革新的国家公務員OBが語りたいこと・伝えたいことー自由と民主主義を信じ国益を考えるーAiming at an innovative official of the national government

36年の公務員生活で培った「防災・復興法制」「都市計画法制」の知識を広く共有するため、書評を通じて、関係する新しい論点を示します。なお、意見にわたるものは個人的なものであり所属する(した)組織の意見や立場ではありません。

2010年01月

川島武宜『日本人の法意識』を読みました。

 1967年発行の法社会学の古典的名著。  法律の規定が実際に世の中でどう意識され、実効されているかという視点で、法律を考えるという法社会学の視点というのは、実は、役人にきわめて重要な知識だし、現実の役人の仕事も、そのような現場とのフィードバックの作業過程にあると考える。  その意味で、法社会学的なアプローチは役人に必須の知識と言えるのではないか。  しかし、自分は法学部で法社会学の講座をとった経験もないことからく(卒業した1982年の時点では法社会学の講座は学部になかったような気がする)、これから知識を深めていきたい。  この名著について、直感で感じた点。 ①1967年当時では、訴訟件数などのデータを示した法律の論文は貴重だったと思うが、現時点では、もっと、統計的な処理をして、法律の遵守状況などを分析することが可能だし、都市計画の分野では、工学系のひとがその観点からたくさんの論文を書いていること。 ②seinとsllenが日本ではあいまいといった日本の独自色の指摘が本書で色濃くでているが、少なくとも、現時点からみると、それほど、法律の解釈や契約の考え方について、日本独自ということもないのではないか。  細かな契約規定を結ぶことは、最近では、ペットの購入でさえ、事前説明まで義務づけられている。 ③弁護士の数が少なく、訴訟に持ち込むことが日本では強情、融通が利かないと思われるとの指摘があり、先日よんだ、田中・竹内先生の『法の実現における私人の役割』も同じ指摘をしていた。  しかし、これからは、むしろ、行政判断と司法判断の双方の役割分担(一方的に司法判断を信用して増やしていくのではなく)、国民の利益保護につながるシステムを考えていくことが重要な段階まできていると思う。  いずれにしても、自分のライフワークの都市法の世界でも、法律と実体との関係が重要な視点なので、法社会学の勉強も、いろいろ進めていきたい。

中島岳志『インドのことはインド人に聞け』を読みました。

 インドの観光旅行の際に、読んでいた本。  中島さんは、インドのヒンディー語をならって、インド生活をした北海道大学の準教授。  インド観光では、世界遺産の雄大さと物乞いをはじめとする低層民の悲惨な生活が印象づけられるが、この本はもっとマクロの社会問題を、インド発行の英字雑誌から整理し、解説したもの。 ①インドの10代の自殺率が増加している。キリスト教医科大学の2004年の調査では、世界平均が10万人あたり、14.5人であるのに対して、インドでは、女子が148人、男子が58人。  インドでは、受験戦争からの脱落による自殺が増えている。(p81) ②インドのカーストを逃れるため、仏教徒に改宗する人が増えている。(p115) ③インドでは受験などに英語は不可欠。しかし、地方では英語教育が行き渡っておらず、都会で高等教育を受ける段階で英語の習得に苦労する。(p154)  今回のインド旅行は、中国東方航空をつかっていったが、インド人のホテルマンの英語は、中国東方航空のアテンダントの英語よりも、よっぽど流ちょうできれいな発音だった。  インド旅行のハプニングは、また、ぼちぼち書きます。

内田和成『異業種競争戦略』を読みました。

 これも、最近はやっているビジネス書。  いわゆる業界の垣根を越えて、競争が起こっていることを提起した本。  あたりまえのように思うが、まとめて各業界の動きを整理してもらえると、納得感がある。 ①銀行業界は、従来型銀行に、流通系から、イオン銀行、セブン銀行、さらには、ソニー銀行。もっと熾烈な争いは、カメラ業界に電気業界から、ソニー、パナソニック、フィルム業界から富士フィルム。(p24) ②あんまりこの本には整理されていないが、要は消費者ニーズに的確に応えるかという視点が大事だと思う。     身近な場所で便利に安価でお金を引き出せるATMということでセブン銀行は伸びていると思うし、デジタルカメラになれば、別に従来のカメラメーカーだけでなくても、使いやすく、やすいデジカメであれば売れるということでしょう。 ③将来の予測の方法として、ア 他業界でおきたことが参考になる、イ 隣接業界を見逃さない、ウ 違った角度からみる。(p186)  役人であれば、ア 他省庁の動き、イ 学会や所管業界の動き、ウ 世界の政治の動きをみるというのが、大事ということでしょうか?(ちょっと違うか(笑))  そもそも著者は、日本航空を経て、早稲田大学のビジネススクールの教授。  日本の業界の最先端の動きを集めて整理して、分析するというのは、ビジネスモデルとして、分析対象が日進月歩で、刺激がありそうで、うらやましい。

平野敦士カール『新・プラッフォーム思考』を読みました。

 ビジネス書は、最近何がはやっているのかという観点から読んでいます。  この本は、部下や友人、さらには競争相手にも知恵を出し合えるような環境を作れば、winwinになるという提案。  おサイフケータイを発案した著者の実践からのハウツー物。 ①リーダーシップのための鉄則15の12番目。「仕事の報酬は仕事」(p89)  こんな理不尽なことをいうのは、和泉さんだけだと思ったら、ビジネスの世界では結構いわれているのですね。妙に納得。 ②経済学・経営学のおすすめ本。(p197)  『行動経済学』『ブルーオーシャン戦略』『ヤバイ経済学』などすでに読んだ本もあり、思考方法が近いかも。  経済学はいよいろ『マンキューマクロ経済学』を読んでみようかな。 ③おすすめメルマガとブログ。(p222)  「平成進化論」「土井英司」「大前研一」はすでに登録済み。ほかのものも登録してみよう。  ビジネス書は知識を得るというよりも、いろいろ有益な情報が得られると割り切ったらいいと思う。

潮匡人『日本を惑わすリベラル教徒たち』を読みました。

 潮さんは、自衛官出身。丁寧に原典をあたって、12人の著名人をリベラル教徒だといって批判している。  このての批判は、損害賠償請求を引き起こすおそれもあるので、潮さんにとってはリスクがあると思うが、読者にとっては、今の保守陣営では、何についてイラっとするのかがよくわかる。 ①潮さんが、かみついている主張は、ア 天皇陛下への中傷や揶揄する言説、イ 家庭制度を崩壊させるような言説。例えば、不倫のすすめなど、ウ 北朝鮮への寛容な態度、オウムなどテロ組織への寛容な態度。  それぞれ、自分としては、当然だと思う。そもそもタレント作家は、極端な主張をして注目をあびようとする軽薄な態度がめだつ。 ②自分が原典を読んでいない作家の個別のコメントは差し控える。かなり著作を自分が読んでいる作家に対する、同感した批判を二つ。  まず、立花隆氏。知の巨人とかいわれ、田中角栄研究とか、共産党研究で名をあげたと思う。  しかし、最近は、自分のよんだ本を紹介する本とか、お手軽本に駄している。東大の客員教授で権力側にまわったからか。それとも、もう年なのか。 ③半藤一利氏。昭和史とか幕末史でベストセラーをだしているが、潮氏は、口述筆記のお手軽本で、実証的な根拠に乏しいと指摘する。  まあ、素人からみた庶民意欲喚起のための本と思えば、ゆるせるか。それ以上の分析は、いろいろ自分で専門書を勉強しましょう。   ちなみに、口述筆記としか思えない本を批判したら、世の中ででている大半の本、特に、新書はそうではないか。だからいいとは言わないが、そうおもって気軽によむしかないね。
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