革新的国家公務員OBが語りたいこと・伝えたいことー自由と民主主義を信じ国益を考えるーAiming at an innovative official of the national government

36年の公務員生活で培った「防災・復興法制」「都市計画法制」の知識を広く共有するため、書評を通じて、関係する新しい論点を示します。なお、意見にわたるものは個人的なものであり所属する(した)組織の意見や立場ではありません。

2010年02月

堀真清『西田税と日本ファシズム運動』を読みました。

 岩波書店からでている箱入り、792ページにも及ぶ大著。  西田税(みつぎ)は、陸軍幼年学校、士官学校を経て、若くして予備役、北一輝と陸軍将校の間をつないで、シンパを集め、2.26事件では、若者の蹶起を押さえられず、連座して死刑となった。  この本は、最初、日本のファシズムは独伊とどう違うかを分析したのち、西田の伝記にからめて、日本のファシズム運動を丁寧に分析。  歴史的な事実の正確な把握という観点からは、やや大部ながらいい本。  また、著者の独自の思想が披瀝されていないのも好感が持てる。  小生は、なぜ、まじめで実直な西田をはじめとする、陸軍、海軍の将校が、無謀にも、5.15や2.26を起こさざるを得なかったのか、このような暴力による政治転覆を今後どうやって防いでいったらいいのかという点に関心がある。  この本を読んでいくと、北一輝の日本改造法案大綱に染まっていく西田の姿、また、そのような観念的な著述よりも、西田がとく、天皇親政、財閥解体、政党政治解体、地方農業の救済に走った若手将校の純真かつ短慮がよくわかる。  「純真うえの短慮」というのを、どうして押さえて、少しでもよい世の中に自分の力で少しずつでもかえられるかという、漸進主義にどうしてなれなかったのか。  これからも近現代史を学ぶうえで、大事な視点だと思う。

岩田健太郎『感染症は実在しない』を読みました。

 日垣隆さんのメルマガで紹介されていて購入。  医学の知識は全くないので、トンデモ本かもしれないが、とにかくおもしろく読了。  「実在」という言葉がポイント。昔は、結核とかインフルエンザとか原因がわからずに、その症状で判断していたが、今は細菌やウイルス検査でその病気そのものを特定できるようになった(気がする)  しかし、実は検査の誤差もあって、ない病気をあるといったり、逆にあるのにないといったり、かなりの確率でいってしまう。  だから、検査だけにたよらず、その症状をみて判断することも大事。症状がまったくないのに無理して検査して、検査が陽性だったらあわてて隔離病棟にいれるようなことは無駄だ。  といったような主張。  「成熟とはあいまいさと共にいきていく能力のことだ」というフロイトの言葉を著者は最後に引用してますが、(p245)、どの分野でもそういうことってあります。  高速道路の都市計画決定を住民説明するとき、あたかもこれが最高の案のように説明しますが、実は、いろいろ幅があって、責任者は悩んでいる、お医者さんもそういう側面があるのかな。  お医者さんの閲覧者が読んでみて、もしトンデモ本だったら教えてね。

長島陽子『中国に夢を紡いだ日々』を読みました。

 たぶん、サンケイの書評にのっていたのだろう。  岩波書店の社員で、ばりばりの共産党員だった長島さんが、中国大好きで何度も中国にいって、中国語もたっしゃになり、現地の人と接するうちに、だんだんさめて冷静になったという本。  別に学術書ではないが、日記風にかかれていて、よみやすい。 ①中国には、都市戸籍と農村戸籍があり、移動の自由がない。形式上、農村戸籍の子供が都市の大学に入り、企業に就職できれば都市戸籍がもらえるが、そんなことはほとんどない。(p91)  今、北京とかにあふれている労働者はみんなやみで、子供は学校にもいけない。そんな差別があって、中国社会はもつのだろうか。 ②四川大地震で、小学校がこわれ、日本でも報道されていたが、実は共産党本部や地方政府の建物は無事で、小学校は手抜き工事(中国語で豆腐滓工程というらしい)だったらしい。(p146) ③中国の一人っ子政策がやみっ子を産んでいる。農村では、労働力が欲しいので二人目、三人目を生んで、労働させるが、教育を受けさせられないので、文盲、結婚もできない。  3000万人から4000万人もいるらしい。  中国とは、好きでも嫌いでもつきあっていかなければならないが、こういう素朴で現実の情報というのは意外と貴重だ。

内田・釈『現代霊性論』を読みました。

 内田樹さんは、有名だが、釈さんは、浄土真宗の住職兼兵庫大学の教授。  霊性とかスピリッチャルとかはやりだけど、二人が神戸女学院の講義でまじめに霊性を議論。  知ってよかった点。 ①新宗教は、明治維新直後、第二次世界大戦敗戦直後、そして、1970年代に発生。  p100に仏教、神道、キリスト教の新宗教の樹系図あり。これをみるだけでも価値あり。 ②カルトを見分けるポイント。訴訟を抱えていないか、被害者の会ができていないか。脱会が困難ではないか。金銭面で法外な要求をしないか。特定の敵を設定していないか。(p158)  カルトというと、米国の集団自殺とか思い出しますが、日本もオウムを生んだ国なので、特に、学生のお子さんとかいたら、注意してあげてください。 ③「宗教や霊性に関する言説も開いておこう」(p299)  宗教の王道の脇にはどぶがあるのでそれに落ちないようにしつつ、この世の中の底辺を流れる宗教や霊性に関する情報にも、むやみに拒絶しないで、聞く耳をもちましょうということらしい。  こわいものみたさに読んだ本だが、きわめてまじめな本でした。 

勝間和代『自分をデフレ化しない方法』を読みました。

 自分がカツマーか確認するついでに、職場の本屋で平積みされていたこの本を購入。  この本を読んで、カツマーは卒業かも。 ①デフレより、2,3%のインフレの方がいいのは、勝間さんがバカにしている日銀や官僚でも同じ気持ち。そうならないから苦労している。  だって、国債の負担だってインフレになれば軽くなるでしょ。 ②国債をすって日銀が買い上げればお金が民間に回るというのは誤解。  日銀は、今でも民間から債権を購入して資金を潤沢に市場に供給している。しかし、民間の需要が低いから、退蔵されていて、民間でのマネーストックが増えないの。  日銀はいやというほど資金は供給している。 ③経済はほっておいても2%成長するか?  確かに生産性はあがるかもしれないが、今日本は、生産人口の減少というマイナス要因がある。  経済成長は、労働人口・資本と各種の生産性向上のみっつでなりたっていることをお勉強してください。  あと、国債は、将来世代の負担となるので、国債で得た収入は、将来世代の役にたつものに使うべき。  たとえば、科学技術や教育のようなソフトや、将来の成長を支えるインフラのハードも含めて、国債の負担を将来世代が受け入れてくれると思う。
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