災害に負けない「居住福祉」災害に負けない「居住福祉」
(2011/10/21)
早川 和男

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 確か、越村先生から、早川先生の本どう、と言われて購入して読んでみた。  役所に入ったころに「空間価値論」とか読んだ記憶がある。  全体を通して、居住環境を改善するという意欲がかうが、居住権とか、大上段な議論が多くて、これではイデオロギーだなと思う。  現実には、どんどん公営住宅を閉鎖していく動きがでていて、一方では、あまり過去の反省も活かさずに中高層の災害公営住宅ができている。  また、厚生労働省系の施設が既得権と予算の枠にがんじがらめになっていて、かえって市場で供給しているサービス付き高齢者住宅が爆発的に供給されている。  市場メカニズムを活かして、供給すべきところは供給して、ナショナルミニマムとして支えるところは税金で対応する。それも国も地方公共団体も財政赤字で住宅福祉にまわせるお金が少なくなっているときに、どう対応したらいいのか。そういう具体的な問題意識に根ざした対応策を提言してほしいし、住宅政策に関心のある学者にも議論をしてほしい。  自分はいくつかアイディアがある。  第一は、厚生労働省所管の施設が既得権と予算でがんじがらめになっているのであれば、別に認可保育園でなくてもいいので、大都市にふさわしい規模の保育所まがいの空間を都市開発に伴い誘導したらどうか。小規模な事業者への補助金でもいいし、金融支援でもいいと思う。制度が長続きするのはお金が循環する金融支援だろう。  ほかの特養とか障害者用の居住施設なども、類似の施設を国土交通省側で支援したらどうだろうか。そうしないと厚生労働省の施策はかわらないと思う。  第二に、シェルターや公営住宅不足については、大都市問題なので、大都市で目立っている空き家を市町村又は都道府県が借り上げて、各個にかぎをつけるぐらいの最低限の改修をして、シェアハウスのように居住してもらったらどうか。最初からシェアハウス形態であることを前提に募集して、事実上、相互の見守りにもなる、ただし、料金徴収事務が、あちこちに散在して大変なので、最初から口座振替を義務づける、というのはどうだろうか。  別に一戸建てでなくても、マンションの開いているいくつかの部屋を地方公共団体が借り上げてもいいと思う。  第三に、UR賃貸住宅ですでに実態として公営住宅化している地区は、たまたま古いから公営住宅化しているという整理ではなく、そもそも国営の光栄住宅として位置づけ、改修をしても家賃上昇分はURに補助する仕組みにして、正々堂々と古い賃貸住宅を維持したらどうか。  稚拙なアイディアだが、いろんな改善策を今の現状からどうよくしていくかという観点で考えるべきだと思う。