革新的国家公務員OBが語りたいこと・伝えたいことー自由と民主主義を信じ国益を考えるーAiming at an innovative official of the national government

36年の公務員生活で培った「防災・復興法制」「都市計画法制」の知識を広く共有するため、書評を通じて、関係する新しい論点を示します。なお、意見にわたるものは個人的なものであり所属する(した)組織の意見や立場ではありません。

2011年06月

日経ホームビルダー編『震災に強い家』を読んで、液状化、斜面崩壊などの宅地被害と対策を知る。

震災に強い家 (東日本大震災の教訓[住宅編])震災に強い家 (東日本大震災の教訓[住宅編])
(2011/06/09)
日経ホームビルダー

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 これも職場の本屋でみつけて購入。  最近、報道され、問題が大きくなりつつある、液状化と斜面地崩壊という宅地被害について、詳しく解説している。 ①液状化の被害は、浦安などの臨海部だけでなく、取手市や我孫子市など利根川沿いなど内陸部にもおおく発生している。(p29) ②福島県、宮城県の盛り土の宅地造成地で斜面崩壊が発生している。(p39) ③傾斜住宅の改良は、硬質ウレタン注入工法、アンダーピニング工法などによって値段が異なるが、200万円から1000万円ぐらい。(p153)  宅地被災状況と対策の概略がわかった。

『中央防災会議専門調査会中間とりまとめ』をよんで、簡潔、明解な内容に感心する。

 中央防災会議の東日本大震災の専門調査会で中間とりまとめが公表されている。  http://www.bousai.go.jp/jishin/chubou/higashinihon/4/tyuukan.pdf  http://www.bousai.go.jp/jishin/chubou/higashinihon/4/teigen.pdf  御師匠のハラダさんが整理されたのかもしれないが、簡潔で、論理も明解。  復興構想会議のだらだらとして何がきもかわからない答申とは大違い。 ①これまでの地震・津波の想定結果が、実際と大きくかけ離れたことを反省。(p3) ②今後は、最大クラスと頻度の高いクラスの二つの津波を想定。(p8) ③頻度の高い津波には防潮堤で対応し、それ以上の津波は、避難を軸に、土地利用、避難施設などハード・ソフトで総合的に対応。(p9)  すっきりしていて、わかりやすいし、説得力もある。  これをきちんと最終報告でオーソライズしてほしい。誰も、20m以上の防潮堤など、期待もしていないし、そんなもの海岸にできたら困る。  ただし、防潮堤で守れない地域は土地利用規制して建築させないといった、ハードからみた視点で、土地利用規制を考えるのはおかしい。  別にこの報告ではそんなことをいっていないが、そういう議論が省内にもある。  むしろ、避難者の生活と生業を守るための土地利用があって、それをまもるための防潮堤がどの程度まもり、それ以外の手法でどれだけまもれるか、という被災者の視点から復興計画はつくるべき。

日経コンストラクション編『インフラ被害の全貌』を読んで、最新のインフラ、市街地の被災情報と土木工学の見解を知る。

インフラ被害の全貌 (東日本大震災の教訓 土木編)インフラ被害の全貌 (東日本大震災の教訓 土木編)
(2011/06/23)
日経コンストラクション

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 職場の本屋で発見。  日経コンストラクションの特集をまとめた本ながら、復習を含めて、とても有意義。 ①東日本大震災以降、引っ張り力による正断層による地震が、従来地震のなかった福島県浜通り付近で増加している。(p29) ②今回の津波は、震源とは別の部分的な地盤隆起が引き金となっている。(p31)  これは『千年震災』でも指摘されていた。 ③釜石の中学校と小学校の生徒が並んで、整然と高台に避難する様子の写真が掲載されており、冷静さが推察できる。(p132)  生徒の指摘でさらに高台に避難して犠牲者をださなかった話は繰り返し報道されていたが、写真までのっているのは初めて見た。  全体的にいって、おおくの地図、写真が満載で、復興対策を担うものは、座右の著とすべきもの。

内閣法制局『証言近代法制の軌跡』を読んで、都市計画法制定時の先輩たちの血のにじむような苦労を知る。

証言 近代法制の軌跡―内閣法制局の回想証言 近代法制の軌跡―内閣法制局の回想
(1985/01)
内閣法制局百年史編集委員会

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 かばちゃんの推薦。  かばちゃんのように斜め読みができないので、なかなか都市計画の部分がでてこなかった。  そこにたどり着く前に、GHQに一度内閣法制局が解体され、講和条約の後に復活したことを初めて知った。  民主党政権は、内閣法制局長官の答弁権をうばうなど、法制局にとっては、二度目の試練の時。 ①元林信一参事官:都市計画法案は、二閣僚が署名をしなかったが、法制局の吉国次長の説明を受けて、署名された。都市計画法のように各省庁の調整の困難な法案がなんとか閣議に持ち込めたのは、この間の関係者の血のにじむような努力があったからだろう。(p224) ②松本弘:建設委員会と農水委員会の合同審査で、質問にたっている野党議員に対して、背後から農業団体の職員が次々にメモをわたしていた。(p500) ③松本弘:法案が提出された次官会議の前夜から当日の朝にかけて、小林忠雄都市局参事官以下で通産省企業局にでかけておこなった折衝は、誠に深刻かつ激烈なものであった。(p501)  先輩たちの努力に本当に頭が下がる。  気楽に、都市計画法の線引き廃止とかいえないなと厳粛な気持ちになった。  それとともに、課長補佐、専門官、企画官時代に法制局にかよって、議論をしたときの大変さと説明しきったときのすがすがしさをも、思い出した。

曽野綾子『自分の始末』を読んで、肩肘張った生き方に反省をする。

自分の始末 (扶桑社新書)自分の始末 (扶桑社新書)
(2011/03/01)
曽野 綾子

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 震災以降、毎日一冊の読書を自分に義務づけ、気をはってきたが、いろいろ、無理もでてきた。  こういうときは、曽野さんの本でもよんで、自分のこれからの人生を考えてみる。 ①(定年後について)「はたの評価はどうでもいいのだ。きれいに戦線を撤収して、自分のしたいような時間の使い方をする。だれをも頼らず、過去を思わず、自足して靜かに生きる。」(p42) ②「大きな運命の変化に遭ったとき、人間はただちに重大な決断をしてはいけない。」(p88) ③「のばすという知恵は大切だ。誰かに抗議したくなったら、明日までメールを送るのをまったらいい。」(p188)  人生にとってはささいなことでも、個人的に、ちょっと頭を悩ますことがあり、この本でとても癒されました。
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