革新的国家公務員OBが語りたいこと・伝えたいことー自由と民主主義を信じ国益を考えるーAiming at an innovative official of the national government

36年の公務員生活で培った「防災・復興法制」「都市計画法制」の知識を広く共有するため、書評を通じて、関係する新しい論点を示します。なお、意見にわたるものは個人的なものであり所属する(した)組織の意見や立場ではありません。

2011年08月

法学教室9月号を読んで、立法政策に役立つ論考がほとんどなかったことにがっかり。

法学教室 2011年 09月号 [雑誌]法学教室 2011年 09月号 [雑誌]
(2011/08/27)
不明

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法学教室の今月号は、「法律学にできること、東日本大震災を契機に考える」というテーマなので、いさんで購入。  結果はちょっとがっかり。  先月号のジュリストに比べても、行政上の課題、立法政策にかかる課題の論述がきわめて少なかった。  その中でも、なるほどと思った点。 ①大村敦志先生:具体的な解釈論、立法論として何を主張するにせよ、それを緊急時の応急措置に終わらせるのではなく、基本思想の転換の契機としてとらえるべきだろう。(p1) ②高村ゆかり先生:日本政府は、今回の(放射性物質の海洋への)放出は国境を越えて他国の環境や海洋に悪影響を生じさせるものではなく、したがってこれらの国際的義務の違反はないという立場である。(p44)  そうはいっても、国際的な信義に反する行為で、できるだけ日本領海にとどまるような措置をこうずべきだったと思う。貧すれば鈍するだな。 ③大橋洋一先生:集団移転の論考  まったく、記述には異論がないが、もう少し、つっこんだ指摘もほしかった。まあ、我々が先生によく説明していない責任も多々あるが。  いずれにしても、連載のたて方をみて、法学教室を読んでいる学生諸君には、法政策学のような観点はうすいのかなとちょっと危惧される。

深井新『気候変動とエネルギー問題』を読んで、二酸化炭素地球温暖化説に強い異論があることを知る。

気候変動とエネルギー問題 - CO2温暖化論争を超えて (中公新書)気候変動とエネルギー問題 - CO2温暖化論争を超えて (中公新書)
(2011/07/22)
深井 有

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 職場の本屋で、新刊として何の気なしに購入。  co2地球温暖化説に対しては、武田邦彦さんなどが批判していたが、今回は、物理学の先生で、中央大学の名誉教授の深井さんの主張。  特に、co2地球温暖化説への批判については、丁寧にデータとその原典をしてして説明している。 ①地球の平均気温は、長期にわたり変動しきており、中世温暖期(10世紀)かr小氷河期(17から18世紀)をへて、現在は中世温暖期とほぼ同じ気温にもどっている。近年、特に、気温上昇が大きくなっている事実はなく、むしろ10年前くらいから頭打ちになって低下している。(p55) ②気候変動と太陽活動には強い相関関係がある。すなわち太陽磁場が弱くなると宇宙線量が増え、これが低層雲をつくることで気温を下げる。(p79) ③大気中の二酸化炭素量がこれまでの気温変化の主因であるとの科学的根拠はない。(p226)  京都議定書や低炭素への取り組みが、国民生活を圧迫し、多大な企業負担をもたらすこととのバランスで、もう一度、二酸化炭素地球温暖化説について、冷静な議論が必要だろう。  ちなみに、著者によれば、地球温暖化の法案は、オーストラリア、フランス、アメリカ、カナダで否決されたという。  いろいろ異論もある議論であろうが、エネルギー問題とあわせて冷静な議論を求めたい。  参考文献として川上紳一『全地球凍結』(集英社新書)を読んでみたい。

橘玲『大震災の後で人生について語るということ』を読んで、この人生とは個人の資産形成計画の話と理解する。

大震災の後で人生について語るということ大震災の後で人生について語るということ
(2011/07/30)
橘 玲

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 今日はついに4時半起き。体調が回復してきてうれしい。  これからも健康第一でいきたい。  橘さんは、『マネーロンダリング』という本で名前をしっていた。  この本は、『大震災の後で人生について語るということ』というタイトルで購入。  橘さんは、東日本大震災のあと、これまで書きかけの原稿を破棄して書き直したらしいが、内容は、個人の資産設計の話。人生について語っているのかな?  全体を通じて、国にリスクを預けるなということだが、国家公務員としては、国民から信用されなくなったらおしまいなので、根本的に発想は違うが、まあ、やむをえない。  おもしろい事実。 ①日本が1997年から自殺が増えた主な部分は、45歳から54歳、55歳から64歳の男性。(p30)  自分の年なのでわかるが、今、勤め先が倒産したりしたら苦しいよね。 ②マイホームに対する執着は、洋の東西をとわない。それは、「縄張り」という人間の本性に基づいているから。(p56)  この説は初めて聞いた。よく、日本では戦前は借家が多かったというけど、それとは整合がとれているのか? ③JALの入社式で、1986年では、女性はみんな服がばらばらなのに、2010年の入社式では、男女とも黒のスーツに髪型も同じ。(p140)  今の就活の大変さはよく実感できないが、目立たないのが、むしろ売りになるのかな。  ちょっとこの写真はショックでした。  なお、参考文献としては、『リスクに背を向ける日本人』(講談社新書)、『2020年日本が破綻する日』(日本経済新聞出版社)。

船津靖『パレスチナ』を読んで、イスラエル、パレスチナの紛争はきわめて暴力的・激化していることを知る。

パレスチナ - 聖地の紛争 (中公新書)パレスチナ - 聖地の紛争 (中公新書)
(2011/05/25)
船津 靖

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 中東の情報は、ジャスミン革命で大きく変動しているので、常に気になっている。  職場の本屋で、新刊として本著をみつけて購入。  著者の船津さんは共同通信の記者で長く、中東を取材。  パレスチナの歴史を、イスラエル、PLO、周辺諸国の紛争とともに、説明している。  なんだか、常に、紛争、戦争、テロの状況で、20世紀の終わり頃、ちょっとだけ、和平の動きがでたが、今は、暴力の応酬になっている。  全く、解決の先が見えない。  それに、ジャスミン革命でイスラエルと和平をしていたムバラク政権がたおれ、いわゆるイスラム教主義が強固になってくることが予想され、一層の紛争が予想される。  個々の紛争、テロは別にして、常に意識しなければいけないと思った点。 ①ユダヤ教の安息日、割礼、いか、かに、えびを食べない食事規定は、けんかをしても食事をしてなかなおりといった融合の手段を奪っており、孤立、一面では小集団の存続の条件となっている。(p41)  そういえば、留学していたときも、ユダヤ人の友人とは食事はしたことはなかった。コンピュータにやたら強い優秀なヤツだったけど。 ②アメリカイスラエル公共問題委員会(AIPAC)の総会には、アメリカ大統領、将来の大統領候補が足を運ぶ。(p122)  いわゆるイスラエルロビーという集団。民主党にイスラエルロビーは食い込んでいるはずだが、オバマの発言が微妙にイスラエルに厳しくぶれている気がする。  何か、地盤変動が起きているのか。 ③「イスラエルはジャーナリストの天国、著作家の地獄」(p257)  テロや事件など、ジャーリストのテーマにはことかかないが、歴史の流れを整理しようとすると大変な困難になる。  この本も、大量の紛争の情報を与えてくれるが、将来の方向性はない。  厳しく武力で双方とも敵対し、憎悪しているという冷厳な事実がわかる。

吉田洋一『零の発見』を読んで、数学の基礎の基礎の歴史を知る。

零の発見―数学の生い立ち (岩波新書)零の発見―数学の生い立ち (岩波新書)
(1986/11)
吉田 洋一

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 日垣隆さんの古典グループの推薦。  自分では絶対に手をとらない本。  数学者の根本にもどって考える思考法がよくわかる。 ①ゼノンの逆理から、人は点は大きさのないもの、したがって、線は幅をもたないもの、さらには面は厚みのないものと考えるに到った。(p141)  中学生のときにそうならったが、そのとき、「え?」と思ったが、そう仮定しないと都合が悪いことがあるんだ。 ②ギリシア人からみれば文字は単に記録の具であるにとどまり、思想や知識を伝達する手段としてはとうてい「語られる言葉」のような力をもたないと考えられていたのである。(p95)  ギリシャは対話法とかさかんだからそうなんだろうとおもうけど、プラトンの国家とか今に伝わる大著はどうやって保存されたんだろう。 ③ピュタゴラスの定理のピュタゴラスは、霊魂の不滅と輪廻を説く神秘的な宗教家でもあった。(p111)  へえ?  数学の基礎の基礎を再勉強したい方にはいい本だと思います。
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