革新的国家公務員OBが語りたいこと・伝えたいことー自由と民主主義を信じ国益を考えるーAiming at an innovative official of the national government

36年の公務員生活で培った「防災・復興法制」「都市計画法制」の知識を広く共有するため、書評を通じて、関係する新しい論点を示します。なお、意見にわたるものは個人的なものであり所属する(した)組織の意見や立場ではありません。

2013年04月

アンドレ・モーロア『人生をよりよく生きる技術』を読んで、人生訓ばかり読んでいるとだんだん辛気くさくなってくる。

人生をよりよく生きる技術 (講談社学術文庫)人生をよりよく生きる技術 (講談社学術文庫)
(1990/08)
アンドレ モーロワ

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 著者は、フランスの第二次世界大戦前後の作家。これも、「人生啓発の名著30」の一冊。  教訓を読んで、自分の精神を連休中にたたき治そうしたが、だんだん辛気くさくなってきた。  だいたい、世の大家がいうことは似ている。 (1)長たるものは配下の専門家の尊敬を得なければならない。(中略)尊敬を得る手段は一つしかない。尊敬に値することである。(p165)  これなんか、なまじ中途半端な管理職は耳が痛い。 (2)自由は人間において自然にそなわる権利ではない。勝ち取るべき宝である。しかも勝ち取るのが難しい。そして毎日作り直していかなければならない。(p195)  最後の「毎日作り直す」という精神、手入れをしないと自由は失われてしまうという考え方は、さすがフランスだなと思う。 (3)だが、多くの人にとっていまあるものを何とかする方がはるかにいいのだ。(p251)  全部壊してやり直すより、使い回していく精神が大事だと思う。自分の人生もそうだし、社会システムもそうだと思う。

林語堂『人生をいかに生きるか 下』を読んで、ドイツ哲学批判に強く同感する。

人生をいかに生きるか 下 (講談社学術文庫 447)人生をいかに生きるか 下 (講談社学術文庫 447)
(1979/11)
林 語堂

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 林語堂は戦前、戦後を生きた、中国人の国際派文学者。  キリスト教牧師の息子として生まれ、英語でたくさんの著書をだす。戦前はよく日本でも読まれたらしい。  中島先生の投稿によれば、都市計画の泰斗、石川栄耀先生も読んでいたという。洒脱なかんじが石川先生と共通の感じ。 (1)西洋式論理学者に必要なのは多少の謙譲だ。かれらの救済する任は、ヘーゲル流のうぬぼれを匡正する人物にかかる。(p288) (2)では、真の読書法とは何か。答えは簡単である。気分が向けば書物をとってこれを読む。(p230) (3)万人必読の書などはこの世にない。(p224)  読書論もいいが、ヘーゲルをうぬぼれと断じるところがいい。存在するものがすべて合理的といったヘーゲルは結局、プロシアを肯定しているのだと思う。ドイツ哲学はカントから始まって難しいし、高慢ちきな感じがするのが鼻につく。

内田樹ほか『どんどん沈む日本をそれでも愛せますか?』を読んで、論点を自分で考える頭が必要だなと思う。

どんどん沈む日本をそれでも愛せますか?どんどん沈む日本をそれでも愛せますか?
(2012/06)
内田 樹、高橋 源一郎 他

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 休日らしい、軽めの本。  内田樹氏と高橋源一郎氏の気軽な対談。結構難しい論点を気軽に語っている。  自分の頭でも再度考えることが求められる。 (1)(政治の優先順位は)第一に国土の保全、第二に国民の健康。悪いけど、景況なんてどうだっていいよ。(p203)  国土の保全には、放射能汚染で事実上失った国土をどうするかという論点も含む。アベノミックスとかいって景気のことに気をそらさないで、福島原発をどう落ち着かせるかに関心を持ち続けたい。 (2)貧しいというのはお金がないことではない。お金の前でよろめいてしまうことが貧しいと言うことだと思う。(p258)  札びらで顔をたたいて地元調整をするような下品なことは、やる方の知性とやられる方の理性を失わせると思う。 (3)今の日本人が再考すべき常識とは、我々はかつて存在し、いまいなくなった人たちや、これから生まれてくる人たちとのつながりの中で生きていて、先人からの贈りものを受け継いで、それを享受し、消費しながら生きていて、それに何かを加算して、次の世代に贈らなければいけない、っていような考え方だと思う。(p166)  次世代の子供たちに、少しでも住みやすく安心できる日本を残していきたいと思うね。そういう観点から、エネルギー政策も国土保全も考える必要がある。

波多野澄雄『国家と歴史』を読んで、近隣諸国とのもめごとの背景として、すでにどこまで日本が譲歩しているかをしることが大事。

国家と歴史 (中公新書)国家と歴史 (中公新書)
(2011/11/24)
波多野 澄雄

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 著者は筑波大学の先生。何の気なしに、職場の本屋で購入。  日本と中国、韓国との歴史問題について、詳細かつ緻密に分析。なんとなく、この著者は本当はナショナリストではないかと思うが、そのような自分の考え方を見せずに、まじめに分析。  自分としては、すでに諸外国に対して、歴史認識で、日本政府がどこまで譲歩しているのか、認めているのかが気になった。結論としては、べたおり状態。 (1)1982年に、文部省は、自ら教科書は主権的事項といっていたにかかわらず、近隣条項(近隣諸国に歴史的事象への配慮をする)を定めた。(p140) (2)1995年の村山内閣の談話(閣議決定)で、「我が国は、遠くない過去の一時期、国策を誤り、戦争への道を歩んで国民を存亡の危機に陥れ、植民地支配と侵略によって、多くの国々、とりわけ、アジア諸国の人々に対して多大の損害と苦痛を与えました。」(p186) 日本政府がいくら、国家賠償を受けない範囲でぎりぎりの譲歩をしても、中国と韓国側が、以前の最高責任者が国民の歴史認識を決められた時代から、民衆の押さえがきかなくなってきた時代になっていることから、何度でも、歴夷問題は繰り返すことを覚悟しなければならない。  この意味では、小泉内閣の時に、日中、日韓で始まった、歴史問題の学者間の共同研究のような取り組みを進めて、歴史問題は、政治問題から切り離して、冷静に整理し、違うものは違うとお互い認識する努力が必要だと思う。  ちなみに、日本の国内的には保守的言動が最近、力を増しているが、これだけ時間をかけて近隣諸国に譲歩を続けてきて、それでなお微妙な時期に、この譲歩の一部を取り消すようなことは、相当な政治関係に波風を立てることを覚悟しなければいけない。  個人的には、そのような波風をあえて立てる時期でもないし、正確にこれまでの経緯を学べば、それを希望する国民は少ないのではないか。

林語堂『人生をいかに生きるか 上』を読んで、中庸、適度、あわてず、いそがずの人生論。

人生をいかに生きるか 上 (講談社学術文庫 446)人生をいかに生きるか 上 (講談社学術文庫 446)
(1979/11)
林 語堂

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 『自己啓発の名著30』という本に紹介されていて、購入。絶版本。  林語堂さんは、ほとんど自分は知らないが、戦前はよく読まれた中国人の作家。 (1)現代人は人生をあまりに厳粛にとりすぎる。あまりに厳粛すぎるから、世界はうるさいことだらけになるのだ。(p54) (2)中国哲学の特質はつぎの三点にある。第一に、人生をすべて技術としてみる天賦の質、第二に、単純哲学への意識的回帰、第三に、中庸的生活の理想。(p51) (3)人生の積極的見方と消極的見方とを適当に融合させることによって、調和ある「中庸」の哲学に到達することができるのである。(p194)  のんびり、むきにならず、ばらんすよく生活するのが大事ということのようです。
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