建築計画の大月先生の本。

 住宅の住まい方に関する貴重なデータ多し。

(1)単純に比較していいかはデータソースが明らかにされていないので若干留保が必要だが、
・東京郊外の分譲団地は、1980年代の35歳と0歳のピークが右にずれ、子どものピークが下がって行きつつも、子どもの山も残っている。
・住宅市街地で新築から数えていくと、同様に35歳と0歳がピークだが、親のピークは維持されるものの、子どもの山はだんだん平になっていく。
・分譲マンションも同様
・賃貸住宅は新築時では25歳と0歳に山があるが、時代をへるうちに全体が平になっていく、比較的若い人も残っている。(p37)

(2)同潤会代官山アパートで、独身棟と家族棟の双方を所有して、独身棟を子どもの勉強部屋などで使いこなしている事例(p76)

(3)戸建て市街地でも隣の空家を商店として取得、さらにもう一つの空き地を菜園、もう一つを駐車場、もう一つの空家を息子のクリニック兼自宅にした事例(p79)

 重要だと思う指摘。
(1)住宅環境を守るための地区計画や建築協定が、賃貸住宅を排除し、多様性をなくすことによって、住宅市街地の活力を失わせている。賃貸住宅のデザインなどを若手建築家に頼んで工夫すれば住宅市街地にとけこめるはず。(p63)

(2)相続税対策で空家になるのがわかっているのに賃貸アパートを建てていくのはさすがにいかがなものかと思う。(p63)

(3)住情報について、不動産業者では、UR賃貸や公営住宅の情報もないし、サービス付き高齢者住宅や福祉施設の情報もない。これが町のなかの住み替えのネックになっている。(p219)

 要確認な指摘。
(1)仮設住宅や集会所は建築物とみなされないため平時の手続きなしに迅速にできるが、仮設店舗は建築申請を行われければならず、コンクリート基礎も必要。(p160)

 建築基準法第85条第1項で「国、地方公共団体又は日本赤十字社が災害救助のために建築するもの」は建築基準法の適用除外となっているが、これは災害救助法に基づくものだけに限定されると解する必要はないのではないか?そもそも災害救助法で応急仮設住宅に集会所まで含まれ、店舗は含まれないというのは災害救助法事務処理要領で記載されていることで、これに建築基準法の解釈が左右される必要はないのではないか。要は「災害救助」にあたるかどうかを建築基準法を運用する特定行政庁が判断すれば足りると思うがどうか?