革新的国家公務員OBが語りたいこと・伝えたいことー自由と民主主義を信じ国益を考えるーAiming at an innovative official of the national government

36年の公務員生活で培った「防災・復興法制」「都市計画法制」の知識を広く共有するため、書評を通じて、関係する新しい論点を示します。なお、意見にわたるものは個人的なものであり所属する(した)組織の意見や立場ではありません。

2013年03月

ジョルジュ・タート『十字軍』を読んで、もともとユダヤ人もキリスト教とも平和に住んでいたエルサレムとその周辺を十字軍で混乱させたことがわかる。

十字軍―ヨーロッパとイスラム・対立の原点 (「知の再発見」双書 (30))十字軍―ヨーロッパとイスラム・対立の原点 (「知の再発見」双書 (30))
(1993/09)
ジョルジュ・タート

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 小谷野さんの推薦。  絵がたくさんのっていて、十字軍をわかりやすく説明した歴史の教科書のような本。  シリアやパレスチナのあたりは、異端のキリスト教徒やユダヤ教徒といった非イスラム教徒と共存していて、「啓典の民」として、厚遇されていた。  これが、十字軍によって、むしろ圧迫され、殺害されたのは、皮肉ともいえる。  十字軍を担った西ヨーロッパの人々、この本ではフランクと呼ばれた騎士を代表とする軍隊は、一時的にエルサレムを奪還し、ラテン王国をつくるが、これがイスラムの統一をまねき、シリアやエルサレムから駆逐されてしまう。  何度か編成された十字軍はあげくのはてにビザンチン王国の首都、コンスタンチノープルを占領するなど、十字軍の目的とは大きくはずれた行動をとってしまう。  そもそも十字軍は、宗教目的に突き動かされていたが、最後は、権力と利益を求める運動にかわったことがわかる。  ぺらぺらページをめくっても面白い本。

内田樹ほか『本当の大人の作法』を読んで、休日の軽い頭の体操です。

本当の大人の作法 価値観再生道場 (ダ・ヴィンチブックス)本当の大人の作法 価値観再生道場 (ダ・ヴィンチブックス)
(2013/03/01)
内田樹、名越康文 他

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 休日の軽い頭の対応。人にはいろんな考え方があることを知る。 (1)内田:(ネットにあふれる)匿名発信は「自分の生きる力を弱める呪詛」であるというのが僕の年来の主張です。自分を呪うようなことをしていると、ご自身の健康によくないから、なるべく控えた方がいいですよと申し上げています。(p195) (2)橋口:作詞の仕事をするときはどんなに揚げ足をとられてもいいと思って仕事をしている。(p61) (3)名越:相手と意見がだいたい同じと思う人だと、「自分に似ている」という意識が、すぐに「なんであいつが」という意識に変わってしまう可能性が高い。(p127)  名越さんは精神科医、橋口さんは作家で、内田さんと、匿名になって過激化するネット言論について議論。  確かに匿名でこそこそ、他人を攻撃しているのは精神衛生上悪そうだ。みんなそういうことは避けましょう。

佐々木信夫『新たな「日本のかたち」』を読んで、こんな狭くて災害の多い国土の行政をブロック別にわける意義がわからない。

新たな「日本のかたち」  脱中央依存と道州制  角川SSC新書新たな「日本のかたち」 脱中央依存と道州制 角川SSC新書
(2013/03/09)
佐々木 信夫

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 道州制を推奨する本。  内政のほとんどをブロック別の道州に移し、今の国税のいくつも道州に移す。  それで、一体何か国民にいいことあるのかな。  防災法制のことばかり最近考えているので、たとえば、首都直下地震とか南海トラフ地震とか起きたときに、内政が道州に分かれていたら、うまく、応急対策や復興対策ができるのだろうか。  危機管理の部分だけは国に残すといっても、災害時に応急対策を実施したら、復興対策を実施するためには、平時からその活動をしている必要があり、それは、全国の広い範囲に分散して行われている必要がある、そして、災害発生の際には、軍隊と同じで命令一下、一斉に非被災地から、被災地に資源を集中する必要がある。  対口支援とかいうけど、それは、国の応急、復興支援がベースにあってはじめて効果があがることで、国の統率のとれた支援なしに、やっていけるのだろうか。  どうも、財政赤字、無駄な規制などを国の制度のせいにして、それを分割すればいい、といった安易な考え方が多いが、本当にそれを分割して、解決するものなのか、きちんと考える必要がある。  少なくとも、大地動乱の時期に入ったといわれる現在、安易に国家制度いじりをするタイミングではないと思う。  関係者の慎重な判断を望む。

平川克美『株式会社という病』を読んで、株式会社の拝金主義も問題だが、株式会社が資本主義の発展を促した側面もあると思う。

株式会社という病 (文春文庫)株式会社という病 (文春文庫)
(2011/10/07)
平川 克美

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 今日も朝の会議があるので、短い、読みやすい本。  平川さんは、自分で会社を経営する経営者でありつつ、内田樹さんともトモダチで、対談本もだしたりしている。  この本の前半部分は、この本が出された時の、ホリエモンとか村上ファンド事件を題材にして、株式会社という経営と所有を分離する仕組みが、とめどもない拝金主義を生んでいることを繰り返し述べている。  説得力があるが、逆に、池田信夫さんなどの経済学者は、資本主義自体が、マックス・ウェーバーのいうカルビニズムから生まれてきたのではなく、株式会社という仕組みから生まれたと言っている。  確かに、中国も市場経済を導入して、国有会社の株式化や自由な株式会社の設立を認めてから、発展をはじめたので、株式会社説に説得力があると思う。  経済学者は、株式会社というシステムを資本主義の牽引車として褒め称え、一方で、平川さんは、拝金主義の権化だという。  この背景には、経済成長を是であり、是が非でも実現すべきものと考えるか、それとも経済成長をあきらめ、そこそこの幸せをもってよしとするかの前提となる考え方の大きな違いがあると思う。  このような二つの大きな考え方がいろいろな場面ででてくるが、ここは、知的な立場をとる場合には、一挙に断定するのではなく、両方の考え方をちゃんと勉強しつつ、それを超越するような、より次元の高い考え方を模索すべきだろう。  単純に割り切るのが、今、一番いけないことだと思う。

内田樹ほか『評価と贈与の経済学』を読んで、内田樹先生の本をよむとこころがなごむなと思う。

評価と贈与の経済学 (徳間ポケット)評価と贈与の経済学 (徳間ポケット)
(2013/02/23)
内田樹、岡田斗司夫 FREEex 他

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 隠れタツラーの自分としては、内田先生の本がでると買っている。  難しいタイトルの本だが、別に経済学に関係なく、内田、岡田のおしゃべりをまとめた本。 (1)岡田:(アメリカは)とてもおもしろい実験を3億人の人口でやってくれている。だからみんな感謝して遠ざけましょう。(p209)  アメリカは一種の信仰に結びついた理想を追い求める国家だから、激烈な実験をして、失敗して、そこからリカバリーするというのを繰り替えているが、歴史と伝統のある日本では、そんな無茶しないで、おとなしく、豊かな生活をしましょうということのよう。 (2)内田:「よきパッサー(パスを出す人)たれ」というのが社会人の重要な条件だとぼくは思うのです。(p150)  自分の今があるのも、いろいろな人の贈与のおかげ、その成果を少しでもほかに人に贈与していって、無償の贈与のリンクがぐるぐるひろがっていくとすばらしいと思う。 (3)内田:老害論はだめだよ。あまりにチープでシンプルで。そんな話を本気で語っていると頭が悪くなるよ。(p196)  先輩方にはいろいろ本当はお世話になっているので、「上司高齢化」とか冗談いうのはやめよう。(笑)  仕事につかれたら、ビジネスにつかれたら、読むとあたまの緊張がほぐれます。
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