大都市行政とガバナンス (中央大学学術図書)大都市行政とガバナンス (中央大学学術図書)
(2013/07)
佐々木 信夫

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 国土交通省の図書館の新刊の棚で発見。  結構大上段に、道州制とか議論しているけど、僕は、できることからやったらいいと思う。  そもそも、国が巨大な借金を抱えているので、効率的な国、地方の行政体制が必要だが、国の権限を道州に下ろしても、別に特別の財源が国にあるわけではなく、借金する権限を下ろすことになる。  それより、すぐにでもできそうなこと。 (1)北海道や沖縄にならって、地方支分部局のうち、公共事業関係の地方整備局と地方農政局をブロックごとに合体すること。また、運輸業の許認可を行う地方運輸局も、都市計画との関係が強いので、一緒に合体すること。 (2)特に、県の区域が小さい、鳥取、島根はそれぞれ、岡山、広島と合併する、福岡、佐賀、長崎を合併すること。 (3)政令指定都市は、県と同等の特別市とすること。また、23区も一つの東京市として、政令指定都市並とすること。23区以外の東京都は例えば、神奈川県と合併すること。  いずれも、道州制とか、ほとんど、なんのために行うのか、具体的に行政効率化が行われるのかという効果が予測できないので、まず、いかにも非効率な部分を是正していく方向が正しいと思う。  あまりに狭い県の合併をすることは、国民の一票の重さの是正にもつながると思う。  国と地方の役割分担は百家争鳴となるし、緊急事態などが頻発してくると、むしろ国の役割も重要になってくる。地方分権して国家が弱体化してもしょうがないので、まず、あまりに非効率な部分から是正を始めるのが現実的な対応だろう。  あと、市町村合併によって、市町村の行政区域は大きくなったが、住民の意向が届きにくい、受益と負担の関係がわかりにくいという問題については、地域環境団体のような地域団体法人をきちんと位置づけて、一定の行政事務を行うという、政策目的にリンクした対応をまずとっていくべきだろう。  大上段に地方自治制度の見直しだとか、国家の統治機構の見直しなどというのは、仮に実施したときに日本の経済社会に相当長期にわたって混乱をもたらすので、この停滞傾向の日本社会でとるべきではないと思う。  なお、東京都の都議会議員の給料が2000万円、政務調査費が約800万円というのは、やってる仕事や他の県議会議員に比べてもあまりに高すぎ。