はじめて学ぶ地方公務員法
圓生 和之
学陽書房
2017-09-02

 ざくっと地方公務員法の勉強をしてみた。

 問題意識は、最近の公民連携事業などの民間と地方公務員が連携する機会が増えてきたのに、地方公務員法がその要請にマッチしていないのではないかということから。

 ざっと読んでみて、そもそも疑問に思った点。

 地方公共団体が自分の団体の職員を統制するのは本来自らが条例で行えばいいのであって、それを国の法律で統制する理屈はなんなのかという点。

 都市計画法などで議論する時、国の統制が必要な論点としては、
(1)国家的広域的観点
(2)全国で統一すべき必要最小限の観点
の2点がある。

 地方公務員法は地理的な概念はないので、国家的観点か必要最小限の観点。
 ちなみに、労働者としての最低限の観点は本来労働基準法で守られているとすれば、それと異なる点が法律で統制すべき必要最小限の観点なのか。

 その意味では、

ア 政治的行為の制限(第36条)
イ 争議行為の禁止(第37条)
ウ 職員団体(第52条)
エ 団体交渉(第55条)
オ 組合専従(第55条の2)
カ 職員団体活動による不利益取扱の禁止(第56条)
などは、労働者の権利と条例で抑圧してはいけないという観点から理解できる。

 公民連携事業で関係すると思われる条項は以下のとおり。

ア 職務専念義務(第35条)
イ 営利事業への従事等の制限(第38条)
 なお、p92で「農業協同組合等は法律上営利を目的とされていない限り」、営利事業の範囲を確定する「その他の団体」にあたらないという解釈が示されている。
 
 アは条例で特別の定めができ、イは任命権者の許可で適用除外ができ、その基準は人事委員会規則で定めることが「できる」と規定されているので、市町村長の判断と議会の理解があれば、公民連携関係で独自の対応も法律上可能である。その意味ではあまり深刻な問題ではない。

 なお、PFI法第79条で、地方公共団体職員派遣の特例として、地方公務員法第29条第2項の懲戒処分、第38条の2第2項の退職手当通算法人、地方公務員等共済組合法の第140条の公庫等職員に含まれる特例が規定されている。
 
 個別の規定についてよりチェックが必要だが、少なくとも、地方公務員等共済組合法の特例は、個々の地方公共団体の条例などで対応することが困難であり、これは法律上の措置が必要と考える。

 なお、「公益的法人等への一般職の地方公務員の派遣等に関する法律」で株式会社は対象にしておらず、一般社団法人、一般財団法人は対象になるという特例の作り方も、営利性では一般社団法人と株式会社が同率の法人税を図っていることを踏まえても、現実に合致していないとの疑問あり。

 事ほどさように、地方公務員法、地方公務員等共済組合法の規定には、地方公共団体の自主的な経営の観点から法律で細かく規定しすぎている、条例でもっと自由に定められてもいいのでは?との懸念を持つ。