法社会学の観点からの論文をまとめた本。

 法律では、従来から公法と私法、対行政関係と民・民関係という二つの分類をするのが通常だが、その間にコモンズという中間的な領域が、空間的にも制度的にも存在するという仮説をたて、その実態を、児童公園の実態管理や、マンション管理、さらに米国のBIDなどを紹介しながら論じている。

 ハードローとソフトローという議論のソフトローという切り口にも近い。

 法社会学の十分な知識がないのだが、その論理的な議論のこれまでの経緯は参考になる。

(1)磯部力先生の議論を引いて「都市においても都市計画制度や土地利用規制などの実定都市法制とは別の次元で都市住民共同体を基盤とする土地利用秩序ルールが「制度」として観察されることを指摘している。」(20頁)

(2)磯部先生が引用しているオーリウの「制度理論」による事実から法への移行というプロセスは、
①ある社会的事象の理念が提示され、それに同調する人々によって集団が形成される。
②この集団内部に権力が発生し、秩序維持のために規律法が暫定的に生まれる。
③この規律法が集団構成員の議論を経て吟味され、強制の要素を縮減しながら、構成員の地位を高め、よりよく手段の理念を実現する形へと守勢された規約(身分法)が生まれる。
④この規約法がある程度、持続的に存在する中で構成員や関係者の同意を得るようになり、また既存の社会的諸制度とも適応するようになっていく。
⑤このようなプロセスを経た制度は、法的制度としても法律もその人格や自律性を承認せざるをえないものになっていく。(21頁)

 十分に法社会学の論理展開は理解できないが、事実から、強制力を実質的に持たずに、しかし、みんなが守るルールというのを、旧態依然たる慣習とは別の切り口で理解する点に可能性を感じる。

(3)マンション管理組合と自治会が一体化している場合には、自治会の参加意欲は比較的高いが、マンション管理組合と自治会が別々の場合には、自治会参加意欲が引くというデータあり。(p174)

(4)マンションの荒廃に関する参考文献として、松本恭治「都市環境の変化が分譲マンションの整理と存在に与える影響」『マンション学』第36号、山岡淳一郎『マンション崩壊』(日経BP社)