革新的国家公務員OBが語りたいこと・伝えたいことー自由と民主主義を信じ国益を考えるーAiming at an innovative official of the national government

36年の公務員生活で培った「防災・復興法制」「都市計画法制」の知識を広く共有するため、書評を通じて、関係する新しい論点を示します。なお、意見にわたるものは個人的なものであり所属する(した)組織の意見や立場ではありません。

2010年08月

カッター・J・エッカート『日本帝国の申し子』を読みました。

 購入したきっかけは失念。たぶん、最近の韓国への謝罪に関係する記事からだろう。  内容は、日本統治下での韓国資本家がどう発展してきたかを、アメリカの歴史学者が分析したもの。  ちなみに、韓国では、「李朝時代に資本主義の芽があったが、日本統治下ではそれが抑制されていた。第二次世界大戦終了後に再度資本主義が発展した。」というのが正史らしい。  この著書は、日本統治下でも韓国資本が発展してきたことを明確に主張しているので、韓国人には受け入れがたく、まだ韓国訳が出版されていない。  日本の朝鮮併合時代が朝鮮の発展に貢献したと考えたくない気持ちもわからないではないが、まずは、事実をお互い確認したらいい。 ①日本の朝鮮総督府は、韓国の実業家を統治の仕組みに組み入れ、場合によっては、補助金で支援もした。  朝鮮人の金一族がつくった京城紡績(以下「京紡」という。)には、総督府は、1924年に京紡の払い込み資本の4%を補助した。(p117) ②朝鮮の歴史では、「京紡は朝鮮人の資本で行われた」とされているが、お金にいろはないので、1945年の時点で、日本人株主は、全体の13.6%を占めていた。(p110) ③京紡は1926年と31年にストライキが起きているが、日本警察と一体となってこれを鎮圧した。(p268)  朝鮮には、日本の工場法の適用もなかったので、子供も労働や婦人の徹夜労働もし放題だった。  京紡はさらに、満州、中国にも工場進出するなど、日本の政策と一体的に発展してきている。  こういう事実は事実として、日韓共通の理解となるべきと考える。 

内田樹『街場のメディア論』を読みました。

 内田さんは、昨今の売れっ子著者の著作バブル論に反応して、今ゲラ刷りの原稿を本にするのをやめたといっているので、しばらく、内田本の新刊は止まるかもしれません。  そんな中で、すでに発行計画にはいっていたからということで発行された、この本。  いつものうちだ本です。ぼくはいろいろな見方を教えてくれるから好きなんですが、確かに、同じような話がブログにも他の本にのっているじゃないかといわれればそのとおり。 ①社会的共通資本は、政治にも市場にも任せてはいけない。(p108)  社会的共通資本は宇沢弘文先生の言葉ですが、社会の基礎となるインフラ、制度で、教育、医療なども入ります。内田さんは、特に、医療や教育について、市場の言葉で改革すべきでないと強く主張しています。 ②この何年からメディアは霞が関に集中砲火を浴びせていますが、それは本質的に官僚組織が変化を忌避する組織であることに関係あると思います。(p114)  うまくいっていようがいまいが、とにかく変化を求める業病がメディアにはあると内田さんは言います。 ③Sauve qui peut(ソープ・キ・プ)というのは船が難破したり、前線が崩壊したりしたときに船長や指揮者が最後に宣言する言葉です。「生き延びられる者は生き延びろ」(p208)  内田さんはメディアに向かっていますが、霞が関も同じです。全力で自分も生き延びたいと思います・

副田義也編『内務省の歴史社会学』を読みました。

 内務省が戦後解体されて、厚生省、警察庁、自治省、建設省、労働省になったが、これだけ大きな内政分野をまとめてやった内務省の実態については、もともと知りたいと思っていた。  また、28年前に役所に入った頃は、まだ、内務省採用の先輩がOBでいて、自治省とかは友達といっていっていた感覚に不思議な思いをした印象あり。  東大出版会のちらしをみて、タイトルで購入。 ①内務省の都市計画行政については、すでに知っていることがほとんどだった。  あえていうと、当時の内務省の出世コースが、知事、局長、次官を経て貴族院議員であったのに対して、初代都市計画課長の池田宏氏は、神奈川県知事を最後に引退しており、「輝かしい出世の例とはいいがたい」とされていること。(p229) ②後藤新平氏は、関東大震災後の復興事業の成果など、シンパが多いし私もその一人。しかし、この本では、後藤の台湾統治について、アヘンを3,40年は台湾人がすってもかまわなくして、むしろ財源にしたと批判している。(p331)  後藤新平氏は、もともと衛生官僚で、麻薬の撲滅を一気にはできないことから、アヘンを政府管理にして、その販売量を漸減させていくという方策をとったと理解しているが、どちらの評価が正しいのであろう。 ③内務省の神社局(のちには内務省外局の神祇院)の神社行政はおもしろい。  そもそも「宗教なのに宗教でない」といいはって、西洋式の大日本帝国憲法下の信教自由との抵触も気にせず、でも国家神道を国の行政として行い、さらに、神社をその統治機関として取り込んでいく。  そのあいまいな、位置づけは、なんとも理解しがたい。  ちなみに、靖国神社は陸海軍の所管。

『最強軍団アメリカ海兵隊』を読みました。

 自民党の石波先生が、菅総理に「なんで海兵隊が沖縄にいるかわかりますか」と質問して、総理が応えられなかったのを、テレビでみながら、自分もしらないな、そもそも海兵隊って、どんな軍隊かなと思って購入。  実際に読んでみると、実に海兵隊員とその装備がかっこいい。軍事マニアはこういうことに惹かれるんだな。  でも、撃っている相手も人間だということを忘れてはいけない。  っと、本題にもどって、自分なりに整理すると、 ①海兵隊は、6時間以内に紛争現場に派兵できる軍隊。 ②そのため、上陸用の水陸両用車、ヘリコプター、航空機を同時に装備している。 ③海兵隊のもっとも基本技術は、ライフル狙撃。いわゆる市街戦向け。  ちなみに、アメリカは自国の武器を日本に買わせることに意欲的だが、海兵隊は、狭い場所で上陸できるイギリスの垂直離着陸機のハリアーを使っている。  石波先生の答えは、北朝鮮国境や台湾海峡などの紛争の際に派兵するために沖縄に海兵隊をおいているということだったのでしょう。  なお、この本は、イラクのファルージャの攻撃を肯定的にとらえているが(p110)、一部のアメリカ軍属の殺害に激高した米軍が、イラク民衆を巻き込んで、ファルージャ自体を破壊しつくしたという指摘もあることを忘れてはいけないと思う。

滝川薫『サステイナブル・スイス』を読みました。

 こちらも、こつこつ毎日読む(土日に一気に乱読ではない)都市計画の本。  学芸出版社の海外ものから、スイスはよく知らないなと思って購入。 ①「原発はクリーンで安心で低価格でないことや、原発で温暖化問題を解決できないという事実は、中央ヨーロッパで持続可能なエネルギー需給を研究する専門家や環境団体には周知のことである。」(p27)  いきなりいわれてびっくり。日本は原発は低炭素エネルギーの代表だよね。緑の党とかいっているのかな。「周知」とかいわないで、根拠や背景を教えて欲しいな。 ②時速30キロメートルゾーン。市街地の中心部に人がどこでも横断可能な道路の区間をつくっている。(p183)  時速60キロの道路が途中から30キロになったら渋滞するから、きっと迂回路があるのだろうね。そうすると、日本の歩行者天国の柔軟版かな。 ③スイスでは、トラックから鉄道貨物輸送にモーダルシフトするためにトラック従量税をかけている。(p215)  トラック業界は日本では政治力の固まりのようなところだが、よくスイスはかけられたね。ちなみに、オーストリアやドイツもかけているらしいが、スイスほど厳しくはかけられない。
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