革新的国家公務員OBが語りたいこと・伝えたいことー自由と民主主義を信じ国益を考えるーAiming at an innovative official of the national government

36年の公務員生活で培った「防災・復興法制」「都市計画法制」の知識を広く共有するため、書評を通じて、関係する新しい論点を示します。なお、意見にわたるものは個人的なものであり所属する(した)組織の意見や立場ではありません。

2010年06月

斉藤誠『競争の作法』を読みました。

 これも大竹文雄さんのブログから。  教授会での「定年延長して高齢教授を優遇して、その分若年の研究者の研究費を減らす」という提案に対して、教授なのに、立て看(なつかしいね、この言葉、でもちゃんと変換された)をだして、抗議したという、異色というか、かわりものの学者。  タイトルも変わっているが、何か、本を書きながら、自問自答しているところがおかしい。 ①斉藤先生の分析手法で、GDPや雇用者統計について、その実数を比較することを重視しているが、これは参考になる。  伸び率でみるとよくわからないが、2008年末のリーマンショックでどの時点まで経済規模がもどったのか、(要は、2000ころだが、)が、この手法でよくわかる。 ②リフレ派が、消費者物価指数や国内企業物価指数が高めにでると指摘しているが、斉藤先生は、GDPデフレーターは円安になると低めにでることを指摘して、その差の理由を明らかにしている。(p55)  勝間さんとか、消費者物価指数が高めにでる、(たぶん、GDPデフレーターより)といって、デフレの深刻さを強調するが、どっちもどっちということか。 ③サブプライムローンが金融危機を招いたのではなく、米国の不動産市場に資産価格バブルが生じてサブプライムローンが格好の投機商品になった。(p115)  このあたりも、世の常識とは違うが、地価がどんどん上昇するから低所得者にも住宅ローンを貸せると考えたのは、住宅土地価格がバブルだったからなので、斉藤さんの分析が、経済学者として、正しいと思う。  経済学者の議論は、ばらばらで、どれが本流かわかりにくいので、もっと勉強してみます。

神門善久『さよならニッポン農業』を読みました。

 大竹文雄さんのブログの紹介で購入。  神門さんは『日本の食と農』で話題になった農業経済学者。  この本は、その普及版、アジ本のような感じ。論理明解だし、説得力あり。この本で興味をもったら、『日本の食と農』をお勧め。 ①農地は農民が都市的利用をしてもうけようとおもっているので、散在的に開発される。もっと、きちんと土地利用規制をかけるべき。 ②米のコストは海外の2倍。これを集約化していけば海外と戦える。そのような集約化のための政府の助成金を使うべき。 ③小規模農家へのばらまき補助は、WTOにも反するゆがんだ補助金。また、FTAの阻害要因となり、日本の自由貿易体制、ひいては日本の国力を弱める。  といったのが主張。すべて同感。  農政の混迷は役人にも責任があるが、世界経済の中で存在感を維持しつづけるためには、票めあての補助金ではなく、継続的に日本農業が世界経済の中でどう生き残っていくかをかんがえる必要がある。

『都市・農村の新しい土地利用戦略』を読みました。

 そろそろまじめに都市計画の本も読もうと思って、タイトルで購入。  帯には、伊藤滋先生が、「本書を読まずして都市・農村空間を語るなかれ」と書いてある。  いい本だとは思うが、そんなに権威のある本でもない。  2000年の都市計画法改正で条例で調整区域の開発が緩和できるようになった制度を、うまくつかいこなそうという方針で、実態や提案など、くろうと受けする内容にはなっている。  2000年改正の責任者は個人的にも知っているので、あまり厳しくはいえないが、結局、何を目指して、何を解決するためにやった改正かよくわからないというのが、小生の認識。  それを、こんなにまじめに検討してもらえてありがたいと思うのと、ちょっとした改正でも現場をこれだけ苦労させるのだという自戒の念を持つ。 ①線引きと開発許可の部局が地方公共団体で別になっている。(p77)  これは、長い間建設省の担当部局がばらばらだったため。国土交通省になって同じ課の所管になったが、地方公共団体ではまだばらばらのところが多い。  土地利用計画部局とそれを担保する開発許可部局が意思疎通がなく、部長までいかないと一緒にみる人がおらず、また、部長が都市計画がわからないというのが、多くの県の実態。 ②準都市計画区域に農用地区域を含めていけないのはなぜか。(p150)  たぶん、農林省にいやがらせされたのだろう。農水省が、都市計画区域とか準都市計画区域の設定にいやがるのがよくわからない。都市側と農地が側で一緒に、農地をまもればいいのではないか。 ③ドイツではゲマイデを大事にして絶対に合併しない。(p267)  市町村合併で、独特のまちづくりをしていた町がなくなり、その旧町にお金も人も割けなくなっているのは、とても残念。

柴田光滋『編集者の仕事』を読みました。

 本好きの人にはたまらない本。  本自体のつくりとか、いろいろなネタ話が満載。 ①本のカバーのことは「ジャケット」、本についているひもを「スピン」、したに書いてあるページの数字を「ノンブル」という。(p3) ②紙のA版は、ドイツの紙の型から、B版は、美濃紙の型からきている。(p135)  それで、Bの紙は日本独自なんだ。 ③ジャケットは、返品の本を再び市場にだすときにかけ替えて使う。(p144)  最近は、箱入りの本などあまりみかけませんし、昔の世界の名著シリーズのような小さな字の二段組みもみかけません。  昔から本をたくさん読んでいた、ちょっと異常な本好きには、たまらない本です。 

スティーブン・P・ロビンズ『組織行動のマネジメント』を読みました。

 アメリカのビジネススクールなどで一番使われている教科書の新版。  「世界で競争するとき、相手がMBAだったら、この本を読んでいると思って闘え」とあとがきで訳者が指摘している。  そんなに、びっくりするほどのことが書いてあるとは思わない。  心理学とかいろいろな学説をうまく整理して説明しているが、30年も組織で働いてきた目でみると、優秀なマネージャーなら、暗黙知として体得しているような内容が多い。  これを学部や大学院の講義で聴いても、実感はつかめないが、実務者からみると当然と思う点が多い。 ①コミットメントのエスカレーション現象。(p153)  つきあっていろいろ努力している彼女に対して、その努力がむしろ、別れさせなくしているのを例にしている。  すでにある程度進んだ公共事業が止められないのも、そういう面がある。これは当然これから投入する費用と便益で分析すべき事柄。 ②社会的手抜き。(p186)  人が単独で行う努力より、集団で行う場合には努力しないことをいう。 ③スペシャリストとしての能力とゼネラリストの能力をバランスよく身につける。(p414)  専門家としての最高の能力を維持しつつ、様々な変化に対応するためのゼネラリストとしての能力も持ち続ける。  これが小生の目標です。
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