革新的国家公務員OBが語りたいこと・伝えたいことー自由と民主主義を信じ国益を考えるーAiming at an innovative official of the national government

36年の公務員生活で培った「防災・復興法制」「都市計画法制」の知識を広く共有するため、書評を通じて、関係する新しい論点を示します。なお、意見にわたるものは個人的なものであり所属する(した)組織の意見や立場ではありません。

2010年11月

『人口減少時代における土地利用計画』を読みました。

人口減少時代における土地利用計画―都市周辺部の持続可能性を探る人口減少時代における土地利用計画―都市周辺部の持続可能性を探る
(2010/08/25)
川上 光彦、明石 達生 他

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   都市計画の本も読んでいるのだが、コメントが難しい。  この本は、都市の周辺部に着目して、土地利用計画の課題を広くとらえていている。  しかし、これはという解決策、アイディアがない。関係者である自分が愚痴をいっても仕方ないが。  その中でも無理に探せば以下のとおり。 ①都市計画基礎調査の充実の観点からの韓国の土地適性評価の紹介。(p38)  基礎調査は大事だが、結局、地方公共団体の予算不足に帰着するので解決策が難しい。 ②農地課税の不均一。(p70)  いわゆる特定市でなくても、市街化区域内農地の課税が宅地に準じるという形で毎年上昇してきており、負担になってきている実態がわかる。 ③結章で、協定という第三の手法を提案しているところ。(p164)  具体策はないが、協定制度は、法律、条例でもこれから大事だと思う。  いずれにしても、土地利用計画の抱える問題の全体を把握するという意味では、目次が有効。

山川隆一『労働契約法入門』を読みました。

労働契約法入門 (日経文庫)労働契約法入門 (日経文庫)
(2008/02)
山川 隆一

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   行政契約を勉強するにあたって、行政法規で、契約法理を変更あるいは確認している労働法の分野を勉強しようと思い立ち、最初に入門書として本書を購入。 ①内田先生の制度的契約論で、援用していた就業規則の労働者への不利益変更の法理は、労働契約法第10条で、ほぼ最高裁判例を踏襲する形で、そのまま条文化されている。(p67)  本来合意でやらなければ変更できない不利益変更も、最高裁判例まで昇華されれば、条文化できるということです。 ②整理解雇の裁判所が示す4条件とは、ア 人員削減の必要性、イ 解雇回避努力、ウ 人選の合理性、エ 手続きの相当性。(p119)  ここが気になったのは、日航の乗務員の整理解雇が4条件を満たしているかが心配なため。 ③協定という契約が一定の行政庁の手続きで契約の相手側以外に効力を及ぼす例として、いわゆる三六協定がある。(p150)  過半数を組織する組合と協定を結び労働基準監督署長に届け出れば休日出勤等の例外が認められる。  意外に身近なところに、契約が実質多数決で結ばれる例が見つかった。やった。

白井さゆり『欧州激震』を読みました。

欧州激震欧州激震
(2010/09/25)
白井 さゆり

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   リーマンショック以来、ギリシャ危機、アイルランド危機など、ヨーロッパに経済危機が伝搬しているが、その実態を知りたい人にはうってつけの本。  データ集、現状分析集で、著者のコメントや意見はほとんどなく、アマゾンの口コミでもそれを批判している人がいたが、自分はそれはそれで、情報満載でいいのではないかと思う。 ①ユーロ圏16カ国のなかで、ドイツが圧倒的に経済的に安定しており、反対に、劣等生が、PIIGSといわれる、ポルトガル、アイルランド、イタリア、ギリシャ、スペイン。  なんか、観光で行ってみたい国がみんな大変な経済状態。 ②ドイツ、フランス、イギリスでは、銀行破綻のための基金をつくるための銀行税の動きが始まっている。(p308)  日本だと既得権益が強くてできないけど、ドイツとか自国単独でも銀行課税を始めている。 ③PIIGSというダメが国もたくさんあるが、ユーロ自体は、ドルに次ぐ国際通貨になっており、結局、ドイツが牽引して発展していきそうか気がするので、要注意。他人の不幸をみてバカにしてはいけないなと強く感じた。

竹中平蔵『経済古典は役に立つ』を読みました。

経済古典は役に立つ (光文社新書)経済古典は役に立つ (光文社新書)
(2010/11/17)
竹中平蔵

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   連続して、竹中平蔵もの。  竹中平蔵がまじめに経済古典、アダム・スミスとかケインズとかマルクスを読んで、コメントしている。  竹中氏は小泉政権のときは近くから見てひどいこというなとおもっていたが、今の政権の周りにいる「強い社会保障」とかいうでたらめをいう経済学者よりはずっとましなような気がしてきた。 ①竹中氏はその直面した経済情勢によって経済政策は変わるべきで、大恐慌の対応のため、財政支出をし、大きな政府を志向するのは全く正しいと言い切っている。(p91)  経済学者は融通無碍のところがあるが、頑固よりはましかなとも思う。 ②シュムペーターは、イノベーションを言い出したとして最近注目されているが、当時は、ハーバード大学の講義でも人気がなかった。(p134)  岩波文庫にシュムペーターの『経済発展の理論』があるが、個人的にも読みにくいと思った。イノベーションを新結合と訳している部分以外、まったく興味が湧かなかった。 ③竹中氏が好きだと思っていたフリードマン、ハイエクなどの新自由主義の部分はわずか50ページ。ブキャナンなんかたった3ページ。  別に新自由主義だけが好きだった訳じゃないんだ。まあ、あらためて竹中氏が古典を読み返して得るところがすくなかったのかもしれないね。

竹中平蔵ほか『日本経済「余命3年」』を読みました。

 
日本経済「余命3年」 <徹底討論>財政危機をどう乗り越えるか日本経済「余命3年」 <徹底討論>財政危機をどう乗り越えるか
(2010/11/25)
竹中 平蔵、池田 信夫 他

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 経済学者の竹中氏、池田信夫氏、鈴木亘氏、土井丈朗氏の対談本。  竹中平蔵というと、小泉改革の悪評を一手に引き受けている感じがあるが、こういう人が今の経済政策にどういうことを言っているかを知りたくて読了。  まあ、民主党政権に対する批判はぼろくそ。 ①竹中「自分が総理としてこれをやりたいという気持ちがあるかです。菅総理はそれがないのでしょう。」(p193)  菅総理の奥さんも本でそういっているから、きっと特に強い思いはないのでしょう。小泉さんも郵政憎し、道路憎し以外にはなかったけど、でもあるだけましか。 ②土井「法学部の人にもう少し経済学を理解していただきたい。年輩の方になるとはなから経済学を受け付けない」(p117)  先日、役所で機会費用の話をしたら、まったく理解されないので愕然とした。これもその一環かな。 ③池田「今の民主党政権をみるとマネジメント能力が悲惨なほど低いと思えます。」(p54)  人を使ったことがないような人が何万人もの職員のトップにくるのだから、マネジメントできないよね。マネジメント以前にコミュニケーション能力の欠如のような気がする。  その他、竹中さんが、『世論の曲解』(光文社新書)が霞が関と永田町で読まれているといっているので、早速読んでみます。
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