージが定着している棋士ばかりである。誰が落ちても惜しい。


将棋日記 C級2組9回戦

名人戦棋譜速報

佐藤天vs長岡
横歩取り△8五飛。先手長岡が▲3八銀の研究から飛ばしたが、佐藤もその場の読みできちんと対応。難しいところもあったようだが、勝ちきって昇級を決めた。渡辺ファミリー?のライバル戸辺に遅れをとったが、これから巻き返していくのだろうか。

糸谷−村中
後手の糸谷の一手損角交換。早めに△7三歩をついて後手から先攻した。中盤、お互いに銀を何度も打ち合ったのが面白かった。糸谷世代は、なんとなくこういうゴツゴツした手を厭わないという印象。素早く寄せて糸谷も昇級を決めた。佐藤、糸谷二人の実力者の昇級は文句のないところだろう。糸谷が子供時代に持ち駒を相手の駒台に乗せて反則事件の相手が佐藤で、二人は運命の赤い糸でつながれているのだ(違。

澤田vs西川和
後手西川の矢倉式中飛車。西川自身がよく指している形で、A級で三浦が採用したばかり。若手の作戦や研究をトップが参考にしている好例だろう。

菅井vs牧野
先手菅井の中飛車で、牧野は角交換△6四銀形。菅井が銀河戦でも見せていた▲7五銀とすぐぶつける作戦。途中は、玉からはるかに離れた地帯での勢力争いをする昔ながらの居飛車振り飛車対抗形らしい展開になった。現代的な菅井だが、いかにも振り飛車らしい指し方で勝ち。

横山vs中村太
後手の横山のゴキゲンに先手の中村の超速▲3七銀から早い時点で新手。最新定跡を競い合うC2らしい。苦しそうな将棋を横山が勝って2敗堅守。自力昇級圏内だが最後が難敵の阿部。

阿部健vs佐藤慎
相矢倉から阿部が鋭い攻めで快勝。銀河戦でもそうだったが、阿部は終盤の切れ味もあるようだ。>「若者の攻めだねえ、明るい攻めだ」(控え室)というコメントがおもしろい。

遠山−村田顕
後手の遠山のゴキゲンに先手の村田の超速▲3七銀。なんでこんなに流行っているのというくらい流行っている。遠山が勝って二敗堅守。

西尾vs石川。
後手の石川がノーマル四間飛車で、先手の西尾が居飛車穴熊。櫛田もよく指している定跡形から熱戦に。最後は石川が勝ちきった。ノーマル振り飛車でも居飛車穴熊にちゃんと勝てるのだ。ベテランの石川はノーマル振り飛車で若手相手に奮戦し結果も残している。

中座vs大石
先週の週刊将棋の「プロの妙技よもやの珍局」で、関西編の池田将之氏が紹介している山崎が大石にくらって正月ボケと言った順を、なんと先手の中座がそのまま指してしまった。純粋な飛車銀両取りが受からない。大石にとっては夢のような順だったことだろう。中座は週刊将棋を読んでいなかったことが敗因か。相当の珍プレーの部類に入るのではないだろうか。

増田vs淡路
200手越えの死闘をベテラン淡路が制した。お見事。これぞ順位戦。そして「不倒流」の真髄のような将棋であった。今回の一番のハイライト将棋かもしれない。





将棋日記 NHK杯 丸山vs松尾、LPSA天河戦準決勝、女流ネット最強戦など

NHK杯HP(棋譜閲覧可能)

後手の丸山の一手損角換わり。先手の松尾は早めに端歩を突いたり形を決めるのを保留したり、いかにも現代的な序盤。横歩取り後手の△5二玉として△4一玉を相手の出方次第で指す松尾流といい、「なるべく形を決めない」「後に出来る手は後回しにする」現代将棋の感覚を実践している棋士である。丸山もその辺りには敏感なタイプだと思うので、序盤は虚虚実実で奥深く、なおかつ素人には分かりにくかった。
解説の野月が、そういった現代将棋の特質、プロの思考や感じ方などを具体的な指し手に即して、アマチュアにも分かるように言語化して話そうとしているのがよくわかり勉強になった。
結局、相腰掛け銀で、松尾が9筋の端歩を突きこし、丸山は6筋の位をとる形に。松尾が端からスズメ刺しで攻める態勢もつくって、先手が有利というわけではないがうまくやっている局面になったらしい。とにかく現代的な隙のない研ぎ澄まされた感覚の将棋と感じる。
そこから、丸山が突きこされた端から動いて攻めかかったのだが、それが厳しかった。特に先手の金の頭に△7七角と打ち込んだのにはビックリした。よくこんな手が見えるものだ。但し、一度飛車を冷静に逃げておくべきで、先手に飛車を打ち込まれたのが厳しかったが、その後の丸山の受け方も凄かった。▲2五歩の銀取りを放置して△7一金。5二に逃げると飛車銀両取りで、松尾は8四に龍を成りかえったが攻めが大分緩和された。但し、この辺りの少し前で松尾の指し方にも問題が合ったらしいが、短い感想戦では明らかにならなかった。
△7七角といい△7一金といい、やはり一流のトップは違う。野月が、丸山は「激辛流」と呼ばれるが、実はビックリする思いきった手を指すことが多いと指摘していたのだが、その通りになった。丸山は地味な印象だが、才能の豊かさを感じさせるプロらしい指し手が多い。

LPSA天河戦サイト

先週行われた対局。
船戸は、過去の1day等でも、中井や石橋と好勝負を繰り広げてきている。今回もうまく指してどんどん駒得をひろげて、中井をあと一歩というところまで追い詰めたのだが、最後の最後の寄せを誤って大逆転負け。中井は九死に一生を得た。もう一つの準決勝は、松尾が相振りの戦いを制して勝ち。中井vs松尾戦で、石橋天河への挑戦者が決まる。
昨日も企業のアマ強豪と女子プロが組んだペア将棋トーナメントが行われて、島井・城間ペアが優勝。LPSA少人数ながらf相変らず地道ながら活発に活動しているようだ。各棋戦とも対局や大盤解説の動画中継をするなど、初期の頃から実験的な試みをして充実した中継ぶりである。

大和証券杯ネット将棋ホームページ

相振り飛車に。後手の甲斐が先手の中村が矢倉に組もうとする隙をついて、うまく攻撃態勢を築いて作戦勝ち。相振りは、序盤のちょっとしたところが難しい。中村も耐えてうまく攻める形をつくったが、甲斐が強烈な反撃から寄せきって勝ち。


NHKで、升田幸三の番組が放送されるそうである。大崎善生氏が升田について4回のシリーズで語り、谷川九段の分析もあるとのこと。

NHK こだわり人物伝 番組概要 「升田幸三 伝説の棋士」

将棋日記 銀河戦 神崎vs金井、富岡vs糸谷

囲碁将棋チャンネルHP(棋譜閲覧可能)

神崎vs金井。後手の金井のゴキゲンに対して、先手の神崎は佐藤式丸山ワクチンから早めに▲3八金とあがる形。佐藤康光が、将棋世界の企画対局で里見相手に初めて指して、その後朝日杯でも採用している。佐藤式丸山ワクチン佐藤オリジナルである。(ややっこしい
神崎が積極的に動いていったが、金井の△1三角からの反撃も厳しく、神崎が角道を素通しにして玉を逃げたために△8六桂を味よく打たれてしまって勝負あった感じ。以下大差をつけて金井勝ち。
解説は、櫛田陽一六段、クッシーだった。最初は「ゴキゲンのことは全然分かりません、斎田さん教えてください」と、例によって四間飛車職人の頑固一徹ぶりを見せていたが、戦いが始まってからは、手がよく見えて鋭い指摘が目だった。解説を聞いているだけでも、早指しが滅法強いのがよく理解できる。対局者より見えていた感じでさすがだった。

富岡vs糸谷。後手の富岡の一手損角換わりに対して糸谷は早繰り銀。後手は早めに△8五歩と伸ばす工夫。先手後手が似た攻撃態勢になるが、先手玉が6九と戦場に近いのが後手の主張だそうである。独自の富岡流で、ご本人は感想戦で「勝率は悪いんです」と言っていたが、通常角換わり先手での富岡流といい自分の工夫して指す棋士だ。
お互いに歩を打って銀取りになっている状態で、さらに糸谷が飛車取りに角を打つ過激な展開に。しかも、例によって糸谷はほとんど時間をかけずに打っている。
喧嘩を買うなら、後手も金銀と飛車の二枚換えに出来たのだが、その後に自信がもてなかったようで自重。ただ、その後は難しい部分もあっても、馬が作れる先手が良さそうに見えた。最後は糸谷が鋭く決めて快勝。
しかし、感想戦の検討だと、後手も二枚換えに踏み込んでおけば十分指せたと分かった。糸谷も自信満々に短時間で指したので、富岡も研究かと警戒してしまうだろう。糸谷のマイペースな指し方にどの棋士も翻弄されているように感じる。
解説の片上によると、糸谷は大学院に進む可能性もあるそうだ。哲学教授のプロ棋士誕生なるか。というのは気が早すぎるけれど。
聞き手の山口恵梨子女流初段は、話の反応の仕方がちょっと変っていて面白い。多分、普段は相当の面白キャラなのではないだろうか。



将棋日記 女流名人戦第一局里見vs清水、銀河戦 村山vs大平、ネット最強戦 中井vs室田、竜王戦特番、NHK杯 藤井vs深浦

女流名人戦中継サイト

里見先手で中飛車に。清水さんが丁寧に丁寧に攻めて苦労して苦労して少しずつポイントを重ねてやっとリードをこしらえたのに、里見さんが豪快に捌いて玉頭から一気に攻めて決めてしまった。清水さんからすると、重ねた苦労が水泡と消えたように感じたことだろう。女流王将戦でも、清水さんが作戦巧者に序盤は上手に指しているのに、途中から里見さんの現代的なスピード感、終盤力にやられて一気に押し流されているという印象。
清水さんも無冠になってからも勝ち続けていて、やはり女流の中では抜けた実力だと再確認させられるが、どうも里見さんだけは相性が悪い。里見さんが強いからなのだろうが、二人の将棋を見ていると根本的な将棋に対する感覚のズレのようなものを感じる。清水さんはやりにくいのではないだろうか。

囲碁将棋チャンネルHP(銀河戦の棋譜閲覧可能)

村山vs大平。村山先手で通常角換わり。研究家の村山なので、相腰掛け銀同型の最新型でも見られるのかと思ったら、早々に右桂を飛び出して攻め込む趣向に。ただ、誤算があったようで、大平がうまく対応して村山も頑張ったが、結局快勝。村山は大平への対戦成績が1-3と、すこし苦手にしていたようなので、動いたのが裏目に出たか。

大和証券女流ネット最強戦中継サイト 

中井vs室田。先手室田さんで、ノーマル四間飛車vs中井さんの居飛車穴熊模様。室田さんが、石田流に組み替えて動こうとする形に。難しいようだったが、終盤は中井さんが地力をみせて圧倒した。最後、中井さんのパソコンが重くなって時間内に着手出来ずに中断するアクシデントも。去年もこの組み合わせでトラブルがあった。中井さんはこの棋戦で二連覇中で、相性がいいようだ。
秒読みでもあわてない冷静に指せるタイプだからなのだろうか。

NHK・BSの竜王戦特番。90分たっぷり。対局映像をふんだんに使って各対局を振り返り、二人のインタビューを島朗が担当し、この二人の以前の歴史も織り込む概括的な内容だった。具体的将棋内容については、ある程度踏み込むが、そんなに詳しくはなり過ぎない程度。以下、印象に残った部分。
・第一局で羽生に最終盤で錯覚があったといわれていたが、羽生が指した直後にガッカリとして悄然とする姿をカメラが捉えていた。渡辺も、その姿を見て錯覚だと悟ったそうである。
・第三局の羽生の△7五金について、渡辺は、全然気づいてなかったし、指されてもすぐには分からず、ことの重大さに読んでから気づいたそうである。相変わらず、正直に率直に述べていて渡辺流だった。
・めぐみ夫人の証言によると、渡辺は羽生に昔に王座戦で挑戦して負けた際に「半泣き状態」になったそうである。渡辺が将棋に負けて泣いたのは、後にも先にもそれ一度きりということである。
・羽生は、渡辺の将棋、特に中盤から終盤にかけて、谷川と似ていると感じるそうである。渡辺は、実は修行時代に谷川全集を何度も実際に盤に並べたという話を思い出した。敢えて、羽生でなく谷川を並べたというのが、渡辺らしい長期的戦略だったのかもしれないと、少し強引に感じる。将来、羽生と戦うことを見据えて、という意味で。
・第四局、渡辺は最終盤よりも、△3五銀打としたところで▲2五歩を予想していたが、羽生は▲3三歩成。その苦しいながらくいついていくという羽生の読みが正しくて、読み負けていたのでダメと思ったたそうである。ここでの感想も、率直で合理的な感じである。
・それ以外に、中継には入らなかった対局映像が色々美しかった。第六局で、対局最中に放心したように穏やかな顔で部屋の外を見やる羽生の姿など。

NHK杯HP(棋譜閲覧可能)

藤井vs深浦。後手の藤井が伝家の宝刀を抜いて藤井システムを採用。深浦が▲5五角急戦をみせ、藤井が△6三銀と受ける形。藤井に構想ミスがあったらしく、深浦がペースを握るも藤井もうまく追い上げ難解な終盤になったが、藤井に悔いる手が出て深浦勝利。対局後は、藤井ボヤキ独演会と化した。
対局直後の映像から、いきなり。
藤井 いやぁ、龍、回ったのがひどかったねぇ。折角、ちょっと難しくなったのに。こういうバカなことをやっちゃ・・、一歩、使わせようと思ったのに、意味ないよね。叩かれるのを消して桂打ってるんだから。(ボソボソと
ハイ、いきなり、敗因を全て説明してくれました。困惑気味の深浦。
感想戦でもとまらない。
藤井 龍回ったのが大悪手でした。(▲8三に)叩かれたら投了級だったんだけど。(△5七に)垂らしたのも論外なんだけど。
龍回ったのはひどかったねぇ。龍を(3五に)引く手があるから。歩を使わせて(8三に)叩かれないつもりで、自分で(8三に)桂を打っているんだから。こんな初歩的なミスをしているようじゃ・・。(ボソボソ
深浦 そうか、龍がここ(3九)にいるのがいい位置なんですね。
藤井 当然そうですよ。当り前じゃないですか。(自虐笑い)。こんな初歩的なミスをしているようじゃ。龍(回り)はなんか役立たずになっちゃって。(ボソボソ
局面進んで
藤井 しかし、まぁ、ここでどう指すかが難しいなぁ。ここで、ウン、まぁ再び間違える可能性が・・(ボソボソ
深浦、こらえられず思わず、「フッ」と失笑。深浦先生、失礼です。でも笑ってしまうのはよく分かります。
藤井 とにかく悪い方が最善を尽くさなきゃ、しょうがないよね。悪い方が先にミスしているようじゃ。これ、ひどいよね。とにかくね。
鈴木 しかし、すごくうまく追いこみんでいると思いましたが・・。
藤井 うん、追いこんでいるハズが、一気に台無しにしてしまって。龍戻ろうかと思ったくらいだもん。もう一回。
深浦 フッフフ。(困惑気味の笑い
藤井 もとから足りない上に悪手を指しているからねぇ。足らなさすぎるはずなんだけどねぇ(ボソボソ
しかも最後に△5五桂に▲同香でも、まだ難しかったらしい。その検討は感想戦の時間内に間に合わず。もし、そうしていて藤井勝ちだったとしたら、先生がどれだけボヤいたか、いやはや空恐ろしいくらいである。










将棋日記 王将戦第二局第一日、銀河戦 稲葉vs上野、理化学研究所のプロ棋士の脳研究

王将戦中継サイト

先手の久保の初手が▲5六歩。中飛車の意思表示だが、これをやると相手が居飛車党でも相振りにしてきて、形を先に決めてしまうので先手が損といわれている。まして、豊島は振り飛車も指すオールラウンダーなのだ。
だから、久保など現代振り飛車党は初手▲7六歩として、△3四歩なら▲7五歩として石田流、△8四歩なら▲5六歩として中飛車にすることが多い。
というのが「常識」のようだが、久保はそういうのを疑って色々試すことが多いと思う。関西の菅井など新鋭の深い研究家たちと共同研究、あるいは若手から情報を得て、大胆に色々なバリエーションの作戦を採用してくる。だから、もしかすると初手▲5六歩は損という「常識」などもはや古いと思っているのかもしれない。
一方、後手も▲5八飛に△3二飛とするのが少し前までは多かったが、それもどんどん研究が進んで変っているのだろうか。特に豊島は、多数の研究会を兼務しているので最新の対策に通暁しているはず。だから、我々素人は▲5六歩が意外と思うが、二人はその二歩も三歩も先のことを考えていてもおかしくない。
どちらにしろ、二人とも関西だが、最先端の研究が恐らくぶつかりあっている。一昔前では考えられないことだ。そういえば、阿久津七段が囲碁将棋チャンネルで王将リーグの羽生vs豊島を解説していたが、後手の羽生の横歩取り△8五飛に妥協のない激しい順を豊島が選び、難しいところもあったようだが快勝していた。羽生は棋王戦でも糸谷に横歩取りで負けていて、それも糸谷の研究が光っていた。今や、関西の研究おそるべし、の時代なのだ。
それと、豊島挑戦者が、第一局は食事もおやつも軽めだったのに、本局は昼食が立会いの加藤先生を意識した?「うな重」、おやつもケーキ二つの渡辺竜王を意識した?「洋風和風両取り」と急にしっかり取り出したのに注目すべきか。もっとも、「イチゴジュース」というところで、個性を出しているのかもしれないが。
将棋は、最後の方の手の意味が難しくて素人にはよく分からない。封じ手予想は▲6六角、鈴木先生が▲9五歩だそうだ。直前の手の流れなら▲9五歩のような気もするが、一応▲3九金寄(左)と言うだけ言っておこう。
中継ブログには「加藤先生がいっぱい」で嬉しいが、現時点のイチオシ写真のリンクでもはっておこう。



囲碁将棋チャンネルHP(銀河戦の棋譜閲覧可能)

稲葉vs上野。先手稲葉の中飛車で、稲葉が一直線に穴熊に囲ったのが少し珍しかったが、結局相穴熊から先手が銀を進出させて3筋を飛車と連携して攻めるよくある形に。
銀と交換した金を4一にベタっと打って時限爆弾を設置しておく指し方が面白かった。稲葉が伸び伸び自由に指して、相手に動かさせて桂を手に入れて穴熊を攻め、切れ味鋭い寄せと堅実な受けを組み合わせて完勝。関西若手の精鋭は本当に強い。また、稲葉の将棋は糸谷同様みていて楽しい。


asahi.com プロ棋士の直観は努力のたまもの 理研、米誌に発表

理化学研究所がプロ棋士の脳の働きを研究していたが、アメリカのサイエンス誌に発表されるそうである。きちんとどの部位が活発に活動手いるかを突きとめたようである。
空間認識する部位「楔前部(けつぜんぶ)と体で覚えた行動をする部位「尾状核(びじょうかく)」が盛んに活動している。「直感」というのは、後者の経験真の蓄積で思考を瞬時に行う部位と関連するのだろう。そして、その二つの部位の結合がプロ棋士は訓練によって発達している可能性があるという。
天性ではなく努力で発達するということだが、明らかに将棋の指し脳が人と違う子供がいるので、もともと将棋に向いた脳の働きをする人間が、小さい頃から訓練をつむことでさらに将棋向きの脳になっていくということなのだろうか。
最後の田中リーターの言葉のように、トップのプロの「違い」は、なかなか脳の部位の働きに還元させて単純に解明できないような気もする。

将棋日記 朝日杯、C級1組8回戦、吉田正和四段フリークラス脱出

朝日杯オープン中継サイト。

渡辺vs畠山鎮は先手の渡辺まで藤井矢倉を採用。本当に流行していて、四間飛車藤井システムと藤井矢倉新システムの二つを一人で作り出した藤井本当に凄い。将棋は、畠山が前例から外れて攻めあったのが無理だったようで、渡辺が厳しく攻めて快勝。
久保vs村田顕。先手久保の石田流。途中久保が、やや見損じとも思える手で飛車を入手されてしまい猛攻を浴び、久保らしく執念の粘りをみせたが押切られた。久保はほとんど見せ場をつくれず力が出せなかった。
渡辺vs村田顕。後手村田のゴキゲンに渡辺が超速▲3七銀から穴熊に。これは、途中から生で観戦して、相当渡辺が作戦勝ちに見えたのだが、感想コメントをみると結構むつかしかったらしい。でも、渡辺が穴熊に囲って攻めるといかにも良さそうに見えてしまうのだ。最後はやはり大差で渡辺の完勝。二局とも危なげなく勝ってベスト4進出を決めた。
これで、羽生、渡辺、木村、郷田が残った。早指しなのにいつものメンバーだ。豊島世代(仮称です、タイトル挑戦に敬意を表して)以下は一人もいない。竜王戦が終わったときに書いた記事でもいったが、世代交代の傾向はあっても、上の世代もまだまだ強くて、世代に関係なく単に強い者が生き残る戦国時代なのだと思う。それにしても、今回は結局残ったのが名人、竜王、A級二人。まだまだ簡単に世代交代は進まず、世代間の押し引きが当分繰り返されるのではないだろうか。


名人戦棋譜速報

例によって全局ざっと並べてみて、気になった将棋について簡単なメモを。今回は、ベテラン勢の活躍、健闘ぶりが目だった。

広瀬vs田中魁
田中が、端に飛車を転換しての攻めが迫力十分だったが、広瀬も端を捨てての反撃も厳しそうで、並べている途中は広瀬が勝つんだろうと思った。それくらい広瀬の終盤力には信用が厚い。ところが、田中の終盤が凄かった。▲8三角など、控え室が共同研究で何とか見つけて広瀬もウッカリした好手を放つなど、検討と比較しても的確な着手がずっと続いた。多分、終盤はパーフェクトだったのではないだろうか。広瀬に土をつけた。田中は何年か前の順位戦で村山に勝った将棋も見事だったし、若手にとってはこわい存在である。

宮田敦vs小林健
宮田がうまく指していたようだが、途中で乱れて角を詰まされてしまって即投了。終盤型の広瀬と宮田が、そろってベテランに広範にで討ち取られた。ちょっとした驚き。でも順位戦では、こういうベテランの姿を何度も目にする。本当に厳しくて見ている方には面白い。一敗勢が多いので、宮田の昇級は苦しいか。

福崎vs脇
脇が得意の△3三桂を披露するも、福崎が鋭く隙を突いて早い終局。妖刀を抜くまでもなかったか。

佐々木vs真田
佐々木のゴキゲンからの完璧な捌きに「(振り飛車の)傑作だ」との声があがったそうである。確かにこんなに綺麗に捌けて勝てたら気持よさそう。

小林裕vs北島
北島が普通に王手角取りをくって、そのまま苦しくなったようだ。プロでもこういう錯覚があるのか。小林は昇級自力だが、次の宮田戦が関門。

平藤vs日浦。
平藤が、横歩も取らず▲2七歩とうけておいてからの、ひねり飛車という変った指し方。▲8四角と、ど派手な手で決めた。

高野vs中田功
後手中田のコーヤン流三間に、先手は松尾流穴熊から銀冠穴熊に組み替えてガッチガチに。かたさを生かして攻めて勝ちという、ノーマル振り飛車の現在の典型的な課題のような将棋になってしまった。やはりスリムクラブの「なんとかならんかねぇ」。最近、こればっかり。

豊島vs浦野
先手の浦野が▲2六歩△3四歩▲5八金右の意欲的な出だし。これだけで前例がないというから将棋の世界は広い。

金井vs大平
後手の金井の一手損角換わりから相腰掛け銀。後手が先行する定跡だそうだが、猛烈な攻め合いは迫力十分で面白かった。金井が、しっかり勝ちきった。週刊将棋の講座、頑張ってください。

加藤vs長沼
長沼の▲5七銀型の四間飛車からうまく指していたようだが、加藤の怒涛の終盤の追い上げがすごかった。「盤が割れるような手つき」「ものすごい手つき」を連発して寄せきってしまった。そのお姿を見たかったとも思うが、こうして棋譜とコメントだけ見ているとかえって想像力が無限に拡がり、実際以上の手つきが脳内再生されておかしくなってしまうから不思議だ。
と思ったら、応援掲示板に加藤先生が力をこめて香車を打ち込む写真がちゃんとアップされていました。素晴らしい。


(追記)吉田正和四段がフリークラスから順位戦C級2組への昇級を決められたそうです。おめでとうございます。

スポーツ報知 吉田四段が順位戦C級2組へ…将棋


将棋日記 NHK杯 佐藤康光vs久保、週刊将棋、加藤一二三@囲碁将棋ジャーナル

NHK将棋HP(NHK杯の棋譜閲覧可能)

後手久保のゴキゲンに対して、先手佐藤康光は流行の超速▲3七銀。この二人だと必ずといっていいほど大変激しいことになるが、本局もそう。佐藤が真っ向から叩き潰そうという感じの作戦を採用して、久保も一切妥協せずに対応するので面白い。二人とも力に絶対的な自信があるのだろう。
久保がいきなり馬をつくらせる指し方で、それは本局に限らず多い。馬の価値について独特の感覚をもっているようだが、その点について、どこかで何かまとめたコメントをしているのだろうか。ちょっと聞いてみたいところだ。
結局、馬をつくりあった局面は、一体どう指せばいいのかという現代将棋らしいものに。そこからの佐藤の構想が、やはり独創的だった。久保の穴熊に、馬をつかった駒落ち上手のような浮動感のある囲いにして、飛車を転換して穴熊を直撃する狙い。久保も警戒して金銀を穴熊に寄せたが、寄せすぎて?佐藤が再度飛車を2筋に転換した際に飛車成が受からなくなってしまった。久保のウッカリがあったのだろうか。
その後、佐藤からはゆっくり勝ちにいく指し方もあったと思うのだが、妥協なく銀を穴熊に向けて進めて攻めた押してしまった。佐藤の快勝。
現代将棋では、羽生や渡辺やもっと下の世代も、どちらかというと老獪で玄人好みの棋風が主流だが、佐藤の激しくて男らしい棋風が、どんどん新鮮で珍しいものになりつつあるような気がする。

週刊将棋は新連載とリニューアルが幾つか。
さて、片上六段の連載がリニューアルして「将棋を科学する」に。初回は「何手先まで読みますか?」で、プロが手を考える上での内面・思考プロセスを言語化する試みのようだ。
新連載で金井五段の「なるほど!藤井流早囲い」。注目の藤井矢倉の講座。金井五段も理論派という印象があるので、どういう講座になるか楽しみである。
そして、「プロの妙技、よもやの珍局」。関東編を君島俊介さんが担当することに。「銀杏記者」の呼び名の方が有名か。初回から、佐藤康光九段の将棋を題材に、左右反転させるとプロによくある将棋になるという、きわめてマニアックかつ高度な話。棋士と同じか、場合によってはそれ以上にブロ将棋を見ている方だと思うので、どんな連載になるか楽しみである。

囲碁将棋ジャーナル、勿論、加藤一二三先生はいつものように元気一杯だった。ネット将棋の関連で、先生がパソコンを使うかどうかの話題に。現在、ほとんどの(特に若い)棋士はパソコンを使ってプロの全ての棋譜を確認したり、局面検索して調べている。なおかつ、共同研究会で、いかに表面には出ない情報を得るかが大切になっている。
ところが、加藤先生はパソコンも使わないし共同研究もしない。つまり、最初から相当ハンディキャップを負った状態で対局しているのだ。私の最近のお気に入りのスリムクラブのフレーズを使うならば、「なんとかならんかねぇ」である。
高群 加藤九段は、普段将棋の研究にパソコンを使われていますか?
加藤 あっ、パソコンは使ってないんですねぇ。ただ、使えばかなりしっくりくると思うんです。ああいう感じって、結構、感触がいいと思っているんです。
高群 じゃあ、使われたいと思われたことはあるんですか?
加藤 いや、ないんですけれども。(加藤スマイル)

結局ないんかいっ。一体何なんですか、その絶妙のすかし方は、先生。

将棋日記 A級順位戦 渡辺vs木村 谷川vs高橋 B級1組11回戦 B級2組8回戦

名人戦棋譜速報

渡辺vs木村
後手渡辺が通常角換わりをいつも通り受けてたつ。竜王戦第六局の先後同型ではない△3三銀型から、その時とは違う△6五歩の後手からの先攻。木村が経験もあり、先手の勝率の高い形にチャレンジした。木村が先に手を変えたのは、何か厭な手があったのか渡辺の研究を警戒したのか。やはり竜王戦で研究手がうまくいって勝ったイメージ、無言の圧力のようなものは大きい。
しかし、それでも難解な攻防が繰り広げられたが、木村が最後の勝負手を逃して負け。ただ、その手を渡辺は読んで気にしていたようで
、やはり終盤の手の見え方や勝負強さが、「紙一重」「首の皮一枚」の差だけどトップ連中と比較してもあるように感じることが多くなってきた。

谷川vs高橋
後手高橋の△8五飛ではなく△8四飛。高橋の△8六歩が決まって以降ずっと優勢だったようだ。谷川は作戦失敗で仕方ないところもあるのだろうが、それでも淡白なあきらめのよい負け方。感想コメントでも「苦しいながら」という順が幾つか指摘されていた。もともとクソ粘りして逆転するタイプてだはないが、最近簡単に土俵を割ることが多くなってきたのが谷川ファンとしては気になる。

藤井と木村という人気者二人が苦しくなった。二人とも、とにかく後二つ勝つしかない感じだ。


B級1組11回戦

井上vs中田宏
▲7五同歩が中田らしい。角換わりの後手でも△3五同歩をやっていた。どちらもプロには考えにくい手らしい。棋譜をあんまり並べないらしいので、自分の信じる手を指して新手や珍しい手になることが多いのだろうか。

佐藤康光vs山崎。
後手佐藤のゴキゲンに山崎の▲7八金型。山崎が早めに▲8五歩とついたのは、佐藤が先手でやる形とも似ていて逆用したのか。そして力強く金を繰り出していったのは山崎らしかつた。
将棋は佐藤が穴熊の堅さをいかして攻めをつないで快勝。A級復帰おめでとうございます。そういえば羽生vs佐藤のタイトル戦も随分見ていないような気がする。

深浦vs行方
後手深浦の4手目△3三角。深浦の一撃必殺の寄せが鮮やかに決まった。お見事。

松尾vs畠山鎮
後手松尾の△8五飛。△5二玉△5一金として△4一玉を保留するのが松尾流と。松尾流居飛車穴熊といいいかにも現代的な感覚の棋士なのですね。

杉本vs屋敷
後手屋敷の△8五飛に杉本の新山崎流から杉本新手。屋敷が勝って自力昇級に。他に有力メンバーも多い中、今回はチャンスである。

鈴木vs豊川
先手鈴木の相掛かり。最近居飛車を指しているとは言っても相当違和感がある。穴熊に組み直して金銀を玉に寄せていくのが、居飛車なのになんとなく振り飛車風で面白い。そして快勝。豊川先生は残念ながら降級が決まってしまった。


B級2組8回戦

これも全部並べたのですが、もはやスタミナ切れなので簡単に。やはり、B1とB2は別の日にやっていただきたいです。

一敗の中川は右玉の力強い指し回しでトップ堅持。
橋本vs島の一敗対決は橋本勝ち。そうですか、3手目▲6六歩に△3二飛とやるのが現在のトレンドなのですか。そして、こんなに大切な将棋なのに島は相変わらず潔い投げっぷりである。
阿久津vs戸辺は阿久津が勝ってライバルをひきずりおろして昇級戦線に踏みとどまった。3手目▲6八玉がいかにも勝負将棋という感じがする。
但し、一敗の中川、橋本も順位の関係で一つも星が落とせない感じか。
そういえば、あっくんとハッシーが将棋世界で歯に衣着せぬ順位戦予想をしたのも何年前だっけ。あれでケチがついたわけでもあるまいが、いまだに仲良くB2在籍。今年は二人とも昇級のチャンスがあるけれど、どうなるんでしょうか。







将棋日記 銀河戦 中座vs菅井、A級順位戦 久保vs郷田、森内vs藤井

囲碁将棋チャンネルHP(銀河戦の棋譜閲覧可能)

中座vs菅井。菅井の先手中飛車に、中座は角交換から△6四銀で5筋の歩交換を拒否する形。菅井が▲7五銀とシンプルにぶつけ、中座が△2四角から反撃する展開に。中座が猛烈に攻めて先手玉も危なそうに見えたが、菅井は冷静に受けて一手勝ちをみきっていたようである。実に落ち着いている。評判通り強い。
この菅井、永瀬、阿部といった新四段は確かに何かモノが違う感じがする。最近、表面化しつつある世代交代だが、このあたりが台頭してくる可能性も十分で、現在の「若い」世代も全く油断できないのではないだろうか。

名人戦棋譜速報

久保vs郷田。久保先手で▲7六歩△3四歩▲7五歩△8四歩▲7八飛△8五歩▲7六飛という過激なオープニング。菅井が一局指したことがあるそうで、控え室で熱心に検討していた。関西の控え室は関東とは全く雰囲気が違って、アットホームで賑やかに皆でワイワイやりながら将棋をつついている様子が面白い。
何でも、このオープニングは、はるか昔に▲吉田一歩−△阪田三吉戦で出現したことがあるそうだ。関西ゆかりの坂田がからんでいるところに、ちょっとした因縁を感じる。将棋は、久保が軽く▲5六飛とまわって、既に郷田が困っていたようである。久保らしい将棋で快勝。「さらに若い世代」とともに「関西」も、これからは目が離せない存在になるのかもしれない。
ちなみに、このオープニングについては今週の週刊将棋で片上大輔が振り飛車の一年を振り返る総括記事で取り上げている。その中でこのようにも述べている。
居飛車の研究は、とにかく手を狭めていくという印象がある。一方振り飛車の研究は、どうすれば手広いか、そしてどうすれば「良いパターン」の終盤戦に入っていけるかを競うようなところがある。
そして、現在はそういう振り飛車の自由なところがうまくいっていると。これは、居飛車と振り飛車の思想の根本を考える上でも興味深い分析だと思う。

森内vs藤井。最近は中途半端にリアルで中継をみるのはやめて翌日にゆっくり棋譜鑑賞することにしている。で、この棋譜を結果を知らずに開いたら、初手局面の右上に「終了 03:42」の文字が・・。気合入れて並べましたよ。千日手指し直しで、先手の藤井矢倉の独特の攻めが見事に決まったかにみえたが、森内が強靭な受けで抵抗した。深夜の感想戦で、藤井は「何度決まったと思っても逃げられてしまう」と嘆いたそうである。森内逆転模様になったが、攻め間違えて藤井に入玉されかけてしまい再逆転。
そこからドラマが起きる。すぐ入玉してしまう手もあったと思うのだが、藤井は男らしく決めにでる。実際寄っていたのだが、香車を6六でなく6八から打ったために、中合いを許して森内の角筋が通っていたために藤井玉がその後寄せられてしまう。中合いも素直に同じく▲6六香と取っておけば勝ち。ところが、藤井にその前の経緯で桂の持ち駒が余計に一枚あったため打ってしまう。なんという勝負の機微。そもそも最初から▲6六香と打っていれば森内玉は必死、ジ・エンドだったのだ。まさしく、藤井の手から何度も何度も勝利が一歩手前でこぼれおちてしまった。
「205手目に▲6六同香を逃した藤井九段は、感想戦の間、何度も『香が…、香を…』と言いながら香車を空打ちしていた。10回や15回ではきかない回数だった。」そうである。そして疲労困憊の状態で自嘲気味の悲しい笑いを浮かべる藤井の写真。胸がつぶれる。これが順位戦だ。


将棋日記 銀河戦 石川vs中村大地、佐藤紳哉vs阿部健治郎、NHK杯 羽生vs勝又、A級順位戦 三浦vs丸山

囲碁将棋チャンネルHP(銀河戦の棋譜閲覧可能)

銀河戦、石川vs中村太地。石川は、今や滅亡の危機にある角道を止める振り飛車を指し続けている棋士である。櫛田陽一が、皆が普通の四間飛車を指さないのは、単に研究不足なだけど豪語しているのと通じるものがある。時代の流行に左右されない頑固で職人肌の振り飛車党である。但し、石川は三間飛車中心。予選で現在順位戦で無敗の佐藤天彦を破っている。
中村も、前期の銀河戦で準決勝まで進んでいる。但し、銀河戦は前期の実績はほとんどリセットされてしまう。猛烈な攻め将棋という印象。
先手石川で角道を止めるノーマル四間。相振りを警戒して最初に1筋の端歩をつきあった関係で、後手の中村は居飛車穴熊ではなく天守閣美濃。
本局は石川の振り飛車らしい指し回しが見事だった。居飛車が左辺から攻め込んでくるのを、丁寧にしかしうまく受け流して、玉頭方面からの反撃で勝負。自分の飛車取りなど手抜ける部分は手抜きして効かせるだけきかせておいて、玉に近い部分の速度で勝負するという振り飛車のお手本のような指し方で、結果的には快勝といってもいいだろう。若手実力者の、佐藤天彦、中村と連破してベテランの底力・実力を示した。
解説は植山で、聞き手は学業に専念するため休業宣言した熊倉紫野。中村が、30秒将棋で「9」まで読まれてギリギリで指す連続なのに対して「きゃー、こわい」的なクマシノ的な素直な反応をして和ませてくれた。囲碁将棋ジャーナルの聞き手をつとめた際にも、その明るくて天然気味なキャラクターで人気を博していたのである。
ただ、彼女自身のブログでは、女流棋士としてのあり方について彼女らしく率直に悩みを打ち明けていた。それも彼女の素直なキャラクターらしくて好感を持って見ていたりしたのである。休業後には、また是非戻ってきていただきたいと思う。

佐藤紳哉vs阿部健治一郎。先手阿部で、藤井矢倉風の出だしから阿部が動いたのに対して佐藤も激しく反発。一段楽して佐藤が、やむをえずおさめようとしたところに、阿部が強気に銀交換に出て居玉のままどんどん攻めていった。難しかったようだが、佐藤が強気に対応しすぎたところを、阿部がハッとする鋭い飛車切りから一気に寄せきり、終盤の切れ味をみせた。
新人戦では相手の加來さんが力将棋過ぎて、正統派の研究家の居飛車党というイメージだったが、研究もきっちりした上で、自分の工夫も加味して独創的な将棋を指そうとするタイプなのかもしれない。同門の先輩の藤井と通ずるところもあるような気がする。みていて、なかなか面白い将棋である。現在8割超えの勝率で、当然本局のように終盤も強い。楽しみな新鋭棋士だ。

将棋NHK杯HP(NHK杯の棋譜閲覧可能)

羽生vs勝又。とても楽しみにしていた対戦カード。藤井解説は相変わらず楽しく鋭くて色々勉強になる。勝又についても同じプロとして次のようにきちんと紹介していた。
(将棋雑誌の連載について)基本時にはアマチュアの方に分かりやすく伝えるということが目的です。非常にプロの将棋は高度なところがありまして、見ているだけではサッパリ分からないところがあるので、それを解説する人がどうしても必要なんです。プロはつい自分のプレイに必死で、分かりやすく説明することが苦手なんですよ。それを勝又六段が分かりやすくまとめて、むしろ我々プロの方も、「なるほど、そうか」と、勉強になるなと思いながら読んでいるので、ありがたいです。そういう役割が。
将棋は、先手羽生で後手の勝又が一手損角換わり。羽生が棒銀から攻めて、勝又が四間に振る定跡形に。普通に飛車を捌いた勝又が一見良さそうにも見えたが、羽生が自然に攻めて十分戦えそうにになった。相変わらずの大局観である。ただ、厳密にどちらによい分かれだったのか、相変わらず藤井解説は素直にどんどん意見を変えたりして素人にはよく分からなかった。
終盤は羽生が決めに出たのだが、勝又も粘って入玉模様になってもつれた。勝又玉に打ち歩詰めで逃れる一昨年の竜王戦第四局のような筋になった。それを藤井がいったところで、すかさず矢内が香車を拾って詰めろにする順を指摘。そんなところでも藤井解説は楽しませてくれた。
終盤は双方に誤算があったのかもしれないが感想戦がなかったのでよく分からなかった。ただ、終局直後に二人の会話が少し流れたが、勝又も藤井と同じで打ち歩詰めの錯覚をしたようである。もし、最後に△2四に玉が逃げていたらどうなったのだろう。
藤井が去年の王座戦の羽生との戦いを振り返っていたのも、なかなか面白かった。
去年の王座戦、棋譜の表面上では、非常に私が冴えない手ばかり指していると思える箇所が多いんですよ。だから、私が狙いの分からない手を指して、羽生さんが自然に対応して良くなっていると(思える)。でも、実際はそうではなくて(羽生さんが)すごく工夫されているんですよ。目に見えないところでね。で、私が困ってやられたてしまうんですね。なかなか棋譜を見ただけでは分からない強さなんですね。対局者だけが感じるプレッシャーで。だから、私も実はこの手はこういう意味で指したんだけど、羽生さんに事前にうまく察知されてうまくいかなかったんだよと叫びたい部分もあるのだけれど、それを言っても難しすぎて理解できないんで、解説できないんだけど。そういう風に感じた場面が多かったですね。だから、棋譜だけを見ただけでは、なんでこんなことをやっとているんだろうと思われると。

名人戦棋譜速報

今日もA級が二局行われていて、順位戦ウィークの最中である。
昨日は三浦vs丸山があった。後手の三浦が意表のノーマル中飛車を採用。しかし、関西では矢倉流と呼ばれ新鋭の西川四段もよく指しているということで、関西若手とコネクションがある三浦の当然の研究範囲だったのかもしれない。そして。随分先まで早指しで、やはり深く研究していたのだろう。
パッと見では居飛車穴熊の堅さと遠さが生きて居飛車がよさそうにも見えたのだが、よく検討すると振り飛車も十分指せたということらしい。プロの将棋、A級の将棋の奥深さ、懐の深さを感じた。
そして、三浦の終盤の読みの深さ正確さは圧巻だった。こういう直線的なの終盤を読みきる力が三浦は本当に凄い。ぬるいような一段飛車も最後の決め手の受けまで見切っていたとしたら驚異的である。終盤力も相当の阿部が検討していたが、三浦はそれを確実に上回っていた。対局者であることを考慮しても流石だ。現在のA級のレベルは本当に高い。










将棋日記 2011-01-12 C級2組八回戦

私は日記が続かない人間である。このブログでも、この種のものを何度もやろうとして挫折している。最近では、熊八ご隠居というのをやったこともある。最初は書くのが楽しかったが、続けるのは結構大変だ。私は妙にサービス精神が過剰で、せっかく読んでもらうのだから、ギャグを入れようなどと思ってしまうのだ。そもそも、それ自体、読者に迷惑なのかもしれないが。
とにかく、折角たくさんプロ将棋を見ているので備忘のメモくらいはつけておきたい。そう思って再開する将棋日記である。毎日書くつもりもないし、今回はまったく無理しないでやるつもりである。本当に素で気楽に書くフツーの日記にするつもりなので、もし宜しければお付き合いください。

さて、今週は順位戦ウィーク。

名人戦棋譜速報

昨日は、C級2組八回戦だった。
以下、今日まとめてざっと並べた簡単なメモ。
注目の全勝の佐藤天彦vs一敗の稲葉は、相穴熊から居飛車の佐藤が小駒とと金だけの攻めを間に合わせてかつという、相穴らしいというか現代風な将棋だった。
糸谷vs室岡。最後室岡玉に詰みが見つからないといわれていたが、ちゃんと詰んでいた。現在上位二人の実力者はあがりそうか。
佐藤和俊vs阿部健治郎、後手の阿部が千日手模様を果敢に打開するもうまくいかず負け。注目若手の阿部は研究家というイメージで売り出したが、最近放送された銀河戦などを見ても、ちょっと違う側面を感じる。兄弟子の藤井の影響もあるのだろうか。
中座vs川上は、後手川上がゴキゲンで、先手が自陣に二枚飛車を打つNHK杯でもよくく出た形に。森内が▲1八飛で快勝していたが本局は▲1八飛。、まだまだ色々研究が続いている課題局面なのだろう。
佐藤紳哉vs長岡は、佐藤後手で通常角換わりで、富岡流の直前で長岡が変化。研究仲間?の羽生が渡辺に朝日杯で快勝した形である。研究家の長岡の面目躍如で一気に勝ちになるのかと思いきや、もつれて佐藤の勝ち。角換わりは研究将棋なのに面白い終盤になることが多い。
小林宏vs阪口は、後手の坂口が無条件に馬をつくらせる一見初心者のような将棋。しかし、三浦vs久保の前例もある。そして、久保も阪口も勝ってしまった。どうなってるの。
澤田vs小倉。小倉の苦心の「垂れ香車」が飛び出したが実らず。駒柱も出来た。
松本vs中村太地。終盤が面白かった。長手数の大捕り物の即詰み。
順位戦の後半に調子をあげてきた牧野。二手目△8四歩の棋士の一人である。
瀬川vs佐藤慎一。熱戦になったが最後は瀬川が即詰みに討ち取って勝ち。対局数が多いから仕方ないけど、後半棋譜コメントが少なくて並べていてどっちが勝つのか分からずドキドキした。
永瀬の終局後の談話が面白い。なるほど、まだそんなに簡単じゃないと。しかし、あんなに女流に対して鬼のように強い(失礼)永瀬が指し分けですか。順位戦は厳しい。
佐藤天、糸谷以外の3敗者の昇級争いが混沌としてきた。

今日は、NHK杯や銀河戦の感想も書こうかと思ったのだが、C2を全部並べただけで疲れてしまった。「今日はこれくらいでカンベンしといたる。」
だから、日記なんだからこういう余計なギャグはいらないの。この吉本新喜劇の有名なギャグで思い出したが、年末の「ガキの使い笑ってはいけない特番」での、俳優などによる吉本新喜劇は面白かったなぁ。

熊八ご隠居のテレビ将棋パトロール その七

(以下、最新のテレビ将棋についてネタバレで書いているのでご注意ください。)

八「うぅぅぅぅぅぅぅ・・。」
熊「なんだよ、いきなり泣いているのかよ、しょーがねーな。どうしたんだよ。」
八「いやね、おキクちゃんも実は将棋が好きだっていうんで、じゃあおれが教えてあげようっていうんで将棋を指してみたんだな。」
熊「へぇ、おキクちゃんも将棋女子だったのかよ。」
八「それが、ビックリするくらいおキクちゃんが強いんだよ。全然形もつくれないまま連戦連敗さ。ひどい目にあった。そしたらおキクちゃんが「八と将棋指していても、つまんないや。」って。うぅぅぅぇぅ。」
熊「おめえもすごいこと言われてるな。でも、ちょっと待てよ。おめえもおれも確かにヘボだけど、一応将棋寄り合い本部二階の道場じゃ、一応初段で指しているじゃねぇか。」
八「それがな、おキクちゃんに聞いたらさ、なんと道場では四段で指していて、もう少しで五段になれるかもしれないんだってさ。」
熊「驚いたね。」
八「おめえは中原誠永世名人かよ。」
ご隠居「そいつは気の毒だったな。ふっふっふっ。」
八「なんですか、ご隠居、嬉しそうに。森ケイジ先生みたいな笑い方して。」
ご隠居「まぁよい。おまえも、もっとわしのところで勉強しなければいかんということだ。」
八「えらそうに、ご隠居だっておキクちゃんにちゃんと勝てるか怪しいもんですぜ。」
熊「そうそう、御隠居がおキクちゃんにボロボロに負かされるところを見たいにおいらも一票。」
ご隠居「うぅぅぅぅ。ひどい・・。まぁいいや。さて、銀河戦、櫛田vs,安西。前期でも大活躍したクッシーの登場じゃ。楽しみだな。お二人とも振り飛車党なんで駆け引きが続いて相居飛車になりそうだったんだだ、櫛田先生が一度△6二銀とあがったのを△7一銀と引いて無理やり振り飛車にしたんだからビックリだ。櫛田先生は相振りを指さないんでこういうことになったんだが、解説の神谷先生も「櫛田六段は手損という言葉を知らないのでは」というくらい珍しい序盤じゃった。
結局、居飛車穴熊vs銀冠になって、櫛田先生が動いたのだが何か誤算があったのか、居飛車がどう見ても勝ちそうになった。ところが、安西先生も▲6二金と攻めを間違ったために、櫛田先生がうまく受けてから体を入れ替えて最後はきっちり逆転勝ち。まぁ、早指しらしい将棋だった。」
熊「神谷先生の解説が面白かったですねぇ。もともと歯に衣着せぬ発言で定評がある先生ですが、ギョロリとした目で切れ味があり、なおかつ独特のユーモアの解説をされていましたな。「予想が外れた言い訳をしている・・・わけなんですけどね。」とか、「(相居飛車になりかけたのは)相撲で言うとお互い左よつなのに右よつになった。」とか、「将棋で攻めて動く手は、日常生活では運動で、守って玉をかためるのは眠るとか風呂に入るとか体調を整えることで、両者のバランスが大切と普段教えているのだけれど、最近の将棋では運動に重きがおかれている」という独特の表現とか、「(安西先生はむ真面目そうだが)将棋界でボクの次にマジメといわれている・・というのは勿論ウソなんですけれども」とか、最後は「これはいわゆるアジの開き直りですか」というオヤジ・ギャグとか。」
八「最近は豊川先生の面白解説がすっかり有名になったけど、まだまだ将棋界は個性派の宝庫だよな。神谷先生も面白くて将棋の解説もしっかりしているんで、もっと解説でも活躍して欲しいよな。」
ご隠居「神谷先生といえば、世界最高の将棋ブログ、ものぐさ将棋観戦ブログさんがエピソードを紹介しておったな。
さて、そんなとてつもない正直者の神谷さんについての、河口本のエピソードを引用して終わりにする。
>「島といえば、「将棋世界」平成三年二月号のエッセイも愉快だった。中でも沖縄本島に旅行して、女の子と仲良くなりかかったとき「どうせあなた方も下心があって旅行に来ているんでしょう」と神谷が言ってはならぬことを言って、努力が水泡に帰したあたりは大笑いした。神谷の人柄がこの一言であらわされている。さらに、情景、表情など目に浮かぶようではないか。」
そりゃね、若い男も女も、下心があって旅行に来ているかもしれないさ。誰しもそれは分かっているのさ。でも、なぜわざわざそれを女の子たちを誘っている最中に口に出して言う必要があるのさ。
それを言われた女の子たちの表情やリアクション、島さんたちの唖然とする表情などを想像すると、もうたまりません。

熊「あくまで、神谷先生の若き日のはなしですよね。・・・ふっふっふっ。」
八「「森先生がいっぱい」だな。」
ご隠居「さて、「次に銀河戦、阿部ケンvs里見。男性棋士と互角に渡りわっている里見さんが何と言っても注目じゃ。里見先手で相振りに、阿部先生が早めに角交換する工夫をしたのだが、それを銀でとったために里見さんが動きづらくなってしまった。里見さんも▲5六角と打ち据える構想など非凡なところをみせたが、勝負手を逃したために阿部先生の猛攻を受けて最後は一方的に負かされてしまった。阿部先生の序盤巧者、将棋のうまさが目だって、里見さんにとってはちょっと残念な将棋じゃった。」
熊「阿部先生も、新人王戦いではアマチュアの加來さん、今回は里見さん相手でちょっとヒール的な損な役回りが続いていますね。」
八「でも、週刊将棋の見出しでデカデカと「アベケン」と書かれて名前を売っていますな。「マッケン・サンバ」ですかと。」
ご隠居「阿部先生は、西村門下の精鋭で、将棋世界の勝又講座のインタビューにも登場されていたな。とても研究熱心で、一流棋士にも認められている有望な若手じゃな。
さて、NHK杯、島vs小林裕。先手小林で相矢倉模様になったが、後手の島先生が、△7三桂△6三銀△5二飛から守りの左銀も繰り出す超攻撃的な布陣をとった。島先生ご自身のお言葉によると、なんでも昭和60年代の将棋で、南五段vs脇四段に類似形があるという懐かしい形だそうじゃ。三年に一回指す、とも言われていたな。確かに攻めは強烈でアマチュアからすると、いきなり指されると受け方が分からなくて困るかもしれん。というかプロの小林先生も実際困っていた。
小林先生らしく、受け一方でなく、金取りを放置する▲8六角、それでも金をとらな島先生の△5八歩成などハッとする応酬が続いて、△5六銀という次の一手のような派手な手が決まって島快勝。島先生は若い頃はとんでもない攻め将棋だったようじゃが、先祖返りするような攻め倒した将棋じゃった。」
熊「島先生も感想戦で面白かったですね。「今日は華々しく散ってみようかと思って。」「不退転の決意で。もうノーガードで。」「もう手が止まらないですね。ムチャクチャにいくしかない。」とか、開き直ったような発言を連発して。」
ご隠居「そうだな。島先生も新世代を代表する若手で初代竜王も獲得されたが、もはやベテランの域。最近は最新形ではなく本局のように独自の工夫の将棋を指されることが多いようじゃな。神谷先生など「花の55年組」と呼ばれた世代も、最近は人間的にもすっかりいい味を出されていて、将棋も元気でうれしいな、中村先生もB1に昇級されたし。」

熊八ご隠居のテレビ将棋パトロール その六

(今週のテレビ将棋についてネタバレで書いているのでご注意ください。)

ご隠居「週刊将棋ステーションのゲストは広瀬王位じゃった。初タイトル戦でも実に堂々としていて、かなり心臓が強いのかと思っていたのだが、第一局では駒を並べるのに手が大きく震えて困ったそうじゃ。そして二日目食事でもあまり食欲がなかったと。ただ、対局が始まってしまったら普段通りにさせたと。
勿論、わしは広瀬先生の人間をよくは知らないのじゃが、話し振りと内容を聞いていると、そうやって緊張したりするのも自然に受け入れていて、やはり基本的には図太い勝負師向きのタイプという気がするな。例えば、羽生先生や渡辺先生も大変な勝負師なんだが人間的にある種、すごく繊細な所もある。広瀬先生の場合は、中原先生の系譜というか、全て自然でいながらそのまま線が太いようなところがあるような気がするな。」
熊「よっ、でた、御隠居お得意の素人の勝手読み分析!」
ご隠居「最近、わしに厳しいなぁ。まぁ、確かにその通りなんじゃが、素人なんだから変に遠慮せずに好き勝手なことを言うのがわしの取り柄なのだよ。別に間違っていても構わんのだ。」
熊「それはブログ作者の心の叫びでもあるのですね。」
ご隠居「まぁ、そういうことだ。ところで、棋譜解説で、自戦解説で王位リーグの渡辺竜王戦を選択していた。挑決の羽生戦ではなくてな。そして、その将棋が相穴熊で広瀬先生が、ほとんど一方的に攻めて竜王が形もつくれずに負かされた将棋だった。渡辺王が糸谷先生にNHK杯で惨敗した将棋があったけれど、あれに負けないくらいのインパクトのある将棋でな。竜王をあんな負かせ方してしまうのは本当に凄い。確か二人は棋王戦の決勝トーナメントで、互いもう一勝ずつするとぶつかるので、もしも実現したら色々な意味で注目の将棋じゃな。
さて、銀河戦も新たに始まった。田丸vs野田は、先手野田の角道オープン向飛車に、田丸の飯島流引き角。いきなり野田が▲8六歩と仕掛けてかなり無理気味に攻めて、その後一進一退あったのだが結局野田先生勝ち。いや、野田先生はその場の思いつきで仕掛けたそうだが、本当に将棋には色々な指し方があると思ったな。本家の飯島先生ならどう対応したのか研究済なのかも、ちょっと気になったな。」
熊「ちなみに野田先生は、若き日の奨励会時代に、山登りが趣味でヘアスタイルもジャングル?みたいなんで「ジャングル」野田と呼ばれていたそうですな。一方、田丸先生はやはり若き日に独特のヘアスタイルで「ライオン丸」と呼ばれていたと。」
ご隠居「そうなんだってな。野田先生の実際の髪型は知らないのだけど、アフロみたいのがはやった時代もあるんで、もしかしたらそういうのだったのかな。田丸先生も、若き日はかなり独特のお洒落でちょっと棋士としては異端な感じだった。それがもう大ベテランの先生だからなぁ。わしも歳をとるよ。
もう一局は神吉vs藤倉。先手藤倉で相振りから神吉先生が早々に角交換から△4五角と打ったのだが藤倉先生が抜け目なく▲5五角から三枚換えに成功して一挙に勝勢になって将棋が終わってしまった。神吉先生は△7二金を入れ忘れたとぼやいていたが、ちょっと神吉先生にはつらい将棋だった。それでも感想戦ではちゃんとサービスして笑いをとっていたのはさすがじゃ。前期は大活躍されたが今期は力を全く出せずに終わってしまった。
NHK杯、久保vs西川和。先手久保が居飛車で西川がノーマル中飛車から四間に振りなおす独特の形。ちょっと意外だけれど、久保先生は相手が振り飛車党だと居飛車、西川先生は最先端には見向きもしない独自の振り飛車ということで実は想定内だったようだ。将棋は西川先生がうまく指してもうほとんど完封で終わる終わりなのかと思った。しかし、そこからの久保先生の粘りがすごかった。
もう、自陣が破られているのに、自分の玉を銀冠穴熊に組み替えて金銀をじっと寄せて、歩の手筋で相手の攻めを遅らせながら、さらに自陣に金香を打ち据えて、いつの間にか穴熊がほとんど寄らなくなってしまった。そして、あとはとにかく相手に食いついて攻めがつながりすればよいという状態にして、実際巧みに食いついて勝ってしまった。
なんというか、居飛車穴熊なんだけど、なんとなく振り飛車て自玉が堅いまま相手に食いつくという感覚に似た戦い方のように感じたな。現代将棋は研究が大切と言われるが本当に力の強さだけで勝ってしまったという将棋だった。西川先生はっきりした悪手らしいのがないまま、いつの間にか敗勢になっていたのでつらかっただろう。なんというのか、居飛車なんだけど大山先生みたいな将棋だった。」
熊「解説の阿部先生は、久保二冠と西川四段の対戦といっても実は若手も強くてそんなに差がないと言われてましたが、中終盤では、まさしくタイトルホルダーと若手四段の力の差をみせつけるような将棋になりましたな。」
ご隠居「そうだな、今の将棋界は若手も強くてよく勉強しているのだけれど、トップの人たちがそれ以上に恐ろしく強い上に勉強も怠っていないという感じがするな。
ところで八はどうした?」
熊「いや、それが最近、すっかりオキクちゃんとしょっちゅうベタベタしていて・・。」
ご隠居「困った奴じゃ、でも、あいつがおらんと面白くないな。」
熊「今日はあんまり面白いネタがなかったブログ作者の言い訳ですね。」
ご隠居「この熊八御隠居シリーズもそろそろ潮時かな。」続きを読む

熊八ご隠居のテレビ将棋パトロール その五

(以下今週のテレビ将棋についてネタバレで書いているのでご注意ください。)

ご隠居「銀河戦の決勝のことは、この前話したな。わしが、負けはしたけど丸山先生の▲6六銀上がプロらしいと感心した将棋じゃ。」
熊、八「全く覚えていません(キッパリ)」
ご隠居「弱ったね。まぁそれならいいんじゃが、実は週刊将棋さんによると、その▲6六銀上が敗着だったそうじゃ。」
熊「ほらっ、ご隠居も素人のくせにえらそうなこというから。」
ご隠居「なにをっ。まぁ、そうかもしれんな。▲6六銀上は素人には指しにくい一流プロの芸に思えたんじゃが、普通に▲7九玉から▲8八玉と早逃げしておけば丸山良しだったそうじゃ。まぁ強くて手が見えすぎるゆえの悲劇とわしは思うがな。その部分の感想戦が時間切れで放送にも入っていなかったんじゃ。」
八「ご隠居も、負け惜しみ言うね。」
ご隠居「二人ともうるさいっ。ところが、実は佐藤先生は、その後手が悪くなる変化を新著の「佐藤康光の一手損角換わり」で有力だと紹介してしまって、盛んにぼやいていたそうじゃ。」
熊「おら、その本買うのやーーめたと。」
ご隠居「こらこら、最新定跡は最近は月単位もいや日単位で進化しておる。だから本当の最新定跡を本に書くことなど不可能じゃ。それなのに、それを気にする佐藤先生らしい真摯な態度じゃと思うよ、わしは。その本も佐藤先生らしく一切手抜きなしで書かれた本なのは間違いない。
さらに、このはなしにはオチがあってな。この収録の5日後に丸山先生は先手で木村先生と同じ将棋を指して、感想戦の変化通りで勝ったそうじゃよ。」
熊「ひぇぇぇぇ。丸山先生も鬼だね。目に浮かぶようだよ。どんどんノータイムで進めて澄ました顔して感想戦の順を指すと。そして木村先生が、そこに至って事の重大さに気づいて苦悶すると・・。よりによって木村先生というのが悪いけどちょっと似合っているな。」
八「うぅぅぅぅぅぅ、木村せんせー。」
熊「なんだよ、また泣くのかよ。ほらよっ、これで拭けよ。」
八「ありがとよっ、て同じ手を使うなよ。三毛猫が粗相した時の雑巾だろ、その手はくわなの焼きハマグリだぜ。」
熊「おめえは一体いつの時代の人間なんだよ。」
八「江戸時代ですが何か?」
ご隠居「まぁ、このシリーズも現代将棋を江戸っ子の我々が語るというSF設定じゃからな。」
八「はぁ?」
ご隠居「まぁよい。それより、八、おまえ、いやにこ綺麗な手ぬぐいで顔を拭いておるな。おまえには似合わん。」
八「いえね。実は長屋のおキクちゃんにもらいやしてね。」
熊「おまえ、いつの間に・・。」
ご隠居「なんだとおおおお。」
八「なんです、ご隠居、目の色を変えてはしたない。」
ご隠居「うぅぅぅぅ。八に言われた・・、八に言われた・・。わしはもうダメじゃ。」
熊「ほら、ご隠居、これで拭いて。」
ご隠居「すまんな、ってこれは三毛猫の雑巾、もう、いい加減にしなさいっ、ありがとうございました。って全然話が進まん。
もうどんどん進めてしまうぞ。この前の王座戦第三戦じゃが、将棋会館で行方先生と熊倉さんの大盤解説があったそうじゃ。最近はツィッターなる便利なものがあって、その様子を伝えてくれる人もいるんじゃな。わしはそれを家で見ていたんじゃが、熊倉さんは藤井先生に「ボクが羽生さんに勝てる確率は、熊倉さんが清水さんに勝てる確率と同じくらいだね。」と言われたそうじゃよ。」
熊「なんという自虐ギャグ。熊倉さんも失礼だとは言いにくいしなぁ。さすがだよ。結局、熊倉さんは清水さんに勝って、藤井先生はダメだったという見事なオチつきですか。」
ご隠居「さてと、テレビ将棋。女流王将戦は里見vs中井の放映じゃった。先手里見で中飛車、中井さんがらしくじっくり押さえ込みにいったが里見さんがそれ以上に渋い大人の指し回しを見せて快勝。若いんだけれど、こういう将棋も里見さんは指せる。基本的には鋭い現代風の将棋じゃが、大山先生も尊敬していて渋い振り飛車の感覚もあるのじゃな。
銀河戦も新期がスタート。有森vs伊藤能。有森先生は予選で豊島クンを負かしているから凄い。伊藤先生もやはり実力派の北島先生を予選で負かしている。力戦形のすごいねじりあいになって、恐らく二転三転以上したのだけれど、最後は有森先生が即詰みに討ち取って勝ちきった。両先生ともさすがに大変腕力があってとても面白い将棋じゃった。
NHK杯は、佐藤康光vs屋敷。佐藤先生が横歩取りから早めに▲9六歩と突く趣向。必ず何かみせてくれる先生じゃ。でも屋敷先生がうまくやったんだが、さすがに佐藤先生の粘り方と言うか迫り方と言うか、なんだかんだと楽をさせない技術はさすがじゃな。屋敷先生も多分正確に指せば勝ちきれたような気もするが、最後は佐藤先生が完全に勝ちになってしまった。屋敷先生も中終盤の強さはハンパじゃなぃが、その屋敷先生をあんな負かし方をしてしまう佐藤先生の豪腕というか悪力がめだった将棋じゃった。」
八「佐藤先生、飛車を成る時に秒を読まれて、飛車をうまくつかめずに大慌てで切れかかっていたな。大急ぎで左手もつかって、屋敷さんの香車が飛びかけた。そしてそれでも律儀に「あっ、ちょっと失礼しました、ひぃぃぃぃぃ」と声にならない声。そして動揺隠せずに髪の毛をかきあげると。」
熊「そぅ、あれは昔のドッキリカメラなら、ブーブークッションにひっかかった瞬間のように、編集してリピート再生されたところだよ。「あっ失礼しましたあっ失礼しましたあっ失礼しましたあっ失礼しましたあっ失礼しました・・」と無限リピートで。」
八「おまえもその比喩が好きだけど古いね。っていうか江戸の人間じゃないのか。」
熊「全く何も考えないで書いている作者が一番いけないんだよ。」

熊八ご隠居のテレビ将棋パトロール その四 

(今週のテレビ将棋についてネタバレで書いているのでご注意ください。)

ご隠居「今春に有吉先生と大内先生という名棋士が引退された。今週の週刊将棋ステーションは大内先生がゲストじゃった。やっぱり、昔の将棋指しに特有な強烈な個性のある先生だ。現代のスマートな棋士もいいけど、わしのような古いファンにとってはかつてのよき時代をちょっと懐古してしまうな。例の名人戦を逃した痛恨の▲7一角についても「永久に頭から離れない、私の歴史の一ぺージだから」とおっしゃっていた。あと、ハワイでタイトル戦をした際のエピソード。「対局場の部屋がハワイヒルトンで川端康成が日本文学を講演した際につくられたカワバタ・コテージだった。真夏の灼熱の太陽の中、羽織袴で対局して長考中に裏道へ出るとプールがあって、ビキニスタイルの美人が泳いでいて、こっちみて「さむらーーーい」とか言っているんですよ(笑)。」いや、なんかのどかな時代を感じさせる話でよかった。」
熊「司会の山田史生さんが大真面目な顔して「あんまり集中できなかったんじゃないですか」と言っていたのが妙におかしかった。」
ご隠居「今週は銀河戦の決勝があった。佐藤康光先生と丸山先生の対戦。佐藤先生は気合の和服だったな。
佐藤後手で、一手損角換わりに対して丸山の早繰り銀ですぐ▲2四歩と仕掛ける形。先日のNHK杯の村山vs糸谷と全く同じ進行。解説の久保さんが初めて見る形といっていたので、多分この銀河戦の方が先の収録だったんだな。後手の糸谷先生が△6五歩としたところで、佐藤先生は△1五角。ちょっとNHK杯の感想戦をビデオでみたら、村山先生が「ここで△1五角の前例がある。」といっていたのが多分この対局のことだ。村山先生もこの手に対しては何か対策があったのだろうが、糸谷先生が研究で変化したんじゃろう。本当に最新の定跡が猛烈な勢いで研究されれたているのを感じさせられたよ。
将棋はその△1五角が狭そうでいて、とにかく3七の地点に狙いをつけて攻めをつなごうという手。正確には成否は微妙だったようだが、うまく佐藤先生が攻めをつないで見事優勝された。
丸山先生は負けたんだが、途中じっと▲6六銀あがるとして玉の退路を広げつつ上の方に攻めながら開拓しようとする手に感心した。どうもプロ的にはそんなに驚く手でもなかったようだが、弱いアマチュアには指せない手だと思ったな。
佐藤先生も久しぶりの優勝だな。順位戦でも初戦敗れて目が覚めたのか連勝中だし、やっと復調気味かな。」
熊「感想戦でも、佐藤先生、ゴキゲンで、丸山先生がよくなる順まで几帳面に追及されてましたな。」
ご隠居「そうだな。でも、本当に△1五角以下の攻めがちょっとうすいという感じをもっていたのかもしれない。村山先生も、佐藤新手なら自信ありということだったのかなぁ?
今日のNHK杯は、近藤先生と勝又先生の対戦。お二人は奨励会の同期だそうで順位戦などの位置も同じ、ライバルだな。でも、仲もいいようで、勝又先生の「最新戦法の話」でも最近の将棋世界連載でも、ゴキゲン中飛車について近藤先生にインタビューをされていた。」
熊「近藤先生のゴキゲン愛と勝又先生の近藤先生に対する友情をちょっと感じさせるいいインタビューでやした。」
ご隠居「そうだな。戦型も予想通り先手近藤の中飛車。最近は初手▲5六歩とすると居飛車党でも相振りにするのも多いんじゃが勝又先生は堂々と居飛車だった。」
熊「勝又先生も教授と呼ばれてますが、指す時は結構ビシビシ来ますね。」
ご隠居「勝又先生は、我々将棋ファンにはデータに精通した教授として有名じゃが、指す時はそれとは正反対のイメージだな。その辺については解説の飯塚先生も言われていたが、最新型に精通しているわりには自分では指さずに独自の工夫を用いられることが多い、現代将棋の代名詞の穴熊も好きではない、理詰めに冷静に指すというよりは気合重視、銀河戦でもノータイムでビシビシ指される姿を目撃したし、終盤で力強い切れ味をみせる、また控え室に来て師匠の石田先生譲り?の猛烈なボヤキをされることもあるらしい。」
熊「そのギャップがいいという人もいる。」
ご隠居「もともと「教授」というのもファン相手の解説向きのキャラクターというところもあるからな。勝俣先生の教授の文章は、すごく理路整然として分かりやすいが、やっぱり根底にはアツい心をわしは感じてしまうよ。
将棋は勝又先生の会心局になった。ご本人は作戦負けにしたといわれていたが、近藤先生の動きに問題があったのをうまくとがめた。▲7二歩からと金つくりを狙ったが、飯塚先生の「こういう手では振り飛車は幸せになれないといわれる」が予言的中。それにしてもうまくとがめられた。△5七歩や△7七歩の叩きという歩の手筋を連発。最後の自玉の距離感をみきって一気に斬りこんで即詰みに討取った。プロでこんなにうまく決まるのも珍しいんじゃないかな。」
熊「感想戦では、仲のいい二人に戻っていましたな。」
ご隠居「今日はアマ名人戦の放送もあった。井上さんが赤畠さんを破って見事優勝された。」
八「いやぁぁ、豊川先生おもしろかったな。」
熊「なんだ、おまえいたのかよ。それにしたも豊川の兄いが大真面目な顔しているところにテロップで「"おやじギャグ"を交えた解説が特徴」って流れた時は自分の目を疑ったぜ。」
八「NHKの公認きましたよ。シャレが分かりすぎだろ、NHKさんは。」
熊「ゴキゲンの相穴熊はナウい形です、って。」
八「聞き手は「先生、そのナウいという表現が全然ナウくないです」と言ってもらいたいところだ。」
熊「準決勝まて進んだ岩手の高校生、中川クンと話したときにも、この手はホットケーキはできない(ほっとけない)といってた。
八「豊川先生も相手をみていわないと。中川クンがそんなのに反応するわけがなく、豊川先生の方がホットケーキされてたし。」
熊「先手と後手の歩を間違えて「いやぁ、ボクは二歩とかミスしちゃうんですよ。」と。」
八「藤井先生といい、将棋界では自虐ギャグが伝統なのかと。」
熊「聞き手の中村桃子さんにも「ここで桃子の第一感は?」と迫っていたな。」
八「でも、桃子さんはニコリともせず。それでもめげずに「桃子プロの第一感は?」「中村プロの第一感は?」とやっていた。桃子さんにウケなかったので、だんだん呼び方が丁寧になっていくところに、豊川先生の人の良さと気の弱さを感じたな、オレは。」
熊「加藤先生が「ワタシ、逆転負けが多いんです。」と高音で物真似サービスまで。」
八「声を高くまして早口にすれば誰でも出来るじゃねーのか。」
熊「最後はダジャレラッシュだったな。この手は「あじよしみちお先生」(味がいい)「残り時間が3分で、カップ麺ですね。」「詰めろのいとこ」(ほとんど多分詰めろ)「この角で先手はコマネチ」(こまった)「この製薬会社はきついですよ。」(制約があってきつい)・・」
八「おれはなぁ、先生のダジャレよりもね最初は豊川先生のギャグにつきあって笑っていた桃子さんが最後は方は全部無視していたのがおかしくて仕方なかったよ。」
ご隠居「ぐーぐーぐー」
熊、八「起きてください。まったく、ご隠居にもコマネチだぜ。」

熊八ご隠居のテレビ将棋パトロール その参

(以下、今週のテレビ対局についてもネタバレで書いているのでご注意ください。)

熊「最近、渡辺竜王をよくテレビで見かけやすね。週刊将棋ステーション、囲碁将棋ジャーナル、銀河戦解説・・。」
ご隠居「そうだな。竜王戦の挑戦者が決まったし、10月から始まるし、今が丁度いい時期なんじゃろうな。ステーションでは王座戦を解説していたが、いつもながら明晰な見事な解説じゃ。羽生王座が▲2三歩から▲1五歩とじっと端歩を伸ばしたのが、真似できない指し方だと。手を渡したのが羽生王座らしいと。先手にも狙いがないが、後手に有効手がないでしょうと。序盤のポイントがちょっと分かりにくかったが「羽生の手渡し」という観点でよく理解できたな。」
熊「どの番組でも当然羽生先生との竜王戦のことを聞かれていやすが、冷静に受け流してますな。」
ご隠居「そうだな。特に特別に準備することはないと。まだ先なんで実際そうなのかもしれんし、あまり余計なことを言わないようにしているところもあるのかもしれん。」
八「でも、ジャーナルに出た時、羽生さんが挑戦を決めたインタビューが流れて、スタジオにカメラが戻って竜王を映したときに、なんてゆーか、すごく食い入るような真剣な表情で見ていたんで、ちょっと驚きやした。」
ご隠居「おぉ、八にしてはいいところに気づいたな。わしも、なんだか見てはいけないものを見てしまった様な気がしたよ。淡々と冷静に振舞っているけど、当然内心は違うはずで、それがちょっと垣間見えてしまったような。とにかく竜王戦が楽しみじゃな。」
熊「竜王戦の挑決を解説してして、例の第一局の羽生さんの△3六歩について竜王が「先ほど熊倉さんが{驚きの攻め筋}といっていましたけどね。」、熊倉「あっ、ええ、ハイ、ハハは・・。」というやり取りもなんか面白かった。」
ご隠居「そうだな、渡辺竜王にすれば羽生名人の名手を自分ににそう言わすのかとか、それを熊倉さんも多分即座に理解して笑うとか、なかなか高度な漫才じゃったな。竜王も、ああいうのをサラッというのがやるところだな。」
八「クマシノかわいいなぁ。」
ご隠居のおかみさん「ほんとに熊倉さんはいいコだね。八、おもえもああいういいコを見つけてはやく身をかためるんだよ。」
八「あっ、おかみさん。今日はお優しいんですね。」
おかみさん「まぁ、無理だろうけどね。」
八「ひでぇなぁ。」
おかみさん「ふふっ。まぁ。ゆっくりしておいき」。
熊「あぁ、行っちゃったよ。おかみさんも、黙っていりゃあ、いーーーい女なんだけどなぁ。志ん生風にいうとさ。」
八「なぁ、熟女の色気ムンムンでな。」
ご隠居「こら、わしの女房にお前たちもよくシャアシャアと。まぁ、よく言われるんじゃが。」
熊「ご隠居もまんざらでもねぇんだな。よっ、この幸せ者。エロおやじっ!」
ご隠居「ばかっ。調子にのるな。さて銀河戦の羽生vs中田功。後手中田先生ののお得意のこーやん流三間飛車に羽生先生の居飛車穴熊。両方の金をそのまま動かさずに速攻をかけた羽生先生の構想が巧みで、うまく勝ちきった。守りを省いて攻めたのじゃが、中田先生は独特の穴熊対策があって、端攻めをからめて角の筋で攻めるのが得意なんじゃな。羽生先生の指し方は原理的にも理にかなっていたんじゃが、どちらかというと受身一方になるのを嫌う中田先生の棋風も考慮していたような気もする。羽生先生がそういうことをどのくらい考えて指されているかは分からんが、どうも結果的にはちゃんと相手に応じた指し方をしているような気がしてならん。いや、わしのような素人がえらそうに言うむことではないんじゃが。」
八「ぐーぐー」
ご隠居「こらっ、寝るのはまだはやすぎるぞ。さて、銀河戦の橋本vs中村。後手橋本で通常角換わり。後手の橋本先生が6筋の位を取って6四に角を据える形になったが、中村先生が6筋から積極的に動き、さらに飛車も6筋に転換する強気な指し方。いや、最近の若手にはむしろ珍しい強気な攻め将棋で面白いな。最後まで強気に攻めあって斬りあいに勝った。ベスト4まで進んだのは本当にたいしたもんじゃ。」
熊「ぐー。」
ご隠居「こらっ、わしが真面目に将棋の話をするとお前たちは寝るのかよ。さて、NHK杯の谷川vs豊島。」
熊「あっ、あっしもそれは見ました。豊島クンが事前インタビューで「お互い終盤が得意」とか言ってましたな。あっしは、あれをみて腹がたって仕方なかった。光速の寄せの谷川先生に対して「お互い得意とは何事かと。そのセリフは10年はえぃぜと。」
ご隠居「わしにとっても谷川先生は神様みたいなものだから、オマエの気持ちもわからんではない。しかし、勿論豊島先生も悪気があって言っているわけじゃない。ただ、無意識にいい意味で鈍感なところはあるのかもしれんな。大物若手らしくていいじゃないか。あと、初めて戦った時に谷川先生に勝ったのもやっぱり大きいんじゃろうな。ベテランからすると、やっぱり最初に叩いておかんといかんのだろう。さて、将棋は後手豊島で△8五飛で豊島先生が普通は△1五角のところで△5五角と新構想を出した。以下、猛烈な攻め合いになったんじゃが、谷川先生もさすがの対応で難しい将棋になった。が、最後△7七銀をとったために谷川玉が受けなしになってしまったな。」
熊「あっしもご隠居と同じで谷川信者なんで、あのあたりは見ていてつらかったです。」
ご隠居「確かにそうだな。でも谷川先生でもああいうことがあるのが将棋じゃ。豊島先生のきれ味をほめるべきじゃろうな。谷川先生もA級順位戦では好調じゃ。また谷川vs羽生を期待したいな。」
熊、八「異議なしー。」
ご隠居「さて、銀河戦の準決勝、羽生vs丸山。後手の丸山先生がなんと四間飛車穴熊。順位戦の森内戦でも採用されていたが、やっぱり珍しいな。」
熊「王位戦で広瀬さんが採用して注目されやしたが、あれって広瀬さんだからうまくいくともいわれてましたよね。」
御隠居「そうだな。振り飛車穴熊は、居飛車が相穴熊にすると、居飛車がやや有利というのがプロの定説じゃったんだが、広瀬先生が経験値をいかした戦い方で勝ったとも言われていた。しかし、あの作戦家の深浦先生をもってしても結局振り飛車穴熊に対する決定版のようなものは提示できなかった。丸山先生が採用されたのは注目すべきだな。丸山先生はいち早く△8五飛を採用して勝ちまくり、なおかつそれを捨てるのも早かった先生だだ。研究も深くてその辺には敏感なんだな。もしかすると今後振り飛車穴熊の将棋が増えるかもしれん。」
八「丸山先生も凄いですな、いいところをすかさずさらって行って、その通った後にはペナンペン草も生えない、みたいな。」
ご隠居「オマエも口が悪いな。いや、丸山先生は本当に勝負に徹しているプロフェッショナルで、激辛とかよくいわれるがわしは本当に尊敬しておる。さて、将棋じゃが、羽生先生は銀冠を採用して機敏に仕掛けて居飛車ペースに思えたのだが、丸山先生も我慢してと金をつくった。むずかしい戦いじゃったが、結局穴熊の堅さがいきて、羽生ら先生に苦労が多かった将棋のような気がする。振り飛車穴熊は本当に今後プロの重要テーマになるのかもしれないと感じさせる重要な一局じゃった。」
熊「あっしは羽生先生のファンなんですが、丸山先生らは結構大きなところでやられてますよね。おっかない先生だ。」
ご隠居「さて、もう1つの準決勝、佐藤康光vs中村太。後手中村で相矢倉もに。中村先生が△3二銀型から、やはり積極的に動いた。しかし佐藤先生も冷静に対応して先手が良さそうになったが、終盤強気にいきすぎたのか、先手玉も相当危なくなった。最後は先手玉が詰むや詰まざるかのハラハラする局面になったが詰まずに佐藤勝ち。感想戦がなかったが、局後の佐藤先生のインタビューによると、最後先手玉に詰みがあったらしい。中村先生にすれば大魚を逃した感じじゃが、今回は遺憾なく実力を発揮して十分ファンにアピールしたな。将棋も猛烈な攻め将棋で面白いしな。
さて、今日放映の糸谷vs村山。後手糸谷で一手損角換わりになった。」
熊「いやー、すごい勢いですすみましたな。両者完全ノータイム、まるで読み上げの藤田さんが指してを言ったら即指さなければいけないというルールのように。」
ご隠居「ふっふっ。そうだな。糸谷先生はいつものことじゃが、村山先生も意地があったのじゃろうな。先手早繰り銀の定跡だが、どうも糸谷先生がうまくやったような気もするな。村山先生といえば「序盤は村山にきけ」という通り定跡の大家なのだが、それに負けてない糸谷先生もさすがじゃ。現在の関西若手の研究レベルの高さを感じず似はぃられなかった。そういえば、棋王戦でも、羽生先生相手に、名人戦でもでで将棋世界でも紹介された「澤田新手」を羽生先生が採用したのを糸谷先生が研究で粉砕して圧勝したのもあった。」
熊「ちくしょー。」
ご隠居「糸谷先生は早見えで力も滅法強いが研究の深さも相当なものじゃ。関西の共同研究がすごいんじゃろうな。もう関東にも多分全然負けていない。さて、将棋は糸谷ペースにみえたが、最後際どくなって村山先生も有望に見える局面もあったが、結局糸谷先生が勝たれた。」
熊「感想戦も面白かったですね。最後の方、糸谷が普通に△4九飛と打っていれば厳しかったようだが、△3五飛とハットする手を指したためにかえって難しくなったと。」
八「あぁ。糸谷「△3五飛を発見してしまって。」村山「いや、すごい痛い手を指されたのかと思って。」糸谷「ボクもこれ、結構いい手を指したかと思っていたんですけど。全然そうじゃなかった。」」
熊「糸谷も、自分で「いい手かと思った」というのが面白いね。普通なら「いや悪い手でした」、とか言いそうなものなのに自分でも否定しないんかと。全然ニコリともしないてで、そんなことを言うんで笑ってしまったよ。テレビ番組なら編集してその言葉だけ何度もリピート再生するところだよ。」
八「ドッキリのブーブークッションにひっかかった場面みたいにな。」
熊「そうそう。糸谷先生は、全然笑わそうなとて思ってないのに、そのまま面白いところがあるんだよ。」
ご隠居「わしもそういう話だと、オマエたちには歯がたたんな。とにかく、今年も糸谷先生は将棋もパフォーマンスも楽しみじゃ。」

熊八ご隠居のテレビ将棋パトロール その弐

(お断り いちいちネタを入れていると全く話が進まないことが昨日良く分かったので今日はごく普通にテレビ将棋の感想を書かせていただきます。)


ご隠居「銀河戦も決勝トーナメントが始まっているな。契約していなくても囲碁将棋チャンネルさんのホームページで棋譜が見られるのがありがたいところじゃ。まず、藤井vs中田功・・。」
八「ふじいせんせー。」
熊「藤井先生のこと愛しすぎだろ。」
ご隠居「お二人とも基本的には振り飛車党で相振りになった。相振りはつかみどころがないが工夫なく指していると作戦負けするんだな。お二人は専門家だけあって、単純に囲うのでなく模様の取り方がプロらしい将棋じゃった。特に後手の中田先生が玉を囲うのを後回しにしたのに藤井先生が強く自分の玉頭から反発したんだが、その後藤井先生に誤算があって中田さんが一気に寄せきって勝った。」
熊「藤井先生、感想戦で自分の玉頭から動いていったのを「なんかカリカリして。もうベテランなんだから。」とお得意の自虐をされてたな。面白れー先生だよ。」
八「ふじいせんせー。」
ご隠居「丸山vs神吉、神吉先生は実力派若手など連破しての決勝トーナメント進出。三間飛車から角を5一に引いて7三に転換する「神吉システム」が猛威を振るっておったな。」
熊「ただの面白い先生じゃないんですね。」
ご隠居「昔から早指しには定評があるし、最近でも強い若手も参加している10秒将棋トーナメントでも優勝したようじゃよ。服装もど派手で毎回カラーを変えて眼鏡の色まで全身統一させてコーディネート。まるで、一人5レンジャーじゃな。」
熊「よっ、ご隠居オヤジギャグ!」
八「よっ、さすが。(小声で)つまんねーぞ!」
ご隠居「こらこら、聞こえているぞ。相手が丸山先生なんで、さすがに序盤を徹底研究されて厳しいかと思ったのだが、途中までは神吉ペース。はっきりよくなる順もぁったらしい。惜しくも終盤間違えて丸山がA級の貫禄をみせた。でも、神吉さんの実力を見せた将棋じゃった。さて、NHK杯の藤井vs山崎」
八「ふじいせんせー。」
熊「うるせーな。」
ご隠居「後手の藤井先生が藤井システムを採用した。つい先日の順位戦の谷川戦でも採用されていて、少しずつまた指されようとしているようだな。後手藤井システムに対しては居飛車穴熊とか右銀急戦が多いんじゃが、なんせ山崎先生は人真似が嫌いで普通の指し方をしない。銀冠から穴熊にしたが、後手も銀冠にしっかり組んで、この展開なら不満はないんじゃなかったのかな。もしかすると、藤井先生も山崎先生が普通の対策でこないことを見越しての藤井システムだったのかもしれん。その後の藤井先生の指し方はいかにも手馴れた振り飛車で優勢に。藤井システムだけじゃなく、普通の振り飛車でも先生はさすがに年季が入っているな。山崎先生も猛烈に粘ったが、確実に寄せきって、藤井先生快勝じゃった。」
八「ふじいせんせー。」
熊「はいはい。」
ご隠居「銀河戦、羽生vs山崎。一回戦屈指好カードじゃ。後手山崎の一手損角換わり。終始山崎先生がうまく指していて勝ちそうだったんだが、終盤羽生名人にも粘りのある玉寄りの早逃げが出て難しくなって、結局羽生勝ち。何が起こったのか見ていてもよく分からなかったのじゃが、将棋ステーションで山崎先生が、感想戦でも良く分からなかったが、あとで自分でよく調べてやっと勝ちを発見してガックリしたそうじゃ。それだけ難解なお二人らしいすごい終盤じゃった。」
熊「えっ、えっと、山崎先生もさっ、さすがで。」
八「おっ、男前だし。」
ご隠居「大丈夫じゃよ。うちの奴は今日はおらん。」
熊「なーんだ。」
八「まったくあのババア。」
ご隠居「だから一応わしの女房じゃって。まあいいや。銀河戦、深浦vs中村。凄いメンバーの中、新鋭の中村四段が注目じゃな。後手中村で通常角換わり。中村先生が工夫して3二銀型から後手ながら積極的に攻めて出た。攻めがつながきわどそうじゃったんだが、若さにまかせて攻めきってしまった。最近の若手は年齢似合わず老獪なのも多いんじゃが、中村先生は若手らしく力強く攻め込む将棋でなかなか面白いな。」
熊「風貌もなんだか、歌舞伎役者の御曹子みたいでがすな。将棋女子にもなかなか人気が高いらしいですぜ。」
ご隠居「NHK杯、森内vs鈴木。後手鈴木でゴキゲンに。NHK杯の羽生vs丸山などでよくでた課題の形に。普通どこから自陣飛車を打つかというところで、森内先生が▲1八飛とする研究。以下ほぼ一直線の激しい変化になったが、森内先生の攻めが厳しくて研究が決まった形になった。森内先生らしい深い事前の準備だったな。現代将棋のこわいところじゃ。鈴木先生は、お得意の腕力を出せないままに終わった。
続いて銀河戦森内vs丸山。後手森内で一手損角換わり。先手丸山の早繰り銀の定跡形に。二人とも研究が深いんですごい勢いで進んだ。難しいところもあったようじゃが丸山の研究が上回っていたようで、うまく勝ちきった。森内先生もさっきの将棋は研究で勝ち、今度は研究で負けたという感じじゃな。
続いて銀河戦、佐藤vs行方。後手の佐藤先生が坂田流向かい飛車。お互い手詰まり状態になったが、行方先生が思いきりよく仕掛けた。先手も穴熊で堅そうじゃったのだが、佐藤先生の端攻めが猛烈に厳しくて一気に寄せきってしまった、感想戦がなかったのでよく分からんが行方先生としては不本意なところのある終盤だったような気もするな。
NHK杯、堀口一vs窪田。窪田先生が意表の居飛車ながら実にうまく指されていたのだが、堀口先生も自分の玉頭から動く勝負手。これがなかなかのもので態勢を入れ替えて最後は冷静に入玉を確定させて勝ち。堀口先生の苦しいながらの勝負術がプロらしくて参考になったな。」
熊、八「グーグーグーグー」
ご隠居「こら、起きろっ。今日はもうおしまいじゃっ。」

熊八ご隠居のテレビ将棋パトロール(仮題)

熊「あー、ここんとこタイトル戦がなくてつまんねぇなぁ。ご隠居、何か面白い話でもありませんか。」
ご隠居「うん、そういえば最近テレビ将棋の話をしていなかったな。大分前のことになったが、木村八段が将棋ステーションに出た時は面白かったな。メンタル面でのコントロールについて聞かれて「心が弱そうに見えるでしょ。メンタル面が強くなることが私の課題ですね。」とかおっしゃっていたな。」
八「泣かせるじゃねぇか。王位戦のこととか考えると。それをシャレにして言うなんて、ますますカズキが好きになったぜ。うぅぅぅぅぅぅ。」
熊「バカだなぁ。泣くこたぁないじゃねぇか。あぁ、鼻水たらして不細工なツラがますます見れなくなって・・。なにか拭くものはないかな、ああちょうどここに布切れが。ほらっ。」
八「すまねぇな。助かるぜ、これでよく拭いて、ってアレなんか妙な臭いがするぜ・・。」
ご隠居「こら、それはうちの三毛猫が粗相をした時に拭くのに使っている雑巾だ。」
八「あっ、キタねぇ。ああ気持ちわりぃ。」
ご隠居「あと森内九段とのA級順位戦が持将棋模様の死闘になったんだが、それについて「そしたら、途中で森内さんが指を折り出したんですね。両手使って。これで勝てないなぁと思いましたね。」と言っていたのも面白かったな。」
熊「ああ、長いこと対局して疲れるので指の運動でがすね。さすがに一流プロは違うわ。」
ご隠居「バカっ、そうじゃない。持将棋になると駒の数が重要になってくるんだ。それで駒数で圧倒的に優勢だった森内先生が、それをアピールして投了を木村先生に促したともとれるんだな。」
八「森内って奴は、ひどいやつですねぇ。」
ご隠居「いやいや、別にそういうつもりじゃないんだろう。森内先生はそんな嫌なところなど全くない先生だけど、もう必死だ。ついそういう行動が出てしまったんだろう。そういうギリギリの人間の姿が出るところがプロの将棋の面白いところでな。さらに、それをシャレにしてしまう木村先生が、なんとも粋でわしは感心したな。」
八「うぅぅぅぅぅぅぅぅ。」
熊「おい、また泣いているのかよ。ほら、これで拭けよ。」
八「ありがとよ、ってこれは三毛猫の、いいかげんにしろっ。」
ご隠居「あと、ステーションでは山崎七段が出演した回もなかなか面白かったな。関西の山崎先生のプライベートに密着したロケがあって、あれは女性の王子ファンにはたまらなかったことじゃろう。」
熊「山崎ってそんなにかっこいいですかね?」
八「なぁ、おれもそう思うぜ。将棋の世界にいるからチヤホヤされているだけじゃねぇのか。」
ご隠居「珍しく意気投合したな。」
ご隠居のおかみさん「なんだい、おまえさんたち。黙っていればいい気になりやがって。山崎七段は本当にステキだよ。あたしもファンなんだ。おまえたちは、不細工なんで山崎先生に嫉妬していやがるんだろう。いい年してみっともないったらありゃしないよ。そんなことだから、オマエさんがたがいつまでたってもダメなんだ。ああ、お茶なんか出しに来て損した損した。オマエなんかにゃ、これで十分さ。」
熊「あっ、おかみさん、なにをするんですか。それはさっきの三毛猫の雑巾・・。やめてください、そんな顔をゴシゴシと。凄い力で。」
ご隠居のおかみさん「ふんっ。」
八「あぁ、行っちゃったよ。すごいババアだねぇ。あれは。」
ご隠居「わしの女房じゃ。」
熊「ああ、ひでえなぁ、なんですかご隠居までニヤニヤ笑って。」
ご隠居「それで山崎七段のロケなんだが、関西将棋会館の対局場を紹介してたんだが、昔のお城をイメージしてつくられているんだな。最上位の「御上段の間」と、下の部屋の間にはっきりした段差があるんだな。まるで将軍の部屋だけ一段高くて、続きに家臣の部屋があるみたいでな。それだけ、「御上段の間」で指せるのが価値のあることだと意識するのだろうな。なかなか観ることのできないところなんで、あれは貴重じゃったよ。」
熊「私も、見ましたが。後輩の西川四段のお宅に勝手に訪問もしていましたな。なんでも山崎七段の部屋は散らばっていて取材が出来ないそうで。」
八「おまえ、よく山崎さんの悪口言うな。また、あのババア呼ぶぞ。」
熊「それだけはカンベンしてくれ。」
ご隠居「一応。わしの女房なんだがな。あれを見ていても分かるが、関西の棋士たちは皆仲がよくてアットホームな雰囲気のようだな。現在は関西の若手のレベルが高くて研究も昔とは違って関東にも負けてないどころか進んでいるところもあるのじゃが、ああいう良い雰囲気も原因なんじゃろうな。そして山崎七段が若大将的にみなをたばねているのじゃろう。」
熊「最後に、山崎七段と西川四段が詰将棋解き対決をしていやしたが、二人とも解けないまま終わったのも面白かったですな。オチをつけていて関西流で。」
ご隠居「そうだな。今日はNHK杯や銀河戦もまとめて話すつもりだったが、すっかり長くなった。またにしておこう。」
熊八「全てご隠居のおかみさんのせいてす。」

テレビ将棋観戦記 NHK杯 行方vs村山、銀河戦 行方vs長沼、森内vs糸谷

(以下、テレビ棋戦についてネタバレで書いているのでご注意ください。)

王位戦第四局の立会いは加藤一二三先生である。イルカと「ほいー」「ほりゃー」「ほほー」と会話されていたようだ。イルカには人間を深く癒す力があるという。同時にイルカも人間の言語は解さなくても、その人間から放出されるものを敏感に感じ取っている筈である。普段は人間を癒しているイルカも、今回ばかりは加藤先生に逆に癒されたのではないだろうか。
前夜祭でも加藤先生は、いつものように賑やかだったようだ。加藤先生の早稲田の後輩の広瀬くんが数学科の理系であるのに対し、加藤先生は文系だそうである。(ちなみに中川理事は、自ら「体育会系」と。納得である。)さらに、加藤先生はf「将棋というものは僕は数学系ではないと思っています。どちらかといえば文学系」との名言も。
先生が将棋を「文学」と捉えているというのは本当だ。ウソだと思われたら。例えば私が書いた記事の大山先生との対局における加藤先生の感想をご覧いただきたい。

NHK杯。簡単にいうと終盤型の行方と序盤型の村山の対決だ。後手村山の一手損角換わりでいかにも村山が知悉し研究し尽くしてそうな形になったが、むしろ行方が少し優位にたって終盤に突入したように思えたのだが、最後は村山が鮮やかに行方玉を詰ました。最初に述べた二人の特質は単純すぎて、村山も当然現代棋士なので終盤も強いことをみせつけた。
行方が最終盤で髪の毛をかきむしっていたのも印象的だった。あそこでは既に行方には勝ちがなかったようなので、最後まで理解してしまっていたのだろうか。村山も難解な終盤だったが冷静でやはり勝ちを読みきっていたようにも思えた。何も分かってなかったアマの私は感心した次第である。
解説は羽生名人。詳しく読みの内容を話すというより、局面局面での大局観を簡潔に述べるという感じのスタイルだった。近年羽生がよく言及する大山の大局観にも通じる明るいセンスを感じた。但し将棋自体は終盤が難解で、感想戦がみたかった。 高校野球による10分短縮が痛すぎる。

銀河戦、行方vs長沼。後手長沼の角道オープン型四間飛車。行方は居飛車穴熊。長沼の待ち方の隙をついて行方が巧みに仕掛けてはっきり優勢に。しかし、長沼も辛抱のいい自陣飛車を放って崩れない。長沼は本当に我慢強くて、こうして苦しい将棋をよく逆転する。今回も端攻めから反攻してよもやというところまで追い詰めたが、最後は行方も終盤力を発揮して辛くも逃げ切り。対局後の行方の「予想外によくなったが、そのあとがひどかったっす」的な自虐風コメントが、いかにもらしかった。

森内vs糸谷。後手の森内の△8五飛。先手の糸谷の対策は玉の中住まい。森内がうまく指していたが、糸谷が追い上げて最後逃げ方を間違えなければ自玉が詰まずに糸谷勝ちの局面もあったようである。
相変わらず感想戦での糸谷は、手がよく見えること見えること。大家森内もちょっと押され気味になってしまう。やはり特異で魅力的な棋風の持ち主である。但し、今回の銀河戦を見ていると、トップの連中も糸谷の将棋にすこし慣れてきたという感じもする。デビュー当時の田村が早指しで無類の強さを発揮したが、最近目立った活躍がないのだが、糸谷はどうなるのだろうか。単なる早見え早指しの棋士で終わって欲しくない存在である。

テレビ将棋観戦記 NHK杯 島vs井上、銀河戦 佐藤vs山崎、谷川vs丸山、久保vs長沼

(最近はネット中継のある将棋については、ツイッターでつぶやくことですっかり満足しているのですが、TV棋戦については、録画で観ることも多いのでブログの方に簡単に感想を書かせていただこうかと思っています。以下、ネタバレで書いているのでご注意ください。)

お暑うございます。相も変わらず将棋漫談でご機嫌を伺おうかと、と落語家の口上のように始めてはみたものの、別に私は綾小路 きみまろじゃない。ごく普通にテレビ将棋観戦の感想を「す」で書くだけなのである。
ところで、綾小路 きみまろといえば、今年の名人戦BS中継で緊迫の終盤戦生中継のあとに、彼が突然画面に現れて彼には何の罪もないのだけれども、それでも全将棋ファンの顰蹙をかったわけだが、私自身、やはり怒りに震えながらも「きみまろって結構おもしろいじゃん」と実は思ってしまったのである。で、ウィキへディアをくぐってみると、彼の常套フレーズがなかなか面白いのである。
例えば、このブログを読まれているのは「美しい方ばかりです、首から下が」とかね。きみまろのDVDでも借りて研究でもしようかと思っている今日この頃です。

NHK杯、後手の井上が意表の右四間から早い仕掛け。すごく素人っぽい指し方のように見えたのだが、それなりに難しかったようである。聞き手の矢内さんは清水さんにしょちゅうやられているので、興味津々だったはずだ。あまりに単純な攻めなので、プロでは嫌われているようだが、実際に指されてみればそれなりに難しいということなのだろうか。将棋は結局、終盤に島さんの鮮やかな寄せが決まった。
しかし、何と言っても有吉先生の解説が見事だった。見ていた誰もがこう思ったはずだ、「まだまだ指せるのに勿体ないあ」と。感想戦でも、有吉先生がいかにも将棋が好きで仕方ないという感じで積極的に参加されているのが実に好ましかった。対局者二人が気づいてない筋を次々に指摘して、二人も素直に感服。勿論、有吉先生も流石なのだが、好漢島と井上だからこそ、ああいう良い雰囲気になったのだろう。

銀河戦、佐藤vs山崎。佐藤が2五歩までつき越しての陽動振り飛車。解説の谷川先生によると、佐藤の得意とするところで、「こんな形から佐藤さんは飛車をふるんですよねぇ、『フフフ』」と先生も心なしか嬉しそうだった。
山崎も、らしくその2筋の歩を反発して、お互い言い分を存分に主張する展開になった。動かないとまずいと考えた山崎が打開したが、佐藤がうまく反撃して勝ち、但し、終盤は結構きわどかった。
感想戦でもふたりのらしさが出ていた。山崎が「暴発でした」と例によって自虐する。一方、佐藤には谷川が解説していたように普通に指してよくなりそうな順があったのだが、「それだと自信ないです。」と。どう見ても、普通の大局観なら佐藤良しなのだが、具体的に読んで納得できなければそのように言うのがいかにも佐藤流だと感じた。もっとも、山崎には「心配性すぎますよ。」とすかさずツッコまれていたのだが。

谷川vs丸山。先手、丸山で△8五飛戦法に。名人戦で二人が戦った際に、先後逆で後手丸山に△4五桂という意表の妙手が出て、丸山が名人を獲得した将棋の形に。丸山が先手で新研究をぶつけて、終盤きわどくなりかけたものの勝ちきった。谷川にしてみれば、イヤな記憶を呼び起こされた上に負かされてしまっては踏んだりけったりだったことだろう。

久保vs長沼。4連勝中と波に乗る長沼が二冠の久保と対戦。長沼といえばNHK杯で羽生を受けつぶすなど圧巻の活躍が印象的である。
久保先手で中飛車穴熊となり、久保が不満のない態勢を築き上げたかに見えたのだが、長沼もらしい辛抱をみせて簡単には崩れない。久保もよいとみていたのか普通にあっさり指していたのだが、気がつくといつのまにか長沼が必勝の局面になっていた。長沼も特別なことはやっていないのだが、久保が全然足りなくなってしまったという不思議な将棋だった。長沼流の受けだと、時々こういうことが起こる。「人間、辛抱だ。」
NHK杯では惜しくも優勝はならなかったが、決勝トーナメントでも暴れていただきたいものである。実は長沼さんの強靭な受け将棋にはファンが多いのだ。

将棋メモ 9/12(土)

竜王戦は森内が挑戦者に。通常角換わりの先後同型腰掛銀で色々な筋の歩をつき捨てる形になったが、その途中で深浦が△6三金と早めに指す変化をした。従来、ほとんど絶対的とされてきた部分に対する異議申し立てであり、単なる新手ではなく定跡の根幹部に関わる挑戦を深浦が大事な将棋でおこなったわけである。棋譜解説によると、「定跡伝道師」の所司七段が「最近は▲4五歩△同歩にいろいろ突き捨ててから▲3五歩とする。それが指し過ぎではないか、というのが△6三金の主張でしょうか」と分析していた。
深浦は、やはり通常角換わりの先手で▲8八玉と入場する新手も採用しており、それも定跡のそもそも基本の部分を疑ってみるというコンセプトの手だった。従来の角換わりの新手は、むしろ延々と定跡部分を辿っていった後に、こうしたらどうかという種類の新手が多かったような気がするが、それが、こうしてかなり早い段階での新手が試されている。それは、現代将棋において、従来常識とされていた考え方が次々に崩壊していることとも当然大きく関係しているのだろう。「ここまではいくらなんでも定跡、常識でしょう」という部分まで、「いや、本当にそうなのだろうか」と疑問を呈する考え方。
例えば、居飛車角換わりとは全くジャンルの違う角換わり振り飛車にしても、ふつう▲6五角と打たれて馬を作られてはダメだという「常識」を疑ってみたのが発端だった。さらにちょっと種類は違うが、今回の竜王戦で森内が羽生を葬り去った後手一手損角換わりに対して棒銀で最速で襲いかかるやり方も、まさかそんな単純なやり方が成立するのだろうかという盲点を突くものだったともいえる。もしかすると、今後のプロの新手は、かなり早い段階での発想が問われるようになるのかもしれない。
将棋自体は、森内流のじっとためる▲6二角成が滅法評判が良く、ほとんど深浦はノーチャンスだったようである。渡辺vs森内という組み合わせは、そもそも渡辺竜王ストーリーの発端であり、その再現はとても興味深い。森内からすれば、自分が竜王を奪われめことで羽生世代ダイナスティにかすかなゆらぎが生じた責任も感じているだろう。梅田望夫氏のtwitterより。
竜王戦は渡辺森内戦か。このあいだ誰かが言ってたな、『渡辺永世竜王を誕生させた責任は自分にある、と森内さんは思っているんですよ』と。
一方、渡辺も羽生を倒したことで、一応対羽生世代抗争に決着はつけたが、さらに森内を返り討ちに出来れば、渡辺竜王史の完璧な仕上げになるだろう。森内にすれば、あの時は渡辺の若さと勢いにしてやられて、じっくり自分の実力を出しきれなかったという思いもあるだろうし、渡辺にしてみれば、あの時は勢いで勝った部分もあるが歳月を経て成長を遂げて本当の実力勝負が今ならできるという思いもあるだろう。
渡辺vs羽生の再戦こそ実現しなかったが、今年の竜王戦も実に楽しみな組み合わせになった。

将棋世界10月号。私の勝手な予定では、今月の表紙は木村になっていたはずなのだが、王位戦がああいう大変なことになっており、山崎が大役をつとめている。おじさん将棋ファンは山崎表紙だからといって買うようなことはありえないが、最近ジワジワと増えつつあるという女性将棋ファンをひきつけて、かすかながらも売り上げ向上に貢献していることだろう。きっと、いや多分、いやもしかすると、いやひょっとしてないことはないかと・・。
そんなことより、待望の勝又教授による現代将棋観戦ガイドが再会されたのが、なんと言っても今回の目玉だ。タイトルは「つき抜ける!現代将棋」。初回とあって、現在の流れを概説している。これだけでも、現在進行形ののプロの将棋を理解するためには十分価値がある。
それだけでなく、さらに升田の▲8五桂ポンの紹介。ゴキゲン等で現在頻出の手筋を、実は升田が指していた将棋を紹介している。升田の先見の明は本当にすごい。羽生が言うように、当時は相手に全く理解されていなかった指し方を既にしていた証拠の一つである。棋譜全体が紹介されていて、盤に並べてみたが、▲8五桂の部分だけでなく、最後の勝ち方までメチャクチャかっこいい。
さらに、今回の本題は△3三角戦法。相手の出方によって柔軟に様々な対応するこの戦法を、畑違いの森下システムとも共通するものだ分析している。勝又教授の分析は、単なる最新形の整理紹介にとどまらず、そこにどういう歴史的意義があるか、将棋の考え方の本質や構造においてどういう思想的意義があるかについてまで考察しようとしているところが面白いのである。勝又講義は難しいという人もいるが、むしろその逆であって、細かい将棋の知識がはなくても、将棋の最先端で他の世界にも通じるどのようなことが行われているかを知るキッカケになりうると思う。そういう意味では、将棋ファン以外にも読んでもらいたいものである。(とはいっても、さすがにこの講座は将棋マニアじゃないと苦しいかなあ?)

それと、注目すべきは、東西対抗戦で里見が村山を破った将棋。村山と言えば「序盤は村山に聞け」で、序盤は完璧、なおかつしっかりした中終盤力の持ち主。スマートな現代若手棋士の典型的存在であって、格下の人間からすれば、一番負かしにくい相手のはずである。しかも、村山は今回の企画に並々ならぬ意欲で臨んでおり、初戦では下馬評を覆して関西若手のエース豊島を葬り去っている。それを里見が千日手指し直しで負かしてしまったのだ。これはとんでもない快挙である。このあとのメンバーを見ても、この東西対抗は結構面白いかもしれない。


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