伝えることから始めよう
高田 明
東洋経済新報社
2017-01-13

 テレビショッピングで、ゼロから燃焼1000億円まで成長させて、高田氏の自著。

 だれでもあの甲高い声は一度は聞いたことがあるはず。

 立身出世物語としても読めるが、最新のマーケティング論としても読むことができる。

 ジャパネットは、基本はナショナルブランドで特段安売りもしない。ただし、高齢者を中心として、困っていること、面倒くさいと思っていることなど、いわゆる「ジョブ」を解決するもの+サービスとして説明するところが特徴。
 
 例えば、大型液晶テレビを売るときには、「自室にこもっているゲーム好きの息子さんが居間にでてきて一緒にテレビをみるようになる」と説明して、家族の断絶に困っている夫婦の心をとらえる。

 高齢者が若者が使っているタブレットについて、うらやましいと思っているのに対して、タブレットの販売から設定、使い方まで、ものとサービスをセットにして販売する。

 まさに、先日読んだクリステンセンの「ジョブ理論」http://blog.livedoor.jp/shoji1217/archives/1067496636.htmlを実践している。

 また、経営者の身の振り方として、息子や若手職員が一日特定の商品をテレビ、ちらし、新聞広告で一斉に割引きして販売する戦略を、絶対に失敗すると思って反対していたが、損を覚悟でやらせてみたら、大成功。この結果から、自分の経営者としてのセンスが100%正しくないことを知り、たぶん、時代遅れになっていることを悟って、2016年に社長を退き、一切経営から身を引いたことも、的確な判断だと思う。

 その他、顧客情報がもれた際に一切の営業や宣伝を一時中止するなどの危機管理対応についても、常道ではあるものの、実際には、とっさに大きな損失をだす行動をなかなかとれないなかで、適切な判断をしている点も光る。

 あの高い声でなんかいかがわしいな、と思っていたが、著者がちゃんとした経営者であったことで、自分の認識を改めた。