江戸・東京の都市史: 近代移行期の都市・建築・社会 (明治大学人文科学研究所叢書)江戸・東京の都市史: 近代移行期の都市・建築・社会 (明治大学人文科学研究所叢書)
(2014/04/10)
松山 恵

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 新聞の書評で発見。  大変な力作。前半部分の江戸から東京に変わる際の、官庁街の移転の動向など初めて知る情報が多い。  また、関東大震災の復興事業などに比べて、その前に行われた市区改正事業の状況(第Ⅲ部)がおもしろい。 (1)用地買収は、最初は地権者の価格の申し出で買っていたこと。 (2)片側拡幅か両側拡幅かもめたが、結局大部分は関係者が少ない片側拡幅になったこと。 (3)日本橋地区で、三井財閥が市区改正に伴い土地買収を積極的に行って、今の旧館のあたりの土地を買収したこと。 (4)市区改正で建物を壊したあとに、地震売買という借地人を追い出す風潮がひろまったため、借地人保護のための建物保護法ができたこと。  とてもおもしろい本だが、ついつい制度論とその運用に関心が向いてしまう。歴史者として読んでもかなりおもしろい。