意志決定をまちがわないようにするために、

(1) 選択肢を広げて考える
(2) 視野を広げる
(3) マルチトラック、複数のチームで別々に考える
(4) 自分と同じ問題を解決した人を見つける
(5) 反対意見を意図的に探す
(6) 専門家に相談する、その際、予測ではなく基準率(例えば、訴訟に勝つかどうかを弁護士に尋ねるのではなく、過去の事例や法的な基準を尋ねる)を訪ねる
(7) ウーチングする。(小規模でまず始めてみる)
(8) 10分後、10ヶ月後、10年後にどう考えるかを考える。10-10-10の手法
(9) コアとなる優先事項(お金なのか家族なのかなど)を考える
(10) 未来を点でなく幅で考える
(11) アラーム(一定の率の消費者が〇〇に満足しているというデータがでたときなど客観的基準)を設定する
 など、使えそうなアドバイスが多い。

 自分は最後のプロセスを大事にするという点が重要だし、政策立案でも役立つ視点と考える。

「研究者は(公平な手続によって生じる)公平感を「手続的公正」と呼んでいる。つまり、意思決定の手続が公正ということあ。一方、「分配的公正」とは、意思決定による利益が公平に分配されたかどうかを示す。さまざまな研究によれば、手続的公正は意思決定に対する人々の感じ方を説明するうえで重要だということがわかっている。重要なのは単なる結果ではなく、プロセスなのだ。
 手続き的公正の条件はシンプルだ。人々に主張を聞いてもらう機会を与える。人々の発言に(心から)耳を傾ける。正確な情報をもとに意思決定を下し、情報が不正確な場合は反論の機会を与える。どんな状況でも一貫した原理を適用する。バイアスや自己利益を排除する。意思決定の理由を説明し、関連するリスクや懸念事項を率直に示す。」(位置No4936)

 その他、抜き書き。

(1)人生で〝こっちとあっちのどちらをするべきか?〟と悩んだら、必ず〝こっちもあっちも両方する方法はないか?〟と考えるといいでしょう。両方ともできるケースがびっくりするほど多いはずです」(位置No275)

(2)私たちは生活の中で、ある状況について直感的に信念を抱いたあと、その信念を裏づける情報を探すという習慣がある。この「確証バイアス」と呼ばれる厄介な習慣こそ、意思決定の第二の罠だ。(位置No322)

(3) (意思決定の段階別の罠)
  ・選択に直面する。でも「視野の狭窄」によって選択肢を見逃してしまう。
  ・選択肢を分析する。でも「確証バイアス」によって都合の良い情報ばかり集めてしまう。
  ・選択する。でも「一時的な感情」によって間違った選択をしがちになる。
  ・選択の結果を受け入れる。でも未来の出来事について「自信過剰」に陥りやすい。(位置No457)

(4)適性を考慮に入れれば、その人の生涯収入は出身大学によって変わらないという事実を聞くと、やはり親たちはショックを受ける。つまり、イェール大学に入学できるくらいの頭脳があるなら、イェール大学に行こうが、もっと学費の安い州立大学を選ぼうが、(収入という観点でいえば)あまり変わらないのだ。(位置No899)

(5)多くの選択肢を比較検討する経営者ほど、決断が早いという。
 この発見は直感に反するが、アイゼンハートは三つの説明を付けている。ひとつ目に、選択肢を比較することで“〝風景”〟が理解しやすくなる。可能なことと不可能なこと、かかわりのある変数がわかるのだ。これにより、すばやい決断を下す自信が得られる。
 ふたつ目に、複数の選択肢を検討することで、政治的ないざこざが抑えられる。選択肢が多いほど、人々はどの選択肢にも傾倒しにくくなり、新しい情報に応じて柔軟に意見を変えられる。バナー広告の研究と同じように、マルチトラッキングには自我を抑える働きがあるようだ。
 三つ目に、複数の選択肢を比較検討すれば、いざというときの代替策が自然と手に入る。たとえば、アイゼンハートの研究対象になったある会社は、何社かのパートナーと同時に交渉を行なっていた。最有力のパートナーとの交渉が決裂すると、社長はあっさりと二番手のパートナーと契約を結んだ。もし最初から選択肢がひとつしかなかったら、社長は契約を決裂させないよう苦慮し、交渉は長引いていたかもしれない(しかも、必要以上に譲歩していたかもしれない)。(位置No1228)

(6)視野の狭窄を抜け出すには選択肢が必要だ。そして、新しい選択肢を生み出すいちばん基本的な方法は、自分と同じ問題を解決した人を見つけるというものだ。(位置No1497)

(7)社内でも特に頭のいい人々に、予算を削減する際の参考になる質問や問題をリストアップしてもらったらどうだろう? たとえば、こんな例が考えられる。
  ・既存の支出を抑えるのではなく、予定していた支出を先送りして、予算を削減することはできないか?
  ・予算を削減する代わりに未開拓の収入源を発掘できないだろうか?
  ・すべてを一定額ずつ削減するのではなく、もっと戦略的に削減する方法を考えられないか? 
  ・本来よりも多めに予算を削減し、浮いた資金を有望なビジネス・チャンスに投資できないか?(位置No1688)

(8)彼はグループの面々にこう問いかけた。「誰が正しいかなんて議論するのはやめよう。むしろ、一つひとつの選択肢について、この選択肢が正解であるためにはどのような条件が必要かを考えてみよう」 どのような条件が揃えば意見を変える気になるかを想像することはできるはずだ。それなら、その条件について話し合えばいい。(位置No2065)

(9)これまで、確証バイアスと戦うための三つのアプローチを見てきた。①反対意見が言いやすい状況を作る。②否定的な情報が判明しやすい質問をする。③逆を考えて自制を効かせる。(位置No2358)

(10)私たちが言いたいのは、一流の専門家でさえ、予測は基準率の知識よりは劣るということなのだ。一言でいえばこうなる。「信頼できる情報がほしいなら、専門家(あなたより経験豊富な人物)を見つけろ。ただし、訊くのは過去と現在の話だけにとどめよ。未来について訊いてはいけない」(位置No2504)

(11)この罠を避けるには、自分の仮説の現実性を確かめる必要がある。本書ではそのための三つの戦略を紹介してきた。①情報収集を念入りに行ない、反証的な質問をし、逆を考えること。②正しい種類の情報を探すこと。具体的には、ズームアウトして他者の経験からはじき出された基準率を明らかにし、ズームインして現実のより繊細なイメージをつかむこと。③現実性を確かめる究極の方法、ウーチングを行なうこと。全力投球の前に選択肢を試してみるべきだ。(位置No3145)

(12)この感情の整理を実現するための道具がある。『ブルームバーグ・ビジネスウィーク』誌や『O』誌などに寄稿するビジネス・ライター、スージー・ウェルチが発明した「10‐10‐10」という手法だ。ウェルチは『10‐10‐10』という同名の著書で、この手法を解説している。10‐10‐10 では、意思決定を三つの時間枠で考える。その決断について今から一〇分後にどう感じるだろう? 一〇カ月後は? 一〇年後は?(位置No3286)

(13)心理学者はその理由を解明しつつある。簡単にいえば、私たちは他人にアドバイスするときの方が、最重要な要因に注目しやすいのだ。だから、友人にアドバイスするとき、「長い目で見れば仕事Bの方が幸せになれるし、満足感を得られるだろう」と考える。選択は比較的単純に見えるのだ。ところが、当事者の気持ちで考えるとなると、選択は複雑になる。(位置No3496)

(14)本書でずっと見てきたように、バイアスは必然ではない。簡単な心の切り替えを行なうだけで、感情と距離を置くことができる。そのためには、時間軸の切り替え(10‐10‐10)や視点の切り替え(「親友に何とアドバイスするか?」)が効果的だ。時間軸や視点を切り替えることで、状況の輪郭をより鮮明にとらえ、難しい意思決定に直面したときでも、賢く大胆な決断ができるようになるからだ。(位置No3543)

(15)FMEAや、その仲間である事前検屍(将来の時点で失敗をしたとする。その場合の理由はなんだったと思うか、と考えること)を使えば、未来についてたったひとつの(ふつうは楽観的な)予測を立てる代わりに、予測の不確実性に目を向けることができる。あらゆる出来事を想定し、最悪のシナリオに備えることで、自信過剰に毅然と立ち向かうことができる。(位置No4190)