革新的国家公務員OBが語りたいこと・伝えたいことー自由と民主主義を信じ国益を考えるーAiming at an innovative official of the national government

36年の公務員生活で培った「防災・復興法制」「都市計画法制」の知識を広く共有するため、書評を通じて、関係する新しい論点を示します。なお、意見にわたるものは個人的なものであり所属する(した)組織の意見や立場ではありません。

2011年04月

福島香織『中国の女』を読んで、今の中国の裏事情を知る。

潜入ルポ 中国の女潜入ルポ 中国の女
(2011/02/22)
福島 香織

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 福島さんは、中国駐在の産経新聞記者を経て、今、フリー。  売春婦から、大富豪まで、突撃取材をして、この本を書いた。  中国の女は強いが、この本を書いた福島さんも強い。 ①中国の電話は中国当局に盗聴されている。外国人ジャーナリストにかけると、マンホールの中で電話しているように反響したり、途中で切れたりする。(p18)  これは、自分も中国旅行中に日本に携帯で電話したとき、うぁんうぁんと反響した記憶が確かにある。 ②ジャンインのようなくずひろいから大富豪へといったチャイナドリームはこれからは難しい。今はもてるものと、もたざるものの差が激しすぎて、はいあがるチャンスがすくなくなった。(p137) ③田原のような1980年生まれのアーティストは、チベット問題でも、流ちょうな英語で、政府見解を述べる。(p218)  江沢民時代以降の愛国教育の影響はすごい。  もっと、なまなましい拷問の話もあるが、その間にちりばめられた社会問題がおもしろかった。   参考文献として、オーセル『サージュ』(集広舎)チベット関係の本、『嵐を生きた中国知識人』(集広舎)

伊藤和明『日本の地震災害』を読んで、日本の地震の歴史を知る。

日本の地震災害 (岩波新書 新赤版 (977))日本の地震災害 (岩波新書 新赤版 (977))
(2005/10/20)
伊藤 和明

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 20世紀の地震を網羅的に説明した本。  関東大震災など復習になるものもあるが、あまり知らない地震の紹介もある。 ①関東大震災では、丹沢、箱根山地で土砂の崩落が生じ、その後、たびたび土石流が襲った。(p19) ②戦時中の1944年と1946年に東南海と南海地震が連続して起こった。この際に、浜名湖から駿河湾のあたりは、トラフが崩壊しておらず、東海地震のエネルギーがたまっていると予想されている。(p72) ③1948年の福井地震では、倒壊率が3割を超えたため、新しく震度7が設定された。(p157)  戦時中から戦後すぐは、多くの地震があったが、阪神・淡路大震災までは、比較的穏やかな時期だったことがわかる。  今は、地震活動が活発な時期に入ったとして覚悟しないといけない。

学校放射能基準の緩和に対する日弁連の批判について

 日弁連が、子供の許容放射能について、今までの年間1ミリシーベルトから、年間20シーベルトに緩和したことについて、批判をしている。  http://www.nichibenren.or.jp/ja/opinion/statement/110422_2.html  日頃、自分の関係ある、都市計画制度の提案など、日弁連の提案については、首をひねることが多い。  しかし、どさくさにまぎれて、科学的根拠もなく、20ミリシーベルトに緩和する文部科学省を態度は、子供の健康をまじめに考えているとは思えない。日弁連に一理あるような気がする。  これは、 ①いままでの基準だと、福島県の学童はみんな疎開しなければいけなくて大変だ。 ②それよりは、理屈はないけど、放射能を扱う技能者のレベルの20まで緩和してしまおう。 ③だけど、放射能をふくんだ塵が地面にたくさんおちていて、運動場は放射能が高いので、屋内で活動させよう。  と考えたんだろう。  しかし、本当に考えなければいけないのは、学童は長いこと放射能を浴びつつけるので、従来の大人並みの1ミリシーベルトを緩和するのは、より厳密であるべき。  また、校舎を洗浄するとか、校庭の表土をとるとか、放射能を減らす手段もあって、それもとらずに、基準自体を緩和するのは、あまりに理屈がないのではないか。  新聞では、放射能をあつかう技能者の被爆限度、最高年間50ミリシーベルトも緩和する動きもあるという。  勝手に、都合よく、基準を緩和していたら、海外からみれば、放射能に汚れた日本という評判を招くだけだろう。 続きを読む

武田邦彦『原発事故残留汚染の危険性』を読んで、残留放射能について考える。

原発事故 残留汚染の危険性原発事故 残留汚染の危険性
(2011/04/20)
武田 邦彦

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 武田さんは、地球温暖化について異論を唱えたりしていて、以前から注目していた。  職場のみうらくんが、ブログで武田先生が、原発について、危険性を指摘してますよと聞いてブログを見だした。  http://takedanet.com/  その武田先生の原発事故の最新論評。武田先生は、ウラン濃縮工場の所長もしていて、この分野に詳しいらしい。なんでも、詳しそうだが。  非常に説得力があって、急に政府の説明があやしい気がしてきた。 ①原発の5重の電源バックアップがすべて停止して(実は5重になっていなかった)、原発の制御ができなくなった。(p35) ②福島原発は、停止の運転にも問題なく、工場の施工にも問題がなかった。あったのは設計。設計については、国が安全性をチェックする建前。(p46)  国と電力会社は癒着しているから、電力会社もいわないが、保安院の国家賠償責任も可能性があるのではないか。共同不法行為とか? ③武田さんの試算によれば、福島市の被爆量の計算値は、1週間後で、1時間あたり11マイクロシーベルト、一月後で、10マイクロシーベルト。  これに24時間かける365日かけると、年間87.6ミリシーベルト。国際基準は、年間1ミリシーベルトだから、急性の影響はでないが、簡単に体に影響ないといえるのか。  レントゲンが、一回600マイクロシーベルトだから、年間146回、一日おきにレントゲンをとる量を福島市で被爆することになる。  こういう事実を明らかにした上で、どうやって被爆をへらしたらいいのかを、専門家は語るべきだと思う。  外国人が一斉に逃げた理由もこれでわかった。

『日本の原子力施設全データ』を読んで、福島原発の問題を考える。

日本の原子力施設全データ (ブルーバックス)日本の原子力施設全データ (ブルーバックス)
(2001/09/20)
北村 行孝、三島 勇 他

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 今日も連続して、原発問題の本。  職場の本棚で見つけた本。ブルーバックスなので、真面目な本だろうと思ったが、そのとおり。  著者は、読売新聞の記者。そのせいかもしれないが、読みやすい。 ①冷却材喪失事故は、なんらかの理由で炉心の燃料棒が露出する事故。燃料棒が加熱して、高熱でとけて、中に含まれていた放射性物質が炉外にでてしまいかねない。(p69)  福島も結局、燃料棒がとけていたようなので、この種の事故か? ②どの原子炉にも複数のディーゼル発電機が設けられている。(p76)  すべての発電機が津波にそなえていないのは、おそまつ。いくつあっても、同時に機能停止するんじゃ、一つもないのと同じ。 ③原子炉災害特別措置法では、原子力施設の敷地境界で、毎時5マイクロシーベルトの放射線量が10分間観測された場合か、原子炉など原子力施設に緊急事態に発生しそうな兆候が見られる場合に、「警戒段階」が発令される。(p181)  官房長官の会見でも、まるで、問題はないけど、一応警戒段階みたいな発言だったけど、本当は現実に危険な状態だったことがわかる。  やはり、勉強をわれわれもしておかないと、風評と事実が混乱してしまう。
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