国際法は30年ぐらい前に寺沢先生に一度ならったが、何を扱う学問かさえ、さっぱり記憶がない。
国内法は、法律と裁判所の判例を解釈して、具体の事例への適用のルールを学ぶというのが中心だが、国際法は、そもそも法律にあたる条約がちょっとしかなくて、あとは穴だらけ。
国際司法裁判所もあることにはあるが、別に強制力もないので、判決も少ししかない。
そんなすきまだらけの枠組みを学問としての国際法はどう取り組んでいるのかなというのが国際法のテキストをとりあげた関心事です。あと、司馬小説でよく万国公法とかでてきるがなにものなのか理解したかった。
連休最後の一日をじっくり国際法にかけた感想。
①穴だらけの国際条約はそのままみとめ、安易に国際慣習法というようなものを認めず、少しずつ、条約や国際判例をつみあげていくのを手助けするのが国際法らしい。少なくとも、著者は、学者の説とか通説とかに力を置いていない。
②海洋法や宇宙法の分野でめざましく条約面など進化してきている。その一方で、中国などその枠組みを逸脱する国もめだってきている。
③国内法とちがって、判決を担保する手段がないが、いろいろなretaliationをもっているWTOのパネル手続きが注目されている。
このテキストは、雑誌の法学教室に連載されたものをまとめたもので、内容は高度ながら、ざっくばらんに論点を絞って、簡潔にまとめていて、外から国際法の現状を知るにはうってつけ。
薄くて読みやすく、いい本です。
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